黒井文太郎に突っ込む(2019年4月13日分)

■ツイートに突っ込む

黒井文太郎*1
 金正恩の発言、あくまで上目線で米国に屈服を要求してるのですが、報道各社の記事のタイトルが、あたかも金正恩側がアメリカに擦り寄ってるみたいなニュアンスになってて、違和感

 むしろ黒井ツイートの方が「アンチ北朝鮮分子」らしいとんちんかんさで失笑物です。
 まず第一に金正恩は「俺が飲めるような案を出せ」というある意味「当然の主張をしている」にすぎません。どこの世界に「どんな案でもウエルカムです」なんて人間がいるのか。そして当然ながら「俺が飲める案を出せ」というのは「屈服要求」ではありません。
 第二に「俺が飲める案を出せ」とは裏返せば「交渉する用意がある」つう話です。すり寄ってると言えるかどうかはともかく、「上から目線で屈服を要求しているわけではない」し、また、「交渉打ち切りを宣言したわけでもない」のだから黒井のような見方よりまだ報道各社の方が認識としてましでしょう。

黒井文太郎
‏「今年末まで忍耐心を持って米国の勇断を待つ」
対話継続の形式はキープしつつ、現状のままで引き延ばし作戦。

 つまり下手に「5月末」などと短いスパンにすると米国の反発を買い「じゃあ交渉しない」になる恐れがあって嫌だが、とはいえさすがに期限設定しないわけにもいかないという話でしょう。EUが「英国のEU離脱に期限設定した」がどう見ても、英国国内がまとまらず今のままだと「EUと英国の間に何の合意もない離脱」になってEUにとってもまずいので当初設定の3月末が、「4月末に延期され」、それでもうまくいきそうにないのでついに「10月末に大幅に再延期」されたような話と変わりません。
 「引き延ばし」とかそういう話ではない。

*1:著書『イスラムのテロリスト』(2001年、講談社プラスアルファ新書)、『北朝鮮に備える軍事学』(2006年、講談社プラスアルファ新書)、『日本の情報機関』(2007年、講談社プラスアルファ新書)、『ビンラディン抹殺指令』(2011年、洋泉社新書y)、『イスラム国の正体』(2014年、ベスト新書)、『イスラム国「世界同時テロ」』(2016年、ベスト新書)など