今日の産経ニュース(2019年9月4日分)

【正論】「男女格差」解消というけれど 動物行動学研究家・エッセイスト・竹内久美子 - 産経ニュース
 そもそも北欧の研究者でもフェミニズム研究者でも何でもない人間にこんな文章を書かせること自体が気が狂っていますが、まともな「北欧の研究者」、「フェミニズム研究者」にはこんな与太を書く人物はいないという話です。

 「ジェンダーギャップ指数」なる用語がある。経済参画▽教育▽健康▽政治参画-という4分野の中にいくつか項目があり男を1としたときの女の割合を示す。1が完全な男女平等で、どれほど1に近いかが問われるわけである。
 日本の2018(平成30)年のジェンダーギャップ指数は総合で0・662。149カ国中110位という結果だった*1
 一方、上位5カ国はアイスランドノルウェースウェーデンフィンランドニカラグア*2と続く。
 しかし、こういう統計については、数値だけで判断すると本質を見誤ることがある。
 そこで女性の社会進出が世界一といわれ、「スウェーデンモデル」という言葉さえあるスウェーデンについて知りたいと考え、資料にあたってみた。
 武田龍夫氏の『福祉国家の闘い スウェーデンからの教訓』(中公新書、2001年刊)である。武田氏は在スウェーデン大使館員、外務省北欧担当官などを歴任された方だ。
 武田氏によると、1950~60年代は福祉国家スウェーデンの黄金期で、タクシーに忘れた財布がきちんと戻ってくるほどだったが、80年代末からの経済停滞により、次第に犯罪が増えるようになった。90年代末のデータによれば同時期の日本と比べて、刑事犯罪全体の発生率は17倍、レイプは20倍以上、強盗は7倍(アメリカと比べると4倍)*3と信じられないような値が続く。

 産経の言うのは「別の意味で」、つまり「それ、スウェーデンを誹謗するデマじゃねえの?」「スウェーデンがそんな犯罪大国だなんて聞いたことねえぜ」「産経は南京事件否定論河野談話否定論、『江沢民死去(勿論今も存命)』『ミンダナオ島日本兵発見』とかデマ記事常習だからな、うかつに信用できないぜ」と言う意味で信じられないですね(とはいえ小生はスウェーデン素人なので反論できませんが)。
 「つうかスウェーデンを悪口する本一冊だけで、スウェーデンについてものを語ろうとか手抜きがすぎるだろ」て話です。
 まあ、「産経の武田本紹介」が「本の内容をねじ曲げたデマ紹介」でなく事実ならば、元大使館職員といってもこの武田氏、おそらくは「岡崎久彦元タイ大使」「馬渕睦夫*4ウクライナ大使」「武藤正敏*5元韓国大使」「山口洋一元ミャンマー大使」のようなトンデモウヨなのでしょう。しかしこうしてみると「浅井基文・元外務省中国課長」のようなリベラル派外交官もいますがトンデモウヨ外交官も結構いますね。
 それはともかく、仮に「スウェーデンの犯罪発生率が日本より格段に高い」が事実だとしても*6「だからスウェーデンが日本より女性の社会進出がすごくても、日本より福祉が充実していても、うらやましくないもん(産経)」なんて言って産経が「スウェーデンの男女平等や福祉国家」をネグり日本の現状を正当化するのは勿論へりくつと詭弁でしかありませんが。大体「北欧諸国(1位:アイスランド、2位:ノルウェー、3位:スウェーデン、4位:フィンランド)」云々どころか
「共同参画」2019年201901 | 内閣府男女共同参画局
男女格差指数ランキング 2018年版などによれば

【110位の日本より上位のG7諸国(全てのG7諸国が日本より上位)】
■12位:フランス
■14位:ドイツ*7
■15位:英国*8
■16位:カナダ
■51位:米国
■70位:イタリア
【110位の日本より上位のアジアの国*9
■8位:フィリピン
■26位:ラオス
■48位:バングラデシュ
■58位:モンゴル
■67位:シンガポール
■73位:タイ
■77位:ベトナム
■85位:インドネシア
■88位:ミャンマー
■90位:ブルネイ
■93位:カンボジア
■100位:スリランカ
■101位:マレーシア
■103位:中国
■105位:ネパール
■108位:インド

ということで、日本は「いわゆるジェンダーギャップ指数(男女格差指数)」では「G7(米英独仏イタリア、カナダ)で最下位」「アジアの中ですら上位ではない*10」ですが。
 産経は「米英独仏イタリア、カナダだってたいした国じゃねえよ、日本が一番だ」と強弁する気でしょうか?。まあ産経ならそう強弁しても何ら意外ではありませんが。
 ちなみに高世が褒め称える「自称・幸せの国ブータン」は122位です。
 幸せランキングで低迷するブータン - 高世仁の「諸悪莫作」日記で「国連の幸せ度ランキングでブータンは下の方だ」と嘆いていた高世ですが「世界経済フォーラムジェンダーギャップ指数(男女格差指数)」でも下の方です。まあ「ブータン政府の勝手な自称」にすぎませんからね(苦笑)。
 高世が非難する「地上の楽園(帰国事業での北朝鮮の宣伝文句)」と高世が褒め称える「ブータンの自称」は大して変わりません。高世も本当にでたらめな男です。
 最下位周辺に「146位:シリア」「147位:イラク」「149位:イエメン(最下位)」があるのはある意味当然でしょう。「もともと順位は低い」のでしょうが、「いずれの国も内戦が勃発中」で、戦乱の中で男女平等に手が回るとも思えない。「平和が大事」ということを改めて実感しました。


三島由紀夫没後50年に向け脚光 山梨・山中湖の文学館(1/2ページ) - 産経ニュース

 山梨県山中湖村が山中湖南岸に平成11年7月に開館させた三島由紀夫文学館が20周年を迎えた。
 作品に山中湖は登場するが、三島との特別な縁はない。なぜ山中湖なのか。
 三島の遺族は公共機関での作品や資料の保管、利用を希望したが、三島が自衛隊の決起を呼びかけて割腹自決したという事情から尻込みする機関が多く、山中湖村だけが手を挙げたという。

 以前、右翼活動家・三浦小太郎が死後に成長する作家 秋山駿が三島由紀夫について書いた文章です | 三浦小太郎BLOG Blue Moonなんて駄文を書いていましたが、これでは「死後に成長する」どころの話ではありませんね(苦笑)。
 もちろん山中湖村が「三島という疫病神(?)」を引き取ったのも「村に観光資源がないから」でしょう(苦笑)。と言うと山中湖村関係者は「田舎者だと思って馬鹿にするのか!」と激怒でしょうが、事実でしょう。


菅官房長官「コメントは控える」 週刊誌の「韓国要らない」特集に - 産経ニュース
 まともな人間なら「あくまでも一般論だが」と断った上で「もし批判者が言うように民族差別を助長する内容なら許されることではない」「表現の自由とは差別や偏見の自由ではない」位のことは言いますよね(呆)。どこまで嫌韓なのか。それとも小学館なり、週刊ポストなりをかばわないといけない腐れ縁、癒着関係でもあるのか。


【産経抄】9月4日 - 産経ニュース

 すし職人は女性の占める比率が少ない職業の一つに挙げられてきた。女性は男性よりも体温が高いために、すしを握ると味が落ちるなどと、言われたこともあった。もちろん、科学的根拠のない俗説である。

 ちなみに美味しんぼ第4巻収録の「女の華」ではそういう俗説が登場して山岡が批判しますね。

美味しんぼウィキペディア参照)
■登場人物
■北尾夏子
 女性寿司職人で、築地「寿司とも」の店主。初登場は4巻『女の華』。父の死後、跡を継いで自ら寿司を握っており、職人としての腕は良い。女というだけで差別されることを嫌い、最初は男に負けまいとして荒々しくガサツな性格だったが、山岡達と同時に来店した女形歌舞伎役者・吉川清右衛門の一言で苦悩。だが山岡達の示唆により一転、女性らしい繊細さを生かした寿司職人に生まれ変わった。魚や寿司の話で山岡はよく知恵を借りることがある。後に幼馴染の北尾照一と結婚し、子どももいる模様(73巻『寿司と煙草』)。
■北尾照一
 北尾夏子の夫で、東京都築地中央卸売市場職員。初登場は4巻『女の華』。夏子とは幼馴染。

*1:ちなみに日本の順位が下がるのは「政界、経済界への女性進出の遅れ(女性政治家、女性ビジネスマンなどは少ない)」により「経済参画」「政治参画」の順位がダントツで低いからです。一方、健康や教育は比較的高いようです。

*2:上位4カ国が北欧です。こういう調査では実に北欧は強いですね。

*3:なお、一般論として言えば「強盗やレイプの定義の違い(日本では恐喝や強制わいせつとして扱われるものが強盗やレイプに入ってる可能性)」「いわゆる暗数の問題」があるのでそうそう簡単には「犯罪発生率の違い」は比較できないでしょう。

*4:『「反日中韓」を操るのは、じつは同盟国・アメリカだった!』(2014年、ワック)、『アメリカの社会主義者が日米戦争を仕組んだ』(2015年、ベストセラーズ)などトンデモ著書多数。

*5:元韓国大使でありながら『韓国人に生まれなくてよかった』(2017年、悟空出版)などという「題名自体がヘイトスピーチ」というトンデモ本を書く変人

*6:勿論産経ではデマの可能性が否定できません。「デマ記事常習」産経の言うことを信じるなど「オレオレ詐欺の言うことを信じる」位に危ないことです。

*7:当然ながら「メルケルの首相就任」はこういう評価ではポイント高いでしょうね。

*8:当然ながら「メイの首相就任(最近辞めましたが)」はこういう評価ではポイント高いでしょうね。

*9:このあたりが「貧乏国のフィリピンやラオスより日本が下とかなめてんのか!。そんな指数はおかしい!」と産経をマジギレさせてるのでしょう。

*10:「男女の格差」であって「国としての経済力の差ではない」ので当然ながら「フィリピンのような貧乏国家」でも「男女の格差が少ない」なら日本やG7諸国より上に行きます(そういうフィリピン評価が正しいかどうかはひとまずおきます)。