今日の中国ニュース(2019年5月13日分)

米、自国農産物買い増しへ 中国が報復措置なら :日本経済新聞
 「中国の対抗措置で農産物が中国に売れなくなっても、米国の農家の皆さんは心配しないで下さい、米国政府がその分買いますから」てなんだか「本末転倒」の気がします。


「中国排除」米にも代償 最新工場、もぬけの殻に :日本経済新聞

 中国南部にある半導体メーカー、福建省晋華集成電路(JHICC)。東京ドーム8個分の敷地にそびえる真新しい巨大工場は、もぬけの殻になっている。2018年夏の量産準備時に1千人以上いた従業員の大半は解雇された。
 JHICCは習近平(シー・ジンピン)国家主席肝煎りのハイテク産業育成策「中国製造2025」の目玉国策会社だった。6千億円余りを投じて18年末の量産をめざしていたが、米商務省が同年10月に半導体製造装置の輸出を規制。さらに米連邦大陪審が同社に米企業から盗まれた技術が渡ったとして訴追し、量産計画は頓挫した。
 中国国有通信最大手、中国移動(チャイナモバイル)の米参入を全会一致で拒否した9日の米連邦通信委員会。対中強硬派のブレンダン・カー委員は、中国の通信会社の徹底的締め出しを提案した。20年近く米国で事業を営む中国電信(チャイナテレコム)を「米国の通信を乗っ取り中国に送っていた」と、免許取り消しを検討すべきだと訴えた。

 さすが経済新聞というべきでしょうか。
 米国が報復関税など仕掛ければ当然中国側は「じゃ生産拠点は米国以外にします」となるのは十分予想できます。報復措置、対抗措置云々もあるでしょうがそれ以前に「米国政府が中国企業に対して、報復として何やり出すか分からない現状」では「米国に生産拠点」は中国企業にとって経営的にリスキーすぎるでしょう。その結果「米国の雇用が減った」わけです。

 制裁関税はサプライチェーン(供給網)の亀裂を深めている。米空調大手レノックス・インターナショナル。アイオワ州の組み立て工場で使うサーモスタットなど中国から輸入する主要部品が18年8月に25%の追加関税対象となり、仕入れ先を東南アジアに切り替え始めた。トッド・ブルードーン最高経営責任者(CEO)は「関税措置がいつまで続くかわからない以上、先を見越して動く必要がある」と話す。
 トランプ米政権の対中制裁関税「第3弾」「第4弾」は、米消費者を直撃する。消費財に響くからだ。スマートフォンスマホ)などのハイテク製品にも25%の関税が上乗せされる可能性がある。米国に輸入される「iPhone」などのスマホやパソコンの6割超は、中国で組み立てられている。
 「関税は(米国内での)生産コストにほとんど影響せず、大部分は中国が負担している」。
 トランプ大統領の自信の背景には米国の物価安定があるが、消費財への関税上乗せで上昇する可能性がある。
 米中間の貿易額は米国の貿易総額の16%、中国の14%を占め、お互いに最大の相手国だ。経済相互依存の網を引き裂きかねない二大国による貿易戦争の戦線拡大は、グローバル経済に代償となって跳ね返る。

 産経などは「中国から企業が撤退した」「ざまあ中国」と大喜びですが、日経が書くように話はそこまで単純ではありません。
 トランプの対中国報復関税は産経などウヨがいうほど「米国万々歳、中国のみ苦境」ではないわけです。トランプが虚勢を張ってるのか、まともな経済知識がないのかはともかく「報復関税で苦しむのは中国であって米国は少しも痛くない(トランプ)」なんてことはありません。


中国は日本にも「浸透工作」 偽情報・選挙干渉は最大の危機 頼清徳氏インタビュー詳報(1/3ページ) - 産経ニュース
 産経の取材を受けるような「アンチ中国政治家」としては当然の発言でしょうが馬鹿馬鹿しいですね。

 短い訪問期間だが、3人の元首相や30人以上の国会議員と会談した。

 その「3人の元首相」が誰なのか気になるところです(なお、現在存命の元首相は中曽根、海部、細川、村山、森、小泉、福田、麻生、鳩山、菅、野田の各氏)。現役大臣の麻生は多分ないでしょうが。親中国派の福田氏は会ってくれそうにないし、安倍政権下において民主党元総理とは会いたがらないだろうしとなると「右派の中曽根、森、小泉」といったあたりでしょうか。

 昨年11月の統一地方選で私たちの民進党は大敗した。このままでは中国の統一攻勢を受け入れる中国国民党が政権をとり、台湾は中国に併呑(へいどん)されてしまう。来年の総統選は、民進党にとって負けられない選挙だ。国際社会の普遍的な価値観である民主主義を選ぶか、それとも中国の独裁的な政治手法を選ぶか-を決める選挙だともいえる。

 何度も書きますが併呑などあり得ません。併呑などありえないからこそ「民進党下野」の可能性が出てるわけです。こんなデマをいって恥ずかしくないのか。

産経
 あなたの対中政策は
頼氏
 第1に、軸足をしっかりと民主主義国家の陣営に置くこと。第2に、国際社会へ積極的に発信し、周辺国としっかりと連携体制を構築すること。第3に、国家の安全を守る態勢を増強することだ。

 「中国との経済交流」という話が何一つ出てこないことには心底呆れます。「安倍ほど無能でない」とはいえその反中国姿勢は「台湾の安倍晋三」とでも呼ぶべきでしょうか。

 今の台湾にとって最大の危機は、中国による浸透だ。中国は人的交流やインターネットを通じて台湾内部に入り込み、偽情報を流布したり、選挙に干渉したりしている。

 やれやれですね。「ロシアゲートのような選挙時の中国による嘘情報流布」なんか確認されてません。民進党が敗北したのもそういう話ではもちろんない。正直「中国の陰謀ガー」を口実に「選挙での与党批判報道を規制で潰そうとしてる」と疑われても文句は言えないでしょう。

 中国は日本に対しても浸透工作を行っている

 「浸透工作て何?」ですね。合法な形での「日中友好意識促進」なら当然やってるでしょう。そもそも台湾の側もこうして前首相が訪日するなどして「日台友好意識促進」をやってるわけでお互い様です。違法な浸透ならもちろん問題ですが、「どこにそんなもんがあるのか」て話です。

 民進党は1999年に「台湾前途決議文」を採択した。その中に「台湾はすでに独立した民主国家であり、主権国家である現状を変更するには、台湾全住民による住民投票が必要だ」と明記されている。私が言う台湾独立とは、この「台湾前途決議文」を守ることだ。

 やれやれですね。国民党だってさすがに統一なんて重要問題が現実化したときに「住民投票もしないで国会議決だけでやろう」とは思ってないでしょうよ。それが「台湾独立支持」なら独立派でない政治家は台湾にはいません。

産経
 福島第1原発事故に伴う日本産食品の輸入規制についてどう考えるか
頼氏
 昨年の住民投票で、被災地の食品を禁輸とすることが賛成多数を占めた。台湾の有権者に今、被災地の食品に対する不安と誤解があるのは確かだ。日本政府と一緒になり、不安や誤解をなくす努力をしなければならないと考えている。
 食の安全の問題については、国際社会の基準と科学的な根拠が大事だ。私が当選すれば、この問題を円満に解決する自信がある。

 まさか産経相手に「輸入規制は継続する」とはいえないでしょうが「前首相」ですからね。今の輸入規制継続は彼にも責任があるわけで「総統になったら日本に納得される対応にします」といわれても「ホンマかいな、また規制解除反対派に政治的に敗北するのと違うの?」ですね。


中国との「平和協定」は災難 台湾・頼清徳前行政院長インタビュー(1/2ページ) - 産経ニュース
 産経の取材を受けるような「アンチ中国政治家」としては当然の発言でしょうが馬鹿馬鹿しいですね。
 平和協定は文字通り「平和協定(終戦協定)」です。実際はともかく建前では今も「中台間は戦争状態」です。
 なぜなら正式に終戦協定が締結されてないからです。そこで「中台の経済交流を進めていく上でも正式に終戦しましょう」つう話でしかないわけです。
 もちろん中国は終戦協定締結に当たって「一つの中国」に当たる言葉を書き込もうとするでしょう。
 しかし「だから終戦協定なんかいらない」つう話ではないでしょう。ましてや「終戦協定に積極的な国民党は中台統一狙ってる」つう話ではない。

 来年1月に投票が行われる総統選については、民進党と国民党の対中政策が真っ向から対立しており、「中国の統一工作を受け入れるか否かを決める最も重要な選挙だ」と危機感を見せた。

 もういい加減こういう「国民党が勝利したら台湾が中国に飲み込まれる、吸収合併される」つうデマはやめてほしいですね。馬英九・国民党政権当時にそんなことなかったし、仮に今後、国民党が政権奪取してもそんなことになるわけがない。国民党支持者ですら、「即時統一」なんか希望しておらずほとんどの人間が「現状維持支持」だからです。むしろこんなこといえばまともな人間は「そんなデマを飛ばすより、蔡英文政権の実績と今後の展望を語れ」と思って呆れるだけです。

 頼氏は、中国が1951年にチベット政府と締結した協定を守らず、チベット人が弾圧されている現状を指摘。「平和協定は台湾にとって災難にほかならない」と力説した。

 「1951年当時のチベット」と「今の台湾」と置かれてる状況が全く違うし、協定の内容も違うわけです。チベットの協定は「中国共産党チベット統治」がもちろん前提です。台湾の終戦協定は「戦争を正式に終わりにしましょう」つう内容がメインです。
 それ以外の内容はサブでしかない。サブに何を書き込むかはまだ何一つ明白になっていません。

 対中国の「反浸透法」や「反併呑(へいどん)法」の立法を推進していく考えを明らかにした。

 そうした法律が具体的に何を意味するかですね。もし仮に「即時統一主張(そもそもそんな主張は少数派ですが)は合法的な物でも規制する」つうならまともな民主主義国家じゃないでしょう。

 頼氏は行政院長に在任中、立法院(国会)で「私は台湾独立を主張する政治家だ」と答弁したことがあり、その主張が中国の武力行使を招くと警戒する声もある。これに対し、頼氏は「私が言う台湾独立とは、中国による浸透と併呑を阻止することだ」とし、総統選で当選しても「台湾の独立を(新たに)宣言することはない」と説明した。

 まあ詭弁ですね。「併呑阻止が独立」というなら台湾の政治家は皆、独立派です。国民党だって「台湾住民の意思が統一なら」「中台が対等な立場での統一で、台湾の自主性が維持できるなら」統一する(そして当面はそうした条件は整ってないとしている)としており「一方的に併呑されること」なんか容認してませんので。
 結局「独立宣言する」なんていったら総統選で「民進党支持者以外の支持が得られないこと」「民進党支持者以外の票なしでは国民党に勝てないこと」がわかってるからこうなるわけです。