ある週刊誌にこんな記事が載っている。
「悠仁さまの机に刃物、思想犯を重点捜査 内部事情に詳しい者の犯行か?」(週刊朝日)
えっ、「思想犯」だって?現行刑法にこんな言葉はないはずだが
「思想犯」とは、「国家体制に相反する思想に基づく犯罪。また、その犯人。特に、もと治安維持法に触れた犯罪、およびその犯罪者をいう」。(デジタル大辞泉)
いやいや別に「思想犯」という言葉は使ってもいいでしょうよ。
まあ、「政治犯」と同じような意味ですよね。「思想犯」つうのはそういう意味で必ずしも悪口ではない。「確信犯」なんて表現されることもあります(元々の確信犯の意味は「信念に基づく犯行」という意味です。今は「悪いことをしていると自覚しながら、『何も悪いことはしてないと居直る』つう使用法」の方が多いですが。まあ、「俺は国を害する奸物を処分しただけだ、何も悪いことはしていない」という「永田鉄山暗殺の相沢三郎」「226事件の磯部浅一」も外見上は『居直り』と見分けがつきませんからね)。
「政治犯(思想犯)」には
1)「大隈*1外相襲撃、原*2首相暗殺、浜口*3首相狙撃、血盟団事件*4、515事件*5、226事件*6、山本宣治代議士暗殺など(戦前の日本右翼)」「浅沼稲次郎・社会党委員長暗殺、本島長崎市長狙撃(戦後の日本右翼)」「モロ元イタリア首相暗殺(極左・赤い旅団)」「三菱重工ビル爆破(東アジア反日武装戦線)」「サダト・エジプト大統領暗殺(イスラム過激派)」「ガンジー・インド首相暗殺(シク教徒過激派)」などのような殺人等の犯罪行為(いわゆる政治テロ)
2)「大逆事件の幸徳秋水」「南アのマンデラ」「光州事件で死刑判決が一時下された韓国の金大中」「零八憲章の発表を罪に問われた中国の劉暁波」など、違法ではない行為を犯罪扱い(場合によっては違法行為をでっち上げ)し投獄など弾圧(いわゆる良心の囚人)
の2パターンあります。
「治安維持法」云々つうのは単に「日本ではそういう文脈で使われることがあった」つうだけの話です。まさか週刊朝日は治安維持法を正当化はしてないでしょう。
まあ高世みたいな疑惑、誤解をもたれないようにするために「政治犯」「確信犯」などと書いた方が良かった気もしますが。
むしろ俺的に気になるのは「本当に思想犯なの?」ですね。ただの愉快犯を思想犯扱いしてる可能性はないか。
それと俺が週刊朝日の記事で一番問題だと思うのは高世の指摘する「思想犯」云々ではない。
悠仁さまの机に刃物、思想犯を重点捜査 内部事情に詳しい者の犯行か? 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)
思想犯であれば、逮捕しても発表されない可能性もあるという。
と堂々と書いて恥じないところですね。「逮捕が発表されても詳細が特定秘密扱いで非公開(まあ、さすがに裁判は非公開には出来ないでしょうし、裁判をしないで略式起訴や不起訴処分てこともないでしょうが)」ならまだしも「逮捕非公開」てどういうことなのか(実際には公表されましたが)。逮捕後、秘密裏に警察が容疑者を暗殺でもするのか。それを週刊朝日も容認するのか。そもそも「建前は推定無罪」のわけです。
ちなみに既に「マンデラ」「金大中」など例をいくつか挙げましたが、思いつくまま挙げれば、以下のような物が思想犯ですね。
【殺人等の犯罪行為に該当する物】
・水戸浪士が井伊大老を暗殺した桜田門外の変
・不平士族が大久保利通を暗殺した紀尾井坂の変
・秩父事件
・安重根による伊藤博文暗殺
・ゾルゲ事件(スパイ行為)
・KGBによるトロツキー*7暗殺など
【合法行為が弾圧されるケース】
・満鉄調査部事件、企画院事件、横浜事件(現在では全てでっち上げとするのが通説)
・いわゆるプラカード事件
・天安門事件など
令和の時代には、ここから進んで、かつて天皇制=「国体」維持を理由に理不尽な弾圧を受けた犠牲者が名誉回復されることを希望する。
高世の文を素直に理解すれば
国は謝罪・賠償して/治安維持法国賠同盟 148人国会要請といった治安維持法国賠同盟の運動を支持するつう事でしょうが、そういう理解でいいのか?
なお、治安維持法の被害者には「満鉄調査部事件、企画院事件、横浜事件」といった「完全なでっち上げ」もあることに注意が必要です。