「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2019年6/14分:高世仁の巻)(追記あり)

アグネス・チョウ(周庭)が語る日本への期待 - 高世仁の「諸悪莫作」日記

 当局がさらに大がかりな弾圧に出て、「第二の天安門事件」にならなければよいが。

 「第二の天安門」とは単に「機動隊で鎮圧」ではないでしょう(それなら既にやっています)。
 まあ、「軍の投入」や、そこまで行かなくても「警官隊の発砲による死者」でしょうがそれはまずないでしょうね。
 なお、個人的には「円満な解決」を望む「俺の願望込み」ですが
1)今すぐ急いでこの法を可決しなくてもいいのではないか(香港と中国では経済力に大きな差があるので急いでこの法律を通過させなくても中国が香港に対して牽制したり締め上げたりする手は他にもある)
2)習主席ないし李首相が出席予定のG20でこの問題で批判をあびるようなことは習氏*1も避けたい*2
3)「混乱を回避するためひとまず先送りする」という言い訳も一応出来る
つうことでいったん仕切り直しで「今回は」法案撤回つう可能性もあるかとは思います(もちろんあくまでも「今回は」であり、今後再提出の可能性はありますが)。
 そもそも建前では「一国二制度」であり、少なくとも表向きは法案を提案した香港行政長官は「習氏の部下として彼の命令に従って法案を出したわけではない」わけです。麻生*3の「2000万云々は俺は関係ない、金融庁の審議会が勝手にやったこと」つう無茶苦茶な詭弁よりは「俺は関係ない(習氏)」とはいいやすいでしょう。
 と俺が書いた後で

香港政府、逃亡犯条例の改正を無期限延期 政府トップが発表 - 産経ニュース
 香港特別行政区政府トップの林鄭月娥(りんてい・げつが)行政長官は15日、中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」の改正案について、立法会(議会)での審議を無期限に延期すると発表した。7月1日の香港返還記念日前の可決を目指していたが、反対運動が広がる中で断念した。28、29日に大阪で開催される20カ国・地域(G20)首脳会議までに混乱を収拾するよう中国当局が指示したとみられる。
 林鄭氏は15日の記者会見で「改正案を撤回したのではない」と強調、「異なる意見に耳を傾け、双方の溝が埋まるまで対話していく」と述べた。しかし条例が改正されれば、香港の「一国二制度」が有名無実化すると反対する市民は多く、再審議の見通しは全く立っていないのが現状だ。

という「先送り」報道が出てきました。ひとまず「先送り」という形で「解決した」わけです。高世ら「反中国ウヨ」について言えばやりたいことは単に「中国叩き」でしょうからこの先送りには内心悔しがってるでしょうね。
 まともな人間なら「今後の警戒が必要だし、これで手放しで喜ぶことは出来ないがひとまず、運動の結果、それなりのよい成果が出てよかった」つう話になるんですけどね。

 昨夜のTBS系「ニュース23」はアグネス・チョウさんをスタジオに招き、香港に村瀬キャスターを送って長い特集を組んだ。

 「安倍批判は出来ないが中国批判なら出来る」「ただしその場合も自分の口ではなく他人の口(アグネス・チョウ)でやる」つうあたりが「権力批判に弱腰な日本のマスコミらしい」「草野球のキャッチャー(みっともない)話」です。まあ、何もしないのよりはマシとは言えますが。
 そういえば本多勝一氏がエッセイで「日本のマスコミは海外報道なら批判が出来るが国内では全然ダメ。例えば信濃毎日新聞なんか一応リベラルだが、オーナーが小坂一族(池田内閣外相、田中内閣経企庁長官、三木内閣外相などを務めた小坂善太郎、大平内閣経企庁長官、鈴木内閣運輸相などを務めた小坂徳三郎(善太郎の弟)、小泉内閣文科相などを務めた小坂憲次*4(善太郎の息子)といった自民党国会議員を輩出)なので長野県政批判(つまり小坂一族批判)なんか全然出来ない」といっていたのを思い出しました。

周:
 国際社会の注目が私たちにとって非常に重要だと思います。イギリス・カナダ・アメリカ・EUも声明や懸念や反対の声をあげました。私が今回東京に来たのも、日本は香港と強い経済的パートナーですから、日本政府も自分の意見をハッキリ言っていただきたいという強い気持ちをもっています。

 まあ安倍はそんなこと言わないでしょうね。そもそも「経済的パートナー」つうなら「中国全土>絶対に越えられない壁>香港」なんですが。

小川
 村瀬キャスターから「顔をマスクで隠してデモに参加している」という報告がありましたが?

 日本だって欧米だって「中国よりはマシなのでしょうが」どこの国だって顔出しのリスクはあるでしょう。「日本にはそういう物がないとでも言いたいのか」と問い詰めたくなります。

 政府は中国がらみの人権問題ではいつも腰砕けだ。

 隣国ですし、経済大国ですからねえ。そもそも欧米だってそんなに中国に対し強硬なわけではありません。

 与野党の政治家、文化人、財界人など世論をリードする人々が声を上げてほしい。

 具体的に誰のどんな行為を想定、希望してるのか。それとも特に想定や希望はないのか。つうか高世も自称に過ぎないとはいえ「ジャーナリスト」名乗ってるんだから「手前が、お仲間のジャーナリスト(常岡や安田純平?)とまずは共同声明でも出せよ」て話です。

 竹本信弘さん、ペンネーム滝田修といえば「過激派の教祖」として還暦過ぎの人なら誰もが知っているだろう。
 去年、現上皇をたたえる『今上天皇の祈りに学ぶ』(明月堂書店*5)を出版。きのうの新右翼団体「一水会」の講演会講師として招かれたのを『レコンキスタ』(一水会機関紙)で知って、お顔を見たいなと思いたったのだった。

 まあ竹本(滝本)と高世はくだらないとしか言い様がないですね。
 新刊紹介:「前衛」7月号 - bogus-simotukareのブログなどで以前紹介しましたが、元天皇上皇)に対し「戦地訪問してるとは言っても例えば南京にはいかないじゃないですか」「退位の報告に『明治時代に捏造された』神武天皇陵に行ったのは問題だと思う*6」という原武史*7などとは偉い違いです。原氏は別に左翼ではなくむしろ保守派だと思いますが。
 要するに「元左翼」高世と滝本が「天皇万歳の右翼」に劣化したと言うことですね。これで「北朝鮮世襲は問題」などと高世もよく言えたもんです。天皇だって世襲制度でしょうよ。
 まあ滝本の駄本を読むくらいなら原氏の最近の著書『平成の終焉:退位と天皇・皇后』(2019年、岩波新書)、『天皇は宗教とどう向き合ってきたか』(2019年、潮新書)を読んだ方がましでしょうね。

【追記】

Welcome to Hayashi Hirofumi'
 明仁さんが天皇を辞めて、徳仁さんが天皇に就任しました。明仁さんにはご苦労様でしたと個人的には言いたいと思います。自分の意思で辞めることもできない、非人間的な地位・役割を押し付けられ、人権侵害の被害者であったことにも同情の気持ちを持っています。
 明仁さん個人はおそらくいい人なのだろうと思いますし(メディアによって操作された情報で判断せざるを得ないのですが)、現在の日本の支配層の中では最も良心的な人物だろうと思います。彼がやってきたことは―天皇制を維持しようとする努力は別として―、戦没者の慰霊や、災害で苦しんでいる人たちへの慰めと励ましなど国内外で良い評価をうけているようですが、見方を変えれば、日本の政治指導者*8が果たすべきことをやらない中で、それを補っていたと言えます。つまり日本の政治の劣化がひどいのを埋め合わせていたと言えるでしょう。
 そういう明仁天皇の行為を(ボーガス注:高世仁や竹本信弘のように)すばらしいと持ち上げれば持ち上げる程、劣化しきった政治を生み出しながら、改善することができない、よくしようとする意志も意欲も能力もない、自由民主主義を自らが支えることのできない、日本国民の劣化度をさらけ出しているにすぎないように思います。 
 政治がきちんと市民のための政治をおこなっていれば、天皇がこれほどのことをやる必要はないし、注目されることもないと思うのですが。君主制には社会の亀裂を修復する機能があるなどというような議論がありますが、それは、ただ亀裂を見えないように覆い隠しているだけで、実際に修復しているわけではないでしょう。修復するのは市民によって担われる政治の力が必要ですが、そうした市民の自覚をマヒさせる麻薬としての機能を果たしてしまっていると言うべきでしょう。もちろん天皇個人は良心的に考えて行動したのでしょうが。
 元号などというものはやめよう、(ボーガス注:皇室女性が結婚して臣籍降下する以外は皇族としての生き方を強制され続ける)天皇制などという非人間的なものはやめよう、残したい人がいるのならば民営化してはどうか、という議論が本格的に取り上げられるべきだと思います。日本国民(ここには私自身も含まれていますが)が自由民主主義と基本的人権を自らの力で作り、支えようとする意志・能力が欠如していることを見せつけられた天皇の交代劇だったように思います。 

 林博史*9の主張には全く同感ですね。高世や竹本らのような明仁賛美ほどくだらないものはないと思います。

*1:福州市党委員会書記、福建省長、浙江省党委員会書記、上海市党委員会書記、国家副主席、党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席などを経て党総書記、国家主席党中央軍事委員会主席、国家中央軍事委員会主席

*2:もちろん香港のデモ隊側も「G20」の存在は意識してるでしょう。

*3:橋本内閣経済企画庁長官、森内閣経済財政担当相、小泉内閣総務相、第一次安倍内閣外相、自民党幹事長(福田総裁時代)を経て首相。現在、第二~四次安倍内閣副総理・財務相

*4:悪性リンパ腫を理由とした憲次の政界引退表明後(2015年、なお引退表明1年後の2016年に死去)、小坂家から後継候補を擁立しなかったため、戦前の帝国議会以来続いた小坂家の国会議員議席は一先ず終焉を迎えることとなった(ウィキペディア小坂憲次」参照)。

*5:青林工藝舎に勤務していた末井幸作によって創業。2009年3月、イプシロン出版企画から商号を変更した(ウィキペディア明月堂書店』参照)。

*6:なお、神武天皇陵は明治の捏造ですし、孝明天皇以降、生前退位した人はいません。つまり「退位前の神武天皇陵訪問」は「新たに上皇夫婦が発明した新しい伝統(彼ら夫婦以前にそんなことをした天皇、皇后はいない)」にすぎません。小生の立場ではそんな「問題の多い伝統を発明し実行した元天皇夫婦(まあ、進んで実行したと言うより安倍政権や宮内庁の方針に従っただけでしょうが)」は『それだけ』で手放しでは評価できません。

*7:天皇制関係の著書として『昭和天皇』(2008年、岩波新書)、『「神々の乱心」を読み解く:松本清張の「遺言」』(2009年、文春新書)、『皇居前広場』(2014年、文春学藝ライブラリー)、『大正天皇』(2015年、朝日文庫)、『「昭和天皇実録」を読む』(2015年、岩波新書)、『皇后考』(2017年、講談社学術文庫)、『〈女帝〉の日本史』(2017年、NHK出版新書)、『平成の終焉:退位と天皇・皇后』(2019年、岩波新書)、『天皇は宗教とどう向き合ってきたか』(2019年、潮新書)など

*8:勿論、首相・安倍のこと。

*9:関東学院大学教授。著書『沖縄戦と民衆』(2002年、大月書店)、『BC級戦犯裁判』(2005年、岩波新書)、『シンガポール華僑粛清』(2007年、高文研)、『戦後平和主義を問い直す』(2008年、かもがわ出版)、『戦犯裁判の研究』(2009年、勉誠出版)、『沖縄戦 強制された「集団自決」』(2009年、吉川弘文館歴史文化ライブラリー)、『沖縄戦が問うもの』(2010年、大月書店)、『米軍基地の歴史』(2011年、吉川弘文館歴史文化ライブラリー)、『裁かれた戦争犯罪:イギリスの対日戦犯裁判』(2014年、岩波人文書セレクション)、『暴力と差別としての米軍基地』(2014年、かもがわ出版)、『沖縄からの本土爆撃:米軍出撃基地の誕生』(2018年、吉川弘文館歴史文化ライブラリー)など。個人サイト(http://hayashihirofumi.g1.xrea.com/)。