「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2019年6/6分:高世仁の巻)(追記あり)

天安門事件から30年 - 高世仁の「諸悪莫作」日記

 中国の民衆の間では、天安門事件は次第に忘れられ、関心を持たない人が多くなっているといわれる。当局の徹底した言論封殺に加えて、人々の関心がもっぱら生活の豊かさへと向かっているからだという。

 「安保問題を最大の政治テーマとした岸*1内閣後の、池田*2内閣が経済成長を打ち出したこと」「クーデターを起こした朴チョンヒが経済成長を目指したこと」を連想しました。
 まあ単純比較は出来ませんがこのようにどこの国でも「経済成長というあめ玉」を為政者が「政治不満解消の材料」にしようとするのは変わりません。

 中国はどこまで奇怪な体制のまま覇権を強めていくのか。憂慮しないわけにはいかない。

 「奇怪な体制」ねえ。いわゆる開発独裁なんて「明治時代の日本(薩長藩閥政府)」「台湾の蒋介石」「韓国の朴チョンヒ」など珍しいもんではありませんが。
 「覇権を強める」ねえ。今の中国と「1980年代の日本(米国と貿易摩擦で対立)」とどれほど違うのか。当時の日本も「覇権を強めていた」のか。
 まあ、人権問題について「憂慮はします」が、高世みたいな悪口しても何がどうなるわけでもないでしょう。そもそも独裁的国家は中国だけではない*3。例えば後で紹介するタイなんかもそうです。
 そういえば新刊紹介:「歴史評論」5月号 - bogus-simotukareのブログ

■末廣昭*4『タイ 中進国の模索*5』:東南アジアの社会(岡田泰平*6
(内容紹介)
・ネット上の記事紹介で代替。岡田論文は「3月の民政移管選挙」前提の文章です。
・タイの問題点と言えば高世仁
 ほんとうは怖いタイ - 高世仁の「諸悪莫作」日記
 タイの政争の裏にはあのお方が - 高世仁の「諸悪莫作」日記
 タイ国王の死を悼む - 高世仁の「諸悪莫作」日記
で指摘してましたが、ヨーロッパや日本と違い、「未だに王家が政治力持ってること(そして公然と軍部に肩入れしてること)」でしょう。軍部だけが問題じゃないわけです。
 タイ国王、タクシン元首相の勲章はく奪 理由は国外逃亡:朝日新聞デジタルということで選挙後も「軍部アシスト狙い」で王家はいろいろと動いています。
 しかし高世(過去にタイに駐在)も以前タイ関係記事を書いてるし、今回「民政移管選挙」つうホットな話題があるんだからタイ民政移管選挙についての記事でも書いたらどうなのか。「安田解放で身代金は払われなかった!」という趣旨の安田純平さんの解放に身代金は支払われたのか?(7) - 高世仁の「諸悪莫作」日記など、どうでもいい記事書いてないで。
 それにしても北朝鮮相手には「打倒金正恩」なのにタイ相手には「打倒軍政」ではないあたり「高世ってホンマにデタラメだ」ですね。

【書評】『王室と不敬罪 プミポン国王とタイの混迷』岩佐淳士著 君主と民主主義と - 産経ニュース
 「微笑(ほほえ)みの国」ながらクーデターが繰り返されるタイ。(ボーガス注:タクシン派と軍の対立の)本質は、軍や官僚、財閥など都市の特権階級と地方の貧困層との対立と見立て、特権階級の頂点に立つのが王室だとする。選挙では、貧困層の圧倒的支持を得たタクシン派が毎回政権を取るが、軍がクーデターを起こす。さらに特権階級で構成の裁判所が(ボーガス注:軍政を)後押しする判決を出す「司法クーデター」。プミポン前国王の王妃はデモで死亡した反タクシン派側の葬儀のみ参列した事実も。王室への重い不敬罪の存在で報じられぬ実態を知ることができる。日本人として、君主と民主主義の関係を考える契機となる一冊。

・高世も以前、タイ警察が不敬罪でBBCに立入り捜査 - 高世仁の「諸悪莫作」日記で指摘しましたが未だに不敬罪が存在し、それがメディア弾圧に使用される国がタイです。にもかかわらず、中国や北朝鮮に比べたらタイに甘いデタラメな男が高世です。

と書きましたが、「元タイ駐在員」高世もいつまで経ってもタイの記事書きませんねえ(苦笑)。結局最後まで書かないのか。
 なお、新刊紹介:「歴史評論」5月号 - bogus-simotukareのブログでも紹介しましたが最近のニュースによれば

首相にプラユット氏選出へ=軍が影響力維持-タイ:時事ドットコム
・タイ国会は5日、2014年5月のクーデター後に発足した軍事政権を率いてきた元陸軍司令官のプラユット・チャンオーチャー暫定首相(65)を首相に選出した。新内閣が発足すれば5年ぶりに民政に移行するが、引き続き親軍勢力が政権中枢を担い、軍の政治への影響力が維持されることになった。
・反軍勢力は新未来党党首のタナトーン氏を統一候補として擁立した。
・総選挙で第2党となった親軍政党の国民国家の力党(116議席)は多数派工作を展開。
 第4党の民主党(53議席)、第5党のタイ誇り党(51議席)と連立で合意したほか、中小政党16党の支持を取り付けた。
 反軍勢力は第1党となったタクシン元首相派のタイ貢献党(136議席)、第3党の新未来党(81議席)を中心に政権樹立を目指した。しかし、政権奪取に不可欠だった民主党と誇り党の協力を得られなかった。

ということで当面軍政が続くわけですが、民主化勢力の奮闘に期待したい。
 もちろん、タイでの軍政継続も高世風に言えば、おそらく

 タイの民衆の間では、軍政に批判意識を持たない人が多くなっているといわれる。当局の徹底した言論封殺に加えて、人々の関心がもっぱら生活の豊かさへと向かっているからだという。

つうことでしょうね(ただし、軍政に批判意識を持つ人間も多いからこそ、タクシン党が今も健在ですし、タクシンが支持された大きな理由は『タイの田中角栄*7』という異名を持つほど彼が農村部の経済発展に力を入れたからであって、タクシン支持層も支持の大きな理由は「経済的発展」ですが)。
 そして高世はタイ軍政については

 タイはどこまで奇怪な体制のまま政治を続けていくのか。憂慮しないわけにはいかない。

とは今のところ言わないわけです。 

【追記】

民主活動家への襲撃相次ぐ 黒ずくめ集団が暗躍 タイ - 毎日新聞
 タイでは最近、民主化を訴える活動家が何者かに襲撃される事件が相次いでいる。バンコクのシラウィット・セリティワットさん(27)は2日夜、ヘルメットをかぶって顔を隠した黒ずくめの集団に襲われた。
 この日は市内の繁華街で、軍政から任命された上院議員が首相指名投票に加わらないよう求める署名活動を行い、移動先で仲間と別れてバス停に着いたところだった。
 「活動場所から後をつけられ、一人になったところを狙われたようだ」。
 逃げようとしたが転んでしまい、棒で殴打された。
 「5、6人いた。無言で頭だけを狙い、殺意を感じた」。
 周囲の人は、恐怖のためか見ているだけだったという。
 4日に退院した時には、耳や鼻には赤黒いあざが残り、顔全体が腫れていた。
 共に総選挙の早期実施を訴えたり軍政幹部の不正蓄財疑惑を追及したりしてきた活動家仲間も襲撃された。うち一人は、5月13日に腕の骨を折られた。
 軍政は、プラユット暫定首相の続投に向け手を打ってきた。5年間、軍が上院(定数250)を実質支配できるようにし、新首相は上下両院の計750議員で選出するようにした。「3分の2の民政復帰」と指摘されるゆえんだ。
 シラウィットさんは「選挙を経ても軍政が続くのと変わらない。活動をやめるわけにはいかない」と話し、真の民主化実現を目指している。

 物騒極まりないですね。どう見ても黒幕は軍部でしょう。

*1:戦前、満州国総務庁次長、商工次官、東条内閣商工相を歴任。戦後、自民党幹事長(鳩山総裁時代)、石橋内閣外相を経て首相

*2:元大蔵次官。吉田内閣蔵相、通産相、石橋内閣蔵相、岸内閣蔵相、通産相を経て首相

*3:まあ中国ほどの政治経済力を持つ大国で、独裁的国家と言えば中国以外には他はロシアくらいしかないので、中国が注目されること自体は自然ではありますが。トランプ政権がいかに無茶苦茶でも米国を「独裁国家」とは呼べませんしね。

*4:著書『タイ 開発と民主主義』(1993年、岩波新書)、『キャッチアップ型工業化論』(2000年、名古屋大学出版会)、『ファミリービジネス論』(2006年、名古屋大学出版会)、『新興アジア経済論』(2014年、岩波書店)など

*5:2009年、岩波新書

*6:著書『「恩恵の論理」と植民地:アメリカ植民地期フィリピンの教育とその遺制』(2014年、法政大学出版局

*7:岸内閣郵政相、池田内閣蔵相、佐藤内閣通産相自民党政調会長(池田総裁時代)、幹事長(佐藤総裁時代)などを経て首相