黒井文太郎に突っ込む(2019年3月17日分)

黒井文太郎
 プーチン*1発言の核心はこの朝日新聞さんのタイトルですよね。
 他社の多くが「交渉の速度が失われた」なんて漠然とした発言をタイトルにしてるのが謎
プーチン氏「日米同盟の解消必要」 非公開会合で言及:朝日新聞デジタル

 いやいや朝日の記事タイトルは「別の意味で」ミスリーディングであり、「正確な報道」という意味では「アンチロシア」黒井が言うほど高評価できるもんではありません。むしろ「低評価すべき」だと思います。
 なぜならプーチンの論理展開は「少なくとも建前においては」以下のようなもんだからです。
1)北方領土を返してほしければ、最低限、返還の前に日本側が「返還された島に米軍を置かない」と確約すべきだ
2)(こうしたプーチン提案について、いつまでたってもそうした確約をしない安倍に対し)もし日米安保条約においてそうした確約は出来ない、安保を廃棄しない限り確約できないというなら、安保を廃棄しない限り、島の返還をすることはできない
 つまりプーチンは「島に米軍を置かないと確約できるなら、別に日米安保があってもかまわない*2」と明言してるわけです。
 しかし、安倍が確約しない状況下において「日米安保がある限り、そういう確約ができないのなら」、島を返還してほしいのなら日米安保を廃止するしかない、つう話の展開なのだから、プーチンは「島返還の条件としてストレートに日米安保廃棄を求めてるわけではない」。
 朝日記事タイトル「日米同盟の解消必要」には「日米安保がある限り、島に米軍を置かないと安倍が確約できないのならば」という枕詞がつきます。
 プーチンの本音が何かはともかく、「繰り返しますが」彼は建前では「島に米軍を置かないと確約できるなら、別に日米安保があってもかまわない」といってるのですから、安倍がそう確約すればある意味片がつく話です。
 そう確約しないからこそ「日米安保の現状においてそうした確約が出来ないのなら、日米安保を廃棄するしかないね」とプーチンに(皮肉を?)言われるわけです。
 結局黒井としては「プーチンは島の返還条件として日米安保廃棄を条件にしてる」とデマを飛ばすことで「日米安保支持が未だに日本人に多いことを利用して*3」反ロシア感情を高めたいのでしょう。と同時に「島に米軍を置かなくてもいいじゃん」あるいは「置かないと確約してもいいじゃん」つう意見に対し「プーチンの狙いは日米安保廃棄だ」とデマを飛ばすことによってそうした意見を封じ込めようとしているわけです。何度も書きますがプーチンの論理展開はそう言う話じゃありません。
 朝日の記事タイトルが「黒井と同様」の「反ロシア扇動」&「島に米軍基地を置かない選択肢を否定するため」の「ためにするデマゴギッシュな物」かどうかはわかりません。いずれにせよ朝日の記事タイトルが極めてミスリーディングであることだけは確かです。

*1:エリツィン政権大統領府第一副長官、連邦保安庁長官、第一副首相、首相を経て大統領

*2:プーチンが「安倍にはそうしたことは出来ない」と見切った上で「できないことを要求して、島を返還しない口実にしているのかどうか」はひとまずおきます。今の米ロ関係(対立状態)を考えれば「島に米軍を置くな」とプーチンが要求することは何ら不当ではありません(日米安保を廃棄しろと要求したら不当と言ってもいいでしょうが。なお、これは「日米安保をどう評価するか」とは全く別問題です)。例えば、竹島北朝鮮が領有しているとしたら「日本に返還した場合竹島に米軍基地が置かれる可能性があるなら」、日本に竹島返還なんかしないでしょう。話はそれと同じです。

*3:なお、俺個人は日米安保廃止派であることをフェアネスのために断っておきます。