黒井文太郎に突っ込む(2019年6月27日分)

黒井文太郎
 ハメネイ*1が「40年間負けてない!*2」と胸を張る。
 イスラム保守派の独裁をキープしてきたのは、米国などの脅威だけでなく、自国民を完璧に弾圧できていたという意味で、難事業だったのは事実。
 北朝鮮や中国もそうだが、独裁は反対派を完全に力で弾圧できないと存続が困難

 おいおいですね。「ホメイニ体制」という枠があるとは言え、一応選挙のあるイランを独裁呼ばわりもどうかと思いますが、もっと問題なのは「独裁=弾圧」としている点ですね。
 「弾圧だけで独裁が成立する」のなら中国やベトナムは改革開放しなくてよかったし、韓国・朴チョンヒも高度経済成長路線など目指さなくてよかった。
 北朝鮮も「開城工業団地」なんか作る必要もないし「日本の経済支援目当て」に蓮池夫妻らを帰国させる必要もない。。
 「飴なしでの統治」はいかに独裁でも難しいからこそ「経済振興」がされるわけです。
 あるいは戦前日本で言えば「ご真影」などの天皇イデオロギーによる洗脳がなされる。例えばイランで言えばホメイニ崇拝です(まあホメイニは「その政治方針をどう評価するにせよ」偉大な人物だとは思いますが)。
 「国民の一定の支持」なしでの独裁はあり得ない。「そうした支持の過大評価」は勿論論外ですが、黒井のように「弾圧だけで独裁が成立しているかのように言う」のも大きな間違いです。

*1:国防次官、イスラム革命防衛隊司令官、大統領などを経て最高指導者

*2:イランイスラム革命(1978年)から40年間、ホメイニ体制をキープしてきたと言うこと。