高世仁に突っ込む(2019年8/4分)

グアムまで飛ばないうちはお友達 - 高世仁の「諸悪莫作」日記
 タイトルだけで「ああ、北朝鮮の短距離ミサイル発射をトランプが非難しないことがそんなに悔しいのか。アンチ北朝鮮の高世らしいな」ですね。
 タイトルの元ネタは「本郷も かねやすまでは 江戸のうち」でしょうか。

 受信料を支払った人だけがNHKを視聴できる「スクランブル放送」に安倍首相が同調すれば、憲法改正の国会発議に賛同する交換条件を提示する立花党首。

 まあ安倍は同調しないでしょうね。国民民主ならまだしも、N国党程度の議席では意味がない。一方多くの人間はそうした「スクランブル放送」には否定的なわけです。N国も「安倍が飲まない」と見切って「安倍総理NHKに媚びてる」と攻撃して売名出来ると考えての行為でしょう。むしろ安倍に「スクランブル化に同意する」と言われたら、売名が出来なくてかえって困るんじゃないか。それにしても護憲派でも改憲派でもまともな人間は「そんなことで改憲発議に賛成するかどうか決めるのか」と呆れてるでしょう。

 憲法原発など基本的な政策をどうするのか質問されると、「党首として政策内容は言わないようにしている」と不思議な答え。

 どう見てもウヨ政党なので「九条改憲」「原発推進」というかと思いましたが、違うようです。

 NHKのスクランブル化以外の政策は今後「可及的速やかに明らかにする」そうだ。

 おいおいですね。わかりきったことですがあまりにも酷い。

 参院選投票率が低いことについて聞かれると、「日本が安全で豊かな国である証明なので、投票率が低いのはいいことだ」という。

 堂々と投票率の低さを正当化するとは。つうか「投票率の低さ=日本が安全で豊かな国である証明」てのも無茶苦茶です。
 投票率の低さは「政治的無関心の証明」でしかない。大体それなら何で出馬したのか。

 文在寅*1大統領は「加害者である日本が、盗っ人たけだけしく、むしろ大きな声で騒ぐ状況は絶対に座視しない」と異例に強い言葉で非難している。

朝日が報じた文在寅発言「盗っ人猛々しい」は本当?原語の「賊反荷杖」とは – アゴラ
 「The Korean Politics」 編集長の徐台教氏もツイッターで、「必ずしも「盗人猛々しい」と訳す言葉ではないと私は思います。その訳もまた「煽り」でしょう。道理に合わない、主客転倒*2といった意味に過ぎません」と違和感を述べた。
 (ボーガス注:文大統領が使った「賊反荷杖(直訳すると『泥棒がムチで被害者を打つ』と言う意味)」と言う言葉は)日本語訳される時には「盗っ人猛々しい」という意味で使われてきたこともあったのは確かなようだが、「盗人猛々しい」が激しい表現だけに、政治家や世論に与える影響力が大きいことを考えても、現在の日韓関係悪化にあっては、報道する側の「翻訳責任」も相応にある。

ということで「盗っ人猛々しく」というのは「意訳が過ぎる、朝日新聞の誤訳と言ってもいい」「産経だけでなく、朝日も『韓国へのネガキャン』か。安倍政権への忖度か、はたまたガチの嫌韓国か」と言う批判がネット上に既にでています。
 実際には「日本の態度は泥棒が被害者をムチで殴るくらい、道理に合わない」「道義にもとる」とか言う意味に過ぎないようですね。
 徐台教氏は

文大統領「いつかは越えるべき山」…「ホワイト国除外」に対抗措置の予告も(発表全文訳)(徐台教) - 個人 - Yahoo!ニュース
 加害者の日本の「賊反荷杖(道理に合わない意)」の立場で逆に大きく出る状況を決して座視しません。

と訳しています。
 そうしたことを高世が知らないなら無知だし、知っていて無視してるのなら詐欺師です。まあ、「盗っ人猛々しい」とは確かに「道義にもとる」「道理に合わない」と言う意味ではあります。「賊反荷杖」という言葉にも「泥棒(賊)がでてきます」し「賊反荷杖(泥棒が被害者をムチで殴る)」と言う状態は明らかに「盗人が猛々しい」のですが、明らかに「盗っ人猛々しい」という翻訳は韓国へのネガキャンでしょう。
 それはともかく確かに俺も文大統領に同感です。「加害国・日本が加害行為(慰安婦や徴用工)を被害国・韓国に批判されて逆ギレして嫌がらせ」という安倍の行為は「道理に合わない」「道義にもとる」でしょう(個人的には「盗っ人猛々しい」と言っても何らかまわないとすら思います。実際安倍は森友疑惑という「国有地の泥棒行為」に加担した盗人野郎ですし)。
 文大統領の使った故事成語「賊反荷杖」は日本語の故事成語で言うと「石が浮かんで木の葉が沈む」ですかね。これなら「盗っ人猛々しい」とは違いネガキャンではないでしょう(追記:「石が浮かんで」が正しいと思い込んでましたが、ググったら「石が流れて」が正しいようですね。ただし「石が浮かんで」という誤用も既に定着しているようですが)。
 なお石が流れて木の葉が沈む - 故事ことわざ辞典は「石が流れて木の葉が浮かぶ」の同義語として

■悪人栄えて善人滅びる
 安倍みたいな「モリカケ疑惑の悪人」がでかい面してる日本の現状はまさにこれでしょう。
 あるいは蓮池透氏が除名されて、救う会がでかい面してる現状はまさにこれでしょう。日本人として心底情けなく、恥ずかしい。
 「悪人栄えて」で連想しましたが、あるいは「悪い奴ほどよく眠る(1960年(昭和35年)に公開された黒澤映画の題名。あらすじはウィキペディアで分かります。題名から想像がつくように『勧善懲悪のハッピーエンド』ではありません)」なんて表現もいいかもしれない。
 そういえばある歌が頭の中で大回転 | 俺、時々ヲタク!!も指摘していますが、現代版必殺仕事人である「ザ・ハングマンV」(1986年)のエンディングテーマ「零心会*3のズンドコ節」で「真面目人間、不眠症、悪ぅ~い奴ほど、よく眠るぅ(元ネタは勿論黒澤映画)」つうのがありましたね。こんなんを知ってる俺も立派なおっさんです。今時「ハングマン」なんか若者は知ってない。
■朝日が西から出る
■牛はいななき、馬はほえる(ボーガス注:勿論いななくのは馬です)
■西から日が出る
■無理が通れば道理が引っ込む

をあげています。これらも「賊反荷杖」と同じ意味と言っていいでしょう。

【追記】
 荒木和博ですら「賊反荷杖」について

賊反苛杖【調査会NEWS3042】(R01.8.4): 荒木和博BLOG
「盗人猛々しい」とまでの意味はないと思います。

と指摘しています。とはいえ「旧民社の嫌韓国ウヨ」「河野談話否定の歴史修正主義者」荒木は「賊反荷杖(安倍政権の行動は道義にもとるし、道理に合わない)」と言う批判それ自体については勿論賛同しないで文大統領に悪口雑言するわけですが。
 まあ高世仁に突っ込む(2019年8/5分) - bogus-simotukareのブログにも書きましたが家族会の「安倍持ち上げ」「田中均氏への悪口」「蓮池透氏の家族会除名」なんか典型的な「賊反荷杖(道義にもとる、道理に合わない)」ですよね。
 「あんたら家族会が賊反荷杖だから拉致が解決しないんだよ」としか俺は思いません。

参考

ザ・ハングマンV(ウィキペディア参照)
 1986年2月7日から8月22日にかけて、全27話が放送された。ハンギングシーンには番組の視聴者参加企画も盛り込まれており、犯人が悪事を白状する姿を電波ジャックでテレビ中継し、その様子を公募で当選した実際の一般家庭や商店などで撮影するという趣向が用いられた。中継後は暗転し、ドレス姿のパピヨンが登場。手に持っている赤いバラに仕込んだ睡眠ガスで犯人を眠らせ、蝶のシルエットと「特急便」との文字があしらわれた段ボール箱に入れて警察署に送り届ける形式となった。本作以降、娯楽色を強化する方向に向い、初期のハードボイルド色の強い展開は廃され、コメディー色が極度に増した。ハングマンの衣装デザインはファッション デザイナーの芦田淳が担当、特に、パピヨンは作戦毎に様々な衣装をまとう姿が見られた。
■キャスト
パピヨン/英蝶子(山本陽子
 ハングマンのリーダー。銀座にあるクラブ「パピヨン」のオーナーママだったが、代議士秘書でパトロンだった前尾大輔とともに疑獄事件に巻き込まれ、殺害されかかった過去がある。今は平凡な主婦として生活している。突如、死去したはずの前尾が現れ、匿名のスポンサーの元、ハングマンのリーダーとしてスカウトしたい旨を告げるが、頑なに拒否をする。しかし、前尾からクラブパピヨン時代の「過去」暴露をちらつかされて、渋々リーダーを受諾する。最初のハンギングの相手は、その疑獄事件の真の黒幕であった。
■ファルコン / 伊吹賢司(佐藤浩市
 パピヨンの補佐役。大学院の農学部を卒業後、植物の研究をしている。オーストラリアに牧場を買う資金を稼ぐためにハングマンとなった。その知識を生かし、表稼業の花屋「緑美園」を仕切っている。
■マネージャー/前尾大輔(土屋嘉男)
 代議士の元秘書で、クラブ「パピヨン」のパトロンだったが、今は匿名のスポンサーとハングマンの連絡係として活動している。
■英雅則(秋野太作
 蝶子の夫で、中小商社に勤める商社マン。お人よしで、物事を深く考えない性格である。任務中のパピヨンと何度も遭遇しているが、蝶子である事には気付かなかった。

 文政権は断固として日本に屈しないという姿勢で国民の支持を集めているし、日本でも韓国には譲歩すべきでないという意見が圧倒的に多いから、両国とも強硬路線は続くだろう。

 「不当な言いがかりには屈しない」つう文政権の態度は当たり前であって強硬姿勢でも何でもない。むしろ日本人としてこの件で安倍なんぞ支持する日本人が多いことが恥ずかしい。マスコミ(特にテレビ)もろくに安倍批判しねえし。この件、はっきり言って「道義的問題」だけでなく、日本企業にとっても不利益でしょうよ。
 「韓国にフッ化水素水を売りたいが安倍政権の意向で売れない。このままでは韓国が購入先を日本以外に切り替えるかもしれない」なんてのが日本企業の利益になるのか。

ここまで来たら、安全保障上の問題が何かを公開して国際社会に理解を求めるべきだ。

 「だーか-ら、ただの言いがかりで理解を得られるようなネタがねえから、求めねえんだろ!。なんで和田春樹氏のような安倍批判しねえんだよ、高世の馬鹿野郎!」ですね。

 プーチンはじめ政府高官は「北方領土」は返しませんと何度も言っているのに、安倍首相は成果が上がっていると言うばかり。そんな中、ロシア首相が2日、北方領土択捉島を訪問した。メドベージェフ氏*4北方領土への訪問は2015年以来、4年ぶり4回目だという。
 日本政府は抗議したが、《メドベージェフ氏は北方領土への訪問に対する日本政府の抗議について「ここは我々の土地で、ロシアの領土である。(抗議を)懸念する理由はない」と反論した。国内の訪問に他国の同意を得る必要はないと主張し、「このような(日本の)反発が大きいほど、ロシア政府の代表が訪れる理由がある」と譲歩しない姿勢を強調した。現地で記者団に答えた。》(日経)
 これが「外交の安倍」の実態だ。

 韓国に対しては無礼の限りでありながら、ロシアに対してはろくに抗議しないのだからわけがわかりません。白人コンプレクスでもあるのか。

 ゴルフ友だちで仲良しだというトランプ大統領はどうか。
《トランプ米政権が、在日米軍駐留経費の日本側負担について、大幅な増額を日本政府に求めていたことがわかった。各国と結ぶ同盟のコストを米国ばかりが負担しているのは不公平だと訴えるトランプ大統領の意向に基づくとみられる。来年にも始まる経費負担をめぐる日米交渉は、同盟関係を不安定にさせかねない厳しいものになりそうだ。
 複数の米政府関係者によると、ボルトン*5大統領補佐官(国家安全保障担当)が7月21、22日に来日し、谷内正太郎*6国家安全保障局長らと会談した際に要求したという。今後の交渉で求める可能性がある増額の規模として日本側に示した数字について、関係者の一人は「5倍」、別の関係者は「3倍以上」と述べた。ただ、交渉前の「言い値」の可能性もある。》(朝日)
 米軍駐留にたっぷりと「思いやり予算」をつけて、兵器購入で大盤振る舞いさせられたうえ、もっとカネを出せか。
 菅義偉官房長官は、ボルトン氏の5倍の負担を求める可能性があると日本側に伝えたとする報道を「そのような事実はない」と否定した。では、ボルトン氏に、私たちも当惑していますので「そんな発言はしていない」と言明してくださいと要求しましょう。

 高世の言う通りで「そんな事実はない」というなら菅ら日本政府は「ボルトンに否定発言を求めるべき」でしょう。まあ、実際あったし、だからこそ求めないでしょうが。

 これも「米韓が5日から予定する合同軍事演習」への「牽制」だと解説されている。ミサイル開発には貴重な外貨と膨大な労力がつぎ込まれている。そのミサイルを発射するのは、景気づけに花火を上げるのとは違う。トランプ氏がアメリカに届かないミサイルは問題にしないという間に、開発の速度をあげていると私には見える。より高い精度の、迎撃システムに補足されないミサイルを作ろうとしているのだろう。

 以前も指摘しましたが「政治的牽制」と「軍事力増強」は矛盾しません。「軍事力増強」することによって「政治的に牽制する」わけです。
 その意味で「これは政治的牽制じゃない、軍事力増強だ」という高世の主張は意味不明です。
 まあ、北朝鮮のこうした行為を「積極支持はしません」が「現状では仕方がないかな」と思います。何せ朝鮮戦争は正式終戦してない。米朝に国交も樹立していない。いつ米国が「フセイン政権を転覆したイラク戦争」のような政権転覆を北朝鮮に仕掛けるか分からない。
 そういう状況で北朝鮮が「軍事力強化し、政治的牽制する」のはある意味当然です。それが嫌なら米国が「国交樹立」「朝鮮戦争正式終戦」すべきでしょう。
 その軍事力強化も「短距離ミサイル発射実験」にとどまるのだから、北朝鮮もそれなりに「配慮」してるわけです。
 「短距離なら米国もうるさくない」&「短距離でも日韓への反撃は出来るから、北朝鮮侵攻を阻止するための、米国への牽制として必要十分だ」と言う理解なのでしょう。

 グアムまで飛ばないうちはお友達(大阪府 早田良二、朝日川柳8/3)

 お友達ではないですね。米朝で国交も樹立していない、朝鮮戦争も正式に終戦してない、そんなのはお友達ではありません。

 世界はいったいどこに向かっているのか。ますます混沌とする国際情勢だ。

 高世が紹介している話は「安倍外交が失敗続き」と言う話であって「混沌とする国際情勢」と言う話とは違います。

*1:盧武鉉政権大統領秘書室長、「共に民主党」代表を経て大統領

*2:「客をもてなすべき主人が、客に無礼な態度をとってる(話があべこべ)」という意味

*3:1982年に発足し渋谷で活動していた男性路上パフォーマンス集団。東京ビクトリークラブと劇団原宿ガンジーが合併してできた集団である。1983年3月、路上での活動を否定する芸能プロダクション側と衝突し劇男零心会は解散した。ここで「劇男」の冠を取った「零心会」を名乗る団体と、「劇男一世風靡」が誕生した。哀川翔小木茂光は、劇男零心会の前身である「東京ビクトリークラブ」から所属しており、柳葉敏郎が参加したのは1982年の終わり頃である。武野功雄も1983年3月に劇男零心会が一旦解散するまでには主なメンバーになっていた。保阪尚希は、分裂した後の零心会の方に1983年から1986年まで参加していた。零心会は、『ザ・ハングマンV』(ABC・テレビ朝日系放映)の主題歌として『ズンドコ節』を1986年1月22日にリリースしている。このドラマには当時の最年少メンバー松下一矢がレギュラー出演した(ウィキペディア劇男零心会」参照)。

*4:大統領府第一副長官、ガスプロム会長、大統領府長官、第一副首相を経て大統領(メドベージェフ大統領の時プーチンは首相兼与党統一ロシア党首。「大統領三選否定規定」を逃れ、プーチンがその後も大統領になるための行為で「メドベージェフは1期4年で大統領を退任する」「プーチンが無役ではなく首相兼与党統一ロシア党首なのはメドベージェフがプーチンを裏切って2期8年を目指すのを防ぐため」とみられた)。1期4年で予定通り大統領を退任。プーチン大統領の下で現在、首相兼与党統一ロシア党首。

*5:ブッシュ父政権国務次官補、ブッシュ子政権国務次官(軍縮担当)、国連大使を経てトランプ政権大統領補佐官(国家安全保障担当)

*6:外務事務次官、内閣参与を経て国家安全保障局