今日の韓国・北朝鮮ニュース(2019年3/24分)

「被害者帰国に全力」菅義偉官房長官 、沖縄初の拉致問題集会 - 産経ニュース
 拉致被害者がいるわけでもない沖縄でやる必要など全くないと思いますがそれはさておき。

 集会は政府と沖縄県などの主催で、同県での開催は初めて。

というのが意外です。
 仲井眞*1知事時代(2006~2014年)や翁長*2知事時代(2014~2018年)にはなぜなかったのか、気になるところです。

 菅氏は「日本自身の主体的な取り組みも進めている。安倍晋三首相を中心にありとあらゆるチャンスを逃さず、全力で果敢に行動していく」と強調した。

 口先で言うだけなら誰でも出来ます。俺だってできる。「あらゆる機会」とはどんな機会なのか、「主体的な取り組み」とは具体的になんなのか、と聞かれたら菅や安倍はどう答えるのか。おそらくまともには答えられないでしょう。口から出任せだからです。


BSフジ・プライムニュース『2018年4月30日(月)検証『南北首脳会談』:金委員長の核心を読む』

■李柄輝 朝鮮大学校准教授の提言:『安倍*3総理の朝鮮学校訪問 朝・日民間交流』
「2つ提案させていただきたいと思います。日本が朝鮮に対して制裁を強化する流れの中で、文科省地方自治体に朝鮮学校に対する補助金を停止する通達を出しました。安倍総理が、たとえば、平壌に行く前にでも必ず朝鮮学校を訪問され、朝鮮学校に対する処遇を改善していただきたい。もう1つは、朝・日の民間交流、とりわけ若い人間達の訪朝・訪日、この交換交流というものを積極的に推進していただきたいと思います」
■朴正鎮*4 津田塾大学国際関係学科准教授の提言:『日本で米朝首脳会談を。』
「先ほど、朝鮮の中で日本の存在感を高めてほしいと話をしました。これは、実現可能性と関係ありません。米朝首脳会談を日本で行う、そういう発想と提案、それを通じて日韓の連携、そのあと日朝間の動き、そういう想像力が現在は乏しいかと思います。是非、そういった発想から日本のこれからも、日朝関係を考えてほしいところですね」
■礒﨑敦仁*5 慶應義塾大学准教授の提言:『日本も外交戦に』
■礒﨑准教授
「日本は外交戦に加わるべきであると思います。対話はどんなに理不尽で、不愉快な思いをしたとしても、やらないと物事が前に進まないというのは特に現在の局面で言える。拉致問題ももちろん、ですけれども、それ以外にも日本人にたくさんいるわけです。(ボーガス注:在日朝鮮人の夫と一緒に北朝鮮に渡った)日本国籍を持っている日本人配偶者の問題とか、数千人もいるわけで、そういった人達、日本人を、人権を守る、人命・生命と権利を守るという、そういうことのためにも外交に加わっていただきたいと思います」
■松山キャスター
「若干、出遅れているという感は否めない?」
■礒﨑准教授
「現在の日本の政権は自ら引いているわけですけれど。しかし、変えることはできると思います、局面に応じて」

 少し古いですが、ほぼ同感なので紹介しておきます。しかしBSフジでこうした番組とは意外です。まあ「地上波でないから」て面はあるでしょうが。地上波のフジだと難しいのでしょうね。

2018.3.21 BS日テレ「深層ニュース」の要約書き起こし。朝鮮大学校の李柄輝准教授と礒﨑敦仁慶応大准教授の二人に聞く朝鮮半島情勢。
影書房  2018年3月24日
・南北首脳会談、米朝首脳会談が急遽日程に上り、朝鮮半島情勢がにわかに動き出そうとしていますが、安倍政権は無策と無力を晒していますし、日本のマスメディアは相変わらず偏った情報による北朝鮮バッシングで世論を煽っています。そんな中で、朝鮮大学校の朝鮮現代史の先生が勇気を奮って出演し、ピョンヤンからは現状がどう見えているのか、ご自身の見解を述べられました。このような時期に日本における「カウンター・ディスコース」(対抗言説)として貴重なものと思われますので、やや長いですが、まとめてみました。
・一方的な北朝鮮バッシングがマスコミを席巻する中、BSとはいえテレビで、しかも読売系列でのこの人選は画期的と言っていいんじゃないか。
 もう一人のコメンテーターの礒﨑敦仁氏も、一貫してフェアーな語り口だった。「平壌側の視線」が入ってくることで、こうも番組は変わるものかと驚いたほど。
・他局もまじめに見習ってほしい。どの局も判で押したようなコメンテーターや司会者を並べているが、「別の視点」を入れることは視野を広げ、視聴者の利益にも適うはず。BSでひっそりやらないで、視聴率の高い地上波のニュース番組で、ぜひ李さんのような方を呼んでほしい。(報ステニュース23もね)

 BS日テレにも李氏と磯崎氏が出演していたようです。というかBS日テレ(2018年3月)、BSフジ(4月)なので、BSフジ側がBS日テレを見て人選したとみるべきなのでしょう。


北朝鮮は悪魔の王国か|コラム|JAcom 農業協同組合新聞(2018.05.21)

北朝鮮を「悪の枢軸」といったのは、当時、米国大統領だったブッシュ氏*6である。「悪」は悪魔の意味であり、悪魔は人間ではない。
 この考えが、日本の一部では、いまも続いている。さしずめ、金正恩委員長は悪魔の頭領だ、と考えているのだろう。悪魔だから、その言うことはいっさい聞かず、話合いを否定して、力ずくで退治することしか考えていない。安倍晋三首相や多くのマスコミは、そのように考えているようだ。
 誰がどう考えても自由だ。しかし、そう考えることによって、外交で孤立し、日本の針路を誤るなら、見過ごせない。
 ここでは、マスコミが伝えようとしない北朝鮮の実状について、朝鮮大学校の李柄輝准教授が、BSフジのTV番組や日本外国特派員協会などで語った論説*7を借りて考えよう。
 同准教授の論説の一部には、賛同できない点がある。しかし、確かな事実と綿密な論理に基づいて、北朝鮮の考えを正確に説明していると思う。
北朝鮮は、米国に対して平和条約の締結を提案し続けたが、米国は、あいかわらず拒否し続けた。こうした状況のもとで、米国の核攻撃を抑止するには、自国で腰を据えて核武装するしかない、と考えた。「先軍政治」への転換で、1997年のことである。
 米国は、これに対して露骨に干渉した。つまり、北朝鮮の内部崩壊を画策し、あるいは、米軍が北朝鮮に侵攻して政権を倒そうとさえした。
 2003年には、米国は、北朝鮮を「悪の枢軸」とし、核による先制攻撃を公言した。また、昨年春には金委員長の「斬首作戦」を言い出した。
 これに対して、北朝鮮は、軍事力の強化と経済発展を同時に進めるという「併進路線」の名前で、大陸間弾道弾と核爆弾の開発を加速した。そうして、米国の核攻撃を抑止する軍事力を強化した。
・最近になって、この状況が変化した。北朝鮮が「併進路線」の完了を宣言したのである。つまり、大陸間弾道弾は米大陸の東岸まで届くようになり、それに核弾頭をつければ、米国の中枢部を壊滅できる。これは米国にとって、死活的な脅威である。つまり、北朝鮮は米国の核攻撃を阻止するための軍事力を完成したのである。
 こうした状況の変化に対応して、来月12日に両国の首脳が会談することになった。
 この会談で、北朝鮮が要求するのは、米国が、北朝鮮の政治体制の維持を保証することである。米国の要求は、北朝鮮の非核化である。
 会談の事前交渉で、両国は総論では合意しつつある。しかし、各論になると、まだまだ大きな対立がある。
・ここで、総論で合意した背景をみてみよう。日本政府は、日米などの圧力と制裁の強化が主力だと自画自賛するが、そうではない。
 韓国の世論は、4月の南北首脳会談の後、大きく変わった。韓国のMBC放送によれば、金委員長を信頼する、という人が78%になった。また、米朝会談を仲介した韓国の文在寅*8大統領の支持率は86%になった。
 これは、韓国の国民の圧倒的な大多数が、米朝首脳会談に期待していることを示したものである。
 こうした世論の変化をみて、トランプ大統領も変わりつつある。
・このような状況のなかで、安倍晋三首相だけが、北朝鮮だけの、しかも即時の非核化を主張している。それを北朝鮮が受け入れなければ、圧力と制裁を緩めないという主張を、かたくなに続けている。まさに話合いの否定である。そうして世界中から顰蹙をかい、カヤの外へ出されている。
 そんなことは、万一にもないだろうが、もしも米国が北朝鮮に侵攻すれば、先ず第1に支持と激励の電報を送るのは安倍首相だろう。そうして世界中から顰蹙をかうだけでなく、事実を見ることができない、そして、論理を理解できない首相の反知性主義が嗤われるだろう。恥ずかしいことである。
 最後に、李准教授が想定している朝鮮半島の将来像を、筆者が勝手に描いてみよう。
 それは、韓国と北朝鮮の極めて緩やかな連邦国家である。資本主義国の韓国と社会国の北朝鮮との連邦国家である。荒唐無稽の幻想のように思われるかも知れないが、そうではない。
 1990年には、資本主義国の西ドイツと、社会主義国東ドイツ統一国家になった。連邦国家どころか、一気に統一国家になった。そして、隣国はこぞって祝福した。
 しかし、こんどの朝鮮半島の場合は違う。隣国の日本が妨害している。安倍首相をはじめ、多くのマスコミが、米国の尖兵になり、北朝鮮を悪魔とみて、朝鮮民族の悲願である統一を、武力を背景にして妨害している。
 こうした状況のもとにあるので、南北の統一は容易ではない。李准教授は、つぎのように構想している。
 当初は、両国がそれぞれを独立した国家として、互いに尊敬し、主権を尊重しあいながら、両国で共同のプロジェクトを発足させる。経済開発を目的にしたものもあるし、技術開発を目的にしたものや、科学やスポーツの振興を目的にしたものもあるだろう。
 それは、北朝鮮の人たちと、1人当たりGDPが北朝鮮の22倍の韓国の人たちとの共同作業になる。そこで活発な人的交流が行われる。こうした共同作業のなかで、相互の理解が進むだろう。
 また、平等を国是にしている北朝鮮の人たちと、多くの国民が経済格差に呻吟している韓国の人たちとの共同作業になる。それは、それぞれの国の短所を克服し、長所を認め合い、それを生かした作業になるだろう。
 こうした共同作業が広がれば、やがて、資本主義国の韓国と、社会主義国北朝鮮との、ゆるやかな連邦国家を目指すことになる。そして、朝鮮民族統一国家へ近づくことになる。
 それは協同組合地域社会の考えに親近性が強い。協同組合国家の萌芽ともみられる。協同組合である農協の多くの人たちは、北東アジアの、この歴史的な快挙を、親しみを込めて暖かく見守っている。

【森島 賢・正義派の農政論】弱者にとっての朝鮮問題|コラム|JAcom 農業協同組合新聞(2018.06.18)
 米朝首脳会談の評価は2つに分かれている。体制派の強者の側に立つ論者やマスコミは、会談後の共同声明について、譲歩しすぎたとか、具体性がないとか言って、難癖をつけている。
 しかし、米国の世論調査をみると、トランプ大統領の支持率は過半数の51%にまで上がった。つまり、難癖をつけているのは、体制派の強者たちだけだろう。
 また、文大統領の支持率も83%という驚異的な高さにまで上がった。そして、13日の地方選挙の結果は、米朝首脳会談を仲介した文大統領が率いる与党の圧勝だった。この結果は、朝鮮民族の悲願である南北和解、朝鮮半島恒久平和、に対する弱者の圧倒的な支持を示したものだろう。
 もしもいま、両国で大統領選挙が行われれば、弱者に支持されている両大統領の再選は、間違いない。また、両大統領のノーベル平和賞も間違いない。
 いまや、世界の政治は、弱者と強者の対峙の中で動いている。そして、弱者の力が強まり、歴史の流れを大きく変えている。
 わが日本はどうか。
 政府は、強者の側に立って、北朝鮮に最大限の圧力をかけ続け、完全非核化して謝罪するまで交渉はしない、と言っていた。しかし、トランプ大統領が、最大限の圧力という言葉は使わない、と言ったので、それに倣って、日本もその言葉を使わなくなった。
 それどころか、恥ずかし気もなく前言を翻して、14日には、モンゴルでの国際会議で、日本の政府高官が北朝鮮の政府高官と意見を交換した。そのような接触をして、安倍晋三首相が北朝鮮と直接対話したい、との首相の意向を北朝鮮に伝えたいようだ。北朝鮮から、つい最近まで、不届きな日本は1億年たっても北朝鮮の神聖な土地は踏めない、と非難されていたのに、である。
 いっぽう、わが日本のマスコミは、政府といっしょになって、この会談を曲解しているようだ。この会談は、戦勝国が敗戦国の武装解除を迫る会談ではない。犯罪者を裁く会合でもない。互いに対等な立場に立って、両国間の険悪な状態を解消するための会談である。
 この基本的な性格を曲解しているようだ。そうして居丈高になり、北朝鮮に対して、譲歩せよ、と主張している。思い違いも甚だしい。
 日本の野党はどうか。政府の対北朝鮮政策に対する、野党の批判が聞こえてこない。一点の非もない完璧な政策と評価しているのだろうか。
 米国では、与野党が入り乱れて、激しい議論をしているのに、である。
 いま、日本にとって、対北朝鮮政策は外交政策の中心部にある。それだけでなく、安全保障政策の中心部にある死活的な政策である。
 それなのに、野党の多くは、このことが分かっていないようだ。だから、北朝鮮問題で、政府が白といえば白、と考えるし、政府が豹変して黒といえば黒、と考えるようにみえる。
 こんなことでは、野党には政権を持たせられない、と弱者も考えるだろう。そんな野党なら、なくてもいいと考えるだろう。
 学生などの若い人の反応が鈍いことも、気がかりである。
 さて、共同声明の内容をみてみよう。
 こんどの会談の主題は、北朝鮮の即時非核化だった、と言っている。だが、そうではない。共同声明に書いてあるように、主題は、米朝間の信頼関係に基づく朝鮮半島の平和体制の構築である。平和になれば、核は不用になる。つまり、非核化は平和の結果である。
 しかも、非核化の期限は付けていない。つまり、即時非核化ではなく、段階的非核化である。信頼関係が不確かなままで非核化を急げば、途中で齟齬をもたらす懼れがある。だから、段階ごとに区切って、あせらずに、互いに信頼関係を確かめあいながら、着実に平和体制を積み重ね、その上で非核化を進める、というわけである。
 非核化に期限をつけて急がせよ、という主張がある。そうしないと、北朝鮮に時間かせぎをさせてしまうし、騙されてしまう、という考えである。
 ここには、北朝鮮に対する抜きがたい不信感がある。こうした不信感を払拭できないのなら、先へは進めない。
 北朝鮮には、時間かせぎをする動機はないのだ。すでに、核攻撃に対する核による抑止体制は完成した、といっている。
 だから、両国の信頼関係が不確かな状態で非核化を急ぎ、途中で破綻する危険を冒すのではなく、両国の国民の大多数を占める弱者の強力な支持のもとで、信頼関係を回復し、着実に、順をおって段階を積み重ね、平和体制の構築と非核化をするほうがいい。
 実際に、米朝間の信頼関係は回復しつつある。共同声明にそって、平和体制の構築と非核化は、少しずつ実行されはじめている。
 つまり、北朝鮮は、首脳会談の前から、拘束していた3人の米国人を帰国させたし、豊渓里の核実験場を破壊した。さらに、東倉里の長距離ミサイルエンジン実験場も破壊したようだ。
 また、米国はすでに、最大限の圧力、という言葉を使わなくなった。また、米韓合同軍事演習の中止を検討している。即時中止を決められないのは、強大な力をもつ軍産複合体が、反対しているからだろう。だからこそ、時間をかけて、障害を1つずつ排除していかねばならぬ。
 このように、両国とも平和体制の構築と非核化の第一段階を、すでに走り出している。
 もしも遅滞すれば、米国抜きの南北交流のほうが先行するだろう。それほどまでに機は熟している。南北の軍部の協議は進んでいて、すでに、南北の国境警備のための軍は、一部が撤退している。
 他方で、中国とロシアは、国連安保理北朝鮮制裁決議の緩和を提案しようと考えている。
 南北朝鮮と米国の、さらに世界の弱者が願っていることは、この動きを先へ進めることである。その先に期待しているのは、韓国・北朝鮮と米国との間の平和友好条約の締結だろう。そして、朝鮮民族の悲願である南北統一だろう。
 これも拙速でなく、南北間の交流から始め、それを着実に積み重ねることが重要だろう。
 日本の弱者たちは、こうした朝鮮民族の南北和解と、朝鮮半島の平和のゆくえを、熱い友情の目で見守っている。

 少し古いですが、北朝鮮問題での「対話外交派、太陽政策派」として「一部の細かい点を除いて」大筋ではほぼ同感なので紹介しておきます。

*1:沖縄県副知事、沖縄電力会長を経て県知事

*2:那覇市議、沖縄県議、那覇市長を経て沖縄県知事

*3:自民党幹事長(小泉総裁時代)、小泉内閣官房長官を経て首相

*4:著書『日朝冷戦構造の誕生・1945-1965:封印された外交史』(2012年、平凡社

*5:著書『新版・北朝鮮入門:金正恩体制の政治・経済・社会・国際関係』(共著、2017年、東洋経済新報社

*6:テキサス州知事を経て大統領

*7:これについては北南、朝米首脳会談を展望/朝大・李柄輝准教授が記者会見 | 朝鮮新報BSフジ・プライムニュース『2018年4月30日(月)検証『南北首脳会談』:金委員長の核心を読む』参照

*8:盧武鉉政権大統領秘書室長、「共に民主党」代表を経て大統領