今日の中国ニュース(2019年6月29日分)

アップル、中国に生産移転 唯一の米国製パソコン - 産経ニュース

 米紙ウォールストリート・ジャーナル電子版は28日、米アップルが今秋発売予定の専門家向けパソコン「マックプロ」の新製品を中国で生産していると報じた。前モデルはアップルの主要製品で唯一、米国で生産していた。中国で生産した方が部品の輸送コストを抑えられるとしている。

 ということで「苦境ではないとは言いませんが」産経が騒ぎ立てるほど中国も「米中貿易摩擦」で苦境に立ってるわけでもないでしょう。


習氏「日本人もっと中国来て」 首相はキングダム話題に [G20大阪サミット]:朝日新聞デジタル

 習近平(シーチンピン)国家主席が27日夜、大阪市で開かれた安倍晋三首相との夕食会で、「もっと日本人に中国へ来て欲しい」と求めていたことがわかった。日本政府関係者が明らかにした。日本から中国への訪問者はピークだった2007年は397万人。18年は269万人に減っており、習氏は危機感を強めているとみられる。
 夕食会に先立つ日中首脳会談では、両国の外相をトップとする「日中人文対話」(仮称)を年内にも設けることで合意。日中で観光や映画など文化の交流促進について協議する予定だが、日本から中国への訪問者の増加も重要なテーマになりそうだ。

 まあ実際に習氏はそう言ったのかもしれませんが、こんなことをアピールする安倍一派のもくろみは明白でしょう。
 「安倍は中国に頭を下げてない」「中国が安倍に頭を下げたのだ」という強弁でしょう(で、その強弁を産経らウヨは信じた振りをすると)。この朝日記事がそうした強弁を「支持してるようにしか見えない」のが「何だかなあ」ですね。そもそも「日中の観光交流推進」というのは「中国人観光客ウエルカム」という「日本の金儲け」という要素もあるはずですが。


米国、中国に追加関税課さず 首脳会談終える - 産経ニュース
トランプ氏、ファーウェイ取引を容認 「第4弾」追加関税見送り - 産経ニュース
 トランプはあくまでも「米国企業の金儲け」のことしか考えておらず産経などの言う「米中のイデオロギー対立」などないことがよくわかります。
 金儲けのことしか考えてないからこそ
1)発動した場合「中国から部品などを輸入している」米国企業への深刻なダメージがかえって危惧される追加関税などおいそれとはできないし
2)金儲けの観点で中国が妥協し、米国企業が利益を得られるなら追加関税を発動する必要もないわけです。その結果「ひとまず発動が先送り」になったわけです。


【編集者のおすすめ】『中国大自滅』渡邉哲也、福島香織著 - 産経ニュース
 ネトウヨの大好きな中国崩壊論本がまた一冊出来ただけの話でしかありません。
 正直

【年代順→著者名のあいうえお順→出版社名のあいうえお順】
【2005年】
宮崎正弘『瀕死の中国』(阪急コミュニケーションズ*1
山崎養世『チャイナ・クラッシュ:中国バブル崩壊後、日本と世界はどうなるのか』(ビジネス社)
【2006年】
宮崎正弘『中国瓦解:こうして中国は自滅する』、『中国から日本企業は撤退せよ』(阪急コミュニケーションズ)
【2007年】
宮崎正弘『中国は猛毒を撒きちらして自滅する:全世界バブル崩壊の引き金を引くのも中国』(徳間書店
【2008年】
・青柳孝直『世界を恐怖に陥れる 中国大崩壊の衝撃』(総合法令出版)
黄文雄『それでも中国は崩壊する』(ワック文庫)
三橋貴明『本当にヤバイ!中国経済』(彩図社
宮崎正弘北京五輪後、中国はどうなる?:中国崩壊これだけの理由』(並木書房)
宮崎正弘『崩壊する中国逃げ遅れる日本:北京五輪後に始まる戦慄のシナリオ』(ベストセラーズ
【2009年】
・石平『中国のメディアが語る中国経済崩壊の現場』(海竜社)
【2010年】
・石平『中国の経済専門家たちが語るほんとうに危ない!中国経済』(海竜社)
宮崎正弘『上海バブルは崩壊する』(清流出版)
【2011年】
宮崎正弘『中東民主化ドミノは中国に飛び火する』(双葉新書)
【2012年】
青木直人中国ビジネスの崩壊:未曾有のチャイナリスクに襲われる日本企業』(宝島社)
・宇田川敬介『2014年、中国は崩壊する』(扶桑社新書)
黄文雄『世界中に嫌われる国・中国:崩壊のシナリオ』(ワック文庫)
宮崎正弘『中国が世界経済を破綻させる』(清流出版)
【2013年】
河添恵子『中国崩壊カウントダウン』(明成社
・渋谷司『中国高官が祖国を捨てる日:中国が崩壊する時、世界は震撼する』(経済界新書)
・石平『「全身病巣」国家・中国の死に方』(宝島社)
・石平『なぜ中国から離れると日本はうまくいくのか』(PHP新書)
宮崎正弘中国バブル崩壊が始まった』(海竜社)
【2014年】
・石平『中国崩壊カウントダウン』(宝島社)
宮崎正弘『「中国の時代」は終わった』(2014年、海竜社)
【2015年】
・勝又壽良『中国経済まっさかさま 中国共産党崩壊間近の予兆』(アイバス出版)
・石平『「死に体」中国の宿命』(宝島SUGOI文庫)
・石平『習近平にはなぜもう100%未来がないのか』(徳間書店
・日暮高則『こんなに脆い中国共産党』(PHP新書)
三橋貴明『中国崩壊後の世界』(小学館新書)
三橋貴明『中国との貿易をやめても、まったく日本は困らない!』(ワック)
宮崎正弘『「中国の終わり」にいよいよ備え始めた世界』(徳間書店
宮崎正弘『「アジアインフラ投資銀行」の凄惨な末路』、『中国大破綻』(PHP研究所
渡邉哲也『余命半年の中国経済』(ビジネス社)
【2016年】
福島香織『赤い帝国・中国が滅びる日』(ベストセラーズ
宮崎正弘『世界大乱で連鎖崩壊する中国』(徳間書店
【2017年】
・勝又壽良『バブルで衰退する中国 技術力で復活する日本』(アイバス出版)
・渋谷司『2017年から始まる! 「砂上の中華帝国」大崩壊』(電波社)
宮崎正弘習近平の独裁強化で世界から徹底的に排除され始めた中国』(徳間書店
【2018年】
宮崎正弘『米中貿易戦争で始まった中国の破滅』(徳間書店
宮崎正弘習近平の死角 独裁皇帝は間違いなく中国を自滅させる』(扶桑社)
渡邉哲也『2019年 アメリカはどこまで中国を崩壊させるか』(徳間書店
【2019年】
福島香織習近平の敗北:紅い帝国・中国の危機』(ワニブックス

と「10年以上前(2009年より前)からずっと」十年一日のごとく「中国が崩壊する」とデマ飛ばすウヨ連中には心底呆れます(「中国崩壊」でググってヒットした本をあげています)。しかし福島香織も本当に落ちぶれたもんです。それにしても宮崎正弘キチガイぶりは半端じゃないですね。「10年以上前(2009年より前)からほぼ毎年、中国崩壊本を出し続ける」とは常人にはまねの出来ない異常行為です。宮崎に本を出させる出版社(例:徳間書店)も気が狂っていますが。


【昭和天皇の87年】敏速に動いた中国共産党 毛沢東は対日戦争を呼びかけた - 産経ニュース

 中国共産党は事件勃発後、敏速かつ計画的に動いたようだ。
 盧溝橋で日中両軍が衝突した翌日の1937(昭和12)年7月8日、毛沢東蒋介石に打電した。
 「蒋委員長の高覧を仰ぐ。日本侵略者は盧溝橋を進攻し、その武力による華北奪取という既定の段取りを実行に移した。(中略)願わくば全国総動員を実行して、北平(北京)・天津を防衛し、華北を防衛して失地を回復されんことを。紅軍将兵全員が委員長の指導のもとで、国家のために生命を捧げ、敵に対抗して、国土と国家を防衛する目的を達成せんことを希望している」
 即時開戦を呼びかける内容だ。中国共産党は同日、中国全土の新聞社、各団体、各軍隊に向けても打電した。
 まるで盧溝橋事件が起きるのを予期していたかのような手回しのよさだ(※1)。

 完全な陰謀論ですね。盧溝橋事件についてはいわゆる「兵隊一名行方不明問題」を無視するわけにはいきません(産経などは平気で無視しますが)。
 「兵隊の行方不明事件(実際には単に道に迷っただけですが)」を「中国による攻撃の疑いがある」として、攻撃理由の一つとして日本の対中国への軍事行動(盧溝橋事件)が始まっている以上、「そんな行方不明事件を創出できるわけがない*2中国共産党の陰謀などと言うことはあり得ません。むしろ当時は「満州事変に続く日本の陰謀」が疑われてました。
 なお「兵隊の行方不明」「銃声*3」どちらも「日本軍の謀略」ではなく、事実と見るのが通説ですが、正直軍事行動を起こすほどの大事件ではなく「イケイケどんどんの現場が暴走した」わけです。
 「軍事行動の理由になり得ない程度の小さな事件を、無理矢理軍事行動の理由にした(現地の日本軍)」というのは「ある種の謀略」といってもいいかもしれません。
 別に中国共産党の打電は産経が言うほどスゴイ話でもないでしょう。日本と中国は満州事変以降、戦争状態にあるわけで、当然「何かあったときの予定原稿」位中国共産党も作ってるでしょう。
 「昭和天皇下血後の、天皇死去に備えた予定原稿」みたいなもんです。その予定原稿を適当に修正すればいいのだからそんなに厄介な話でもない。なお、この陰謀論については盧溝橋事件 中国共産党陰謀説を紹介しておきます。

 敏速に動いた毛沢東の狙いは、蒋介石との連携(国共合作)による中国共産党の勢力温存である。1930年以降の国共内戦で壊滅寸前に追い込まれていた共産党が、36年の西安事件(※2)で息を吹き返したことはすでに書いた。しかしその後、国共合作に向けた交渉は進まず、蒋介石がいつ変心して共産党を攻撃するかも分からない情勢だった。
 そんな時に発生した盧溝橋事件は、毛沢東共産党にとって、まさしく僥倖(ぎょうこう)だったといえるだろう。

 それ単に結果論ですし、そこから出てくるのは「蒋介石と戦争して結果的に毛沢東を有利にした当時の日本がバカだった」という話でしかありません。
 当時の日本は蒋介石中華民国政府(中国国民党)を完全になめていたし、毛沢東中国共産党についてはもっとなめていたわけです。「蒋介石毛沢東がどうあがこうが俺たちがいずれ勝利する」としか思ってない。
 「ベトナムで戦争を始めた米国」「アフガンで戦争を始めたソ連」みたいなもんです。確かに中国単独では日本には勝てなかったかもしれない。しかし中国・蒋介石政権は「日本の中国侵略」に批判的な欧米の政治的支持を得て、「欧米から軍事支援を受ける」とともに、米国が対日経済制裁(当時は米国が世界最大の産油国だったため、特に対日石油禁輸が痛かった)を始めたことで日本の楽観的観測「蒋介石は簡単に打倒できる」は崩壊します。このあたりについてはたとえば、小林英夫『日中戦争』を紹介しておきます。
 なお、国共合作後も「皖南事変*4(1941年)」という武力衝突が起きており、国共合作は順風満帆だったわけではありません。

 日中両軍が対峙(たいじ)している現場で毎晩のように謎の銃声が響き、これを合図に戦闘が起きるため日中双方で調べたところ、共産党の指令で学生らが爆竹を鳴らしていたケースもあった(※3)。

 「出典が明確に示されてない」上に産経の記事では「共産党の謀略云々」は真偽が怪しい。いずれにせよ、日中戦争が全面戦争化した「主たる理由」はそういう話ではありません。日本が「蒋介石政権打倒による中国完全植民地化」などという蒋介石側にはおよそ飲めない方針を立てたことが理由の訳です。

 蒋介石は当初、共産党との連携に乗り気でなかったが、戦況が不利になるにつれ、交渉に前向きとなる。すると共産党は態度を変え、人事問題などで要求をエスカレートさせた。毛沢東は8月1日、周恩来にこう打電している。
 「今の蒋は私たちよりも焦っている」
 盧溝橋事件で蒋介石は、共産党の術中に落ちたといえなくもない。

 「出典が明確に示されてない」「何がどうエスカレートしたのか全く具体的ではない」上に産経の記事では真偽が怪しい。大体、国民党と共産党の関係はそんなに共産党上位ではないでしょう。


【主張】日中首脳会談 見せかけの友好は疑問だ - 産経ニュース

 安倍晋三首相と習近平中国国家主席大阪市内で会談し、習主席が来年春に国賓として再来日することで合意した。
 両首脳は、日中関係が「完全に正常な軌道に戻った」と改めて確認した。安倍首相は国賓として招く際に「日中関係を次の高みに引き上げたい」と表明し、習主席は賛意を示した。
 中国では、スパイ活動の疑いなどで日本人が拘束され、懲役15年などの重刑を言い渡されている。事実関係が明らかにされないままの判決や拘束は、重大な人権侵害だ。沖縄の島である尖閣諸島石垣市)の周辺海域では、中国公船の侵入が続いている。
 日本人の釈放の実現や、中国公船の侵入がやむことなしに、実質を伴う関係改善はあり得ない。

 と産経が言っても安倍は無視するでしょうし、そんな安倍に対して産経も「腰の引けた批判」しかできないでしょう。
 産経にとって「枝野立民党代表」など、野党への政権交代は勿論、「石破元幹事長」「石原元幹事長」「岸田政調会長(前外相)」など「安倍以外の自民有力議員の首相就任」も望む物ではないからです。
 「安倍並みの極右&自民有力議員」なんてもんはいないからです。「菅官房長官」ら安倍の子飼い連中は首相になれるタマじゃないでしょう。「安倍に引き上げてもらった」だけで能力もなければ、安倍のような祖父(岸元首相)や親(安倍晋太郎元幹事長)の七光りもない。
 だから安倍政権以外ではろくな役職に就いてないわけです。
 なお、「中国の問題点」と「日中友好」は「それはそれ、これはこれ」です。隣国にして経済大国の中国と対立関係になれるわけもない。
 もちろん民主主義や人権の観点で中国に問題があるのは事実ですが、それはそう簡単に変わるもんではない。かつそうした問題点を抱えてるのは中国だけではない。
 「共産党一党独裁キューバベトナムラオス」「軍事独裁のエジプトやタイ」「フンセン長期政権が続くカンボジア」「政権中枢が記者殺害に関与した疑惑のあるサウジ」などがあるわけで中国だけ批判するのもおかしな話です。

 安倍首相は会談で、拘束された日本人の早期帰国実現を要請し、尖閣海域の中国公船の活動に自制を求めた。南シナ海の非軍事化を促し、香港やウイグルなど中国の人権状況への懸念も伝えた。
 中国による知的財産権侵害や技術移転の強要、不当な産業補助金の是正も要求した。
 言うべきことを一通り伝えたのは評価できるが、習主席がどのような反応をしたのか分からない。言い放しで馬耳東風を許していては日中関係の実態はなんら改善しない。

 安倍が「言うだけは言った(習主席が賛同しなくても仕方がない、そこまで責任持てない)」で片付けるであろう事を産経も十分理解しているわけです。

 日本は、どちらにもいい顔をするような対米、対中姿勢を続けられない。

 いやいや米国も中国も、経済大国であって、「日本に限らず」、どこの国にとっても「公然と敵対できるような国」じゃないですからね。「Aという問題では米国を立てるが、Bという問題では中国を立てる」という形しかあり得ないでしょう。

*1:2014年10月に事業再編を行い、宝塚歌劇関連事業を宝塚クリエイティブアーツに、フリーペーパー事業と阪急電鉄関連出版事業を阪急アドエージェンシーにそれぞれ譲渡し、残った出版事業を新設する株式会社CCCメディアハウスに分割した上で同社株式をカルチュア・コンビニエンス・クラブに譲渡、法人としての阪急コミュニケーションズは清算することとなった(ウィキペディア「阪急コミュニケーションズ」参照)。

*2:「行方不明になった兵隊は中国のスパイ」というのはさすがに非常識なので産経ですらそんなことは言いません。

*3:これにしても「陰謀ではなく単に偶発的事件」と見るのが通説です。

*4:中国国民党軍の攻撃で新四軍の軍長・葉挺(1896~1946年)が捕虜となり、副軍長・項英(1898~1941年)は死亡。陳毅(1901~1972年。新中国建国後、上海市長、外相など歴任)が軍長代理に就任した(ウィキペディア「皖南事変」参照)。