今日の朝鮮・韓国ニュース(2019年8/9分)

【外交安保取材】徴用工問題で韓国が触れられたくない過去(1/4ページ) - 産経ニュース
1)日韓国交正常化において、当時の韓国側は「戦争被害者についての補償は韓国がする」といった
2)だから徴用工判決は間違ってる
という産経ですが、むしろこうした産経の主張の方が間違っています。
 なぜならこうした韓国政府の発言が仮に実際にあったとしても、そんな発言は当時、表に出されず、日韓協定の文言にもそんなことは何一つ書かれてないからです。つまりこうした韓国政府(当時は朴チョンヒ政権)の言明は「密約」的なものにすぎず、そんなものが国民や「ポスト朴政権」を法的に拘束するかについては疑問符がつきます。
 実際「拘束しない」という主張もあり、その主張に立ったのが韓国最高裁判決です。
 そもそもこうした産経の主張を「日本政府が公然と主張してない」点に注意すべきでしょう。産経が言うほど争いのない主張ならそんなことはあり得ない。
 そして産経が言うほど争いのない主張なら安倍政権が逆ギレして無法な経済報復をすることもなかったでしょう。産経のこの記事はそうした意味でデマ記事と言っても言い過ぎではないでしょう。
 これについては
徴用工問題の公正な解決を求める――韓国の最高裁判決について/志位委員長が見解
検証 三つのタブーと「しんぶん赤旗」/「歴史タブー」 徴用工問題で違い鮮明
57、歴史認識・「徴用工」・「慰安婦」・「靖国」(2019参院選・各分野の政策)│各分野の政策(2019年)│日本共産党の政策│日本共産党中央委員会
徴用工問題、文在寅大統領の発言はおかしくない! 日本の外務省も「個人の請求権は消滅していない」と答弁していた|LITERA/リテラ
徴用工問題は本当に「解決済み」だったのか? 日本政府が60年以上にわたり隠蔽してきた日韓基本条約の欺瞞|LITERA/リテラ
を紹介しておきます。


【産経抄】8月9日 - 産経ニュース

 日本語特有のあいまいさを含んだ言葉の一つに、「善処します*1」がある。1969年の日米首脳会談で、ニクソン*2米大統領から繊維の輸出規制を迫られた佐藤栄作*3首相が、この言葉を使ったとされる。
▼通訳が「アイ・ウィル・ドゥ・マイ・ベスト」と前向きに聞こえる英語に訳したために、ニクソン氏は後に、約束が反故(ほご)にされたと怒った。

 これはもちろん翻訳の問題ではないですね。後で紹介しますが、むしろより適切な例は日中国交樹立時の「迷惑事件」でしょう。
 「どう翻訳しよう」と佐藤が「そんな要求には応じられない」と言わない限り、ニクソンは「約束を破った」と怒ったでしょう。
 一方「そんな要求には応じられない」といえばその場で「米国南部の繊維産業を支持基盤とする」ニクソンは「なぜ輸出規制しないんだ」と怒ったでしょう。結局、ニクソンは輸出規制しない限り怒ったわけです。まあ、あえていえば、ニクソンのやってることは今のトランプと同じです。
 なお、この時生まれた有名な言葉が「糸と縄の取引」です。
 「繊維(糸)の輸出規制に応じない限り、ニクソンは沖縄(縄)返還要求に応じないだろう」と言う話です。

参考

■添了麻煩(ウィキペディア参照)
 中国語で「迷惑をかけた」という意味の語である。1972年に田中角栄*4首相が中国訪問時に周恩来総理に「貴国に迷惑をかけた」と発言したのを翻訳したもの。これを聞いた周が激怒した。いわゆる『迷惑事件』である。
 「添了麻煩」とは「うっかり迷惑をかける」という意味で、「中国ではうっかり女性のスカートに水をかけたときに『添了麻煩』という軽いお詫びの言葉だ。日本軍国主義侵略戦争で中国人民に深い災難をもたらし、戦争では中国では数百万が犠牲となり、日本人民も深く被害を受けた。『添了麻煩』を用いてお詫びの言葉とするのは中国人民として到底受け入れられるものではない」と周は発言した。

asahi.com:朝日新聞 歴史は生きている
 共同声明をめぐる会談の中で、厳しいやりとりがいくつかあった。「迷惑発言」のエピソードもその一つだ。
 訪中団が北京入りした夜、人民大会堂で行われた歓迎晩餐会。田中首相はあいさつの中で日中戦争について、「我が国が中国国民に多大のご迷惑をおかけしたことについて、私は改めて深い反省の念を表明するものであります」と述べた。日本側の通訳は、「迷惑をおかけした」の部分に「添了麻煩(ティエンラマーファン)」という中国語を用いた。
 ところが、この「添了麻煩」は、中国では軽微なことでのおわびに使われることが多い。重い謝罪の言葉を期待していた多くの中国人出席者たちが奇異に感じた。
 その時、周首相のそばにいたのは、周のもう一人の日本語通訳、林麗ユン(リン・リーユン)・中華全国帰国華僑連合会顧問だ。
 林さんもおかしいと思った。
 「訳し方がよくないのでは」。
 その時、各国大使のために英語通訳をしていた唐聞生(タンウェンション)さんが「あまりに軽すぎる」と小声で言うのが聞こえた。林さんもうなずいた。
 周首相は静かに聞いていた。だが、翌日の会談で怒りを見せた。
 「『迷惑をかけた』との言葉は中国人民の強い反感を呼ぶ。中国では迷惑とは小さなことにしか使われない」
 中国外務省の張香山(チャン・シアンシャン)顧問(当時)らによると、田中は「迷惑をかけたという日本語には誠心誠意、心を込めて謝罪し、過ちを繰り返さないことを保証する意味がある」と説明したという。田中自身も帰国後に「日本では申し訳ない、もうしないといった非常に強い気持ちなのだ、と説明した」と自民党両院議員総会で述べている。結局、共同声明では「中国国民に重大な損害を与えたことについての責任を痛感し、深く反省する」と書くことで決着した。
 だが、なぜ、発言の趣旨が相手にわかる訳語を使わなかったのだろうか。その時の通訳である元外務省職員に取材を申し入れたが、断られた。
 林さんは語る。
「ひどい目に遭った大衆の声が後ろに控えている。総理が添了麻煩でいいというわけにはいかなかった」

人民中国『その夜、新たな歴史がひらかれた:毛―田中会談を再現する』横堀克己*5
 毛主席が「添了麻煩的問題 怎マ解決了」(「添了麻煩」の問題はどうなったのか)と言い出したのだった。
 「添了麻煩」の問題は、田中首相が中国訪問の初日に、人民大会堂で開かれた歓迎宴で、こう演説したことに端を発する。
 「過去数十年にわたって日中関係は、遺憾ながら、不幸な経過をたどってまいりました。この間、わが国が中国国民に多大のご迷惑をおかけしたことについて、私はあらためて深い反省の念を表明するものであります」
 日本側通訳が「多大のご迷惑をおかけした」を「添了麻煩」と中国語に訳したとき、宴会場にざわめきが起こった。中国側の日本語通訳を担当していた林さんに、英語の通訳の唐さんが「『添了麻煩』なんて軽すぎるのではないの」とささやきかけたのだ。
 確かに「添了麻煩」という表現は、「女性のスカートに水をかけてしまったときに使われる」程度の軽い言葉とされている。「周総理もこれを聞いて憤慨した」と、周総理周辺にいた人たちは証言している。日本の侵略による戦争でもたらされた被害と責任について日本側がどう認識しているかを、この表現は端的に示していた。だから首脳会談では、これをめぐって激しい議論が交わされてきたのである。
 毛主席のこの問いに大平*6外相が答えた。
「これは、中国側の意見に従って改め、解決しました」
 確かに中日双方の激しい議論の末、九月二十九日発表された『共同声明』では、「日本側は過去において、日本国が戦争を通じて中国人民に重大な損害を与えたことについての責任を痛感し、深く反省する」と明記されたのだった。日本側が「添了麻煩」という表現をやめ、中国側の主張に歩み寄ったことは明らかだ。

■日米繊維交渉(ウィキペディア参照)
■沖縄問題
 日米繊維交渉が難航した背景には、経済的利害関係のほかにも、沖縄返還という重大な政治課題があったといわれている。米国政府は沖縄を日本に返還する代わりに、日本政府に米国の主張する繊維規制に同意することを求めていたのである。当時日米繊維交渉は「絡んだ糸が縄になる」「糸を売って縄を買う」などと皮肉られたが、それが必ずしも単なる戯れ言とは言い切れない事情がそこにはあった。

 「盗っ人たけだけしい」。
 日本政府が韓国を輸出管理の優遇国から除外する措置について、文在寅*7大統領は激しく批判している。なかでも日本人の神経を逆なでした*8のは、この発言だろう。もとの韓国語は、「賊反荷杖(ジョクパンハジャン)」。小紙を含めてほとんどの日本メディアが、辞書の通りに訳している。
毎日新聞だけは、「開き直って」と意訳した。「私が訳すなら『非のある者が大口をたたく』でしょうか」。7日付の「翻訳が火種」と見出しがついた記事では、韓国の通訳の翻訳を紹介していた。

 「盗っ人猛々しい」も直訳ではなく意訳なので産経の主張は意味不明です。そして「盗っ人猛々しい」という訳を示す辞書が仮に産経がいうように多いとしても、それは「今回そう訳すこと」が正しいことを全く意味しない。
 むしろ「故意のネガキャン」と疑われない訳をした毎日の方が適切です。要するに文大統領の言いたいことは日本側(安倍自民政権)の経済報復には「道理がない」「道義にもとる」ということですから、そういう意味が伝わるように訳せばいいわけで、「盗っ人猛々しい」などと「故意のネガキャン」を疑われる訳にする必要はない。

*1:「善処」、つまり「改善に向けて処理をするが改善できると確約できない」つう話ですからね。「そもそも本当に改善する気があるのか」つう話になるわけです。

*2:アイゼンハワー政権副大統領を経て大統領

*3:吉田内閣郵政相、建設相、岸内閣蔵相、池田内閣通産相などを経て首相

*4:岸内閣郵政相、池田内閣蔵相、佐藤内閣通産相自民党政調会長(池田総裁時代)、幹事長(佐藤総裁時代)などを経て首相

*5:元朝日新聞北京支局長

*6:池田内閣官房長官、外相、自民党政調会長(佐藤総裁時代)、佐藤内閣通産相、田中内閣外相、三木内閣蔵相、自民党幹事長(福田総裁時代)などを経て首相

*7:盧武鉉政権大統領秘書室長、「共に民主党」代表を経て大統領

*8:嫌韓国日本人はそうなのでしょうが、俺は全然そんなことはありません。あの経済報復はWTO違反の疑い濃厚なのでね。