今日の産経ニュース(10/22、23分)ほか(その2:10/23深夜に安田純平氏解放を安倍政権が発表)(追記・修正あり)

菅義偉官房長官は23日午後11時から、首相官邸で緊急記者会見
https://www.sankei.com/politics/news/181023/plt1810230041-n1.html
 「一体何やねん?」ですね。普通に考えれば「小泉*1訪朝」並のサプライズで「那覇市長選敗北」のショックを和らげようと画策つうところでしょう。
 とはいえ、そんな動きはまるで見えなかった。で、今(午後11時)、あわててテレビをつけたら「安田純平*2、解放か」という話が出てるようですね。
 実際にそうなら喜ばしいことです。
 で、「菅長官、安田純平」でググったら
■日経『シリアで不明の安田さん解放か 官房長官が発表 』
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36841340T21C18A0000000/
■産経『シリアで拘束の安田純平氏「解放」 菅義偉官房長官が発表』
https://www.sankei.com/politics/news/181023/plt1810230042-n1.html
だそうです。安倍政権にはこの件で全然動きが見えず「見捨ててるんじゃないか」と思っていましたが水面下交渉していたのか?。であるならば素直にまずは喜びたいと思います。
 もちろん俺は「河野談話否定論」「沖縄差別」「モリカケ」など問題だらけの安倍も菅も大嫌いで評価しません。早く安倍や菅には首相や官房長官を辞めてほしい。
 しかしこうした手柄はそれはそれとして評価します。まあ、安倍の手柄ではなく「外務官僚」「(交渉に協力したらしい)トルコ政府」などの手柄かもしれませんが、安倍が総理である以上手柄と評価しないわけに行きませんしね。
 まあ、これで「安倍支持率向上」になって安倍が図に乗るのも、安倍批判派として愉快ではありませんが、それは「安田氏解放の手柄」とはまた別問題です(追記:わざわざ菅が緊急記者会見したのに翌日朝のニュースを見たら、あまり報道せず『福原愛引退』など別のことをテレビ局が大きく報じてるのを見ると、支持率にはあまり影響しないかもしれません。それとも安田氏が帰国すればもっと報道して支持率にも影響が出るんでしょうか、どうでしょうか?。しかしこんなに報じないのは単に「安田氏が帰国しておらず情報がほとんどないから」なのか、それとも帰国しても『視聴率がとれない』などの理由で報じないのか?)。
 もちろんこの手柄で「モリカケ」「沖縄基地問題」「歴史修正主義慰安婦靖国など)」「消費税10%増税画策」などの安倍の問題がチャラになるわけでもないのもこれまた当然です。
 それにしても「なぜ安田氏が解放されたのか」を知りたいところですが、やはり「デリケートな問題なのでノーコメント」でしょうか。
 これについて関係各位(川上泰徳氏*3、常岡*4、高世など)がどうコメントするかも見ていきたい。
 正直、高世や常岡は安田氏がらみで「日本政府の交渉は必要ない」と無茶苦茶なことを言ってきたことについて今頃になって焦ってるんじゃないか。たぶんお為ごかしで、ごまかしに走り、かつ安田氏を丸め込もうとするのでしょうが(なお、一方で川上氏など多くのまともな人間が政府に交渉を求めていました)。まあ、安田氏は「泥仕合を嫌って」高世や常岡を表立っては批判しないかもしれない。
 ただし連中との付き合いは切るでしょうし、一方で「日本政府は交渉してほしい」とした川上氏らへの感謝の言葉は口にするんじゃないか。そういう形で常岡、高世らを批判するんじゃないか。
 まあ常岡らにとっては面と向かって非難されなければ御の字なんでしょう。安田氏から「高世氏、常岡氏らの物言いには怒りを感じた」と面と向かって非難されても無視するのでしょうが。全くでたらめな連中です。
 なお、安田氏や政府が「ノーコメント」というにせよ、トルコ政府、カタール政府(トルコもカタールもヌスラなどの反体制派にパイプがあるとされる)などの仲介者がいるにせよ「ヌスラ戦線との交渉」で解決されたこと、その際にたぶん「何らかのお土産(身代金?)が日本政府から出たこと」は間違いないでしょうね。
 実際「(カタールのスポンサーは日本政府かもしれないが)カタール政府が身代金を払ったらしい」なんて報道が出てきました。
 結局、北朝鮮拉致だってそうやって「北朝鮮へのお土産によるバーター取引」で解決するしかないでしょう。「泥棒に追銭など嫌だ」といってもどうしようもない。小泉訪朝が成功したのも「国交正常化時の経済支援」というお土産のおかげです(家族会、救う会の圧力に屈した小泉政権によって事実上反故にされますが)。
 安田氏の件がとにかく解決して、拉致が解決しないのはそういうことだと思います。
 繰り返しますが、結局「お土産によるバーター取引」以外に手がない。
 こうした俺の考えを「ヌスラや北朝鮮に甘い」「腰抜けだ、軟弱だ」「もしかして腰抜けじゃなくて、ヌスラや北朝鮮のシンパ?」と思うのは、勝手です。ただ、お土産を否定したら「安田は見捨てる」「拉致被害者は見捨てる」にしかならないでしょう。
 救う会は「拉致を解決する気は本当はない」「単に北朝鮮を敵視するだけの右翼組織」だから見捨てても問題などない。しかしそれで当事者の家族会はいいのか、家族である拉致被害者を見捨てていいのかと言うことです。
 俺もぶっちゃければ「人の情として」積極的に見捨てたいとは思わないが、「見捨てても一向にかまわない」。なぜなら、俺にとって、拉致被害者は家族(妻、親、子、兄弟など)や恋人などといった身内じゃないからです。身内でもない人間のために一生懸命には俺はなれません。冷たいと言われても俺はそういう人間です。
 ただし「理屈の上ではバーター取引しかない」と思うし、人の情として「バーター取引してでも帰ってきてほしい」とは思うのでこうしたブログ記事ではそう書きますが、横田奥さんなど家族会がそういう意見を北朝鮮シンパだの腰抜けだの言うなら「ふーん、じゃあ死ぬまでそう言ってれば。拉致被害者は俺の家族じゃなくてあんたらの家族なんだからあなたらが今の状況で満足ならそれでいいんじゃないの?(もちろん皮肉)。後で後悔しても俺の知ったことじゃねえし」と思うくらいの感情しかありません。著書や講演でバーター取引を訴える蓮池透*5ほどの熱意は全くない。
 それはともかく、拉致についても「実は水面下交渉していて安田解放のようなビッグニュースが近々報告できます(経済制裁解除、朝鮮総連北朝鮮幹部渡航容認、朝鮮学校無償化などのお土産も実は渡す予定です)」つうならうれしいですが多分ないでしょうね。
 しかし今日10/23は「偶然にすぎませんが」、「日中友好平和条約発効の日」「安倍の明治150年記念式典」、そして「安田氏解放」と俺的にブログネタの多い日でした。

*1:宮沢内閣郵政相、橋本内閣厚生相を経て首相

*2:著書『ルポ 戦場出稼ぎ労働者』(2010年、集英社新書)など

*3:著書『現地発 エジプト革命:中東民主化のゆくえ』(2011年、岩波ブックレット)、『イスラムを生きる人びと:伝統と「革命」のあいだで』(2012年、岩波書店)、『中東の現場を歩く:激動20年の取材のディテール』(2015年、合同出版)、『「イスラム国」はテロの元凶ではない:グローバル・ジハードという幻想』(2016年、集英社新書)など

*4:著書『ロシア 語られない戦争:チェチェンゲリラ従軍記』(2011年、アスキー新書)、『イスラム国とは何か』(2015年、旬報社

*5:著書『13歳からの拉致問題』(2013年、かもがわ出版)、『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』(2015年、講談社)、『告発:日本で原発を再稼働してはいけない三つの理由』(2018年、ビジネス社)など