今日の韓国・北朝鮮ニュース(2019年4/17分)

■警察・検察だって遅くとも1998年時点ですでに拉致が刑事責任追及できるなんて思ってない

1998年3月11日/参議院法務委員会での橋本敦議員の質問(抜粋)から一部引用
◆木島委員
 先ほど警察から報告があった七件の拉致疑惑容疑、そして一件の富山での拉致未遂事件、これについて、送致を受け、刑事訴訟法に基づく処分をした例はありますか。
◆原田(明)*1政府委員
 一件、富山におけるアベック拉致事件につきまして、昭和六十年七月十五日に富山地方検察庁高岡支部におきまして、被疑者不詳のまま逮捕監禁致傷の罪名で送致を受けた。そして、それにつきましては、当時の状況で時効が完成しているということで、昭和六十年七月十九日に不起訴処分に付されたということを承知しております。
◆木島委員
 氏名不詳のまま逮捕監禁容疑で送致を受けた、そして、時効完成で氏名不詳のまま不起訴処分をしたということですが、送致を受けたというわけですから、証拠を添えて送致を受けたと思うんです。そうですね。それで、不起訴処分をしたその一件証拠はどうされたんでしょう。
◆木島委員
 この未遂事件の被疑者不詳ということですが、その後北朝鮮による拉致の疑いもあるということで記録は保存しておると。もし北朝鮮による拉致未遂事件だということになれば、これは時効はとまると考えていいんですか。
◆原田(明)政府委員
 もし今後犯人が判明いたしまして、ある期間海外逃亡中であったという事実が認められますならば、その間の時効の進行は刑事訴訟法の二百五十五条によりまして停止いたしますため、その段階で改めて公訴時効の完成の有無が考慮される、検討されるということになるかと存じます。
◆木島委員
 それで、不起訴処分をしたその一件証拠はどうされたんでしょう。
◆原田(明)政府委員
 まず、本件一件記録でございますが、その保存期間は、記録の事務規程によりますと平成二年七月十八日までであったのでございますが、この不起訴記録、不起訴にいたしました後に、昭和六十二年十一月二十九日に発生いたしましたいわゆる大韓航空機事件を契機に、本件に北朝鮮工作員が関与している可能性が必ずしも否定しがたい状況に至ったということから、この規程によりまして現在も引き続き保存いたしております。
◆木島委員
 富山の未遂事件。一件記録・証拠もある、そして、幸いにしてその証拠物件が保存されていると。ぜひこれは開示をして私にも見せてほしいんです。また、ほかの事件の家族にも開示してほしい。
 富山地検の高岡支部に眠り込ませておくのはいかぬと思うんですが、いかがでしょうか。開示をしてもらえませんか。
◆原田(明)政府委員
 先ほど私、申し上げるのが一点委員の御質問の関係で明確でなかった点がございますが、この一件記録そのものは保存されているんでございますが、これに附属されました遺留品としての証拠物につきましては、これにつきましては不起訴にした後廃棄されているという事情がございます。
◆木島委員
 その証拠物というのはどんなものだったんでしょうか。
◆原田(明)政府委員
 証拠物は、寝袋用の袋、そのバンド、タオル、マスク、手錠、その連結金具、バスタオル、サンバイザー等であったと記録が残っております。
◆木島委員
 何で廃棄処分しちゃったんでしょうか。
◆原田(明)政府委員
 これは、当時の事情といたしまして、時効寸前にかかわるものということで送致され、被疑者不詳ということで廃棄されたものというふうに考えております。

 勘の鋭い方は俺の言いたいことがすぐ分かったでしょうが、この政府答弁は混乱を来し矛盾していると思いますね。
 木島議員「富山の拉致未遂事件は北朝鮮拉致なら国外に犯人がいるから時効が停止しますね」
 原田政府委員(法務省刑事局長)「北朝鮮拉致なら、委員ご指摘の通りです」
 木島議員「一件記録と証拠物を開示してもらえませんか」
 原田政府委員「一件記録はございますが、証拠物は廃棄されてございません。被疑者不詳、時効の成立という理由で当時の担当者が廃棄したと考えています」。
 「はあ?」ですね。「氏名や肩書きが分からない」という意味では確かに不詳ですが「北朝鮮拉致の疑い(犯人は北朝鮮工作員)」という意味では不詳ではないんじゃないか。
 そして「犯人が国外にいる場合は時効が停止する」のに何が「時効の成立」なのか。
 ここは木島氏に「時効の成立ってどういうことですか?。時効は停止してるんじゃないんですか」「被疑者不詳ってどういうことですか?。容疑者は北朝鮮工作員じゃないんですか?」「廃棄はいつしたんですか?。梶山*2答弁前ですか?(それならば北朝鮮拉致を認識していなかったので廃棄したことを一概に非難できないが答弁後ならおかしいのではないか)。そもそも証拠物件の保存期間は法律上、いつまでなんですか?」などと追撃してほしかったところですが、残念ながらそうはなっていません。しかし正直な話、廃棄した理由はぶっちゃけ「保存していても今更捜査しようがない」からでしょうね。警察、検察とももはや本音では北朝鮮拉致の刑事責任追及なんか諦めてるわけです。当たり前のことであり、非難されることではないと俺個人は思います。
 ただ救う会や家族会の立場では「なぜ廃棄した!」「拉致事件の刑事責任追及をする気がないのか!」「怠慢だ!」「拉致被害者家族の苦しみを検察はどう思ってるのか!」として「大いに非難されること」でしょうね。ただし彼らはこの件で「なぜ廃棄した!」なんて検察非難はまずしませんし、そのこと自体が「救う会や家族会も、本心では拉致の刑事責任追及なんか諦めてること」の状況証拠と言っていいでしょう。


韓国、非武装地帯を観光に開放へ 周辺3地域を整備、平和アピール

 韓国政府は、民間人の立ち入りが制限されている北朝鮮との非武装地帯(DMZ)の周辺3地域に「平和散策路(仮称)」を整備し、27日から試験的に1地域を韓国人観光客に開放する。文在寅政権初となった昨年4月の南北首脳会談から1年の節目に合わせる。
 DMZは開発が手つかずのため「自然の宝庫」として知られ、観光資源としての期待も大きい。韓国側には平和をアピールして融和ムードを維持する狙いがある

 緊張緩和のために是非そうした方向性を進めてほしい。

*1:1939~2017年。法務省刑事局公安課長、刑事局刑事課長、刑事局総務課長、大臣官房人事課長、盛岡地方検察庁検事正、法務省大臣官房長、法務省刑事局長、法務事務次官東京高等検察庁検事長検事総長などを歴任。この答弁があった1998年当時は法務省刑事局長。

*2:竹下内閣自治相・国家公安委員長、宇野内閣通産相、海部内閣法相、自民党国対委員長、幹事長(宮沢総裁時代)、橋本内閣官房長官を歴任。