今日の産経ニュース&中国ニュース(2019年5月16日分)

「 玉城沖縄県知事の中国おもねり外交 」 | 櫻井よしこ オフィシャルサイト

 沖縄県知事玉城デニー氏が4月18日、沖縄県を「一帯一路」の中で「活用してほしい」と、中国副首相の胡春華*1に要請したそうだ。

 おいおいですね。よしこは「山梨県知事、岐阜県知事、高知県知事」が二階*2訪中団の一員として、訪中し「一帯一路ウエルカム」といったことや「山梨県知事(元自民党代議士)、高知県知事(現在、安倍政権の審議会「教育再生実行会議」委員)が自民党系であること」を知らないのか。
 山梨、岐阜、高知県知事が「一帯一路ウエルカム」なら容認して、沖縄県知事が「一帯一路ウエルカム」なら誹謗とはデタラメにもほどがあります。
 というか二階訪中で分かるように安倍政権自体が「一帯一路ウエルカムの方向」なのによしこは何を馬鹿なことを言ってるのか。
 安倍が李克強*3首相の北海道訪問に「異例の同行」をしたことをいつまで無視し続ければ気が済むのか。

 安倍首相は日本も一帯一路に協力していこうと言ったが、前提として各プロジェクトについて透明性、開放性、経済性、対象国の財政健全性が担保されなければならないとした。右の4条件が満たされるなら、日本企業がプロジェクトに参入してはならない理由はなくなる。だが、現実には中国がこれらの条件を満たすのは至難の業であろう。玉城氏の中国副首相への要請は、日本政府が国家戦略として厳しい条件をつけて一帯一路を警戒しているときに、直接外国政府に働きかけることで自国政府の外交方針に逆行するものだ。

 よしこらしい詭弁です。
 「安倍総理は参加に当たって透明性、開放性、経済性、対象国の財政健全性の4条件を提示しました」「4条件は実現困難な高いハードルです」「だから安倍総理は一帯一路には事実上参加してないのです」。
 なるほど「安倍信心(安倍総理のやることは常に正しい)」と「一帯一路に日本は参加すべきでない」を両立させるためにはそういう詭弁を吐かざるを得ないのでしょう。おそらくよしこですら本心では全くこんなことは信じておらず「安倍の裏切り」に怒り心頭でしょうが。

 中国の巨額融資を受けて借金返済が滞り、港や土地を奪われるリスクについて記者が問うたのに対して玉城氏は、「『情報収集しながら、どう関わっていけるか模索していく』と積極姿勢を示」した(「琉球新報」)。

 玉城発言は「ご指摘のようなリスクはもしかしたらあるかもしれないがだからといって一帯一路から完全に距離を置くのはデメリットしかない」という当たり前の発言でしかありません。

 台湾への軍事力行使を習近平氏は否定しない。

 ただしそれは「台湾が独立宣言すれば」という条件付きです。一方で習氏は「香港やマカオのような一国二制度で平和的に台湾を統一するのが最善」ともいっています。

 台湾が中国の手に落ちれば、次に危ないのは沖縄である。

 デマも大概にしてほしい。中国が領土扱いしてる台湾と「そうでない沖縄」とでは全然違います。

 驚くのは中国がジブチに建設したアフリカ最大規模の自由貿易区と物流センターだ。建設費は35億ドル(約3850億円)、ジブチにとって如何に深刻な債務であるかはジブチのGDPが20億ドル(約2200億円)だと知れば十分であろう。

 余計なお世話ですね。ジブチが「それでもメリットがある」と判断しただけの話です。

【参考:沖縄県知事の訪中】

「一帯一路、沖縄活用を」 知事、訪中時に提案 中国副首相も賛同 定例会見で明言 - 琉球新報 - 沖縄の新聞、地域のニュース
 玉城デニー知事は26日の定例記者会見で、河野洋平*4元外相が会長を務める日本国際貿易促進協会の訪中団の一員として16~19日に訪中した際、面談した胡春華副首相に対し「中国政府の提唱する広域経済圏構想『一帯一路』に関する日本の出入り口として沖縄を活用してほしい」と提案したことを明らかにした。胡副首相は「沖縄を活用することに賛同する」と述べたという。


【参考:山梨、岐阜、高知県知事の訪中】

三日月知事が二階氏らと訪中へ 自民系とフォーラムに出席:滋賀:中日新聞(CHUNICHI Web)
 三日月大造*5知事は二十四日から二十八日までの日程で、中国・北京市を訪問する。自民党二階俊博幹事長が団長を務める訪中団の団員として、中国政府主催の「第二回一帯一路国際協力サミットフォーラム」に出席する。県は近く、知事の現地での行程を発表する。
 関係者によると、二階幹事長からの誘いで、滋賀、山梨、高知の三県の知事らが参加する。三日月知事は二十五日のフォーラムの貿易分科会と、二十六日の全体会議に出席する。二十七日には、清華大で同大学長と三県の知事で、地域間交流の推進をテーマに意見交換する。その後、日本大使館での日本産品の発信イベントに参加し、地酒や近江米のおにぎりなどを振る舞って滋賀の魅力をPRする。

山梨知事、あすから訪中 県産品や観光などPR - 産経ニュース
 長崎幸太郎知事は23日、25日から4日間の日程で北京を訪れると定例記者会見で発表した。現地の国際会議に出席するとともに、日本大使館で県内観光地や県産品のPRなどを行う。
 県国際観光交流課などによると、知事は自民党二階俊博幹事長が団長の訪中団の一員として訪問。25日に調理ロボットを使う市内の先進企業を視察。26日に第2回「一帯一路」国際協力ハイレベルフォーラムに全国自治体の代表として高知県尾崎正直知事らと出席する。
 27日は、清華大を訪問した後、大使公邸で開かれるイベントに県のブースを出し、中国のメディア、飲食事業らに県産ワインや観光地をアピールする。
 長崎知事は会見で「中国訪問を通じて県産品の輸出やインバウンドの拡大を図りたい」と述べた。

山梨県知事、再び訪中へ「日中関係は完全な正常軌道」 - 産経ニュース
 山梨県長崎幸太郎知事は15日の記者会見で、25~26日の日程で中国・大連を訪問し、文化や観光面での交流を行うと発表した。
 かつて自民党二階派衆院議員だった長崎知事は、4月に二階俊博幹事長が団長の訪中団の一員として中国を訪れ、「一帯一路」国際協力ハイレベルフォーラムに出席するなどしたばかり。
 長崎知事は「日中関係は完全な正常軌道に戻ったというのが、安倍首相をはじめとする日本政府も含めて日本国共通のパースペクティブ(遠近感)だ」との認識を示した。
 さらに「(中国は)さまざまな商売の機会を提供してくれる地域でもあるので、関係は大切にしていきたい。政治家の使命はいかに国際関係を安定化させ、わが国や住民の利益を高めるかだ」と述べ、交流を深める考えを表明した。

外遊は、遊びではない | NHKニュース
自民党二階俊博幹事長は4月24日から6日間の日程で中国を訪問した。
・今回は、高知、滋賀、山梨の県知事も同行。それぞれ地元の特産品などをPRするイベントを開催。
・以前ロシアを訪れた際、マグロの解体ショーを企画した二階氏は、今回、高知県のカツオを生かした。
 束にしたわらに火をつけて表面をあぶる「かつおのたたき」を披露され、激しく燃え上がる炎とかつおの味は現地の人たちの心をつかんだようだ。

「一帯一路」サミット出席の高知・滋賀・山梨県知事、協力に期待_中国国際放送局
 第2回「一帯一路」国際協力サミットフォーラムが閉幕した27日、日本の首相特使としてサミットに参加した二階俊博自民党幹事長と共に北京を訪れていた高知、滋賀、山梨三県の知事がCRIのインタビューに応えました。県知事たちは、「一帯一路」イニシアティブがもたらす中国と日本、および「一帯一路」沿線諸国との交流のチャンスに期待を寄せました。
 高知県尾崎正直知事は「『一帯一路』は世界各国がウィンウィンの関係を築く、素晴らしい考え方だ。このプラットフォームでは、バイラテラルな関係だけでなく、世界各国とのマルチな交流もできる」とした上で、習近平*6国家主席が開幕式で行った基調演説については、「債務の持続可能性、さらにグリーン投資の着実な推進、国際ルールの遵守にも言及しており、この構想への協力を考える国は増えるだろうと感じた」と話しました。また、高知県安徽省が友好交流を始めて今年で25周年であることに触れ、「これにあわせて様々な連携をし、地方の大学との連携も深めたい」と、中国との地方交流への意欲を示しました。
 滋賀県三日月大造知事は、(中略)「滋賀県も国連が提唱する『持続可能な開発目標(SDGs)』を追求している。この開発目標も、近江商人の心得である『三方良し』(「売り手良し」「買い手良し 」「世間良し」の意)も、『一帯一路』の精神ととても合うと思っている。習主席は基調演説で、グリーン投資と持続可能性を訴え、未来を見据えると同時に、アジアや世界とのつながりを重視する姿勢を見せている。世界の平和や繁栄のために『一帯一路』で貢献していこうという壮大な構想を直接聞かせてもらい、滋賀県としてもこれから直接かかわっていきたいと考えている」と感想を述べました。
 滋賀県は、35年前から湖南省との友好提携を結んでいます。三日月知事は中国との地方交流について、「未来に向けた種撒きとしての青少年交流など、湖南省をはじめとする中国の地方との交流を深めていきたい」との意気込みを語りました。
 山梨県長崎幸太郎知事は、在中国日本大使館で行われた観光PRイベントにおいて、ブドウがシルクロードを通って山梨に伝来したという例を挙げ、「山梨は中国からやって来たものの終着点」として、「中国の皆さんには、『一帯一路』の始まりから、一番東の果ての山梨県に、ぜひ来てほしい」と呼びかけました。その上で、「観光だけでなく、人的交流も進め、そして山梨のワインをはじめとする様々な製品で中国の皆さんのクオリティオブライフを向上させていく。『一帯一路』沿線の皆さんにも届けたい」と語りました。
 さらに、「一帯一路」イニシアティブについて、「中国が開かれて、多くの国と共存共栄を図るプラットフォームを提供するということであれば、日本としても、山梨県としてもありがたい話だ。習主席の提示する方針に基づいて、多くの国が協力をしていけば、世界はもっと平和になると確信している」と示しました。


【参考:富山県、愛知県知事の訪中】

日中関係好転で「ウィンウィン」へ=富山県知事_中国国際放送局
 北京で行われている第2回「一帯一路」国際協力サミットフォーラムで25日、「地方協力」に関する分科会が行われました。パネラーを務めた富山県石井隆一*7知事は「富山県と中国との経済・文化・観光交流」と題したスピーチを行い、「一帯一路」イニシアティブを踏まえた上、中国とのウィンウィン関係の構築を訴えました。
 石井知事は、これに先立ってCRIの取材に応じ、習近平主席が提唱した「一帯一路」について「自らの発展を、世界の発展に結び付けていきたいという中国の考え方で、大変大きな構想で素晴らしいと思う」と述べました。その上で「日中関係はここ1、2年で非常によくなってきているので、この勢いをうまく『一帯一路』の考え方につなげて、中国と日本、中国と富山県が一緒に発展していくウィンウィンの関係にしていきたい」と展望しました。
 また、石井知事の来訪に合わせて、北京市内の「798アートエリア」で「とやま伝統工芸PR展示会」が開催されました。7つの産地から計21社、およそ120点の富山県の伝統工芸品が展示されたほか、高岡市の銅器や漆器の職人、螺鈿細工も駆けつけ、ワークショックを行いました。
 富山県は、中日国交正常化に尽力した松村謙三氏の故郷で、1984年に遼寧省と友好関係を結んでいます。現在は大連や上海とを結ぶへの直行便があり、石井知事は地域交流を更に活性化するために便数の拡大を求めて両国に働きかけているということです。

日中間の交流の活性化に貢献したい~富山県の石井隆一知事に聞く_中国国際放送局
 今回は先週、出張で北京にお見えの富山県石井隆一知事にお話を伺います。
 知事就任後、今回で12回目の訪中となる石井知事。訪問の目的は第2回「一帯一路」国際協力サミットフォーラムの公式行事として開かれる「地方協力」分科会の出席に、北京で富山の伝統工芸をPRするイベントの開催です。
 訪中に寄せた期待や、富山ご当地の魅力をめぐりお話を伺いました。
■記者
 石井知事にとって、今回は何回目の中国訪問ですか。
■知事
 知事就任以来、今回で通算12回目になります。
■記者
 今回の北京訪問を決めた理由は?
■知事
 今回は、中国人民対外友好協会、そして中日友好協会から招待状をいただき、4月25日から始まる“第2回「一帯一路」国際協力サミットフォーラム・地方協力分科会”に参加させていただくことになりまして、北京へまいりました。
 分科会では、私は「富山県と中国との経済・文化・観光交流」について発表を行います。また、「一帯一路」に関連する各国の重要都市や省の幹部などもいらっしゃると伺っておりますので、今後の交流の拡大等について、意見交換をさせていただきたいと考えております。
■記者
 今回は、石井知事の来訪に合わせて、「とやま伝統工芸PR展示会in北京」も開催されているようですね。
■知事
 展示会は4月21~25日、北京の798芸術区にある上座家具798店において、7つの産地21社約120点の富山県を代表する、能作、モメンタムファクトリーオリイ、四津川製作所、天野漆器さんなどの伝統工芸品を展示しているほか、富山県の新進気鋭の若手の職人にもご参加いただき、高岡銅器職人の折井氏による銅器の着色や高岡漆器職人の武蔵川氏の螺鈿細工の実演、ワークショップも開催していただきました。
■記者
 石井知事は富山生まれの富山育ちのようですが、故郷の誇れるものについて、ご紹介お願いいたします。
■知事
 立山黒部アルペンルート世界遺産五箇山合掌造りは「ミシュラングリーンガイド」でも高く評価されており、ぜひ、中国の方々にお越しいただきたいと思っています。
■記者
 富山産米は最近、中国でも食べられるようになったと聞きましたが。
■知事
 農産物では、2017年から中国へ富山県コシヒカリが輸出され始めたほか、パックご飯も輸出されており、中国でも美味しい富山米を食べていただけるようになりました。
 また、富山には、名水の湧き水や北アルプスからのきれいな水を仕込みに使用した美味しい日本酒の地酒もありますので、中国の皆さんに是非味わってほしいと思っています。
■記者
 富山は古くから工芸の栄える県として知られていますが、ものづくりの伝統が今もしっかり生かされているようですね。
■知事
 現在、富山県から中国へ298事業所110社の企業が進出をしており、活発なビジネス交流が行われています。YKKや不二越コマツNTCなどが進出しています。
 また、本県の優れたものづくり技術や製品を国内外に発信し、県内企業の販路開拓を図るため、2年に1回、「富山県ものづくり総合見本市」という地方都市では最大規模の国際見本市を開催しています。前回は、2017年10月26日から3日間、富山産業展示館(テクノホール)新展示場のオープニングイベントとして開催し、中国国内からは103社・団体に出展いただきました。
 次回の見本市は2019年10月31日(木)~11月2日(土)に開催することとしており、中国から多くの企業に、参加いただきたいと考えております。
■記者
 最後に、富山県と中国との地方交流に寄せる期待をお聞かせください。
■知事
 富山県は、日中友好にその生涯を捧げられた故松村謙三*8先生のふるさとであり、遼寧省雲南省上海市など中国との交流を早くから積み重ねております。特に遼寧省とは、今年度で、友好交流協定書締結35周年を迎えることとなりました。富山県は私が知事になりましてからも、遼寧省とは地道に経済、文化、観光、環境協力など幅広い分野での交流・協力を展開してまいりました。
 これからも、今までの中国との交流の実績を財産としながら、各分野での交流を継続、発展し、日中間の交流の活性化につながるよう貢献してまいりたいと考えております。

愛知県知事、12日から中国訪問 新都市視察など :日本経済新聞
 愛知県の大村秀章知事は12日から6日間、中国を訪問する。国家主導で開発が進む北京郊外の新都市「雄安新区」を視察するほか、大学、航空会社などを訪問。今後の経済連携策を検討するほか、中国からの航空便誘致などを目指す。
 雄安新区は中国のIT(情報技術)関連の企業や研究機関が集積し、自動運転技術などの研究が進んでいる。大村知事は7日の記者会見で「世界最先端の実証実験を視察し、地域活性化策を幅広く検討する」と述べた。

広東省と友好提携、39年ぶり3地域目 愛知県 :日本経済新聞
 愛知県は13日、中国の広東省と友好提携を結ぶことで合意したと発表した。2013年11月に友好交流と協力関係に関する覚書を結んでいたが、友好提携を結ぶことで関係をさらに強化する。愛知県が友好提携を新たに結ぶのはオーストラリアのビクトリア州、中国の江蘇省に続いて3地域目で、39年ぶりとなる。
 16日に締結式を開く。経済貿易、先端製造、科学技術イノベーション、文化観光、教育などの分野で交流と協力を推進する。大村秀章知事は「交流をさらに深化させ、関係強化、相互発展を図っていく」とのコメントを発表した。


【参考:青森県と中国】

<奥凱航空>青森−天津 冬期は週4便に増便 中国からの客足好調 | 河北新報オンラインニュース
・奥凱(オーケー)航空(中国)は24日、青森-中国・天津の定期便を28日から3月30日まで、現在の週2便から週4便に増便すると発表した。
・増便は、青森県が力を入れる冬季の訪日外国人の誘客に弾みがつきそうだ。
青森県三村申吾知事は「中国人観光客の増加による一層の経済効果を期待する」とのコメントを出した。

<あおもり点検 三村県政16年>(3)観光/訪日客 地域振興のてこ | 河北新報オンラインニュース
・今や行政による観光政策、地域振興の成否を握るとも言えるインバウンドの分野で、青森県は勝ち組だ。
・三村知事は海路、空路でも訪れやすくする「立体観光」を掲げ、中国、台湾、香港、韓国を毎年訪問。トップセールスで青森-中国・天津線の開設、青森-ソウル線の増便に結び付けた。
・青森では中国・天津の直行便誘致でインバウンドが飛躍的に増加した。


【産経抄】5月16日 - 産経ニュース

「トラ大臣」と呼ばれた泉山三六は、若い頃から酒癖が悪かった。三井銀行の若手行員時代、職務質問に腹を立てて警察官を殴り飛ばし、留置場で夜を明かしたこともある。
▼昭和22年4月の総選挙で初当選すると、翌年吉田内閣で大蔵大臣に抜擢(ばってき)*9された。それからわずか2カ月後、「世界の議会史上曾(かつ)て聞かざる珍事」(時事新報)を引き起こす。国会内で、泥酔した泉山は女性議員に抱きついてキスを迫り、抵抗されるとあごにかみついた。醜態の後眠りこけた泉山は、蔵相の要職とともに、議員の職も失った。

 この泉山の事件は次のようなもんです。ちなみに泉山の後任大臣が池田勇人*10です。

■国会キス事件(ウィキペディア参照)
・1948年12月13日に泉山三六・吉田内閣大蔵大臣が泥酔により、他党の女性議員の手を握ったり抱きついたりしたため蔵相と衆院議員を辞職した事件。
・泉山蔵相は、参議院食堂に大蔵委員を招いて会食、酒を飲み過ぎ議場脇のソファに酔いつぶれた。そのため法案説明に塚田十一郎*11大蔵政務次官が代わって立ったが、この泥酔を目撃した野党側は抗議し、一斉に議場から退席。さらに泉山蔵相が食堂で民主党*12の山下春江*13議員に抱きついたり、廊下で日本社会党の松尾トシ子*14議員の手を握ったことが分かり、野党は懲罰動議を出した。
 慌てた政府と与党・民主自由党*15は泉山蔵相をたたき起こし深夜の永田町をドライブして酔いを醒まそうとし、さらに国会の医務室で酔い覚ましの注射を打ってベッドに寝かせつけた。
 その間に、野党婦人議員は院内粛清を決議、民主自由党役員会でも泉山除名論が出た。
 明けて12月14日4時、政府は院内で緊急閣議を開き泉山蔵相の辞任を決定、泉山蔵相は吉田茂首相を訪ね進退伺を出した。
 衆院懲罰委員会で山下議員は「口にすることも出来ないような行動に出た。逃げようともがいて左アゴに噛み付かれた」、また松尾議員は「30秒ぐらい握って離さないので、振り放して逃げた」と証言した。泉山蔵相は午後には衆議院議員辞職届を提出した。
 この事件を受けて日本社会党の戸叶里子*16議員らが議場内粛正に関する決議を衆議院本決議に提出し、12月22日に全会一致で可決された。
 しかし、この一件で「大トラ大臣」として知名度が上がった事が功を奏してか、かえって一般人気は高まったと見え、1950年の第2回参議院議員通常選挙では全国区から立候補し、当選。以後、参議院議員を2期12年務めた(ボーガス注:とはいえ二度と閣僚にはなれないわけですが)。

 しかし「蔵相(財務相)の飲酒トラブル」といえば、思い出すのは「麻生*17内閣財務相だった中川昭一*18の飲酒酩酊記者会見(中川は財務相引責辞任し、後に選挙も落選。失意のウチに病死)」ですね。産経にとっては思い出したくもない事件でしょうが。
 しかし泉山や中川レベルだともはや「酒癖が悪い」というより「アルコール依存症」の疑いすらあるでしょう。

【参考:中川の酒癖の悪さ】

中川昭一ウィキペディア参照)
■飲酒にまつわる逸話
第42回衆議院議員総選挙(2000年)での当選時、選挙事務所で酒に酔い、ふらふらとしながら万歳三唱している姿が放映された。また、だるまに目を入れる際には、墨の塗り過ぎから黒い涙のようにしてしまい、周囲を慌てさせた。
・2004年(平成16年)の内閣改造時、経済産業大臣からの離任会見後に外部で飲酒していたが、同職に再任されたことを知って慌てて官邸に戻った中川は、酔ったまま初閣議に臨んだ。
・2005年(平成17年)夏、十勝管内本別町で行われた後援会パーティーに、中川は酩酊状態で登場した。呂律が回らないため、10分間を予定されていた挨拶は数分間で終了し、中川は同席していた地元の首長からたしなめられた。
・2008年(平成20年)11月、スペインのフアン・カルロス1世夫妻を迎えて開催された、天皇・皇后主催の宮中晩餐会における悪酔い騒動は、中川本人もそれを認めて反省しているエピソードである。同席していた妻の制止を聞かずに多量飲酒した中川は、東宮大夫野村一成*19に、「水問題について皇太子殿下もお詳しいと聞いたので是非お話しさせていただく機会がほしい」と絡み、素っ気なく「無理です」と返されたことに激怒、「分かった、帰る!」と大声を出したという。また、「宮内庁のばかやろう」と怒鳴って途中退席したとの報道もあった。
・2009年(平成21年)2月14日、G7の財務大臣中央銀行総裁会議が、イタリア・ローマで開催された。同会議終了後、記者会見に臨んだ中川だったが、その発言は呂律が回っておらず、あくびをし、表情は目が虚ろという状態であった。さらに中川は、言い間違いをする、質問した記者が見つけられずに「どこだ!」と叫ぶ、「共同宣言みたいなものが出ました」などと不明瞭な発言をするなどの異状を呈したことから、飲酒酩酊が疑われることになった。批判に対し、中川は緊急記者会見を開き、予算案及び関連法案の衆議院通過を待って大臣職を辞するとしたが、野党は中川に対する問責決議案を提出、また、与党である自由民主党内や公明党からも速やかな辞任要求が出された。さらに、野党側が予算審議拒否の姿勢を示すに及んだことから、結局中川は2月17日に大臣を辞任した。
・G7における「朦朧会見」の直後、中川はバチカン美術館を約2時間観光したが、その際にも中川は美術品に触れる、柵を越えて警報を鳴らす、彫像・ラオコーン像の台座に座るなどの不適切な行動をとっていたと報じられた(ただし中川側はそうした事実を否定)。

*1:共産主義青年団中央書記処第一書記、河北省長、内モンゴル自治区党委員会書記、広東省党委員会書記などを経て副首相

*2:小渕、森内閣運輸相、小泉、福田、麻生内閣経産相自民党総務会長(第二次安倍総裁時代)を経て幹事長

*3:共産主義青年団中央書記処第一書記、河南省長・党委員会書記、遼寧省党委員会書記、第一副首相などを経て首相(党中央政治局常務委員兼務)

*4:中曽根内閣科学技術庁長官、宮沢内閣官房長官、村山、小渕、森内閣外相、衆院議長など歴任

*5:鳩山内閣国交大臣政務官菅内閣国交副大臣を歴任

*6:福州市党委員会書記、福建省長、浙江省党委員会書記、上海市党委員会書記、国家副主席、党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席などを経て党総書記、国家主席党中央軍事委員会主席、国家中央軍事委員会主席

*7:消防庁長官

*8:東久邇宮内閣厚生相(文相兼務)、幣原内閣農林相、鳩山一郎内閣文相など歴任

*9:この人事については三井財閥重役で、泉山の元上司だった池田成彬(第1次近衛内閣で蔵相)が推薦したとする説がある(ウィキペディア「泉山三六」「池田成彬」参照)。

*10:吉田内閣蔵相、通産相、石橋内閣蔵相、岸内閣蔵相、通産相などを経て首相

*11:吉田内閣郵政相、新潟県知事など歴任。

*12:片山内閣副総理・外相、首相を歴任した芦田均が総裁。自民党の前身の一つ。

*13:鳩山一郎内閣厚生政務次官、佐藤内閣経済企画政務次官を歴任

*14:当時、社会党右派。後に民社党を経て自民党に移籍。自民党神奈川県連相談役を務めた(ウィキペディア「松尾トシ子」参照)。

*15:幣原内閣外相、首相を歴任した吉田茂が総裁。自民党の前身の一つ。

*16:売春防止法制定に尽力する一方、1960年の安保国会では飛鳥田一雄(後に委員長)、石橋政嗣(後に委員長)、岡田春夫らとともに「社会党・安保7人衆」の一人として政府追及の先頭に立った。長く衆院外務委員を務め、「社会党内閣が発足したら外務大臣」の呼び声も高かった(ウィキペディア「戸叶里子」参照)。

*17:橋本内閣経済企画庁長官、森内閣経済財政担当相、小泉内閣総務相、第一次安倍内閣外相、自民党幹事長(福田総裁時代)を経て首相。現在、第二~四次安倍内閣副総理・財務相

*18:小渕内閣農水相小泉内閣経産相麻生内閣財務相を歴任

*19:駐マレーシア大使、駐ドイツ大使、駐トルクメニスタンアルメニア大使、駐ロシア大使、東宮大夫など歴任