今日の産経ニュース(2019年5月30日分)

沖縄県、辺野古反対へ「理論武装」 有識者会議初開催も委員長は代替案「できっこない」 - 産経ニュース
 「できっこない」というのは「我々、沖縄県側が辺野古以外の移転場所を探すのは話が違う。それは国がやるべき事でしょう」「我々に『グアム』『サイパン』など代替地を探してきて、そこと話をつけろとでもいうのか」つう話ですね。


安倍首相「就職氷河期世代の活躍へ国あげて取り組む」 集中支援プログラムの策定指示 - 産経ニュース
女性活躍へ暴力根絶 民間シェルター支援強化など政府の重点方針判明(1/2ページ) - 産経ニュース

安倍首相「就職氷河期世代の活躍へ国あげて取り組む」 集中支援プログラムの策定指示 - 産経ニュース
 安倍晋三首相は30日、官邸で開かれた1億総活躍と働き方改革に関する会合で、就職氷河期世代を支援する3年間の集中プログラムを策定するよう関係閣僚らに指示した。「就職氷河期世代への対応を抜本的に強化し、活躍の場の拡大に国をあげて取り組む」と強調した。

女性活躍へ暴力根絶 民間シェルター支援強化など政府の重点方針判明(1/2ページ) - 産経ニュース
 政府が女性活躍社会の実現に向けて策定する「女性活躍加速のための重点方針2019」の原案が30日、分かった。介護などを受けずに日常生活を送ることができる健康寿命の延伸や女性の就労意識向上を踏まえ、地域の実情に応じ生涯を通じ女性が活躍できる環境づくりを目指す。ドメスティックバイオレンス(DV)の被害者が一時避難する民間シェルターへの支援強化なども盛り込んだ。
 原案は6月4日の男女共同参画会議(議長・菅義偉(すが・よしひで)官房長官)に提示した後、自民、公明両党との調整を経て同月中旬に安倍晋三首相が出席する「すべての女性が輝く社会づくり本部」で最終決定する。
 具体的には、多発する配偶者からのDV事件を踏まえ、被害者が一時避難する民間シェルターへの支援強化や加害者に対する更生プログラムの活用を盛り込んだ。また、「女性が安全に暮らせる環境の整備は、女性活躍の大前提」とし、女性へのあらゆる暴力根絶*1を掲げた。
 女性が育児と仕事の両立をしやすくなるよう、配偶者出産休暇といった「男性の産休」の導入を地方自治体や企業で進め、男性の育児・家事への参画を一層促す必要性も強調した。

 まともな対策なら「アンチ安倍の俺」でも「その限りにおいては」評価しますが「今頃かよ」ですね。安倍政権誕生から何年経ってるのか。なぜもっと早く取り組まないのか。就職氷河期世代支援にせよ、DV被害者支援にせよ、昨日今日浮上した問題ではありません。
 先日の「イランと米国の仲介役をやりたい」といい、今回の就職氷河期世代支援といい、DV被害者支援といい、「参院選前の票目当てのパフォーマンス」ということは見え透いています。「G20プーチンと首脳会談して島を取り戻し、平和条約も締結する」が完全に崩壊した今、「島の返還に代わるパフォーマンス」がこれらの行為なのでしょう。
 もちろんこうしたパフォーマンスを仕掛ける安倍にとって拉致問題などもはや「どうでもいいこと」でしかないでしょう。
 「拉致問題はもはや世論に受けない。使い物にならない」から「イランと米国の仲介役をやりたい」といい、今回の就職氷河期世代支援といい、DV被害者支援といい、「新たなパフォーマンス」が登場するわけです。
 そしてこうしたパフォーマンスで分かるように「九条改憲」なんてもんは選挙にプラスにはならないことは「改憲右翼」安倍ですら理解してるわけです。
 就職氷河期世代支援にせよ、DV被害者支援にせよ、「各論(具体的な対策)はともかく」総論においては「九条改憲などとは違い」何らかの対策をとることには共産党など野党各党だって反対はしません。
 なお、産経は

女性活躍へ暴力根絶 民間シェルター支援強化など政府の重点方針判明(1/2ページ) - 産経ニュース
 加害者に対する更生プログラムの活用

とさらっと書いていますが我々が忘れがちな重要な視点かと思います。
 小生も今日の産経ニュース(2019年5月24日分)(松本清張「女囚」のネタバレがあります)(追記あり) - bogus-simotukareのブログで、

 第3巻「イチジク」、審判に悩む同僚判事との対話。
 「厳しい罰を与えれば問題のある少年が自分たちの前から消えると思う事自体完全な誤解です。」
 「どんなに長い処分を与えても、少年は社会に戻ってくるんです。誰かの隣に住むんですよ。」
 「その時、その少年が、笑って暮らしている可能性を探すのが、裁判官の仕事じゃないんですか。」

という「家裁の人」の言葉を紹介しましたがDV加害者も「どんなに長い処分を与えても、社会に戻ってくるんです。誰かの隣に住むんですよ。」のわけです。通常、DVで死刑とか無期懲役とかいう判決は出ませんから。ならば「そのとき、そのDV加害者が(真人間になったといういい意味で)笑って暮らしている可能性を探すのが、社会の仕事じゃないんですか。」でしょう。まあ、きれい事であり実現困難ではあるんですけどね。ただきれい事を忘れたら世界は殺伐としてダメだと思うんですよね。

【参考:DV加害者に対する更生プログラム】

家族に暴力をふるうDV加害者が、心の奥底に隠している「恥辱」とは | 週刊女性PRIME [シュージョプライム] | YOUのココロ刺激する杉山春*2
 家族に激しい暴力を振るうのは、一体どのような人たちなのだろうか。
 カナダ・アルバータ州グランドプレーリー市在住の高野嘉之さんは、NPO団体ジョンハワードソサエティの職員で、臨床心理士、ケースマネージャーとしてDV加害者の更生プログラムに携わっている。お話を伺った。
「私たちのところには、裁判所命令で、DV加害者が更生プログラムに通ってきます。」
「相手の動きに反応して、イラっとした。その感情の動きに注目します。なぜ、自分は相手を引っ張りたいと思ったのか。相手が、自分の言うことを聞かないのは自分を見下しているのではないかと感じた、など、何が自分の怒りの引き金になったかを認識することが大事です。自分の心の奥底にある、こうでありたいという切望感。親の愛情が欲しいとか。幸せな家族として暮らしたいとか。反応的に暴力を振るう人は、その切望感が侵されたと感じる時、恥や恥辱(自分はダメな人間だ、とか、恥ずかしいとか、バカにされているという感情)を感じています」
「DV加害者へのセラピーで、最も重要なのが恥辱に直面してもらうことです。しかしまた、最も難しいことでもあります。加害者は自分がしたことを知らないのではないかと言われることもありますが、皆、自分が何をしたかは心の奥にしまってある。それを引っ張り出してこないと変化に結びつかない。こうした恥や恥辱に真摯(しんし)に向き合うことが変化の第一歩です。セラピーでは、早い時期に恥辱の感情を引っ張り出してくることが重要です」
 カナダ・アルーバータ州の制度では、DVが通告されるとすぐに強制逮捕され、裁判所から接近禁止命令が出る。児童虐待が通告されると、児相から子どもの緊急保護命令が出る。10日以内に裁判が開かれ、状況によって更生プログラムを受けるよう命じられる。プログラムはDV加害更生プログラム、虐待をしてしまう父親のプログラム、両親が一緒に受けるペアレンティングのプログラムなど種類が豊富だ。更生プログラムを終えないと、児相に保護された子どもを返してもらえない場合もある。ホームサポートワーカーが派遣されて、家の中に危険なものはないか、食事がきちんと与えられているかを確認することもあるという。
 その家庭にDVや虐待が起きていることがわかると、スピーディーに裁判まで進み、すぐに支援が入り、親たちは学ぶチャンスを与えられるのだ。「恥ずかしい自分」に向き合うには、早いほうがいい。
 「暴力の結果、当事者の周りに『加害者』という枠が作られます。すると、当事者と社会との絶縁が起きます。本人も自分は加害者だからと友達関係から身を引く。社会から距離をとる。そこに人との関係の障害が生まれる。恥辱が、人と社会を引き離していきます。
 このプログラムでは、参加者を『DV加害者』とは呼びません。『DV加害者』というアイデンティティーだけを強調することになるからです。しかし、DV加害があったことは明確にします。参加者の呼び方は『暴力・虐待をする男性(女性)』です。こうすることで、『暴力・虐待』はその人の選択であると強調し、だからこそ暴力・虐待を選択しない生き方も可能だと伝えます」
 参加者は、善悪ではジャッジメントされない。
「恥ずかしさを生み出した体験や恥辱を引き出した感情が、どこからきているのかをゆっくりと語っていきます。
 加害者が恥辱に向き合うのは、ものすごく痛い体験です。加害者プログラムに参加する人たちの多くが、幸せな家庭をもちたいと願っています。子どもが生まれた日はうれしかった。希望をもった。しかし、素直にポジティブにそう切望しながら、自分自身の手でそれを壊してしまった、というつらい恥の体験をしています。その結果、大切に思う子どもから怖がられるという状況に陥る。そんな自分を許せないと感じる。自己嫌悪もある。さらにその結果、強い怒りの感情が起きるのです」
「DV加害者も、生まれた時から暴力や虐待を習得していたわけではありません。暴力を振るったり虐待をするために生まれてきたわけでもありません。彼らの人生のどこかで暴力や虐待が侵入してきたのだと思います。その時のことについて語ってもらうことを、私は暴力・虐待の『第一ページ』を開くと言っています」
「『怒り』そのものは普通の感情であり、善しあしはありません。しかし、それに伴う行動や表現の仕方には善しあしがあります」
 暴力への衝動性は、タイムアウト(その場を離れる)や呼吸法で抑える方法を学ぶ。そんなふうに自分の状況を客観的に見ることを身につける。
 つまり、セラピストは本人に寄り添い、本人が切望する、例えば「優しい幸せな家族を作りたかった」という願いをかなえるのは、本人自身の責任であることを明確化していくのだ。自分の人生に対する責任、行動する責任、選択する責任を身につけてもらう。具体的には次のような4点が目標となる。
・加害行為に関してはしっかり認識する。
・自分がとった行動がどれくらいの影響があったのかを理解する。
・二度とそうしたことが起きないようにするにはどうしたらいいかを考える。
・被害を受けた人の癒し(ヒーリング)と回復(リペア)には責任があることを学ぶ。


横田基地関係者、相次ぎ飲酒事故 都など再発防止要請 - 産経ニュース
 沖縄よりマシとはいえこのように本土にも基地被害はあるわけです。このあたり「本土引き取り論」を放言する高世仁などはどう考えてるのか?


【産経抄】5月30日 - 産経ニュース

 米ゼネラル・モーターズ(GM)とフォード、クライスラービッグスリーとして、世界の自動車業界に君臨していた時代の話である。フォード社長のリー・アイアコッカ氏は突然、解雇された。
▼社主のフォード2世が示した理由はただ一言、「君が嫌い」だった。やがて経営危機に陥っていたクライスラーの社長に迎えられたアイアコッカ氏は、見事再建に成功して一躍ヒーローとなる。

 ウィキペディアアイアコッカ」によれば

 アイアコッカはその優れた手腕とは裏腹に、その地位を利用した公私混同とも言える経営も多かった。社長に就任した直後の1970年には、イタリアのコーチビルダーのギア社を、副社長時代からの友人でイタリアのスポーツカーメーカーのデ・トマソを経営するアレハンドロ・デ・トマソから買収した上に、デ・トマソをフォードのスポーツカープロジェクトに招聘し、フォード製5.8リッターV8エンジンをギアのデザインしたボディに搭載した高級スポーツカー「パンテーラ」を開発させ、アメリカ国内のリンカーンとマーキュリーのディーラーで販売させるなどしていた。
 しかしこのプロジェクトはデ・トマソ社にはアメリカ市場における知名度の向上という恩恵を与えたものの、フォードにとっては大きな利益を与えるものとはならなかったため批判を受けた。
 アイアコッカと同社会長のヘンリー・フォード2世創始者ヘンリー・フォードの孫にあたるオーナー会長)は同社の順調な経営成績を背景に当初は良好な関係を築いていた。が、アイアコッカは優れた経営手腕を発揮しその名声を高めていく一方で徐々に公私混同ともいえる独断的な経営手法を露にしていったことで1970年代中盤に差し掛かると、小型車の市場導入やヨーロッパ市場における販売戦略など、同社の経営方針を巡って両者は対立していった。
 対立関係はヘンリー2世がアイアコッカの身辺調査を行うなど修復不可能な状態にまで発展し、フォードは社長職の上に副会長職を創設し3人の上級社長による経営体制の構築を行うなど、アイアコッカに対する事実上の降格人事まで行われた。1978年10月、同社が史上最高の売り上げを2年連続で達成したと発表された直後、ヘンリー・フォード2世の「別に理由はない。俺はお前が好きでなくなっただけだ」の一言で同社を解雇された。

だそうなので一概に「不当解雇」ともいえなそうです。

 アイアコッカ氏といえば、日米貿易摩擦が激しかった1980年代、日本たたきの急先鋒(せんぽう)でもあった。当時、実業家として活躍していたトランプ米大統領は、その影響を強く受けているといわれる。トランプ氏が現在貿易戦争を繰り広げている相手は中国である。

 つまりは米中貿易戦争とは「日米貿易戦争の再現」でしかありません。福島香織などが強弁するような「打倒中国」なんてもんではない。

 アイアコッカ氏が去った後のクライスラーはイタリアのフィアットフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)を誕生させた。そのFCAが、仏ルノー経営統合を持ちかけているのだ。ルノーと提携する日産自動車三菱自動車を加えると、世界最大の自動車グループが誕生する。

 なお、クライスラーは最初は「ダイムラー・クライスラー」ということでドイツのダイムラー経営統合しますが、クライスラーの経営から結局ダイムラーが手を引き、その後釜がイタリアのフィアットです(ウィキペディアクライスラー」参照)。
 それにしても「フィアット・クライスラールノー経営統合話」は果たしてどうなることやら。

*1:もちろん「女性へのあらゆる暴力」にはセクハラも入りますが、事件発覚当初、「麻生財務相の責任問題になること」「福田を処分して、反発した財務省から森友関係で暴露がされること」を恐れて「福田財務次官(当時)のセクハラ」について「詳細がよく分からない」などと曖昧にごまかして「福田の処分」をせずに済まそうとした安倍が良くもこんなことが言えたもんです。

*2:著書『ネグレクト:真奈ちゃんはなぜ死んだか』(2007年、小学館文庫)、『ルポ 虐待:大阪二児置き去り死事件』(2013年、ちくま新書)、『家族幻想:「ひきこもり」から問う』(2016年、ちくま新書)、『児童虐待から考える:社会は家族に何を強いてきたか』(2017年、朝日新書)、『自死は向き合える:遺族を支える、社会で防ぐ』(2017年、岩波ブックレット)など