昨日の各紙は、中央官庁の幹部人事を一斉に報じていた。
霞ヶ関ってなぜか7月にも人事異動をやるようですね。しかし仮に安倍が「衆院解散」でもしてればドタバタして人事発表が遅れたんでしょうか?
そのなかでも破格の扱いで伝えていたのが、文部科学省の初等中等教育局長に丸山洋司官房審議官(57)を起用する人事である。丸山氏は、かつての国家公務員採用I種試験、現在の総合職試験に合格した、いわゆる「キャリア」ではない。文科省で初めてのノンキャリア出身の局長という点に、ニュースの価値があった。
「霞ヶ関的には重要」なんでしょうが、まあ我々一般人にとってはどうでもいい話です。なお、産経以外の記事も見てみましょう。
文科省の初中局長に丸山氏 ノンキャリ出身で初 :日本経済新聞
ノンキャリ、初の文科省局長に…「看板局」に異例の抜擢 : 政治 : 読売新聞オンライン
ノンキャリアで初の文科局長就任へ 官房審議官・丸山氏:朝日新聞デジタル
ノンキャリアで初の文科局長就任へ 官房審議官・丸山氏:朝日新聞デジタル
丸山氏は大分県出身。同県立高校を卒業した1981年に国家公務員採用初級試験に合格し、翌年に大分医科大(現・大分大)の職員に採用された。88年に旧文部省に転任し、文科省では特別支援教育*1課長や私学助成課長を経て、昨年10月から官房審議官だった。
内容は全て大同小異なので、朝日だけ紹介します。むしろ「ノンキャリア*2」というところより「え、何、高卒なの?。短大卒でもないの?」「高卒の局長って他にいるの?」つうほうが驚きですが。まあ、「高卒で局長(キャリアポスト)」なのだから有能なのでしょう(「局長ポスト」は東大卒の前川元次官のように有名大卒が普通でしょう)。俺なんか「一応大卒」なのにそんなに偉くないのでこういう記事を読むとむしろへこみます。
まあ、京大卒(自称ですが)でも「兵庫県庁の下級職員で退職した野原燐(ハンドルネーム)」という人もいますしね(苦笑)。
県立高校を卒業した1981年に国家公務員採用初級試験に合格し、翌年に大分医科大(現・大分大)の職員に採用された。
つうのは高卒としか読めないでしょう。しかしここで『高卒で局長は云々』とは書かないのは結構そういう人も未だに意外と霞ヶ関に多いんですかね。
▼江戸時代は、厳しい身分制度と家格制に縛られていた、とのイメージが強い。ただし例外もあったらしい。幕府財政の運営を担当する最重要役所である勘定所では、能力次第で出世も可能だった。
▼たとえば嘉永5(1852)年に勘定奉行にまで上り詰めた川路聖謨*3(としあきら)は、正式には幕臣とはいえない家の出自である。当時のノンキャリアといえる川路は、後にロシアとの交渉役まで任され、歴史に名を残した。
川路(1801年生まれ)の場合、「幕末維新の激動期」なので例として適切ではないでしょう。この時代は「勘定所勤務経験者ではない」勝海舟*4(1823年生まれ)なんぞも出世していますし。
なお、「正式には幕臣とはいえない家の出自」というのはいわゆる「御家人株の購入」です(建前では違法行為なので、養子縁組の持参金という形をとる。実際には完全に黙認状態)。勝海舟の先祖なども「御家人株の購入」で幕臣になった口です。
【主張】参院選公示 国の土台築き直す論戦を 安全保障から目をそむけるな - 産経ニュース
社説の「安全保障」とはもちろん「改憲」のことですがそんなもんを争点にして議席がとれるのなら、「それを争点にした衆参ダブル選挙」を安倍も仕掛けてるでしょう。むしろ野党側(特に社民、共産といった左派)が「改憲阻止」をアピールすることはあり得ても、安倍自民から「改憲が争点」とアピールすることはないでしょうね。
「娘に報告できない」神戸女児殺害、無期確定で母親がコメント - 産経ニュース
遺族が「死刑以外は判決として認めない」と感情論を爆発させるのは「支持はしませんが理解は出来ます」。
マスコミが無批判にこうした主張を垂れ流すのは全く理解が出来ないですね。これが正しいと思ってるのか。はたまたその方が売れるのか。
なお、「単なる偶然」でしょうが裁判長の山口厚は東大名誉教授(刑法が専門)です。
・山口『刑法入門』(2008年、岩波新書)
などの著書があります。
裁判員の国民感覚と先例に距離… 神戸・女児殺害の死刑判決破棄(1/2ページ) - 産経ニュース
これまで被害者1人で死刑が確定したのは仮釈放中の無期懲役囚によるものや身代金目的誘拐の計画的事件など。
■神戸小1女児殺害事件
神戸市長田区で平成26年9月11日午後、市立小1年の女児=当時(6)=が学校から帰宅後に外出して行方不明になり、同月23日、自宅近くの雑木林で遺体が見つかった事件。殺人罪などで近くに住む無職、君野康弘被告(52)が起訴された。1審裁判員裁判では「死刑を回避する事情は見当たらない」として死刑を言い渡されたが、2審判決では「計画性は認められない」などとして無期懲役に減軽された。
いつもの産経ですが「国民感情」なんて感情論で量刑相場や「いわゆる永山基準」という判例を無視していい訳がないでしょう。
そもそも無期懲役はそんなに軽い罪ではありません。最低でも20年ぐらいは服役しないとまず仮出所できないと言われていますし、最近では「仮出所できずに獄中死」もめずらしくない。
そして死刑には「免田事件」「財田川事件」などで表面化した死刑えん罪の問題があるわけです。