今日の産経ニュースほか(2019年4月25日分)

緒方竹虎と三浦梧楼 - 酒井信彦の日本ナショナリズム

明治天皇崩御による、「大正」元号においては、新人記者・緒方竹虎*1のスクープによって、朝日新聞が圧勝した。
・今回の元号報道においては、過去の元号報道はほとんど回顧されなかったようである。特に奇妙に思われたのは、(中略)緒方のスクープで完勝した朝日が、全く言及しなかったことである。
・『朝日新聞社史 明治編』618頁に引用する、伝記『緒方竹虎』(朝日新聞刊)によれば、「明治天皇崩御に当たって、緒方は枢密院で新しい元号が決定されるところから、顧問官の三浦梧楼の家に赴いてその帰りをまった。当時政界の大御所として隠然たる勢力のあった三浦の家には、多くの新聞記者が平常から出入りしていたが、緒方の出入りは学生時代からであり、かつ信用も厚かったので、三浦は帰宅するや、『大正』と元号が決まったこと、その発音は『タイショウ』であることを教えた。緒方は直ぐさま社に飛帰って号外を出したが、朝日新聞が一番早かったため、特別に賞与を得た」とある。
・しかし今回、新元号の誕生と言う絶好の機会であったのに、まるで言及しなかったのは何故であろうか。それは(ボーガス注:朝鮮国王高宗の王妃・閔妃暗殺の企画・実行者の一人とみられている元朝鮮公使)三浦梧楼と言う人物に関係していると思われる。

 まあ馬鹿馬鹿しいですね。そういうこと(韓国民の反発を避けたい)よりは過去の「元号スクープ」なんてもんを騒ぎ立てる時代ではもはやないということでしょう。しかもそのスクープは「特定の政治家(三浦)とのコネクションによるリーク」という「現代の視点」ではあまり褒められない話です。もちろん「そうした人脈作り」は無能では出来ませんが、とはいえ「権力批判を求められる新聞」が特定の人間、それも政府高官とそこまでズブズブでいいのかという話ですね。


スコットランド、独立問う2度目の住民投票の意向 首相が実施表明 - 産経ニュース
 予想がつくでしょうが「EUに残りたいから残留した。残れないなら独立して、独立国家スコットランドとしてEU加入したい」つう話の訳です。
 これが
1)本気でそういうコース(独立国家スコットランドとしてのEU加入)を目指してるのか
2)こうした運動をすることによって、「やはり離脱軟化すべきではない」というムードを助長し、英国全体の残留につなげたいのかはともかく、こういう動きは起こっておかしくない動きです。


【論壇時評】5月号 「国体の護持」へ努力が問われる 論説委員・宇都宮尚志(1/2ページ) - 産経ニュース
 産経らしいですが、「ポツダム宣言受諾時」ならまだしも、今時、「天皇制維持=国体の護持」とは実に非常識で時代錯誤です。今時天皇制支持の自民党員ですら「よほどの極右でない限り」こんなことは言わないんじゃないか。
 まあ「国体=国家体制」の意味なら「あえて言えば」護持すべき国体は「とにもかくにも自衛隊が海外で戦争などしてこなかった」「平和国家日本」でしょう。まあ、産経らウヨにとってはそれは「打破すべき国体」のわけですが。


「ゴーン被告が事件関係者に働きかけ計画」東京地裁が認める 地検が異例の言及(1/2ページ) - 産経ニュース
 もちろん「偽証の依頼」など、問題行為の働きかけは論外です。ただし一方で「関係者への働きかけそれ自体」はゴーン事件に限らず刑事事件の弁護では不可避だろうと思います。
 「検察と全く争わない、無罪主張どころか、情状酌量すら主張しない」つうのでない限り「何らかの弁護活動は不可避」ですし、その場合に「事件関係者の誰にも一切アプローチしない弁護」なんてもんが可能とは思えません。まあ無用な誤解を避けるためには「ゴーン被告本人」ではなく弁護士に働き開けを依頼した方が無難ではあるでしょう。

*1:朝日新聞政治部長、編集局長、常務、専務、副社長など歴任。その後、政界入りし小磯内閣情報局総裁、東久邇宮内閣書記官長(情報局総裁兼務)、吉田内閣官房長官、副総理、自由党総裁など歴任。自民党創立直前に死去したが、存命であれば、自民党初代総裁、初代幹事長などの要職に就き首相となった可能性があったとされる。