今日の中国ニュース(2019年4月22日分)(追記あり)

オークマ、16年ぶり新工場 中国生産3倍に 受注に備え :日本経済新聞
トヨタ、中国の車メーカーに燃料電池部品供給へ:朝日新聞デジタル

トヨタ、中国の車メーカーに燃料電池部品供給へ:朝日新聞デジタル
 トヨタ自動車は22日、中国の自動車大手・北京汽車集団傘下の商用車メーカーに燃料電池の部品を供給すると発表した。環境規制が強まる中国で、燃料電池車(FCV)の普及をめざす。

 いつもながら「中国ビジネスは重要だ」という話です。


【緯度経度】崩壊した一帯一路の原点 中国総局長・藤本欣也 - 産経ニュース

 アフリカ・スーダン

 有料記事なのでほとんど読めません*1が、最近政権が崩壊したスーダンバシール政権がネタのようです。
 しかしバシール政権の崩壊をどう理解するにせよ、それは別に「崩壊した一帯一路の原点」ではないでしょう。
 まあ、産経の言う「原点」の意味もよく分かりませんが。「一番最初に実現した一帯一路プロジェクトはスーダンだ」つう話か。しかし仮にそうだとしても一帯一路において「スーダンのウェイトがとてつもなく大きい」つうこともないでしょう。いやそもそもバシール政権崩壊と一帯一路は関係ありませんし。バシール政権を打倒したメンツは別に「一帯一路反対」を掲げてるわけではないので、今後も「スーダンにおいて一帯一路が続行されること」は十分あり得るでしょう。

【追記】

独裁去ってまた独裁? バシル政権崩壊のスーダンで次に起こること | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
スーダンで30年に及ぶ独裁支配を続けたバシル大統領(75)が、軍部のクーデターによって失脚した。だが、軍が2年間の移行政権を運営するとの宣言に、市民は早くも拒否反応を示している。
・4月11日がスーダン民主主義の始まった日と記憶されるのか、あるいは独裁去って新たな独裁が始まった日になるのかは分からない。
・「野党勢力はリーダーシップに欠けているため、この機に政権を狙えるような政治家も政党も存在しない」と、米バッサー大学のザカライア・マンピリー教授(政治学)は言う。
「だからこそ軍部がこの空白を独占できている」

 少なくとも当面はすんなりと民主化が進みそうにはありません。


リベラル21 北京が打ったとっておきの秘策?田畑光永*2

「?」てつければ何書いてもいいと思ってるのか!

ですね。「出馬の是非」「郭氏の政治的主張の是非」などに関係なく、郭台銘氏および中国政府に本当に失礼です。ロシアゲートを理由に「そもそもトランプの大統領選出馬自体がプーチン*3・ロシア大統領の指示によるもの*4プーチンに何らかの弱みを握られたトランプが出馬を命令された」という以上に無茶苦茶でしょう。ロシアゲートのような疑う材料は何もないわけですから。

 国民党の馬英九*5総統時代の2015年11月7日には中国の習近平*6主席と馬英九総統がシンガポールで、内戦終結(1949年)以来初めての首脳会談を行った。詰めかけた600人もの内外記者団の前で両氏は1分20秒もの長い握手を交わし、話題になった。
 この時の両氏の親密ぶりが「統一近し」の印象を広め、台湾内部では逆に危機感が高まって、翌年1月の総統選挙での民進党の勝利につながったとさえ言われている。

 いやーそれはないでしょうね。「首脳会談」がなんで統一になるのか。実際に出た話も抽象的な「将来は統一を目指す(もちろん5年、10年という短期の話ではない)」つう話以外は、もっと具体的な「経済交流の話」で、統一に直結するような話じゃない。これを「統一の危機」と認識し、蔡英文に投票するような反中国分子はいたとしても蔡勝利の主要な原因ではないでしょう。
 そうではなく「8年にのぼる馬政権に対し台湾住民の飽きが来ていた」ということでしょう。いろいろ馬政権への不満があり「今度は民進党政権交代して、やらせてみるか」になった。であるからこそ「期待外れだ(その期待外れの理由が何かはともかく)」となると蔡英文の支持率ががた落ちし、「次の総裁選は蔡じゃ勝てない」なんて話が出てくるわけです。

本命と見られた韓国瑜氏

 韓氏は今のところ「出馬しない」としていますし、「まだ高雄市長1期目(しかも昨年当選したばかり)」の人物が来年の総統選を狙うのはかなりリスキーです。実際に出馬するかどうかはかなり疑問符がつくでしょう。そもそも韓氏フィーバーは「20年という長きに亘る民進党高雄市政への不満」が韓氏に集まったという点があります(これについては例えば韓國瑜現象参照)。
 彼の個性がどうでもいいとは言いませんが、彼の個性に注目するのは一面的です。彼や彼の周辺もそのあたりのことはよく分かってるでしょう。総統選を目指すにしても、何も慌てて出馬する必要はないわけです。
 「高雄市政で実績を積み、その上で総統選を目指す」のが現実的でしょう。
【追記】

台湾総統選、高雄市長が不出馬 国民党は鴻海会長が最有力 - 産経ニュース
 国民党寄りの台湾紙、聯合報(れんごうほう)の22日付の世論調査によると、国民党で出馬が取り沙汰された4人のうち、韓氏は26%で1位、郭氏は19%で2位だった。前回2016年の総統選で出馬し落選した朱立倫*7(しゅ・りつりん)元主席(57)は13%、王金平(おうきんぺい)前立法院長(68)は11%だった。
 一方、雑誌「遠見」(電子版)が高雄市民を対象に行った20日発表の調査では、53・7%が韓氏の総統選出馬を「支持しない」との結果が出た。韓氏はこれまでも「現時点では」と留保条件付きで出馬を否定してきたが、郭氏の17日の出馬表明を受け、韓氏の支持者が出馬を求める約6万人分の署名を提出、正式な意思表明を迫られていた。

 やはり韓氏は出馬しないようです。

 一方の民進党では、大陸で大きな工場を運営し、習近平主席とも「古い友人」を看板にする郭氏が総統になれば「統一は不可避」と、15年の馬英九習近平会談以上に危機感をあおることができ、今の不人気を挽回できるのではないかという期待も生まれているやに聞こえてくる。

 ばかばかしい。「統一の危機」なんて煽りを民進党がやろうとすれば不人気に更に拍車がかかるでしょう。
 それは

 もっとも早速、現職の蔡英文対郭台銘となった場合の世論調査の結果も伝えられた。台北の世新大学が17~19日に行った調査では、郭氏支持50.2%、蔡氏支持27.1%と20ポイント以上の差で郭氏有利という結果だったそうである。

ということでも明白でしょう。

・企業の経営者という人種は危ない橋はわたらないのが身上であると私は思っている。
・出馬を表明した17日、郭氏は「午前に幼少期を過ごした台北郊外・板橋の道教寺院を参拝し『夢で台湾に平和と繁栄をもたらせとの神のお告げを受けた』と意欲をにじませていた」(4月18日・日本経済新聞)そうである。人を煙に巻く答え方であるが、私はこの「お告げ」という言葉が氏の口をついて出たところにヒントがあるように思う。
・私の推測にすぎないが、郭氏は総統選に出馬しなければならないところへ追い込まれたのではないだろうか。
・結論を言えば、「習近平に言われた」のではないだろうか。
・もとより、これといって挙げられる根拠はない。しいて言えば、「神のお告げ」という言葉がつい口から出た郭氏のその時の心理状態にめぐらせた想像の産物である。

 完全な陰謀論ですね。繰り返しますが、「出馬の是非」「郭氏の政治的主張の是非」などに関係なく、郭台銘氏および中国政府に本当に失礼です。しかも根拠は「どこの国でも企業家は政治家を支援することはあっても自ら政界に参加するようなことはあまりしない」「過去に郭氏はこうした政界参入を口にしてない」「郭氏は中国に経済進出し、中国政界とも関係が深い」程度の話でしかない。
 まともな人間なら恥ずかしくて書けないレベルの与太です。
 もちろん、彼の出馬表明は「今の台湾政治に不満がある」「今は民進党も国民党も国民的支持はそれほどないんじゃないか(国民党も民進党も誰が出馬するか全く不透明)。なら俺が総統になれるかも」「総統になれなくても善戦すれば政治力が高まる」と考えた、で十分説明はつくでしょう。
 なお、この「完全な陰謀論ですね」から「十分説明はつくでしょう」までの部分はリベラル21に投稿しました。多分掲載拒否でしょうけど。
 だから俺はリベラル21などかけらも評価しません。
 大体この陰謀論、「翁長*8知事(故人)のバックには中国ガー」などというネトウヨと同レベルですがその点、リベラル21はどう思ってるのか。自分が気にくわない人間(この場合、郭氏)に「中国の手先」レッテル貼って恥ずかしくないのか。リベラル21の「非常識な反中国」は安倍や産経の「反中国」とどこが違うのか。
 確かに

『夢で台湾に平和と繁栄をもたらせとの神のお告げを受けた』

というのは人を食っています。何か「出馬動機や背景について隠したいこと」があるのかもしれない。しかしそれを「習近平の命令」とするのは根拠の全くない妄想に過ぎません。また、別に隠したいことがあるわけではなく「本当にそういう夢を見た*9」のかもしれないし、「そのような事をいうことが世間の話題を呼ぶと計算して言ってるだけ」かもしれません。あるいは仮に命令というか要請というかはともかく、彼の出馬に「仕掛け人がいる」としてもそれを中国政府だと見なすまともな根拠はどこにもありません。
 なお、

・企業の経営者という人種は危ない橋はわたらないのが身上であると私は思っている。

についていえば「この程度のことが危ない橋なのか」つう問題もありますが、そもそも政界進出した財界人なんてのは日本でも

高碕達之助(1885~1964:ウィキペディア参照)
 戦前、東洋製罐を創業。戦後、政界入り。鳩山*10内閣経済企画庁長官、岸内閣通産相を歴任。1955年に開かれた第1回アジア・アフリカ会議バンドン会議)には鳩山首相の代理で日本政府代表として出席し、中国の周恩来首相、インドのネルー首相、エジプトのナセル*11大統領などと親交を深めた。いわゆるLT貿易の立役者としても知られる。死去に際して、親交の深かった周恩来は「このような人物は二度と現れまい」と哀悼の言葉を述べた。
■藤山愛一郎(1897~1985:ウィキペディア参照)
・1918年、父・藤山雷太(1863~1938年)が築いた藤山コンツェルンの後継者として大日本製糖(現在の大日本明治製糖)社長となる。その後、日東化学工業(現在の三菱レイヨン)社長や日本金銭登録機(現在の日本NCR)社長などを歴任。1957年、戦前から藤山が資金援助していた岸信介*12首相は将来的な中華人民共和国との関係を重視していたこと*13から「中共の問題をやってもらいたい」と請われ、岸内閣外務大臣に就任。財界二世である藤山の政界入りは当時「絹のハンカチ」と称された。岸内閣外相として日米安保改定と日米地位協定締結を成し遂げるも、その傍ら「日米安保は日中の踏み石にすぎない」と語る親中派議員でもあり、外相在任中も日中貿易促進への「支持と協力」を再三表明していた。1970年12月に「日中国交回復議員連盟」を結成し、1971年10月には議員連盟団長として日本国と中華民国との間の平和条約を無効とする中華人民共和国との共同声明に調印したことで物議を醸したことがある。政界引退後も国際貿易促進協会会長を務めるなど日中友好に心血を注いだ。
・岸内閣外相退任後も池田*14内閣経済企画庁長官、自民党総務会長(池田総裁時代)、佐藤*15内閣経済企画庁長官を歴任。総裁選に何度も立候補するも全て敗北し、派閥維持の費用などで巨額の私財を政治につぎ込む格好となった。結果として藤山コンツェルンは解体されてしまい、資産の多くを失った。その後、藤山派が細っていくのと同時に、権力闘争にも興味を示さなくなったといわれる。

なんかがいます。しかも高崎や藤山は「田中角栄*16首相の日中国交正常化(1972年)」以前から「日中国交樹立の必要性」を訴えてきた人間、いわゆる「親中国派財界人」として有名です。これは、リベラル21的にはどう評価されるのか。「高崎や藤山は中国の犬だ!」なのか。
 それとも「高崎や藤山と郭氏は違う」なのか。どっちにしろまともな主張とは思えません。

今年の正月、習近平は台湾向けの演説で統一の手段として武力行使も排除しないと明言した。

 「アホか」「産経か?」「反中国のあおりはやめろ」ですね。その「排除しない」には「台湾が独立宣言するならば」という枕詞がつきます。言ってることはトウ小平*17江沢民*18胡錦濤*19時代と全く変わりません。一方では習氏は「平和的統一がもちろんベストで、香港の一国二制度のような形を検討している」ともいっている。
 にもかかわらず、こんな反中国の与太記事を乗せる連中が自称「リベラル」だそうです。呆れて二の句が継げません。

*1:産経に金など払いたくないので有料登録はしません。

*2:1984年10月から1988年9月までTBSテレビ『JNNニュースコープ』のメインキャスターを務めた。この他、TBS北京支局長、香港支局長などを歴任。TBSを定年退職後は、法政大学客員教授を経て、2006年まで神奈川大学経営学部の教授を務めた。著書『中国を知る』(1990年、岩波ジュニア新書)、『トウ小平の遺産』(1995年、岩波新書)、『勝った中国・負けた日本:記事が映す断絶八年の転変』(2015年、御茶の水書房)など

*3:エリツィン政権大統領府第一副長官、連邦保安庁長官、第一副首相、首相を経て大統領

*4:ロシアゲートでトランプやプーチンロシアを批判する人間でも大抵の人間は「出馬自体はさすがにトランプの意思。その後プーチンロシアが接近してきた」と見ています。

*5:連戦内閣法相、台北市長を経て総統

*6:福州市党委員会書記、福建省長、浙江省党委員会書記、上海市党委員会書記、国家副主席、党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席などを経て党総書記、国家主席党中央軍事委員会主席、国家中央軍事委員会主席

*7:桃園県長、新北市長、国民党主席など歴任

*8:那覇市議、沖縄県議、那覇市長を経て沖縄県知事

*9:まあその可能性は低いでしょうし、仮に見たとしてもいかに信心深い人間でも夢だけで出馬を決意しないでしょうが。

*10:田中義一内閣書記官長、犬養、斎藤内閣文相などを経て首相

*11:首相を経て大統領

*12:戦前、満州国総務庁次長、商工次官、東条内閣商工相を歴任。戦後、自民党幹事長(鳩山総裁時代)、石橋内閣外相を経て首相

*13:台湾ロビーの岸がそんなことを考えていたとは信じられませんが、ウィキペディアの記述が事実なら、「安倍の一帯一路参加表明」みたいなもんでしょうか。

*14:元大蔵次官。吉田内閣蔵相、通産相、石橋内閣蔵相、岸内閣蔵相、通産相を経て首相

*15:吉田内閣郵政相、建設相、岸内閣蔵相、池田内閣通産相科学技術庁長官などを経て首相

*16:岸内閣郵政相、池田内閣蔵相、佐藤内閣通産相などを経て首相

*17:党副主席、副首相、人民解放軍総参謀長などを経て党中央軍事委員会主席、国家中央軍事委員会主席

*18:電子工業大臣、上海市長・党委員会書記などを経て党総書記、国家主席党中央軍事委員会主席、国家中央軍事委員会主席

*19:共産主義青年団中央書記処第一書記、貴州省党委員会書記、チベット自治区党委員会書記などを経て党総書記、国家主席党中央軍事委員会主席、国家中央軍事委員会主席