今日の中国ニュース(2019年5月20日分)

「突然連行、小部屋に40人」ウイグル族迫害の実態訴え:朝日新聞デジタル
 一部ウヨの「朝日は中国びいき」という嘘が分かる記事ではあります。

 トルコ政府は2月、自国でウイグル族への同情論が広がったこともあり、「中国の組織的な同化政策*1は人類の恥」とする声明を発表した。トルコはウイグル族と民族・宗教的に近く、1950年代以降、数万人規模の亡命ウイグル族を受け入れてきた歴史がある。
 それでも、近年は中国が進めるシルクロード経済圏構想「一帯一路」など対中経済関係の深化を背景に、批判は低調だ。2月の声明も、エルドアン*2大統領や外相ではなく、外務省報道官名義にとどまった。
 トルコの東アジア政策に詳しいコチ大学のアルタイ・アトル講師は、「トルコのメッセージは『ウイグル族すべてがテロリストではない』ということだ。政府はウイグル問題で中国との関係を悪化させることは望んでいない」と指摘する。
 人権を重視*3してきた欧州でも事情は同じだ。
 マクロン*4仏大統領が3月に訪仏した習近平*5(シーチンピン)国家主席と会談した際、パリ中心部ではチベットウイグルの人々が集まり、ウイグル族の救済を求めてデモ行進。首脳会談でウイグル問題を取り上げるよう迫った。
 マクロン氏は習氏との共同宣言で「中国での基本的人権の尊重に、フランスと欧州が懸念」を抱いていると指摘。一方で、ウイグルチベット問題には直接言及せず、「いくつかの個別の(人権問題の)事例を取り上げた」と述べるにとどめた。この会談では、中国側が仏エアバスの航空機300機を購入するなど、計400億ユーロ(約5兆円)以上の契約が締結された。
■中国による「経済的圧力」の主な例
2009年
 サルコジ*6仏大統領(当時)とチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世との会談に反発し、温家宝*7首相が欧州訪問で仏に寄らず、欧州企業との商談でも仏を除外
2010年
 尖閣諸島沖で中国漁船と海上保安庁の巡視船が衝突した事件後、事実上の対日レアアース禁輸を実施
 ノルウェーノーベル賞委員会が中国の人権活動家・劉暁波*8に平和賞を授与したことに反発し、ノルウェー産サーモンの通関規制を強化
2012年
 フィリピンが南シナ海の領有権をめぐって中国漁船を取り締まろうとしたことに反発し、フィリピン産バナナに「害虫が出た」として事実上の禁輸
2017年
 韓国が米軍の高高度迎撃ミサイルシステムを配備することに反発し、韓国の映画やドラマの流入、中国人旅行者の訪韓を制限

という事実をコメント抜きでひとまず紹介しておきます。Mukke風に言えば「霞を食えとは言えない」つう話です。


風刺の笑いに「国を侮辱」の声 中国漫才、ネットで炎上:朝日新聞デジタル
 最近の日本メディアを見てると「中国を非難することは無条件で良いことだ」「中国は問題だらけだが日本は立派だ」的なゆがみ、偏見を感じることが多いですがこの朝日記事も俺的にはその一つです。

 中国の伝統話芸「相声(シアンション)」(中国漫才)に逆風が吹いている。軽妙な掛け合いと風刺を織り交ぜた内容が売りだが、地震の被災地や抗日戦争に触れた内容がネット上で「国を侮辱している」と炎上したのをきっかけに、「道徳を学べ」と批判にさらされている。
 きっかけは、今月12日、ネット上に投稿された人気の若手、張雲雷さんの漫才動画だった。相方とテンポ良く自己紹介をする中で、張さんが2008年に発生した四川省地震震源地をネタに会場の笑いをとった。
 漫才自体は18年12月に上演したものだったが、5月12日は四川大地震から11年となる日で、この動画がネット上で一気に拡散。「死者に失礼だ」などの批判が相次ぎ、張さんは13日、中国版ツイッター・微博(ウェイボー)で「同胞の死に対して考慮を欠いていた。社会の皆さまにおわびしたい」と謝罪した。
 この騒動を機に、批判は過去のベテランたちの漫才にも飛び火。日本公演の経験もあり、中国で最も人気があるとも言われる郭徳綱さんも、抗日戦争を戦った兵士らを登場させた過去の漫才が取り上げられ「英雄を嘲笑している」「祖国への敬意がない」などと問題視され、批判された。
 中国共産党機関紙・人民日報は13日、微博の公式アカウントで「国難をネタにする相声は喝采に値しない。芸の前に道徳を学べ」とする文章を掲載した。

 これだけでは「どのようなネタなのか」わからないので、批判が正当なのか、不当なのかはなんとも評価できませんね(朝日は不当だと言いたげな口ぶりですが)。
 たとえば日本だって、欧米だって「災害や戦争、犯罪被害」などというセンシティブな問題は下手な取り上げ方をすれば「被害者に失礼だ」と非難されるでしょう。
 日本において「日中戦争、太平洋戦争」「阪神大震災東日本大震災」などをお笑いネタにする芸人がどれほどいるのか(ほとんどいないだろう)という話です。


日米比印が南シナ海を航行 初の訓練、中国牽制 - 産経ニュース
 どんなもんなんですかね。この演習は中国に敵対的なものなのか。
 「敵対的なもの」だとして、未だに安倍は中国敵視が捨てられないのか。はたまた「安倍の考え」というより「近年、中国への対決姿勢を深める親分様・トランプの意向に従ってるだけ」なのか。
 まあ産経らウヨが「この演習は安倍総理のリーダーシップで実現した。安倍総理を国際社会が支持している。そしてこの演習は中国封じ込めが目的だ。訪中しようが、安倍総理は我々ウヨを裏切ってなど居ないし、中国封じ込めは世界の共通認識だ。我々の反中国こそが世界の常識なのだ」と強弁することだけは間違いないですが。


首相、豪首相続投に「祝意」 電話で協議 :日本経済新聞

 両首脳は「自由で開かれたインド太平洋」を実現するため、引き続き協力していくことでも一致した。

 まあ豪州も安倍に調子を合わせてるだけでしょう。「自由で開かれたインド太平洋構想(安倍流中国封じ込め)」なんてもんに実態があるとはとても思えません。


コロンボ港、日印などで共同開発 中国にらみ :日本経済新聞

・政府はインド、スリランカと共同で、スリランカにあるコロンボ港を共同開発する。夏までに3カ国で覚書を交わし、2019年度中にも工事に着手する方針だ。コンテナの取扱量を増やし、南アジア地域の物流拡大につなげる。広域経済圏構想「一帯一路」を進める中国の動きをにらみつつ、日本が唱える「自由で開かれたインド太平洋構想」を後押しする。
 スリランカ西部に位置するコロンボ港は同国の海運貨物の9割を扱う。欧州や中東、アフリカ地域とアジアを結ぶ海上物流の一大拠点だ。
・南西アジア地域の経済成長で取扱量は年々増えており、同港の処理能力は限界を迎えている。
・中国はインド洋やその周辺で影響力を強めている。中国からの巨額融資で整備されたスリランカ南部のハンバントタ港は融資返済の見通しが立たず、99年間にわたって港湾や周辺用地が中国に貸与されることが決まっている。日本政府関係者は「コロンボ港の整備が遅れると、その分の積み荷はハンバントタに移ることになりかねない」と指摘する。
 日本にとってシーレーン海上交通路)に位置するインド洋沿岸国の港湾機能が充実すれば海上保安能力も向上し、タンカーや商船の安全確保につながる。太平洋からインドにまたがる地域で経済や安全保障の協力を進める日本政府の「自由で開かれたインド太平洋構想」とも合致する。

 「赤字&太字強調」は俺がしました。吹き出しました。まあコロンボ港の開発でも何でも「やることが日本とスリランカ双方の国益につながるならば」やればいい。
 しかし「中国牽制」「一帯一路牽制」「自由で開かれたインド太平洋構想の一環」て(苦笑)。日経は安倍の東欧訪問の時も「中国牽制」「一帯一路への対抗」なんて言ってましたが本気なのか、安倍への忖度で嘘を垂れ流してるのか。
 はたまた「中国牽制って言えば政策が日本ウヨに受け入れられてメリットやから。嘘も方便や」なのか。
 どっちにしろ東欧諸国やスリランカは「安倍に調子を合わせて適当なことを言ってる」かもしれませんが、本音は「中国への牽制?。そんなことわしらがしたいわけないやろ。何のメリットもないやないか。中国の反発を買って実害が出ない程度で安倍総理に調子あわせてるだけやがな」でしょうね。


<自動車強国に挑む 豊田の中国戦略> (1)井戸を掘る:一面:中日新聞(CHUNICHI Web)

・中国国家主席習近平(しゅうきんぺい)の母校として知られる清華大(北京市)の講堂。四月二十一日、トヨタ自動車社長の豊田章男*9は約六百人の学生らにこう語りかけた。
 「トヨタは百年近く*10の車づくりの経験を持っています。そして私たちは、中国の新たな発展の機会を手助けしたいと思っています」
 スマートフォンで学生と「自撮り」し、中国語も交えてざっくばらんに接した豊田。中国政府が最近、力を入れ、トヨタが得意とする燃料電池車(FCV)分野での貢献を念頭に「持続可能なエネルギー源を創出して、車だけでなく、中国の生活のあらゆる面に利用していく」と力を込めた。
 トヨタは、二〇二五年をめどに中国での現地生産を現状の二倍以上の二百八十万台に引き上げる計画だ。
・今回の講演のきっかけは昨年五月にさかのぼる。北海道にあるトヨタの拠点を訪れた中国首相の李克強*11(りこくきょう)は「究極のエコカー」と呼ばれるFCVに関心を示し、技術援助を要請。豊田は講演で、李の訪問を「光栄だった」と振り返った。
・積極姿勢の背景には、過去の教訓がある。トヨタは一九七〇年代後半、産業の育成を目指していた中国政府に進出を請われたが、貿易摩擦の渦中にあった米国での現地進出を優先。逆にいち早く要請に応じた独フォルクスワーゲンは優遇策で躍進し、中国での販売シェアは約14%で一位を誇る。トヨタは約5%にとどまり、副社長の小林耕士ら*12も「周回遅れ」と認める。
・FCVは構造が複雑で、短期間で技術力は向上できない。だからこそ、北京汽車集団傘下の商用車メーカー関係者は「燃料電池の安定性などトヨタの技術力は高い」と期待を寄せる。
「人口が十三億人の中国は、紆余(うよ)曲折はあるが、(今後も販売の)数は増えていく。こつこつとやっていく」。
 小林の言葉には、米中貿易摩擦で減速感が漂う中でも、中国にかけるトヨタの意欲が込められている。

 中国市場の重要性を示す話です。こうした状況で産経らウヨの中国敵視は全く非現実的です。

*1:一応、指摘しておけば「実態がどうかはともかく」中国は少なくとも建前では「同化政策などない」としています。

*2:イスタンブル市長、首相を経て大統領

*3:まあ欧州が過去において「世界中の反民主的国家」に厳しい態度をとってきたかと言えば明らかにそうではないですが。

*4:オランド政権経済相を経て大統領

*5:福州市党委員会書記、福建省長、浙江省党委員会書記、上海市党委員会書記、国家副主席、党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席を経て党総書記、国家主席党中央軍事委員会主席、国家中央軍事委員会主席

*6:シラク政権財務相、内務相などを経て大統領

*7:共産主義青年団中央書記処第一書記、党中央弁公庁主任、党中央書記処書記、副首相などを経て首相(党中央政治局常務委員兼務)

*8:著書『現代中国知識人批判』(1992年、徳間書店)、『天安門事件から「08憲章」へ』(2009年、藤原書店)、『「私には敵はいない」の思想』(2011年、藤原書店)、『最後の審判を生き延びて』(2011年、岩波書店

*9:トヨタ自動車常務、専務、副社長を経て社長。トヨタグループ創業者(豊田紡織創業者)豊田佐吉のひ孫。トヨタ自動車創業者・豊田喜一郎の孫。

*10:ウィキペディアトヨタ自動車」によればトヨタ自動車の創業は1936年です。ただし「トヨタ自動車のルーツである」豊田紡織(現・トヨタ紡織)の創業は1918年なのでここから数えると約100年になります。

*11:共産主義青年団中央書記処第一書記、河南省長・党委員会書記、遼寧省党委員会書記、第一副首相などを経て首相(党中央政治局常務委員兼務)

*12:トヨタ自動車販売部長、デンソー常務、専務、副社長などを経てトヨタ自動車副社長