今日の産経ニュースほか(2019年9月14~16日分)

進次郎氏「次の首相」3位 国民的な人気まざまざと 産経・FNN合同世論調査 - 産経ニュース

 第4次安倍晋三改造内閣で最も活躍を期待する閣僚を聞いたところ、小泉進次郎環境相が48.9%に上り、トップ

 あきれて二の句が継げませんね。政治家として何の実績もなければ、環境問題に見識があるとも聞かない男に何を期待するのか。
 環境問題で具体的に何をしてほしいのか。
 たぶん「イケメンだから」「話題性があるから」程度の話に過ぎず「環境問題ではこれをすることを小泉jrに期待している、なぜなら」といえるまともな内容(温暖化対策にせよ、プラスチックごみ問題にせよ、何にせよ)は何もないのでしょうが。
 極端な話、小泉jrがどんな大臣ポストに就こうとも関係ないのでしょう。たとえば「ありえないこと」ですが麻生を首にして後釜の財務相に小泉JRをつけても「期待する」と回答して「じゃあ麻生前財務相の政治に不満があったのですか?」「小泉新財務相にどんな財政政策をしてほしいのですか?」などと聞かれても、まともに答えられないようなのが「小泉JR支持」といっちゃうような連中でしょう。
 そして「政治家として一応実績がある人々(麻生*1副総理・財務相、菅官房長官、前外相である河野防衛相、総務相に再任された高市厚労相に再任された加藤)」よりも実績のない小泉JRが上というのも「日本政治の劣化以外何物でもない」でしょう。

 小泉氏は14.3%で3位。トップは安倍首相の17.3%で、石破茂*2元幹事長が16.0%で続いた。

 まあ完全に「どんぐりの背比べ」ですね。あえて言えば「石破プラス小泉>安倍」であり「安倍が大人気というわけでは全くないこと」が改めて分かったということでしょうか。「安倍の総裁復帰当初」はともかく今や自民支持層ですら「自民党が安倍を総裁にしてるから俺も支持する」「石破が総裁なら石破支持でもいい」程度の支持でしかないということです。それにしても石破や小泉JRの支持率は「安倍への不満の表れ」でしょうに、それが「自民党内の安倍おろしに現時点ではつながらないこと」や「最大野党党首の枝野*3の支持率アップにはつながらないこと(枝野は岸田政調会長(前外相)などほかの自民政治家よりも下)」が何ともかんともです。


武田国家公安委員長が元暴力団関係者から献金 竹本科学技術担当相が暴力団幹部と撮った記念写真 を入手 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)
 今の自民党では予想の範囲内の疑惑、不祥事ですが非道すぎるとしか言いようがないですね。ひとまずは週刊朝日をほめておきます。野党各党や他マスコミがどれほど追及できるかでしょう。まあ、正直、「産経、読売(自民応援団)」はもちろん、テレビ局各局にはあまり期待していませんが。


【産経・FNN合同世論調査】進次郎効果? 内閣改造4割「評価」 - 産経ニュース
 ただし

支持政党別に「評価する」との回答割合をみると、自民63.1%▽公明63.9%▽維新43.0%▽立憲民主23.6%▽無党派層27.9%

ですからね。「自民、公明支持層以外はほとんど評価していない」「その自民、公明ですら3~4割は支持していない(不支持だけでなく無回答、わからないを含む)」ともいえるわけです。産経が自画自賛するほどの成果では全くないでしょう。


ソロモン諸島が台湾と「断交」 中国と国交 - 産経ニュース
 また「断交」だそうです。「反中国」蔡英文政権誕生後、中国の外交攻勢で「断交する国(エルサルバドルパナマブルキナファソなど)」が相次ぎ、ソロモン諸島にも「国交継続の依頼」にいったのにこれです。もはや蔡英文政権の対中国外交は「いたずらに中国を敵視することでかえって国益を破壊した」「馬前総統時代の外交成果をすべて破壊した」といっていいでしょう。


【昭和天皇の87年】窮乏する国民生活 日米は危険な「無条約時代」に突入した - 産経ニュース

 (ボーガス注:阿部*4内閣外相の)野村が心を砕いたのは、日米通商航海条約の維持だ。日中戦争に反対するアメリカは7月、同条約を翌年1月に廃棄すると通告しており、これを回避しなければ石油、資材、原料を輸入する保証がなくなってしまう。
 野村は対米宥和のため、日本軍の勢力下にある揚子江の南京下流を経済開放しようとした。米大使のグルーや英大使のクレーギーとも会談を重ね、12月18日にはグルーに、南京下流の開放を約束する。野村の誠意はアメリカ本国にも伝わり、12月22日の会談では、米大統領の緊急措置により日米貿易の現状を維持する案がグルーから示された。
 ところが、南京下流の開放に現地の日本軍が反対。現地軍がアメリカの経済活動を妨害したこともあり、日米交渉は成立の一歩手前で破断した。弱体の阿部内閣に、現地軍の手綱を引く力はなかったのだ。野村はのちにこう語っている。
 「揚子江開放どころか上海に入って来るアメリカの艦船などは、日本の現地軍がジャンクをコントロールして妨害したのだから話にならぬ、全く何も彼もぶち壊されてしまったという感じであった。私一個人の名声などはどうでもよいが、あの時せめて揚子江の開放だけでも実行していたら、また道は通ずるものがあったのではなかろうかと、国家のために残念で堪らぬ」
 明くる15年1月26日、日米通商航海条約が失効。両国はこれより“安全ロック”のない無条約時代に突入する。

 いつもの「日本悪くない、米国がすべて悪い」とはなぜか論調が違う産経です。
 なお、「確かに現地軍の態度とそれを抑制できない中央政府の無力」は対米関係を悪化させたでしょうが、「中国との戦争」をやめない限り、事態は本当の意味では解決したとはいえず、「対英米戦争」という結末は変わらなかったんじゃないか。


【昭和天皇の87年】短命に終わった「重臣の切り札」 次期首相はこの人しかいないのか - 産経ニュース

 7月16日、陸相の畑*5が辞職し、内閣は瓦解する。
 ところで米内*6内閣が退陣した背景には、欧州の戦乱という国際情勢に加え、政党の変革という国内問題があった。元首相の近衛文麿*7を担ぎ出し、全国民的な新党をつくろうという、新体制運動の盛り上がりである。
 米内内閣は、内大臣の湯浅倉平*8らが後ろ盾となって発足した。全体主義的な風潮が強まる中で、自由主義的な米内内閣は「重臣の秘めた切り札」だったと、当時の新聞が書く(※3)。その切り札への揺さぶりは重臣にも向けられ、湯浅は健康を悪化させて15年6月1日に辞職した。後任の内大臣は近衛の盟友、木戸幸一*9である。
 7月17日、米内内閣が瓦解し、昭和天皇から後継首班の下問を受けた木戸は、宮中に首相経験者ら7人を集めて重臣会議を開き、わずか30分ほどで近衛の推薦を決めた。新体制運動が盛り上がる中、近衛以外では国民の支持は得られず、何より陸軍によって潰されてしまうと考えたのだ。
 近衛の人事は良くも悪くも斬新だ。昭和天皇から「特に慎重すべき」と指示された外相には、国際連盟脱退で名を売った元外交官の満鉄総裁、松岡洋右を起用した。軍部統制のカギを握る陸相は、統制派を束ねる航空総監、東条英機*10である。
 この2人を、新聞各紙は「登場した両巨星」などともてはやし、こぞって歓迎した(※5)。
 だが、近衛も新聞も、見る目がなかったといえよう。この2人が、やがて近衛が命がけで取り組む和平工作をぶち壊してしまう*11のだ。

 いやー産経のスタンスが実にわかりやすいですね。「陸軍と同調した近衛と木戸、松岡が悪い、陸軍の東条が悪い、昭和天皇悪くない」と。
 「いや、事情がどうあれ、近衛首相、木戸内大臣、松岡外相、東条陸軍大臣(のちに首相)の行動を認めたのは国家元首昭和天皇だろ。そんな言い訳通用するか」て話です。
 しかしここまで産経が東条と松岡に悪口しながら、彼らが靖国に合祀されてるのを容認しているのはどういうことでしょうか。
 なお、米内は確かに「英米との戦争には否定的」ですが、とはいえ中国との戦争について和平派というわけでもありません。彼が首相として仮に辣腕をふるっても「中国との戦争」を継続する限り「対英米戦争」という結末は変わらなかったんじゃないか。


【産経抄】9月14日 - 産経ニュース

 任期制自衛官も失業保険に入れない。

 ググったところ「任期制自衛官」つうのは「正式な自衛官になる前の試験採用」みたいなもんらいしいので、通常は
1)試験採用期間中によほど箸にも棒にもかからないダメ人間であることが発覚し「自衛隊としてとても正式採用できない」という判断をするか
2)やっぱ自衛官でなくて他の場所(企業や地方自治体など)で働きます、と任期制自衛官のほうから辞退
でもしない限りほぼ確実に自衛隊に採用されるわけです。つまりは失業保険に加入させる必要性に乏しい。いずれにせよこんなことは九条改憲云々とかけらも関係がない。そして「6年にも及ぶ長期政権の安倍*12」が決断すればすぐにでもできることでしょう(すべきかどうかはひとまずおきます)。

 公務員宿舎削減で緊急参集要員住宅が確保できない。

 公務員宿舎を削減してるのは何も自衛隊だけではありません。「国のほかの役所」もそうだし地方自治体もそうです。そして「仮に自衛官のための緊急参集要員住宅とやらが本当に必要ならば」だれも反対などしません。いずれにせよこんなことは九条改憲云々とかけらも関係がない。そして「6年にも及ぶ長期政権の安倍*13」が決断すればすぐにでもできることでしょう(すべきかどうかはひとまずおきます)。

 頻繁に異動があるのに引っ越し費用は半額自己負担

 産経の言う「引っ越し費用」が何を意味するのか知りませんが、「国のほかの役所」も、地方自治体も、民間企業も普通は「引っ越し費用全額負担」なんかしないでしょうよ。小生も仕事の都合で引っ越したことはありますが、引っ越し費用なんか会社から出てなかったと思いますね。いずれにせよこれも九条改憲云々とかけらも関係がない。安倍が「全額引っ越し費用を国で負担する」とすれば終わる話です(すべきかどうかはひとまずおきます)。

・ジャーナリスト、小笠原理恵氏の新著『自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う』(扶桑社)
・予算不足で隊員も制服も装備も弾薬も足りず、十分な射撃訓練もできずにいる隊員らの窮乏ぶり

 まあ産経が持ち上げるつうことは小笠原某氏も産経と同ベルのウヨなのでしょう。そもそもこの本「月刊スパ(扶桑社)の連載」が元だそうですし。
 それはともかく、仮に「職員宿舎のトイレットペーパー」ならともかく、「オフィスのトイレットペーパー」を職員に自腹で買わせたらそれは自衛隊でなくて「国のほかの役所」でも、地方自治体でも、民間企業でも問題でしょう。そんなんは福利厚生費として雇用主(?)が持って当然の経費です。日本共産党の「軍縮主張」だって「高額兵器を買うな」であって「トイレットペーパーを職員に自腹で買わせろ」云々なんて話ではない。というか「高額武器を買って史上最高金額の軍拡をしてる」のに「トイレットペーパーを自衛隊員に自腹で買わせてる安倍」「予算不足→弾薬不足で自衛隊員が十分な射撃訓練ができない*14状況にしてる安倍」がすべて悪いのであって、こんなことは九条改憲云々とかけらも関係がない。
 なんで「安倍はトイレットペーパーを自衛官に自腹で買わせるようなせこい真似をするな、きちんと国の予算で買え」「そんなことをするくらいなら高額兵器の購入などやめろ」と産経は言わないのか。護憲派に因縁をつけられるような話では全くありません。むしろ「安倍は高額兵器を爆買いしながらトイレットペーパーの自腹購入なんかやらせてるのか」と安倍批判にしかならない話でしょう。まさか「長期政権の安倍」なのに産経は「安倍政権の前の野田政権が悪い」という気なのか。

 今年2月13日の衆院予算委員会では、涙を浮かべた息子に「お父さん、憲法違反なの」と問われた自衛官のエピソードを講演で紹介した安倍晋三首相に対し、立憲民主党議員が問い詰める場面があった。
「これは実話か」「何県でいつごろどういう方から聞いたのか」。

 もちろん安倍は何の根拠も提出できませんでした。一説によると櫻井よしこら「ウヨの与太話」をうのみにしたという恥ずかしい話のようです。
 それでも「首相が根拠を出せなくても、そういう事実がなかったとはいえない(だからお前らが根拠出せよ!)」「事実でないという根拠を批判派は出せるのか(根拠出すのは、お前らだろ!)」と「何人国内で発見者が出ようとも『ほかの失踪者は北朝鮮拉致かもしれない』として特定失踪者を正当化する荒木並の詭弁」が始まるのが産経と「安倍イエスマン集団の今の自民」ですから心底呆れます。
 そもそも「安倍の改憲」が目指すものは「自衛隊の海外での武力行使(米軍との共同軍事作戦)」「専守防衛方針の放棄」なので、こんな話をするのは詐欺も甚だしいですが。「自衛隊員の子どもがかわいそうだから改憲する」なんて目的では全くないわけです。

*1:麻生の場合「第一次安倍内閣総務相」「第二~四次安倍内閣官房長官」(つまり安倍内閣での閣僚経験)しか閣僚経験のない菅などと違い、「橋本内閣経済企画庁長官」「森内閣経済財政担当相」「小泉内閣総務相」「第一次安倍内閣外相」として閣僚経験も豊富なわけです。

*2:小泉内閣防衛庁長官福田内閣防衛相、麻生内閣農水相自民党政調会長(谷垣総裁時代)、幹事長(第二次安倍総裁時代)、第三次安倍内閣地方創生担当相など歴任

*3:鳩山内閣行政刷新担当相、菅内閣官房長官、野田内閣経産相民主党幹事長(海江田、岡田代表時代)、民進党代表代行(前原代表時代)を経て立憲民主党代表

*4:陸軍省軍務局長、陸軍次官、台湾軍司令官、首相、朝鮮総督など歴任

*5:台湾軍司令官、陸軍教育総監、中支那派遣軍司令官、侍従武官長、米内内閣陸軍大臣支那派遣軍総司令官など歴任。戦後、終身刑判決を受けるが後に仮釈放。

*6:林、第一次近衛、平沼内閣海軍大臣、首相、小磯、鈴木、東久邇宮、幣原内閣海軍大臣など歴任

*7:貴族院議長、首相を歴任。戦後、戦犯指定を苦に自殺。

*8:警視総監、内務次官、会計検査院長宮内大臣内大臣など歴任

*9:第一次近衛内閣文相、厚生相、平沼内閣内務相、内大臣など歴任。戦後、終身刑判決を受けるが後に仮釈放。

*10:関東憲兵隊司令官、関東軍参謀長、陸軍次官、陸軍航空総監、第二次、第三次近衛内閣陸軍大臣、首相など歴任。戦後、死刑判決。のちに靖国に合祀。

*11:「民間人外相」松岡外相はともかく、「陸軍幹部(元陸軍次官)の東条」が陸軍大臣になるのはごく自然ですし、そもそも陸軍は東条以外も「ほとんどがイケイケどんどん」ですからね。東条陸軍大臣は非難されるいわれはないでしょう。

*12:安倍批判派として実に屈辱ですが

*13:「繰り返しますが」安倍批判派として実に屈辱ですが

*14:実際「予算不足→弾薬不足で十分な射撃訓練ができない」のか知りませんが産経曰く「そうなんだ」そうです。