今日の産経&ロシアニュース(2019年6月22日分)

北方領土返還「計画ない」 プーチン露大統領、訪日前に表明 - 産経ニュース
 発言は予想の範囲内ですがこの時期にプーチン*1が安倍のメンツを完全に壊す発言をする動機がよく分かりません。もちろんプーチンなりの計算があるのでしょうが。


【田村秀男のお金は知っている】財務官僚が無視する増税の「不都合な真実」 - 産経ニュース
 「財務官僚」云々というタイトルが産経らしくてくだらないですね。
 つまり消費税増税批判したいが「安倍*2首相、麻生*3財務相」を批判したくないために「財務官僚ガー」と言い出すわけです。
 民主党政権ならストレートに「鳩山*4首相は消費税増税を辞めよ」などといっていたでしょうにね。
 どれほどデタラメなのか。


日露平和条約交渉「前進の可能性ある」安倍首相、テレビ出演で 衆院解散は重ねて否定 - 産経ニュース
 ここまで解散しないとしつこく言ってると言うことは「G20で何か自慢できることがない限りまず解散しない」んですかね。
 日経にも改憲へ解散の誘惑断つ 首相「過半数でも負け、は困る」 :日本経済新聞という記事が載っています。
 内容はタイトルから予想されるとおりで「過半数割れ政権交代)がなくても解散で与党議席を減らせば石破や野党の株を上げるし、改憲ムードも下火になる。プーチンとの首脳会談での成果が得られない以上、宣伝できる手柄がなく、議席増が出来るような情勢にない。むしろ年金2000万円問題などで議席が減りかねない*5(安倍)」云々だそうです。結局、安倍も「自分の支持が盤石では全くないこと(マスコミへの恫喝による批判報道封じや、最大野党立民党や石破が力不足であることなどで政権維持できているに過ぎない)」をよく自覚してるわけです。


勝敗ライン「与党過半数」 首相、参院選巡り表明 - 産経ニュース
 議席増ではなく「与党過半数」というあたり実に低い勝敗ラインですね。「それ以下の勝敗ラインってないだろ?」て話です。


【昭和天皇の87年】悲壮な覚悟の近衛文麿 「ここで陛下の思し召しが働いた」 - 産経ニュース

 通州(現北京市通州区)で起きた残虐な事件が、日本を泥沼へと引きずり込む

 で次回だそうです。たぶん「通州事件なんか起こす中国が悪い、だから日中戦争が拡大した」と責任転嫁で居直るんでしょうね。


【昭和天皇の87年】「日本人が大勢殺されている」 残虐!特派員が見た通州事件 - 産経ニュース

 1937(昭和12)年7月29日に通州(現北京市通州区)で起きた虐殺事件は、泥沼と化した日中戦争の実相を理解する上でも、忘れてはならないだろう。

 産経の言う「中国が悪い」という居直りは無論論外です。かつ日中戦争は戦争を拡大したい陸軍などが通州事件をネタに反中国感情をあおったこと「だけ」で拡大したわけでもない。
 とはいえ「通州事件をネタに反中国感情をあおったこと」は戦争拡大を助長したでしょうから、「産経が言う中国への責任転嫁」とは別の意味で知っておいた方がいい事件ではあるでしょう。最近発行された広中一成*6通州事件』(2016年、星海社新書)も副題は「日中戦争泥沼化への道」となってます。

 保安隊は日本軍と協力関係にあったが、一部は中国軍に通じており、中国軍勝利を伝えるラジオ放送にあおられて反乱を起こしたとされる(※2)。

 いわゆる誤爆説については産経も一応後で触れてはいますが、ろくな根拠もないのにそれを否定し、「中国軍と通じて」云々とは無茶苦茶です。

 通州事件の2日前、関東軍爆撃機が保安隊の幹部訓練所を誤爆し、死傷者が出る事件があり、それが反乱の原因になったとする説もある。
 しかし1986(昭和61)年に中国で刊行された第1保安隊長、張慶余の回顧録には、「自分は日本軍が大挙して南苑(盧溝橋のある地区)を侵犯し、かつ飛行機を派遣して北平(北京)を爆撃したのを見て、戦機すでに迫り、もはや坐視出来ないものと認めて、ついに(第2保安隊長の)張硯田と密議し、7月28日夜12時、通州で決起することを決定した」と書かれており、中国国民党軍と内通していた保安隊の隊長2人が、計画的に反乱に及んだとする説が有力である。

などという主張を裏付ける一次資料があるのか。当然ながら回想録などという物は「記憶違いや自己正当化のための虚言や誇張」があるのが普通ですから、回顧録だけで事実認定など無茶苦茶です。大体、産経の引用した文章のどこに「内通」なんて書いてあるのか。
 なお、通州事件については
「通州事件」の引き金
通州事件への視点
を紹介しておきます。


【産経抄】6月22日 - 産経ニュース

 共産党のご都合主義は過去に何度か紹介したが、分かっていても驚く。20日の参院環境委員会で、党所属議員が訴えていた。
「公務員獣医師が足りないという現実もある」。
 公務員獣医師不足解消を目指した加計学園獣医学部新設に、あれほど強く異を唱えたのはどの党だったか。

 むしろ「産経のデマは過去に何度か紹介したが、分かっていても驚く」ですね。共産に対する「レベルの低い誹謗デマ」も甚だしいですね。
 「公務員獣医師が足りない」のは共産の認識では「獣医学部が足りないから」ではありません。
 「公務員獣医師の給与が安いから」です。「民間で金持ち相手にペット獣医師」でもやった方が公務員獣医師より儲かるからです。
 共産の認識では「獣医師や獣医学部は別に不足していない」。
 したがって公務員獣医師を増やす策は共産の立場だと「獣医学部の新設」ではなく「公務員獣医師の給与を上げる」ということになります(ちなみにこうした認識は共産だけでなく日本獣医師会も確かそうです。そして日本獣医師会も加計の学部新設には反対していました)。
 「そうした認識の是非」はともかく、当然ながら共産党の認識には矛盾もご都合主義も何もありません。かつ「獣医学部が足りない」という認識に立つとしてもそれは、「安倍と癒着する加計学園お手盛り獣医学部新設を認めていい」という話ではありません。
 加計でなくても他の大学でもいい訳です(そもそも加計の問題は学部新設の是非と言うより、お手盛りで加計に学部新設が認められたこと、つまり「贈収賄の疑いすらある」安倍と加計の癒着による不公正行政です)。
 もちろん俺が今書いたようなことは産経も分かった上でデマを書き飛ばしてるわけです。産経にはいつもながら呆れて二の句が継げません。
 しかし「参院選前の共産ネガキャン」でしょうがあまりにもレベルが低いのでかえって逆効果じゃないか。これを信用する(あるいは信用した振りをする)のはよほど「頑固な自民党公明党支持者」だけでしょう。
 それにしても「ご都合主義と矛盾」というなら「戦前日本は正しかった、ハルノートアメリカにはめられた」といいながら、一方では「日米安保を堅持する」という産経の方こそ矛盾でデタラメではないのか。
 「ハルノートアメリカにはめられたから太平洋戦争になった。日本は好きで戦争したわけではない」といいながら、一方では「あの戦争は、東南アジアを解放する正義の戦争」という産経の方こそ矛盾でデタラメではないのか。
 あるいはこの種の「産経的な反共主義」に加担しながら過去の「陸前高田市長選(立候補した元共産党市議を自民が支援)」「大阪ダブル選や堺市長選」では「勝てればいい」と共産と共闘した自民(ただし大阪ダブル選では敗北)こそが矛盾でデタラメではないのか(なお、共産の方は「維新打倒のためにやむを得ず」「陸前高田市をよくするためにやむを得ず」「政策合意は一応ある」と釈明して、党員、後援会員、支持者の同意を得ている以上「是非はともかく」ご都合主義ではないでしょう)。

 8日付の小欄では、共産党が長く「打倒」「廃止」を掲げていた皇室制度を容認し、女性・女系天皇に賛意を示したことの真意を考えてみた。

 で「8日付の小欄」で産経が何を言ったかと言えば「女帝制度は天皇制廃止の陰謀」という与太です。むしろ現実問題として女帝以外に「皇位継承者を増やす現実的策はない」でしょうに。だからこそ世論調査でも女帝支持が多いし、「悠仁君の誕生&自民党内ウヨの反発」で小泉首相はやる気を失いましたが、「当初は女帝導入を小泉氏は目指していた」わけです。産経の言う「元皇族の復帰」なんて「元皇族にスキャンダルが発覚しかねないこと(実際、元皇族の竹田JOC会長が東京五輪誘致買収疑惑で引責辞任)」「元皇族が今の天皇家からは極めて遠い親戚で今ひとつありがたみがないこと」などで支持なんかウヨ以外にはほとんどありません。
 そして、産経は小泉氏が「天皇制廃止論」だとでもいうのか。
 そして、共産党の主張は
「いずれは廃止すべきだと思うが、国民の間に廃止論が強くないので当面は存続を容認する」
「その場合、『どうせ廃止する天皇制だから、現状が政教分離に反してないか、天皇の政治的中立性に反してないかという観点を除けば、どうなろうと知ったことじゃない。どうでもいい』『そもそも天皇制なんて身分制度で存在自体が差別なんだから、女性天皇が認められてなくてもどうでもいい。むしろ廃止された方が法の下の平等につながるから存続につながる可能性が高い女帝に反対する』つう態度はとらない」
「男女平等の観点からは女帝を認めるべきだ」つう話でしかありません。
 それとも産経は共産党に「男女平等には反するが、天皇制を廃止するために女帝制度に反対する。とにかく天皇制廃止が出来れば手段は選ばない。そもそも男女平等のために天皇という身分制度が残ってしまうのはおかしいから。身分制度がなくなることは法の下の平等の観点から正しい」とでもいってほしいのか。そう共産党が女帝反対と言えば「女帝制を導入しよう」と考えを改めるのか。まあ、何があろうと産経は女帝反対の考えを改めないのでしょうが。

 元共産党参院議員、筆坂秀世氏の新著『日本共産党の最新レトリック』も、同党のご都合主義に詳しい。

 産経が宣伝してることで予想がつくでしょうが筆坂の新著の版元は「産経新聞出版」です。
 まあ筆坂も落ちぶれたもんだとしか言い様がないですね。
 離党当初は『九条新党宣言』(天木直人氏との共著、2006年、展望社)という本を書いて護憲派ぶっていたのに、あるいは『私たち、日本共産党の味方です』(鈴木邦男氏との共著、2007年、情報センター出版局)なんて本を出して共産党に苦言を呈するリベラル左派であるかのような態度をとっていたくせに「本があまり売れなかったためか」、今や、『日本共産党中韓: 左から右へ大転換してわかったこと』(2016年、ワニブックスPLUS新書)なんて右翼本を書き河野談話否定論を公言するまでに転落しています。
 まあ、まともな人間なら「武士は食わねど高楊枝」で「参院議員、日本共産党政策委員長」まで勤めた人間がそこまで無様な醜態をさらさないんですが、筆坂はまともじゃないわけです。例のセクハラ問題も、当初「無実」と言い訳していた筆坂も今や「だんまり」ですし、やはり事実だったのでしょう。今思えば共産党執行部や被害者は奴に「武士の情け(議員継続は無理だが一党員として反省してやり直してもらう)」などかけずに「可能ならば民事訴訟と刑事訴訟(強制わいせつ)」で筆坂を訴えて「表舞台から完全に消えてもらった方がよかった」ですね。

 なぜ安全保障関連法は即時廃止を求めるのに、違憲と断じる自衛隊に関しては、国民多数の合意ができるまで存在は認めると保留するのかに明快に答えている。
自衛隊の即時解消は大きな反発を受けると思っているからだ。要するに、選挙目当てだけ」。

 「で、それがなんか問題なの?」「自民党が建前上は改憲を党是としながらも、ずっと改憲案を国会に出さないのも選挙で反発受けるからでしょ?」ですね。
 「将来目標としては自衛隊廃止だが、当面難しい。そこで、当面は自衛隊存続派(保守派含む)でも支持できる、憲法九条改正反対、自衛隊予算縮減(軍縮)や自衛隊の海外派兵反対、自衛隊のいじめ問題などを取り上げよう。そうすることで自衛隊廃止論につなげよう」「安保関連法即時廃止はすぐに出来そうだから強く主張する」つう事の何が問題なのか。
 そりゃ産経にとっては「自衛隊即時廃止」でも訴えてもらった方が「野党共闘が成立しないで助かる」のかもしれませんが。
 そして、むしろ今の筆坂の生き様の方こそ「ウヨにこびへつらうことでしか本が出せないと思っているからだ、要するに金目当てだけ」でしょう。有田芳生氏など、「離党や除名」で様々な事情で共産を離れた人間はいろいろいるわけですが、「カネのために商売右翼に転落した(しかし大して話題になってない)」筆坂ほどみっともない生き方もそうはないでしょう。俺が知ってる「右翼転落」は、他には萩原遼と兵本達吉、藤岡信勝(元つくる会会長)くらいですかね。
 もちろん「カネは大事」です。しかし仮にも共産党議員時代「カネが全てじゃない」として「自民党議員の金銭疑惑(リクルートなど)」を批判、追及してきた筆坂がここまで「カネのためなら何でもあり」とは呆れて二の句が継げませんね。奴が議員時代に支援してきた党員、後援会員、支持者も「筆坂には裏切られた」「どこまで恥知らずでクズなのか」という怒りと失望を禁じ得ないでしょう。

「性的マイノリティーの方など、多様な性を持つ人びとが天皇になることも認められるべきだ」。
 志位和夫委員長は雑誌『AERA』(6月17日号)のインタビュー記事でこう述べている。もはや何でもありとの印象である。

 「気づきませんでした」が、「当たり前の話」ですよねえ。性的マイノリティーというのは「生まれつき」であって「宗教や政治思想とは違って」自分で選べるもんではない。
 将来「性的マイノリティの皇位継承者が現れない」という保証はどこにもありません。いや過去においても「そういう天皇はいたが単にカミングアウトできなかった」だけかもしれません(今となっては分かりませんが)。
 あるいは「多分違うでしょうが」、悠仁君や愛子さんが「性的マイノリティでない」という保証もどこにもないわけです。
 むしろこういうことを言う産経は「性的マイノリティの皇族の出現」についてどう思ってるのか。
 「そんなことはありえない」つうことはありえません。それとも「仮にそんな皇族がいたとしても、カミングアウトなんかとんでもないことだ。愛子さんの恋人が女性だの、悠仁君の恋人が男性だの許されることではない」つうのか。それ昔ならまだしも今や完全に性的マイノリティー差別でしかないですが。

参考

共産・志位委員長「女性だけでなく多様な性の天皇を認めることに賛成」 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)
■志位
 私たちは女性・女系天皇を認めることに賛成ですし、性的マイノリティーの方など、多様な性を持つ人びとが天皇になることも認められるべきだと考えています。


長島昭久氏が自民入党へ 民主政権で防衛副大臣 - 産経ニュース
 「細野*7二階派入会」同様、予想の範囲内ですが全くふざけた話です。


【安倍首相「言論テレビ」詳報】(上)G20首脳宣言「ギリギリの交渉している」(1/10ページ) - 産経ニュース
 よしこが司会のネトウヨ放送局「言論テレビ」てあたりが安倍はいつもながら正気じゃないですね。
 「何でNHKや地上波民放の出演じゃないの?」ですが、まあ、安倍は「よしこにおだてられて、得意になりながら、ウヨ放言をしまくりたかった」んでしょう。
 安倍も「NHKや地上波民放では司会はさすがに安倍が変なことを言えば、批判するかもしれない」という自覚はあるようです。それでも「ならよしこの番組に出ればいいや」つうあたり安倍は本当に気が狂っていますが。そんなに批判されることがいやなら首相になぞなるべきではないでしょう。
 そして「よしこの中教審委員退任」も安倍は内心では不満だったんでしょうねえ。おそらく文科政務三役(文科大臣、副大臣大臣政務官)や文科官僚に反対されて渋々「事実上の更迭」なんでしょう。

*1:エリツィン政権大統領府第一副長官、連邦保安庁長官、第一副首相、首相を経て大統領

*2:自民党幹事長(小泉総裁時代)、小泉内閣官房長官を経て首相

*3:橋本内閣経済企画庁長官、森内閣経済財政担当相、小泉内閣総務相、第一次安倍内閣外相、自民党幹事長(福田総裁時代)を経て首相。現在、第二~四次安倍内閣副総理・財務相

*4:細川内閣官房副長官新党さきがけ代表幹事、民主党幹事長などを経て首相

*5:とはいえ現状において安倍は改憲案が提出できない以上「改憲以外の政治問題」はともかく、改憲について言えば、「解散しようとしなかろう」と改憲が可能とは思いがたいですが。むしろ安倍は「改憲云々」を解散しない口実にしてるだけではないか。

*6:著書『冀東政権と日中関係』(2018年、汲古書院)、『牟田口廉也:「愚将」はいかにして生み出されたのか』(2018年、星海社新書)など

*7:野田内閣環境相民主党幹事長(海江田代表時代)、政調会長岡田代表時代)、民進党代表代行(蓮舫代表時代)を歴任