高世仁に突っ込む(2019年8/15分)

中国が「暴徒を厳しく罰する」と声明 - 高世仁の「諸悪莫作」日記

 12日と13日、警察による暴力行為を非難する数千人の民主派デモ隊が香港空港内に集結し、同空港の発着便600便が欠航となった。若者らはアジア有数のハブ(拠点)空港で国際社会にアピールしようとしたもの。空港でも警官隊との衝突があったほか、中国共産党系のメディアの記者が暴行を受けるなどの事件が起き、中国国務院の香港・マカオ事務弁公室は14日、デモ隊を「暴徒」と呼び、「テロリズムに匹敵する行為」だとして「強く」非難した。ウェブサイトに掲載した声明では、暴徒を「厳しく罰しなければならない」と説明。この点で香港の警察と司法当局を支持するとした。(AFP)

 デモで空港の運営に支障が生じてますからね。あの空港の件が「実際には運航可能なのに、あえて運行停止にしてネガキャンを中国政府がしかけてる*1」と言うのでない限り、もはやあのデモは手放しで評価しがたい物になってるんじゃないか。
 しかも最近では、高世も書くように現場取材をしていた中国共産党系「環球時報」の記者に暴行を加えるなんて事件も発生してますからね。これまた「デモ隊全てがそういう暴徒ではない」でしょうが、「環球時報の記者がデモ隊を挑発した」などの特殊事情でもない限り*2、デモ隊の現状を手放しで支持しがたいとしか言いようがない事件です。
 もはや欧米ですら強硬措置をとってもおかしくない状態じゃないか。
 もちろん強硬措置といっても「日本や欧米で言えば機動隊による鎮圧」であってまさか軍隊で「天安門事件の再現」はしないでしょうが。

 民主派にとっては林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官の辞任そして自由選挙の実現は譲れない要求であるし、中国共産党がそれらを呑むとはとても思えない。

 まあ「あえて言えば」現状では追い詰められてるのは民主派でしょう。「デモで空港の運営に支障が生じる」「中国よりとはいえ一記者に暴行」だのここまでデモが「問題を抱えた代物」になると、中国にとって警察での鎮圧も正当化しやすい。
 「空港の運営に支障が生じてもデモを支持する」などという人は決して多くはないでしょう。
 一方、中国は「デモが痛くない」とは言いませんが、「行政長官の辞任などの要求は受け入れられない」と突っぱねればそうした状況を劇的に転換させるすべを民主派側はおそらく持っていません。もし「転換させるすべ」を持ってるならとっくの昔に行政長官の辞任などは既に実現していたでしょう。

 こうしたなか、カナダのトルドー首相は12日の記者会見で、香港での「逃亡犯条例」改正案を巡る抗議活動について「非常に憂慮している。緊張を緩和し、市民が表明している極めて深刻な懸念に地元当局は耳を傾ける必要がある」と強調し、中国政府に対し「注意深く、敬意を持った対応」を要請した。(共同)
 日本政府も中国が介入しないよう外交努力をすべきだ。

 まあ、安倍はそんなことしないでしょうね。安倍はこの種の民主化運動に何の興味もないでしょう。
 そもそも高世が評価するトルドー首相だって「冷静な対応を双方に求める」と口先介入してるだけでそれ以上のことは何もしていません。

*1:まあそうしたネガキャンを仕掛けられてる場合も別の意味で、つまり「そんなネガキャンをされるくらいなら空港でデモしない方がいいんじゃないの?」と言う気持ちがあり、俺個人はデモ隊の現状を手放しでは支持しがたいですが。

*2:まあそういう特殊事情があっても、たかが一記者に暴行するというのは問題があるでしょうが。日本でアンチ産経のデモ隊が産経新聞記者に暴行を加えて「産経が現地で挑発したらしいから問題ない、産経の方が悪い」という人はアンチ産経でも少ないでしょう(まあそういう事件はないですが)。