今日の産経ニュース(2019年5月15日分)

「日本は台湾のWHO参加支援を」 超党派の日華懇が決議 - 産経ニュース
 とはいえ安倍はそんなことしないのでしょうし、それに対し、この「自民党台湾ロビーを中心とする団体」も安倍批判などしないでしょう。


【野党ウオッチ】ご即位を受け入れる共産党の深謀遠慮(1/4ページ) - 産経ニュース
 是非はともかく*1賀詞への賛成は簡単に理解できる話で深謀遠慮というほど大げさな話でもない。
1)今の共産党員、支持者には賀詞賛成派が多い
2)「賀詞賛成派の無党派」にも共産支持者を増やしたいという執行部の考え
3)野党共闘を進めるに当たりできる限り他野党ともめる可能性のある条件を減らしたい(まあ、これだけで野党共闘が進むと考えるほど党執行部も脳天気ではないでしょうが)
のどれか、あるいは全てといったところでしょう。いずれにせよ共産が「賀詞に賛成」しても産経や安倍流の極右的「天皇制政治利用」はさすがに容認していないことや「即位式について政教分離の観点から問題があると指摘したこと」「明治150年記念式典に欠席したこと」などは別途指摘しておきます。

 共産党関係者は「国民の大多数が令和改元を歓迎*2するなか、天皇*3を真っ向から批判しにくい雰囲気*4があった」と明かす。

 「関係者って誰よ」つう話です。「共産党員、支持者」「共産党を監視する公安警察」「産経のような反共活動家」のどれかで発言の意味は大分変わってきます。


【主張】仁徳陵が世界遺産 国の成り立ち考える機に - 産経ニュース
 「仁徳陵(仁徳天皇陵)」と呼ぶメディアは、産経だけではないのですがあれを仁徳陵と呼ぶのはやめてほしいですね。天皇陵かどうか怪しいために最近では地名から大山古墳と呼んでるからです。

 世界遺産への登録には新たな課題もある。49基のうち29基は歴代天皇や皇后、皇族の陵墓として宮内庁が管理する。従来「静安と尊厳が必要」として立ち入りも厳しく制限されてきた。連綿と続く皇室の「祖先の墓」として今も祭祀(さいし)が行われており、尊厳は守らなければならない。

 「おいおい」ですね。祭祀を理由に「天皇陵の調査を宮内庁が拒絶する」現状を産経は今後も容認する気でしょうか?
 そもそも仁徳陵も含めて「明治時代の認定がそのまま」なので天皇陵かどうかは非常に怪しいのですが。

【参考】

推薦書には「仁徳天皇陵」と表記 研究者は「大山古墳」名称を求める - 毎日新聞
 構成資産となった古墳49基のうち、仁徳天皇陵とされる大山古墳など29基は、宮内庁が歴代の天皇や皇后らの墓として管理する「陵墓(りょうぼ)」だ。今回、推薦書にはその指定に沿って「仁徳天皇陵古墳」などと記されたが、学術的には被葬者は確定していない。大山古墳も、過去に見つかった埴輪(はにわ)から、仁徳の子である履中天皇陵より後に造られた可能性が指摘されている。
 このため研究者からは、地名に基づく「大山古墳」などの名称を用いるべきだという指摘がある。昨年9月には、日本考古学協会など歴史、考古系の13団体が「被葬者が認定されているように理解される危惧を覚える」などとする見解を発表した。

大山古墳の名称巡り各紙対応分かれる 学界議論続く - 社会 : 日刊スポーツ
 宮内庁仁徳天皇陵として管理する日本最大の大山(だいせん)古墳(堺市、5世紀)は、歴史的にいくつもの名前で呼ばれてきた。
 百舌鳥・古市古墳群大阪府)が世界文化遺産への登録を勧告されたニュースを報じた14日の新聞各紙でも、古墳の名称を巡り対応が分かれた。
 大山古墳は明治時代に国が「仁徳天皇陵」に指定したが、1969年に考古学者の故森浩一氏*5 が「実際に仁徳天皇という人物が葬られたかは分からない。学者が仁徳天皇陵と呼ぶと、それが事実と誤解される」と指摘。仁徳天皇の墓に指定された古墳、という意味で仁徳天皇陵古墳と呼んだ。
 これを機に、学界では陵墓の年代や被葬者論争が活発化。森氏は76年、天皇名を外し、古い地名などから「大山古墳」という名称を再提唱した。
 現在の教科書では「大山古墳」か江戸時代の地名を尊重した「大仙陵古墳*6」という表記が主流で、科学的に証明できない「仁徳天皇陵」は併記しない例も増えている。
 これに対し、今回の登録勧告を報じた各紙の見出しは「大山古墳」や「仁徳天皇陵」、仁徳天皇を葬った伝承があるという意味の「伝仁徳陵」などさまざまだった。
 そもそも推薦書の名称が「仁徳天皇陵古墳」になった理由は、構成資産に含まれる誉田御廟山(こんだごびょうやま)古墳(大阪府羽曳野市応神天皇陵)の外濠(がいごう)などが78年、「応神天皇陵古墳」という名称を付けて史跡指定されていたからだ。
 しかし、学界では仁徳天皇が実在したかどうか論議が続いている。日本考古学協会などの学術団体は2018年9月、「仁徳天皇陵古墳という構成資産名は、被葬者が認定されているように理解される危惧(きぐ)を覚える」などとする見解を発表。現在も見直しを求めている。
 だが、今回の勧告でも古墳の名称に対する疑問や修正意見は示されておらず、このまま登録名称となる見通しだ。

*1:俺はおそるべし天皇制。衆院全会一致の阿諛追従決議。 | ちきゅう座(澤藤統一郎)と同意見で「非の立場」ですが

*2:小生には「歓迎する理由」がさっぱりわかりません。これが「消費税5%に引き下げ」だの「ふるさと創生1億円」だの「商品券ばらまき」だの生活にプラスになるものならわかりますが。

*3:正確には「天皇制」ですね。共産党に限らず天皇制批判派は「政治的言動に非常に問題があった昭和天皇を除けば」天皇個人を批判してるわけではありません。

*4:「賀詞に賛成しない」とは「天皇制批判、否定」では必ずしもないのですが

*5:著書『考古学 西から東から』(1984年、中公文庫)、『古代日本と古墳文化』(1991年、講談社学術文庫)、『古代史津々浦々』(1997年、小学館ライブラリー)、『古代史の窓』(1998年、新潮文庫)、『日本神話の考古学』(1999年、朝日文庫)、『僕が歩いた古代史への道』(2000年、角川ソフィア文庫)、『巨大古墳』(2000年、講談社学術文庫)、『語っておきたい古代史』(2001年、新潮文庫)、『地域学のすすめ:考古学からの提言』(2002年、岩波新書)、『わが青春の考古学』(2002年、新潮文庫)、『僕の古代史発掘』(2003年、角川選書)、『海から知る考古学入門』(2004年、角川oneテーマ21)、『記紀の考古学』(2005年、朝日文庫)、『日本の深層文化』(2009年、ちくま新書)、『倭人伝を読みなおす』(2010年、ちくま新書)、『萬葉集に歴史を読む』(2011年、ちくま学芸文庫)、『天皇陵古墳への招待』(2011年、筑摩選書)、『僕は考古学に鍛えられた』(2012年、ちくま文庫) など

*6:森氏などが批判していますが「天皇の墓か怪しい」のだから「陵(天皇の墓)」をつけるべきではありません。かつ「仁徳天皇陵」などからの連想から「大山天皇(大仙天皇)?」という誤解を生みかねません。