今日の朝鮮・韓国ニュース(2019年9月8日分)(追記あり)

【最初に追記】
 id:Bill_McCrearyさんの記事官邸主導で拉致問題に対応するって、具体的にどういうことをするつもりなのか(過去全然できていなかったじゃん) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)でこの拙記事がご紹介いただきました。いつも拙記事をいろいろとご紹介いただきありがとうございます。
【追記終わり】
安倍首相、拉致解決へ官邸主導強化=北村氏抜てき、菅氏担当続投で調整:時事ドットコム

 北朝鮮による日本人拉致問題の解決に向け、安倍晋三首相は11日の内閣改造を機に、首相官邸主導の態勢を強める構えだ。拉致問題担当相は内閣の要の菅義偉官房長官に引き続き兼務させる見通し。さらに、官邸外交を支える国家安全保障局長に、北朝鮮側との極秘接触が伝えられてきた北村滋*1内閣情報官の抜てきを調整している。
 首相が拉致問題に前のめりになる背景には、北方領土交渉の停滞がある。首相は昨年9月の自民党総裁選で「戦後日本外交の総決算」を掲げて3選を果たしたが、ロシア側の態度硬化で領土交渉の進展は見通せなくなった。手掛かりがつかめないのは拉致問題も同じだが、「安倍外交で何らかの成果を残すには拉致問題に懸けるしかない」(政府関係者)との事情がある。

 確かにその通りではあるのでしょうが、時事通信もとんでもないこと書いていますね。
 「ロシア外交(北方領土返還や日露平和条約締結)がうまくいけば拉致なんかどうでもいいんだけどうまくいかないから拉致に手を出すことにしました」としかこの記事は理解できませんよね。とはいえこの記事に安倍も「救う会、家族会」も「嘘を書くな」とは多分抗議はしないでしょう。
 もちろん「救う会、家族会」が安倍に「事実なんですか!」と問いただすこともしないでしょう。
 安倍が抗議すれば「ならなんで今頃になって拉致問題に手を出すことにしたのか?」と突っ込まれて藪蛇になりかねない。
 一方、救う会、家族会も内心ではこの時事通信記事と全く同じ事を感じて、安倍にもはや不信感や不快感を覚えてるでしょうが、「過去散々安倍万歳したしがらみから」安倍批判をしたくないので「この記事を見て見ぬ振りをする」でしょう。
 それはともかく「菅が今まで通り拉致担当相」は何の変化もないし、「北村滋氏の国家安全保障局長就任」にしたって「で、日本は今後我が国との交渉をどう変化させるの?。制裁は解除するの?(北朝鮮)」という相手の問いかけに対し、具体的なお土産がなければ何の意味もないでしょう。
 そもそも6年の長期政権*2で何も出来なかった男が「今更何言ってるの?」ですよね。到底本気とは思えない。本気だとしても「バカにもほどがある」でしょう。
 「バカの安倍」を支持する二階*3幹事長(二階派ボス)、麻生*4副総理・財務相麻生派ボス)などにとっては「神輿は軽くてパー*5でいい(真偽不明ですが、当時の小沢*6自民党幹事長が「竹下*7派でない」宇野*8首相や海部*9首相についていったとされる発言)」つうことなんでしょうか。


菅長官、日韓関係悪化「全て韓国に責任」 - 産経ニュース
 予想の範囲内ですが酷すぎて呆れますね。菅ら安倍政権の連中は日韓関係をどこまで破壊すれば気が済むのか。
 「全面的に非がある」のはむしろ「安倍政権の方」でしょうよ。かつ外交というのは「子どものケンカ」ではない。仮に韓国側に非があるとしても*10、「俺は悪くない、お前が悪い」で問題が解決するなら誰も苦労しません。
 「ロシアの北方領土支配は侵略だ」と言えば島がかえってくるのか。「北朝鮮の日本人拉致は犯罪だ」といえば日本人拉致被害者が帰ってくるのか。
 外交とはそういう話じゃないでしょう。
 相手の落ち度*11をただただ悪口することは外交でも何でもない。
 こんな嫌韓国バカが政権幹部でも政権支持率が下がらないと言うのだから心底呆れ、絶望的になります。そして菅の暴言をおそらくただ「拝聴してただけ」であろうテレ朝のワイドショーにも心底呆れます(当初フジテレビだと勘違いしてましたがテレ朝でしたね)。
 日本人多数派はどれほど韓国を差別する人間のクズなのか。どれほど「経済的合理性が理解できないバカ」なのか。まあいずれ「日本側の経済的ダメージ*12から安倍が頭を下げざるを得ない*13」とは思いますが、そうなること自体が国益破壊です。


【主張】朝鮮日報の社説 日本語版への掲載再開を - 産経ニュース
 当事者の朝鮮日報が「社説日本語版を載せたいのに(文政権の圧力で?)載せられない。載せられるように産経にも世論の盛り上げをしてほしい」といったわけでもないのに「産経はアホか」ですね。正直、日本語版不掲載について「朝鮮日報が表向きは圧力を認めない上に、圧力があったと見なす根拠もない」でしょう。そんな話で産経のようなこんな口出しは普通の人間はしない。
 朝鮮日報もいい迷惑でしょう。
 そして一方では「沖縄の新聞を潰したい」という百田の暴言は琉球新報、沖縄タイムズが抗議しても容認するのだから全く産経はデタラメです。


航空機撃墜の重要証人、ロシアへ出国 拘束者交換で執着:朝日新聞デジタル
 就任当初は「元俳優」「政治的経験は皆無」ということで「悪しきポピュリズム」「ウクライナのトランプ」「いずれぼろが出る」と酷評されていたウクライナ大統領ゼレンスキー氏ですが、意外と「有能」なのかもしれません。

 ロシアとウクライナの間で7日行われた互いの拘束・被訴追者「交換」で、ウクライナからロシアへ出国した人物の中に、2014年同国東部で起きたマレーシア航空機撃墜事件の重要証人とされる人物が含まれていたことが分かった。事件捜査に当たるオランダ当局がウクライナにこの人物を出国させないよう求めたが、交渉でロシア側が強く交換にこだわったという。
 この人物は、ウクライナ東部の一部を占拠する親ロシア派勢力の武装メンバーで撃墜事件当時、軍事部門で防空を担当していたという。ウクライナ・メディアによると、今年6月ウクライナ治安部隊が親ロシア派支配地域内での作戦で拘束したが、5日ウクライナの裁判所が突然釈放を決めた。7日にロシアに向け出国したことはウクライナのゼレンスキー大統領も認めた。
 事件はウクライナ軍と親ロシア派が激しい戦闘を続けていた14年7月に発生。マレーシア機の乗員・乗客298人が犠牲になった。オランダ、マレーシアなどの合同捜査本部が撃墜に使われたミサイルを「ロシア軍部隊のもの」とし、オランダ検察当局が今年6月、ロシア人3人とウクライナ人1人の計4人を殺人罪で起訴。この4人はいずれもロシア国内在住とみられ、身柄引き渡しの可能性が極めて低いため、7日にロシアに出国した人物の聴取に期待していたという。

 まあ仮に「合同捜査本部が発表したように」撃墜事件の犯人が親ロシア武装勢力で、そして、この「7日にロシアに出国した人物」が「撃墜事件の実行犯の一人(あるいは実行犯ではないにせよ犯行について知っている人物)」、ロシアの引き渡し要求が「ロシア政府が支援する親ロシア派をかばうため」だとしても*14ウクライナ国民を救出したい」「救出にはロシアに対するお土産が必要だ」として釈放(?)に踏み切ったウクライナ大統領を俺個人は非難する気はありません。俺の「お土産なしでは拉致被害者は帰国できないだろう」は何も北朝鮮シンパだからではない、相手が北朝鮮ではなく「ロシアだろうと他の国だろうと話は変わらない」と言うことを改めて指摘しておきます。もちろん「こいつはロシアの犯行を裏付ける証人である可能性が強い。だから釈放できない、それでウクライナ国民が帰国できなくても仕方ない」つうのも一つの価値観ではあるでしょうが。ただしウクライナ国民解放を最優先すればこれ以外の対応はあり得ないでしょう。拉致問題だって同じです。拉致被害者解放を最優先するなら「北朝鮮への経済制裁」などあり得ない話です。
 もちろん「経済制裁には政治的意義がある、それで拉致被害者が帰国できなくても仕方ない」つうのも一つの価値観ではあるでしょうが。ただし「制裁すれば拉致被害者が帰ってくる」なんてのは無茶苦茶な詭弁です。そんなことはあるわけがない。救う会はともかく家族会が良くそんな馬鹿げた寝言に付き合うもんです。
 そして「話が脱線(?)しますが」、ロシア関係と言うことで指摘しておけば、当然ながら「お土産なしでは北方領土は戻ってこない」わけです。
 「返還した島に米軍基地は置かない」程度の事を安倍がプーチンに確約できないで何で島が戻ってくるのか(普通に考えて戻るわけがない)という話です。
 これはプーチンが「どうせ確約できないだろう」と思って、島を還さない口実として安倍にふっかけてるだけで、返す気なんかそもそもないのではないか、とかそういうこととは全く関係ない話です(アンチロシアの常岡や黒井文太郎は「そもそも返す気なんかないから確約しても意味がない」と話のすり替えを平気でしますが)。


東京新聞:ロシアとウクライナ 拘束者各35人を交換 仏独仲介 首脳会談で膠着打開か:国際(TOKYO Web)
https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3771803.html

東京新聞:ロシアとウクライナ 拘束者各35人を交換 仏独仲介 首脳会談で膠着打開か:国際(TOKYO Web)
タス通信などによると、ウクライナ、ロシア両政府は七日、政治的な対立を背景に拘束、収監された軍関係者やジャーナリストらの大規模交換を行った。
・大規模交換は二〇一七年十二月末以来で、三十五人同士を交換した。
・五年間で死者一万三千人に上る東部紛争の収束に向け、ゼレンスキー氏は五月の就任以降、ロシアへの強硬姿勢を前面に出したポロシェンコ前大統領と異なり、対話解決を志向。七、八月にはプーチン大統領と電話で協議した。七月の議会選で自ら創設した新党が単独過半数の圧勝を果たし、八月末には側近らを中心にした新内閣も発足。政権基盤を固め、政策の具体化に踏み出した。

https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3771803.html
 ロシアとウクライナの間で7日、捕虜の交換が行われました。プーチン大統領とゼレンスキー大統領との電話会談で実現したもので、対立する両国の緊張緩和の第一歩となるかもしれません。
 7日、ウクライナキエフの空港にロシアに拘束されていた35人が到着しました。
 また、ロシア・モスクワの空港には同じ日、ウクライナ側に拘束されていたロシア人ジャーナリストらを含む35人が到着しました。
 今回の捕虜の交換は、プーチン大統領とゼレンスキー大統領との間で先月7日に行われた電話会談から実現したものです。2014年、ロシアが強行したクリミア半島の併合以降、両国の対立は激化し、ウクライナ東部の紛争にも発展していました。
 今回の捕虜の交換が紛争終結の第一歩となる可能性もあるとして、両国で期待する声もあがっています。

 北朝鮮拉致問題とは性格は違うとは言えこうやって人質を取られたらとれる現実的手法は外交交渉しかないでしょう。
 実際、ロシアとウクライナはそうしたわけです。お互いが「政治的思惑から」お互いの国民を人質に取ったあげく、「お互い解放する羽目になった」わけです。まあ北朝鮮拉致もこうした外交交渉以外に現実的解決策はないでしょう。


「秘中の秘」覆った北朝鮮犯人説 コインチェック事件 [サイバー攻防]:朝日新聞デジタル

 「コインチェック事件は北朝鮮ハッカーが関与しているのか?」
 国連安全保障理事会の専門家パネルは今年3月、ロシアのセキュリティー企業の調査リポートを引用する形で、約580億円の暗号資産(仮想通貨)が盗まれた「コインチェック事件」に北朝鮮ハッカーが関与したことを示唆する報告書を一度はまとめた。ところが9月5日に公表された新たな報告書からは、コインチェックの文字が消えた。なぜなのか。

1)北朝鮮犯人説が一番有力だが、「北朝鮮に好意的な中露の政治的圧力」など、政治的忖度で覆ったのか
2)北朝鮮犯人説はそもそも「ありうる説のワンオブゼム」にすぎず、そうでない可能性も高いのか
どちらなのかで大きく話は変わってきます。どうも朝日記事に寄れば2)のようですが。
 どうも朝日記者が調べたところ、

ロシア軍のスパイ部門「GRU*15」(軍参謀本部情報総局)

の犯行という説も有力であった。しかも「北朝鮮犯行説を主張する団体の一つがロシアのセキュリティ企業」となれば、セキュリティ企業の発表は「ロシア犯行説を隠蔽するための政治工作(セキュリティ企業とGRUが共犯関係)」とすら疑えるわけです。
 「北朝鮮、ロシア」どちらとも決めがたく「記載されなかった」ということのようです。

 (ボーガス注:ロシア軍犯行説が否定できないという)これらの取材結果をもとに、安全保障に詳しい土屋大洋*16・慶応大学教授に話を聞いた。
 「国連とは国同士の利害が衝突する場だ。そこにインテリジェンスという国益にかなった情報戦が展開されている。何でもかんでも北朝鮮のせいにすればいいというものではない。記事にして議論を巻き起こしてほしい」
 今年6月17日、朝日新聞は「『北朝鮮説』疑義、ロシア系が関与か」と、コインチェック事件に対する国連報告書への疑問点を報じた。
 そして9月5日、国連が新たに公表した報告書には、コインチェックの文字が消えていた。情報の引用元としていた(ボーガス注:ロシアのセキュリティ企業)グループIBの名前もなかった。
 専門家パネル元委員の古川勝久*17は「新聞報道が影響したことは十分に考えられる」という。今回の報告書をまとめるにあたり、「加盟国からの情報を改めて精査したものの、北朝鮮の関与を疑う合理的な根拠が見つからなかったからだろう」とみる。
 「国連の報告書になれば、記載された情報が事実として世界に伝わる。前回の報告書はパネル委員が検証もせず、グループIBのリポートを単に引用したとしか思えない。こんなお粗末なことは本来、あってはならないことだ」(編集委員・須藤龍也)

だそうです。

*1:徳島県警本部長、警察庁警備局警備課長、警察庁警備局外事情報部外事課長、兵庫県警本部長、警察庁警備局外事情報部長などを経て内閣情報官

*2:安倍政権批判派としてうんざりしますが

*3:小渕、森内閣運輸相、小泉、福田、麻生内閣経産相自民党総務会長(第二次安倍総裁時代)などを経て幹事長

*4:橋本内閣経済企画庁長官、森内閣経済財政担当相、小泉内閣総務相、第一次安倍内閣外相、自民党幹事長(福田総裁時代)などを経て首相。現在、第二~四次安倍内閣副総理・財務相

*5:宇野氏や海部氏が「パー(バカ)」か知りませんが(少なくとも安倍よりはましでしょうが)。まあ「軽い(重要閣僚や党三役などの経験がほとんどなく派閥ボスでもないので、リクルート事件安倍晋太郎幹事長、宮沢蔵相、渡辺ミッチー政調会長ら政府、党幹部が政治的謹慎を余儀なくされるまでは首相候補扱いされてなかった)」のは事実ですが。

*6:中曽根内閣自治相・国家公安委員長自民党幹事長(海部総裁時代)、新生党代表幹事、新進党党首、自由党代表、民主党幹事長など歴任

*7:佐藤、田中内閣官房長官、三木内閣建設相、大平、中曽根内閣蔵相、自民党幹事長(中曽根総裁時代)などを経て首相

*8:田中内閣防衛庁長官自民党国対委員長(三木総裁時代)、福田内閣科学技術庁長官、大平内閣行政管理庁長官、中曽根内閣通産相、竹下内閣外相などを経て首相

*9:自民党国対委員長(三木総裁時代)、福田、中曽根内閣文相などを経て首相

*10:俺は安倍側に非があると思いますが

*11:そもそも俺は韓国に落ち度があるとは思いませんが。

*12:率直に言って日本も明らかに経済的ダメージを受けているでしょう。

*13:韓国から頭を下げることはないでしょう。安倍の要求は無法の極みですので。

*14:実際どうなのかは素人の小生には分かりませんが。

*15:ちなみにゾルゲ事件ゾルゲが所属したのがこのGRU(当時はロシア軍ではなくソ連軍ですが)です。ただし「世間へのインパクトを重視した当時の日本の公安」は「コミンテルンスパイ」と言う事実に反する発表をしますが(もちろんコミンテルン系列と軍系列では全くの別組織です)。

*16:著書『サイバー・テロ:日米vs.中国』(2012年、文春新書)、『サイバーセキュリティと国際政治』(2015年、千倉書房)、『暴露の世紀:国家を揺るがすサイバーテロリズム』(2016年、角川新書)など

*17:著書『北朝鮮 核の資金源:「国連捜査」秘録』(2017年、新潮社)