「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」を笑おう(2019年4/10分:三浦小太郎の巻)

「日本が困難なとき万葉集がはやる」(??)何か違うような気がするが | 三浦小太郎BLOG Blue Moon

「日本が困難な時、万葉集がはやる」 令和は歴史的転換 [令和]:朝日新聞デジタル
磯田*1
 日本史で何度も繰り返されてきたことだが、海の向こうに強い他国が現れると、国家意識が高まる。幕末のペリー来航時には非常に国学が流行した。いま中国の台頭があって、やはり日本ということを強く意識している。今回の転換に関して言えば、日本古典だけを典拠とした元号ではなく、日本と中国の両方の典拠を持つ元号を提示してもよかったのではと思う。日本文化を発見すると同時に、国境を越えた漢字文化圏の存在にも気づけるからだ。国益にもかなうと思う。
辰巳*2
 歴史的に、日本が困難な状況になると万葉集がはやる。鎌倉時代もそうだったし、明治には正岡子規万葉集に帰った。

 三浦が言うように「朝日新聞はアホか」「コメント者はアホか」ですね。
 「令和を褒めるにせよけなすにせよ*3」、もっとまともなコメント者は居なかったのか。正直どうすればここまで変な奴を見つけることが出来るのか。

 いま中国の台頭があって、やはり日本ということを強く意識している。

 安倍みたいな「反中国のごろつき極右」がでかい顔してることにはうんざりさせられますが、「国家意識が高まる」なんて事実があるんですかね。
 俺はないと思いますが。

 今回の転換に関して言えば、日本古典だけを典拠とした元号ではなく、日本と中国の両方の典拠を持つ元号を提示してもよかったのではと思う。

 安倍が「中国は典拠じゃない」と強弁してるだけでどうみてもあれは「中国も典拠」です。これが「日本だけが典拠と強弁せず、中国も典拠だと認めるべきだった」というなら話は別ですが。

 日本文化を発見すると同時に、国境を越えた漢字文化圏の存在にも気づけるからだ。国益にもかなうと思う。

 国益云々というなら元号廃止が一番国益にかなうと思いますが。
 そして「日本伝統文化の多くが中国にルーツがある」なんてのは元号なんかと関係なく常識の範囲内じゃないか。

 歴史的に、日本が困難な状況になると万葉集がはやる。鎌倉時代もそうだったし、明治には正岡子規万葉集に帰った。

 おいおいですね。まず第一に「鎌倉時代や明治に万葉集が仮にはやったとして」、それは「困難な状況」だからなのか。
 「困難な状況にはやったから、はやった理由は困難な状況への対応だったに違いない」というのは説明になっていません。
 こう主張するには「万葉集がはやってる理由は困難な状況に対抗しようとする日本人の考えの表れだ」という因果関係を証明しなければなりません。そんなことができるのか。
 第二にこの御仁は「鎌倉時代と明治」しか上げていませんが他の時代はどうなのか。「戦国時代」「太平洋戦争終戦直前」「終戦直後」なども「困難な状況」でしょうがこの時に万葉集がはやったという事実があるのか。
 第三に今、万葉集がはやってるとしてこれは「令和の考案者が万葉集学者の中西進氏だから」であって売れてる本も、中西『古代史で楽しむ万葉集』(2010年、角川ソフィア文庫)、『万葉の秀歌』(2012年、ちくま学芸文庫)など、主として中西本です。

・村木元厚労次官が「好きな本」と語ったので、絵本『花さき山』が売れた
ジブリのアニメ映画『ゲド戦記』(2006年公開、原作は岩波少年文庫)、『借りぐらしのアリエッティ』(2010年公開、原作は岩波少年文庫)、『思い出のマーニー』(2014年公開、原作は岩波少年文庫)の原作小説がアニメ化を機に売れた
・人気アニメ「らき☆すた」の舞台の一つが鷲宮神社だと紹介されたことで神社訪問者が増加
・TBSドラマ「半沢直樹」(2013年)のヒットで池井戸潤の原作小説(文春文庫)が売れた
カズオ・イシグロノーベル文学賞受賞(2017年)で彼の小説が売れた
NHK朝ドラ「まんぷく」(2019年)効果でチキンラーメンが売れた

などと大して変わりません。要するに極めてミーハーな理由「世間で話題だから」にすぎない。
 次に三浦が紹介してない朝日記事の変な部分に突っ込みます(残念ながら有料記事なので一部しか読めませんが)。

辰巳 
 平和の象徴としての元号になりうる。

 「和って入ってるから平和の象徴なんですよ」「令和の元ネタになった歌は花見の歌で平和的云々」とはまあこじつけですね。安倍みたいな極右が首相で何が平和の象徴か。
 最後に朝日記事と関係ない三浦の主張に突っ込みます。

今、山本五十六*4に対してはいろいろ批判が強くなっているけど

 いやーどこで「山本五十六への批判」が強くなってるんですかね?。三浦たちウヨ方面か。まあ、連合艦隊司令長官として真珠湾攻撃をした以上、山本もあの戦争の責任者の一人ですが、あの戦争を批判する人間がもっぱら批判するのは彼よりも彼の上にいる「昭和天皇」「東条*5首相」といった連中でしょうよ。

*1:著書『武士の家計簿:「加賀藩御算用者」の幕末維新』(2003年、新潮新書)、『殿様の通信簿』(2008年、新潮文庫)、『近世大名家臣団の社会構造』(2013年、文春学藝ライブラリー)、『龍馬史』(2013年、文春文庫)、『天災から日本史を読みなおす:先人に学ぶ防災』(2014年、中公新書)、『「司馬遼太郎」で学ぶ日本史』(2017年、NHK出版新書)、『徳川がつくった先進国日本』(2017年、文春文庫)、『江戸の家計簿』(2017年、宝島社新書)、『素顔の西郷隆盛』(2018年、新潮新書)など

*2:著書『悲劇の宰相長屋王:古代の文学サロンと政治』(1994年、講談社選書メチエ)など

*3:まあ今の「腰抜け」朝日に令和批判する度胸はないでしょうが。

*4:海軍航空本部長、海軍次官連合艦隊司令長官など歴任

*5:関東憲兵隊司令官、関東軍参謀長、陸軍次官、第二次、第三次近衛内閣陸軍大臣を経て首相。戦後、戦犯として死刑判決。その後、昭和殉難者として靖国に合祀