「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2019年6/22分:荒木和博の巻)

映画「鳥よ翼をかして」【調査会NEWS3011】(R01.6.22): 荒木和博BLOG

 今日は午後神田で行われる映画「鳥よ翼をかして」の上映会(北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会主催)に行きます。

 この映画については、「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」を笑おう(2019年5/31分) - bogus-simotukareのブログで触れたので参照頂けると幸いです。

 私にとって忘れられないのは、かつて私のいた民社党は日本人妻里帰りの問題を党の政策の中に入れており、国民運動の一環として「鳥よ翼をかして」の上映運動を行なったことです。映画の中には当時の国対委員長で後に委員長になる永末英一衆議院議員も出てきます。
 しかし、恥ずかしながらこの上映運動について、自分自身はそれほど積極的に取り組んだ記憶がありません。

 つまりは荒木は当時、「いわゆる帰国妻」などについて何の関心もなかったと言うことです。今も多分ないでしょう。まあ、荒木が名前を出す永末にしても「アンチ北朝鮮、反共の右翼政治家」として北朝鮮叩きのネタとして帰国運動を取り上げただけでしょうが。
 しかし荒木も「自称人権活動家(自称に過ぎませんが)」「自称韓国・北朝鮮専門家」のくせに、よくこんなことを平然と書けるもんです。

 昭和60年(1985)の映画です。この2年後には大韓航空機爆破事件が起きており、金賢姫証言で日本人拉致被害者李恩恵」の存在が明らかになります(後に田口八重子さんと判明)。翌63年(1988)には国会で梶山静六国家公安委員長が初めて北朝鮮による拉致を認めます。

 ここで「質問者が橋本敦・参院議員(共産党)」であることに触れないのは荒木が反共右翼だからでしょうか?
 そして答弁者として「宇野宗佑*1・竹下内閣外相」の名前を出さないのは彼が「女性スキャンダルで首相をやめたから」でしょうか?。
 なお、ここで答弁した梶山自治相・国家公安委員長(竹下*2内閣)はその後も、「宇野内閣通産相」「海部*3内閣法相」「自民党幹事長(宮沢*4総裁時代)」「橋本*5内閣官房長官」と要職を歴任します。
 まあ俺も梶山氏をくそみそに悪口する気はありません。難しい問題ですし、拉致が小泉訪朝まで動かなかった責任は彼一人の責任でもない。しかし「政府、与党の要職を歴任した彼」には一応「政府、与党の幹部政治家でありながら拉致を解決できなかった責任がある」とはいえるでしょう。ご本人が、竹下内閣自治相・国家公安委員長時代に「北朝鮮拉致疑惑」について自ら答弁しているのだからなおさらです。
 しかし、荒木は「俺がここに書いた程度のレベル」ですら梶山批判しないのだから全くデタラメです。

【参考:日本共産党の国会質問】

1988年3月26日/参議院予算委員会での橋本敦議員の質問(抜粋)
◆橋本敦君
 拉致事件について言いますならば、単に問題はこれだけではなくて、昭和五十三年七月と八月、わずか二カ月間に四件にわたって若い男女のカップルが突然姿を消すという事件が立て続けに起こっているのであります。これは極めて重大な事件でありますが、福井*6、新潟*7、鹿児島*8、そして富山、こうなりますが、一件は未遂であります。
(中略)
 外務大臣自治大臣にお聞きいただきたいんですが、この三組の男女の人たち*9が行方不明になってから、家族の心痛というのはこれはもうはかりがたいものがあるんですね。
(中略)
 この問題については、国民の生命あるいは安全を守らなきゃならぬ政府としては、あらゆる情報にも注意力を払い手だてを尽くして、全力を挙げてこの三組の若い男女の行方を、あるいは(ボーガス注:大韓航空機爆破事件で金賢姫日本語教師として名前が出てきた李)恩恵*10を含めて徹底的に調べて、捜査、調査を遂げなきゃならぬという責任があるんだというように私は思うんですね。そういう点について、捜査を預かっていらっしゃる国家公安委員長として、こういう家族の今の苦しみや思いをお聞きになりながらどんなふうにお考えでしょうか。
国務大臣梶山静六君)
 昭和五十三年以来の一連のアベック行方不明事犯、恐らくは北朝鮮による拉致の疑いが十分濃厚でございます。解明が大変困難ではございますけれども、事態の重大性にかんがみ、今後とも真相究明のために全力を尽くしていかなければならないと考えておりますし、本人はもちろんでございますが、御家族の皆さん方に深い御同情を申し上げる次第であります。
◆橋本敦君
 外務大臣、いかがでしょうか。
国務大臣宇野宗佑君)
 ただいま国家公安委員長が申されたような気持ち、全く同じでございます。もし、この近代国家、我々の主権が侵されておったという問題は先ほど申し上げましたけれども、このような今平和な世界において全くもって許しがたい人道上の問題がかりそめにも行われておるということに対しましては、むしろ強い憤りを覚えております。
(中略)
◆橋本敦君
 そこで外務大臣、この問題が北朝鮮工作グループの犯行だという疑いがぬぐい切れないわけですけれども、そうだといたしますと、大臣が先ほどからおっしゃったように、誘拐された国民に対する重大な人権侵犯、犯罪行為であると同時に、我が国の主権に対する明白な侵害の疑いが出てまいるわけですね。だからそういう意味では、そういう立場で大臣がおっしゃったように主権国家として断固たる処置を将来とらなくてはならぬ、これは当然だと思いますが、その点については私はもう既に国民世論だと思うんです。
 例えば二月九日の読売新聞は、「日本の浜を無法の場にするな」、こういう表題で、
『とまれ、「李恩恵」という人物についての真相解明を急ぐべきであり、北朝鮮側によるら致*11が事実とあれば、わが国は北朝鮮に対し、原状の回復を求め、同時に、その責任の所在を明確にするための適切な措置をとることが必要である。
 わが国からわが国民をら致するような国に対しては、それがどの国であれ、動機が何であれ、毅然として対応すべきである。わが国がそのような非人道的無法行為の現場にされるいわれはまったくない。』
 こう言っておりますし、また同じ日の朝日新聞は、
『事実とすれば、日本の主権にかかわるきわめて重大な事件である。他の国の機関が、日本国内から力ずくで日本人を連れ去るといった理不尽なことが、許されるはずはない。
  日本の警察が北朝鮮にら致されたのではないかとみている三組の男女についても、疑惑は大きく膨らんでいる。』
 こういうように言っておるわけですね。
 私は、政府として、こういう重大な主権侵害事件として、これから事実が明らかになるにつれて毅然たる態度で原状回復*12を含めて処置をしていただきたいということをもう一度重ねて要求するのでありますが、いかがですか。
国務大臣宇野宗佑君)
 先ほども御答弁申し上げましたが、繰り返して申し上げますと、ただいま捜査当局が鋭意捜査中である、したがいまして、あるいは仮定の問題であるかもしれぬ、しかしながら、仮にもしもそうしたことが明らかになれば主権国家として当然とるべき措置はとらねばならぬ、これが私の答えであります。
◆橋本敦君
 私はこの問題は、日本国内において断固としてこういった不法な人権侵害や主権侵害は許さない、この男女を救わねばならぬという国民世論がしっかり高まることと、国際的にも相手がどこの国であれこんな蛮行は許さぬ、そして誘拐された人たちは救出せねばならぬ、それが人道上も国際法上も主権国家として当然だという世論が大きく沸き起こりまして、こういう世論の中でこそ、命の安全を確保しながら捜査の資料を次々と引き出し、捜査の目的を遂げ、そして法律的にも事実上もきちんと原状回復を含めた始末をする、こういう方向が強まると思うんですね。隠してはいけない。恐れてはいけない。我が党も、相手がどこの国であれテロや暴力は一切許さないという立場で大韓航空機事件でも対処しているわけですが、そういう立場で、これらの人たちが救出されること、日本政府が毅然とした対処をとることを重ねて要求したいのでありますが、そういう問題について法務大臣の御意見を伺っておきたいと思います。
国務大臣林田悠紀夫*13君)
 ただいま外務大臣国家公安委員長から答弁がありましたように、我が国の主権を侵害するまことに重大な事件でございます。現在警察におきまして鋭意調査中でございまするので、法務省といたしましては重大な関心を持ってこれを見守っており、これが判明するということになりましたならばそこで処置をいたしたいと存じております。

 ご覧になれば分かるように橋本氏は「原状回復(つまり拉致被害者の帰国)」を強く訴えていますがそれが現実化したのは「この質疑応答(1988年)」から「14年後の2002年(小泉*14訪朝)」でした。要するに相当の難問だったわけで、宇野外相、林田法相も「現在捜査中」「北朝鮮拉致の疑いはあるが断言できない」「北朝鮮拉致の動かぬ証拠が出てきた時点で、橋本先生の求める原状回復(拉致被害者の帰国)を北朝鮮に対して目指していきたい」として今ひとつ歯切れが悪いわけです。

1997年6月5日/参議院法務委員会での橋本敦議員の質問(抜粋)
◆橋本敦君
 いわゆる日本人拉致事件の問題でありますが、私はもう十年も前にこの問題について予算委員会で質問をさせていただきました。当時の国家公安委員長、今の梶山官房長官は、『昭和五十三年以来一連のアベック行方不明事件、恐らくは北朝鮮による拉致の疑いが十分濃厚でございます、解明が大変困難ではあっても、事態の重大性にかんがみて、今後とも真相究明に全力を尽くします』とおっしゃっていただきました。当時の宇野外務大臣もその予算委員会、六十三年三月二十六日ですが、『ただいま国家公安委員長が申されたような気持ち、全く同じでございます、この近代国家、我々の主権が侵されておったという問題は先ほど申し上げましたけれども、今平和な世界において全くもって許しがたい人道上の問題がかりそめにも行われているということに対しましては強い怒りを覚えております』と、こうおっしゃいました。
 自来、長い年月がたちました。
(中略)
 この問題で、私は、重要な人権問題でありますから、ぜひ一刻も早い解決を望んでおるんですが、警察庁に伺います。これまで北朝鮮の拉致と見られる、認定された事件の件数と人数はどうなっておりますか。
(後略)

 梶山氏も名前を出されて複雑な気持ちではあったでしょう。

1998年3月11日/参議院法務委員会での橋本敦議員の質問(抜粋)
◆木島委員
 外務省、お呼びしているのでお聞きしたいのですが、この七件の事案、あるいは富山での未遂事案について、真相解明、被害者の生存の確認等、外交的にどんな努力をされているのか、御報告願いたい。
◆樽井*15説明員
 御説明いたします。
 本件につきましては、我が国国民の生命の安全にかかわる大変重大な事件と心得ておりまして、これまでも、いろいろな北朝鮮側との接触を通じまして、私どもとしてはしっかり北朝鮮側と協議しているということでございます。
 ちなみに、昨年八月に行われました審議官級の予備交渉、引き続いて日朝間の赤十字連絡会議等ございまして、そういう場を通じましても、我が方は、北朝鮮に対しまして、本件の早期調査を強く申し入れている次第でございます。
◆木島委員
 八月の審議官クラスの交渉について、もっと具体的に、日本側としてどういう要望を出したのか、相手方、北朝鮮側がどういう対応だったのか、詳しく報告してください。
◆樽井説明員
 お答えいたします。
 昨年の審議官級予備交渉の主要なテーマは、日朝交渉の再開をどうするかということでございましたけれども、その協議の過程におきまして、本件拉致事件につきましても、我が国の大変重大な関心を先方に伝えまして、本件についての早期調査を強く求めたわけでございます。
 当時、北朝鮮側は本件拉致事件そのものを否定いたしておりまして、そのようなことはあり得ないという態度でございました。
 ただ、御承知のように、昨年十一月の与党の訪朝団*16北朝鮮を訪問されまして、その結果、北朝鮮側も、一般の行方不明者として調査するということで回答いたしまして、以後、北朝鮮内部においても調査が進んでいるという理解でございます。
◆木島委員
 八月の会談で、重大な関心を持っているということで、日本側から北朝鮮側に話をしたという答弁でありますが、もっと端的に、日本の警察は白書で、北朝鮮による拉致の疑いのある事案なんだ。時期、被害者、発生場所、はっきりと相手国に伝えて、捜査協力を依頼したのですか。
◆樽井説明員
 御説明がちょっと足らなかったと思いますが、御指摘のとおりでございまして、我が方の持っております材料、すべて北朝鮮側に提示いたしまして、早急なる調査を要請しております。
(中略)
◆木島委員
 その後、相手国の態度変化は見られたのですか、外務省。
◆樽井説明員
 お答えいたします。
 先ほど御説明申し上げましたように、昨年の審議官級予備会談におきましては、北朝鮮側はそのような事実はないという答えでございました。
 他方、その後、昨年十一月の与党訪朝団が訪朝されまして、そこにおきます会談で、北朝鮮側から、一般の行方不明者として調査するという回答がございました。
 そのような経緯を経まして、私どもは引き続き北朝鮮側の早急な調査を強く申し入れているという状況でございます。
◆木島委員
 昨年十一月の与党訪朝団が行った交渉、相手はどんなレベルのどういう人だったのですか。
◆樽井説明員
 相手方は宋浩敬朝日友好親善協会の会長と承知しております。
 (中略)
 この組織は北朝鮮労働党の関係機関でございますので、それなりの地位をお持ちの方であると承知しております。
◆木島委員
 捜査、調査に協力しようという回答は、まだ正式には得られていないのですか。
◆樽井説明員
 私ども政府の理解で申し上げますと、十一月の与党訪朝団と北朝鮮側との会談におきまして、北朝鮮側の極めて正式な回答があったというふうに理解しております。
◆木島委員
 その後三カ月近くたつわけですが、そういう相手国、相手側の対応を受けて、ではその後どうなったのか。詰める場というのは持っておるのですか。
◆樽井説明員
 お答えいたします。
 日朝間におきましては、(中略)政府レベルの大変非公式な接触を継続いたしております。私どもは、そういう非公式の接触の場を通じまして、この問題については非常に強く提起いたしておりますし、北朝鮮側の早期の調査及び回答を要請している状況でございます。
◆木島委員
 その非公式の場でこの問題を持ち出した直近の時期というのは、いつなんでしょうか。そして、それに対して、そのとき日本の外務省側はどういう言い方をしたのか。非公式の場で、相手国の政府機関の代表が出てくるのだと思うのですが、どういう態度だったのか、明らかにしてほしい。
◆樽井説明員
 お答え申し上げます。
 大変非公式な接触でございますので、具体的な時期、レベル等につきましては、大変恐縮でございますがコメントを差し控えさせていただきたいと思いますが、つい最近の交渉はことしに入ってからでございます。その場におきまして、本件につきましてもかなり突っ込んだやりとりをいたしましたが、結果的に、我が方として満足のできる結果は一切得られていないというのが現状でござ います。
◆木島委員
 どうも具体的にお話しいただけないのでよくわからぬわけですが、満足の得られる回答が得られなかったというお答えですが、どういう態度なんですか。
(中略)
 もうちょっと具体的に答弁してくださいよ。
◆樽井説明員
 先方の態度でございますけれども、一般の行方不明者として調査する旨を与党訪朝団に約束したということを踏まえまして、そういう調査を継続しているという回答でございます。
 他方、先ほど来申し上げていますように、その結果につきまして、私どもとしては満足できる結果は得られていないということでございます。
◆木島委員
 相手は国交のない国であります。大変だと思うのです。国連の場を通じて努力はどうされているのでしょうか。
◆樽井説明員
 お答え申し上げます。国連との関係につきましては、昨年、小渕*17外務大臣が総会出席のために国連に出席いたしました折に、当時の明石国連事務次長との会談の中で本件を提起いたしまして、ぜひ国連サイドでも御協力いただきたいという話をいたしております。
 その後、明石事務次長が訪日いたしましたときにも、本件につきましては国連としても非常に関心を持っておりますので、お手伝いが必要であれば考えたいということをおっしゃっておられたと承知しております。
◆木島委員
 それで、その後詰めているのですか。
◆樽井説明員
 その後、この協力につきましては、特に具体的な詰めば行っておりません。
◆木島委員
 非常に外務省の対応は不十分だと思うのですね。
(中略)
 日本の政府、警察庁は、北朝鮮による拉致事件だと正式に認定した。もっと毅然たる態度で臨んでほしい。
(中略)
 もう時間も迫ってきておりますので、検察、警察に最後の質問になりますが、今、この事件解決のために、国連というルート、あるいは国交のない北朝鮮とのいろいろなレベルの公式、非公式の会談、そういう二つのルートを先ほどお話がありました。それ以外に、国際刑事機構その他のそういう国際的な組織を通じて、国交のない国といえどもこの事件の解決のために努力させる、そういう道があるかと思うのですが、いかがでしょう。これは法務省あるいは警察、外務省。少しでも知恵を出して、この事案の解決のために総力を挙げる責任が日本政府はあると思うので、最後に聞きます。
◆奥村*18説明員
 これら一連の事案につきましては、この事件の重大性にかんがみまして、あらゆるチャンネルを使って情報の収集等を行っておるところでございます。
(中略)
 御指摘の国際刑事警察機構につきましても、必要な連絡はとっております。

 ということで政府、与党も拉致問題についてそれなりに動いてはいましたが、目に見える成果は小泉訪朝まで出なかったわけです。


北朝鮮三つの柱【調査会NEWS3010】(R01.6.21): 荒木和博BLOG

 昨日(ボーガス注:韓国に亡命した)太英浩・元北朝鮮駐英公使の講演を聞いてきました。その内容については主催者である北朝鮮難民救援基金をはじめ関係者の皆さんが報じると思うのですが、「北朝鮮の外交には三つの原則がある。一つはいかなる場合でも核は放棄しないということ、二つ目は米国は北朝鮮を攻撃できないということ、三つ目は中国は北朝鮮を放棄できず、核保有した北朝鮮をみとめるしかないということ」との話は印象的でした。

 まあ、荒木のウヨ仲間に呼ばれて講師をやるような人間ですからねえ。その発言にはあまり信用性はないでしょう。荒木らに気に入られて金儲けするために「あることないこと北朝鮮に悪口してる可能性が高い」わけです。
 たとえば「いかなる場合でも核は放棄しない」なんてことはないでしょうね。放棄することがメリットになると思えば放棄する。核保有はそれ自体が目的ではなく「体制維持のための手段」でしかありません。
 ただし「経済小国、軍事小国」北朝鮮には正直「核兵器カード」以外に有効なカードが少ない。一方、北朝鮮が対決している米国は「経済大国、軍事大国」です。そういう意味では「そう簡単に捨てられないカード」ではあるでしょう。
 荒木ら救う会にとって「横田めぐみカード」がそう簡単に捨てられないのと似たようなもんです。何せ「15歳の少女を暴力的に拉致」ほど世間にアピールする拉致事件は他にないですから(皮肉のつもり)。

・私は質問の機会があったので「核であれ人権問題であれ、北朝鮮の問題を解決するためには今の体制を変えてしまわなければならないと思いますが、北朝鮮の体制の弱点は何だと思いますか」という質問をしました。
・太英浩・元北朝鮮駐英公使
北朝鮮の体制は三つの柱の上に載っている。一つは閉鎖性。二つ目は暴力性、つまり国内における公開処刑政治犯収容所。そして三つ目が対外的な恐喝である。このうち二つ目と三つ目は外国からはどうすることもできないが、閉鎖性についてはうまくやれば破ることはできる。今は韓流ドラマや映画が大量に持ち込まれており大きな変化だと言える。」 
「公式対話では北朝鮮の幹部に対し常に人権改善を要求すること。人権圧力を課せば課すほど北朝鮮は変わっていく。5年前は工事現場で安全帽もかぶっていなかった。西側のNGOが暴露して指摘したら今は安全帽を与えるようになった。」
・(ボーガス注:太英浩・元北朝鮮駐英公使の回答を聞いて)北朝鮮の体制を倒すには情報の注入が効果的で、また強い姿勢で望めば反発しながらも相手は譲歩せざるをえない*19。私たちがこれまでやってきたことはそう間違っていなかったと再認識*20した
・3本の柱の上に載っているのなら一本だけでも倒せば全体が崩れるでしょう。ひょっとしたら私たちが考えているより脆いかもしれません。

 荒木ら救う会の目的が「拉致解決」ではなく、「それを口実にした北朝鮮攻撃(可能ならば北朝鮮の政権転覆)」でしかないことがよく分かる主張です。
 「人権問題はさておき」核なら「体制が変わらなくても」廃棄の可能性はあるでしょう。
 リビアカダフィ政権は体制が変わらなくても核廃棄しました。そもそも「民主国家である米英仏、インド、パキスタン」が核保有してることで分かるように、「民主主義であっても核保有するわけですから」、民主的か独裁的かと核保有には何の関係もありません。
 そして人権問題だって、太英浩・元北朝鮮駐英公使いわく

 公式対話では北朝鮮の幹部に対し常に人権改善を要求すること。人権圧力を課せば課すほど北朝鮮は変わっていく。5年前は工事現場で安全帽もかぶっていなかった。西側のNGOが暴露して指摘したら今は安全帽を与えるようになった。

ですからねえ。明らかに「体制が変わらなくても一定の改善はあり得る」わけです。
 つうか、「太英浩・元北朝鮮駐英公使の回答」のどこが「これまでやってきたことはそう間違っていなかった」と荒木が再認識出来るような内容なのか。

*1:田中内閣防衛庁長官自民党国対委員長(三木総裁時代)、福田内閣科学技術庁長官、大平内閣行政管理庁長官、中曽根内閣通産相、竹下内閣外相などを経て首相

*2:佐藤、田中内閣官房長官、大平、中曽根内閣蔵相、自民党幹事長(中曽根総裁時代)などを経て首相

*3:福田、中曽根内閣文相などを経て首相

*4:池田内閣経済企画庁長官、佐藤内閣通産相、三木内閣外相、福田内閣経済企画庁長官、鈴木内閣官房長官、中曽根、竹下内閣蔵相などを経て首相。首相退任後も、小渕、森内閣で蔵相

*5:大平内閣厚生相、中曽根内閣運輸相、海部内閣蔵相、自民党政調会長(河野総裁時代)、村山内閣通産相などを経て首相

*6:地村夫妻拉致のこと

*7:蓮池夫妻拉致のこと

*8:「増元るみ子さんと市川修一さん」拉致事件のこと

*9:蓮池夫妻、地村夫妻(以上、小泉訪朝で北朝鮮が日本への帰国を認めた)、「増元るみ子さんと市川修一さん」(小泉訪朝で北朝鮮が拉致の事実を認めたが死亡発表)のこと。

*10:現在では拉致被害者田口八重子氏とみられている。

*11:当時は「拉致」とは書いていません。

*12:拉致被害者の帰国のこと

*13:京都府知事、竹下内閣法相など歴任

*14:宮沢内閣郵政相、橋本内閣厚生相を経て首相

*15:クウェート大使、軍縮大使、沖縄担当大使、交流協会台北事務所代表を歴任した樽井澄夫氏のこと(この答弁当時は外務省大臣官房参事官)(ウィキペディア樽井澄夫」参照)

*16:森喜朗自民党総務会長(当時、後に首相)が団長を務めた自社さ三党訪朝団のこと

*17:竹下内閣官房長官自民党副総裁(河野総裁時代)、橋本内閣外相などを経て首相

*18:警視庁公安部長、警察庁警備局長、警視総監などを歴任した奥村萬壽雄氏のこと(この答弁当時は警察庁長官官房審議官)(ウィキペディア「奥村萬壽雄」参照)

*19:おいおいですね。小泉訪朝による拉致被害者帰国が「救う会の手柄だ」と強弁する気でしょうか?

*20:いや「小泉訪朝による拉致被害者帰国」以外に何の成果もなく、あげく拉致に対する国民の関心は低下の一途なんですから「荒木ら救う会の運動」は拉致解決という意味では失敗でしかないでしょう。