新刊紹介:「経済」10月号

「経済」10月号について、俺の説明できる範囲で簡単に紹介します。
 http://www.shinnihon-net.co.jp/magazine/keizai/
世界と日本
■中国、4年ぶりの国防白書(平井潤一)
(内容紹介)
 国防費の増大については批判をしていますが、それ以外については特に目立った批判はありません。
 少なくとも平井氏が産経など反中国ウヨが放言する「米中戦争」「台湾危機」など「軍事衝突」を想定していないことは確かでしょう。俺も同感ですね。
 今のところ中国は「イラクやアフガンでの米軍」「シリアでのロシア軍」のような大規模な海外での軍事展開はしていませんし、当面はそうした考えはないでしょう。だからこその一帯一路でもあるでしょう。

参考

軍事専門家の解説 『新時代の中国国防』の6つの注目点--人民網日本語版--人民日報
■注目点3:「永遠に覇権を唱えず、永遠に拡張せず、永遠に勢力範囲を求めず」を初めて新時代における中国の国防の鮮明な特徴に
【白書】
「永遠に覇権を唱えず、永遠に拡張せず、永遠に勢力範囲を求めない。これは新時代における中国の国防の鮮明な特徴だ」
【専門家の解説】
 軍事科学院政治活動研究院の釋清仁副研究員
「永遠に覇権を唱えず、永遠に拡張せず、永遠に勢力範囲を求めない。これは我が国が長年堅持している対外政策であり、習主席が国際的な場で世界に向けて行ってきた重大な政策表明でもある。新版の白書はこれを新時代における中国の国防の鮮明な特徴とし、新時代における中国の国防政策が防御的であることを明示し、中国の戦略的意図の透明性を反映した。これは中国の発展に対する外の世界の疑念及び懸念を取り除き、一部の者が宣伝するいわゆる『中国脅威論』を打破する助けとなる」
■注目点6:国防費の国際比較によって中国の国防費と安保上の必要性との開きを初めて明らかに
【白書】
「2017年に国防費が世界の上位にあった国々のうち、中国の国防費は対GDP比や国の歳出に占める割合でも、国民1人当たりや軍人1人当たりの額でも低水準にある」
【専門家の解説】
 軍事科学院戦争研究院ポストドクターの周州氏「国防費はかねてから国際社会の注目の焦点だ。新版の国防白書は国防費の対GDP比、歳出に占める割合、1人当たり国防費水準の3つの次元から、2017年に国防費が世界の上位にあった国々の状況と比較して、中国の国防費の増加が合理的で適度なものであり、支出がやや低水準のものであることを力強く説明した」

 「永遠に覇権を求めない(覇権主義否定)」「我が国は軍事費が増加しているがその増加は欧米や日本などに比べ低水準。欧米や日本には少なくとも批判されるいわれはない」などの主張を「事実に合致した全くの正論だ」と肯定的に評価するにせよ、「事実に反する」と否定的に評価するにせよ、どう評価するにせよ、中国が「軍事大国で何が悪い」という居直り的態度を公然ととっていないことは注目すべきことでしょう。


■湾岸の緊張が孕む危険性(西海敏夫)
(内容紹介)
 イランへの対決姿勢を強めるトランプ政権が批判されている。
イラン沖の「有志連合」への派兵に反対する/―外交的解決にこそ力つくせ/志位委員長が表明
なんだっけ/イラン核合意って?
独は「有志連合」不参加/外相表明 対イラン「軍事的解決ない」


特集『グローバリゼーションとEU
欧州議会選挙とEU統合の現段階(田中宏*1
(内容紹介)
 架空インタビュー形式で書いてみます。
■俺
 今回の欧州議会選挙の特徴は何でしょうか。
■田中氏
 まず第一に当初危惧された極右の躍進はありませんでした。ただし議席自体は増加しているので今後も警戒は必要です。
 第二に従来の二大勢力である中道左派(社民)、中道右派は退潮し、その代わりに緑の党が躍進しました。ただし緑の党は躍進してもすでに述べたように中道左派は退潮していますし、共産党など従来の左派も議席を減らしました。また緑の党はもっぱら北欧とフランス、ドイツで議席を獲得し、東欧、南欧ではほとんど議席を獲得できていません。東欧、南欧ではいまだに従来の二大勢力の力が強いのです。


新自由主義とイギリス福祉国家(二宮元*2
(内容紹介)
 イギリス福祉国家サッチャー保守党政権(1979~1990年)の「急進的新自由主義」により大きく変化したが、それは格差拡大を生み、労働者の反発による保守党下野、ブレア労働政権誕生(1997年)を生んだ。
 ブレア政権(1997~2007年)は「サッチャーの急進的新自由主義」でも「従来の労働党」でもない「第三の道」を掲げたが、それは、福祉に一定の目配りをしている点ではサッチャーとは違うとはいえ「マイルドな新自由主義」とでもいうべきものであった。そのため次第に労働党支持層は不満を高め、労働党下野、キャメロン保守党政権誕生(2010年)をもたらした。
 その後、労働党はブレア路線に批判的だった左派コービン(2015年以降)を党首に就任させている。2017年総選挙では政権奪取には至らなかったものの、議席を増加させるとともに保守党を過半数割れさせており、コービンの路線はおおむね労働者層に支持されているとみられる。


■財政規律をめぐる欧州委員会とイタリアの対立(霜田博史)
(内容紹介)
 イタリアの財政赤字克服のため、緊縮財政を求めるEUへの反発から、2018年イタリア総選挙では「反緊縮」を掲げる同盟(右派ポピュリスト政党と言われる)と5つ星運動(左派ポピュリスト政党と言われる)が躍進し、両党の連立政権が成立した(同盟党首のサルビーニが副首相兼内務相に就任)。
 しかし最近、政策対立から同盟が政権から離脱を表明、従来、政権と対立してきた最大野党民主党中道左派)と5つ星運動が連立政権樹立に合意したが前途は不透明である。
 今後の情勢が全く見通せない状態になっており注目される。


特集「問われる報道とNHK問題」
■座談会「官邸支配とメディア:瀬戸際の『国民の知る権利』」(望月衣塑子*3永田浩三*4、砂川浩慶*5
■NHK政治報道へ強まる批判:視聴者市民の継続する取り組み(戸崎賢二*6
NHK「公共メディア」経営戦略のねらい:政府主導ですすむ4K8K放送、ネット活用事業(須藤春夫)
(内容紹介)
 座談会と戸崎論文が「安倍自民の恫喝と圧力」によって安倍御用メディア化しているNHKへの批判です。ただし座談会においては望月氏がメンバーであることで分かるように、安倍自民に忖度し、「望月排除」へ動く安倍政権を何ら批判しない日本新聞協会やそれどころか、安倍擁護する産経なども批判されています。
 一方、須藤論文は「4K8K放送、ネット活用事業」ということでNHKの金儲けの傾斜を「公共放送として適切なのか」という批判をしています。
参考
国民の信頼が不可欠/NHKネット同時配信 本村氏ただす/法改定案は可決/衆院委
改定放送法が成立 山下氏ただす/NHKのネット同時配信可能に/スマホからも受信料?
なんだっけ/NHKがネットで見られる?
NHK前「アベチャンネルNO!」/「政権忖度」の声 板野専務理事解任求める
真実へ記者の連帯を/シンポ 安倍政権とメディア語る
公共的な放送機関をなくしてはいけない/「放送を語る会」がN国党を批判


■米中相互依存(チャイメリカ)経済から「新冷戦」化へ(下)(山脇友宏)
(内容紹介)
 新刊紹介:「経済」9月号 - bogus-simotukareのブログで紹介した(上)の続きです。
 (上)では オバマ政権の「米中相互依存(チャイメリカ)経済」からトランプにより『米中「新冷戦」化』という事実認識が示されていました。
 (下)ではそうした中国敵視は「米国経済や世界経済が中国市場に依存しているため」挫折せざるを得ないし、一日も早く挫折させるべきだとしています。そしてそのためには「無法な中国敵視」をやめさせる「EU諸国(英独仏など)や日本」の米国への働きかけが重要であるとしています(ただし山脇氏はトランプべったりの安倍にそれができるとは思えない、安倍下野がそうした意味でも急務としていますが)。


MMT(近代的金融理論)をめぐって(建部正義*7
(内容紹介)
 MMT(近代的金融理論)なる理論への批判がされていますが「無能のためよく内容がわからない」ので詳細は省略します。まあもちろん、感覚的には「財政赤字を放置してもかまわないなんておかしいんじゃないか?」つう感覚はありますけどね。ただし「たとえインチキな主張だとしても」学説として唱えられてるものを「感覚的に納得いかない」つうのは批判にならないわけです。
 なお、是非はともかくとして「サンダース支持者とされるステファニー・ケルトンが提唱者」「(れいわ新選組党首の山本太郎がどこまでMMTを理解しているかはともかく)山本がMMTに対して好意的な言動をしたこと*8」により、今後も日本においてMMTは一定の注目を集めてはいくのでしょう。

参考

大門実紀史のMMT論
大門実紀史
 大門です。
 既に今日も議論ございましたけれど、今話題のMMT、現代貨幣理論について、日銀の政策にも関係いたしますので質問したいというふうに思います。
 今資料を配っていただいておりますが、既にいろんな方に使ってもらっていますけど、一枚目が朝日新聞の資料でございまして、MMTとは何かということが左上に書いてございますが、朝日は金融理論になっていますが、貨幣理論の方が的確ではないかなとちょっと若干思いますけれども、要するにどういう主張かと申し上げますと、政府は通貨発行権を持っているから通貨を限度なく発行できる、自国の通貨建ての国債が返済不能になることはない、したがって財政赤字が大きくなっても問題はないというんですね。で、インフレは起こらないとはおっしゃっていませんで、インフレが起こるだろうけれども、ある水準に達するまではさっき言った財政支出は幾らやっても構わないというんですね。仮に、ハイパーとは言いませんが、高インフレになっても簡単に抑えることができると、国債を売る売りオペとか増税すればいいというようなこと、もう一つは中央銀行による国債の直接引受け、財政ファイナンスもやっていいんだと。
 これは、ニューヨーク州立大、ケルトン先生の記事でございます。この中にもありますけれども、過去の世界の歴史で起きたハイパーインフレ、日本の、先ほどありましたが、戦後直後のハイパーインフレも含めて、ハイパーインフレが起きたのは中央銀行による財政ファイナンスのせいではないんだと、戦争とかいろんな特別な危機の下で、つまり供給が需要に追い付かない、いろんな生産設備が破壊されますので、そういう物の供給不足からインフレになったので、中央銀行の債務や信用拡張とは関係ないということですね。ですから、財政ファイナンスをやっていいと、ハイパーや悪性インフレ、高インフレは起こらないと、起きても制御できるというふうな、そういう理論でございます。
 MMTそのものはそもそも、ちょっと調べてみましたら、私も専門ではありませんけれど、通貨とは何かという純粋な貨幣学説であって、特に何か急に出てきた話ではないということで、ただ、今まで余り注目されてこなかったのが、今、日本とアメリカで大変話題になっていると。
 そのきっかけは、昨年のアメリカの中間選挙で史上最年少の女性下院議員に当選したオカシオコルテスさん、民主党のサンダース派の、民主的社会主義者とおっしゃっているグループの方ですね、このオカシオコルテスさんが、女性議員ですけど、MMTを支持するということで一気に注目をされてきたということでございまして、これは今のところ、出どころからいえば(ボーガス注:バーニー・サンダース派という)左派の理論なんですね。日本では右派が注目しておりますけれども。
 資料の二枚目に、先ほどございましたけれど、このMMTについて、アメリカのFRBの議長さん含めてそうそうたる、本当にそうなんです、これ何枚も続くんです、著名な学者がみんなMMTを批判をしております。これ財務省の資料で、後でこの問題点も言いますけれど、非常に過剰反応じゃないかと思うくらい、もうことごとくこれは駄目だというふうに批判しているわけですね。
 余りに批判されますので、このケルトン教授というのは、今言いましたMMTの急先鋒の学者さんであって、先ほどのコルテスさんですね、サンダースさんのときもそうですが、コルテスさんのとき、民主党の左派のブレーンみたいな方ですけど、そういう批判が猛烈にされましたので、このケルトン教授は、資料一に戻りますけれども、そのいろんな批判された反論として、日本でやっているんだと、日本で成功しているんだと、実例があるじゃないかということでいろいろおっしゃっているわけですね。だから、もう理論的にも実証されているんだということで、そういう議論があったので、この議論がアメリカから日本に飛び火をして、日本の日銀も含めて今いろんなことになっていると。
 それで、財務省が、要するにどんどん借金しても大丈夫だよというような理論なので、慌てて火消しに躍起になって、財政審で、この三枚目から六枚目の資料ですね、こうびっしり出して、これも過剰反応ではないかなと私思いますけれど、出してきているということですね。
 資料の三枚目に西田さんの有名な決算委員会での質問の答弁が載っているわけですが、これ私、西田さんに大変失礼だと思うんですよね。西田さんの質問を載っけないで答弁だけ載っけているんですよね。
(中略)
 この答弁だけ載っけて反論だけに使っているというのは、大変議員の質問に対して失礼じゃないかと思いますけれど、非常に過剰反応ですよね、過剰なんですね。
 このMMTの理論の中身は後で触れたいんですけれど、まず、なぜこういう主張が欧米で力を増してきたのかということをやっぱり私たちは考えるべきじゃないのかなと思うんですよね。一言で言いますと、緊縮財政、緊縮政策に対する反発、もうたまりにたまった不満が爆発してきたのではないかと。これは日本でも言えると思います。
 要するに、この二、三十年、日本では二十年ぐらいですかね、新自由主義的なグローバリゼーション、規制緩和、小さな政府、緊縮、財政規律、社会保障を抑制して、増税して、我慢しろ我慢しろと。こういうふうないわゆる緊縮政策に対して、もういいかげんにしろと、政府は国民のためにお金使えと、場合によっちゃ借金してでも国民の暮らしを守れということなんですね。今まで政府が言ってきたような、日本の政府もそうなんですけど、財政規律とか緊縮というのが一体誰のための緊縮だったのかと。
 要するに、小さな政府論があって、富裕層とか大手資本が海外に逃げないとかいろんな、そのために緊縮財政を押し付けてきたんじゃないかというようなことがだんだん分かってきて、そういうことも含めてこういう反発が起きて、ですから、私はこれ、不満の歴史的な爆発というふうに捉えるべきではないかと思うんです、政治的に言えば、歴史的に言えばですね。
 ですから、欧州の左派、イギリスの労働党のコービンさんとか、スペインのポデモスですか、新興左派ですね、で、アメリカのさっき言ったサンダース、オカシオコルテスさんというような人たちが一様にこの緊縮に対する反発、反緊縮という言い方されておりますけど、そういうものとして、対抗軸として出てきたのではないかと思うわけであります。
 実際にこのMMTの理論をどういうふうに政策として採用するのかは、今言ったいろんな国のいろんなやり方がありますけれど、大きなバックボーンとしてこのMMTがあるということではないかと思います。
 ただ、正確に言いますと、コービンさんなんかの政策を見ると、社会政策の方は税制改革でと。つまり、富裕層に増税を求めてとか、歳出の中でやるものは増税、税制改革。で、緩和マネーでやるのは公共インフラ、公共住宅の建設。そこで雇用を生めと、雇用も生めという意味ですけどね。そういうふうにありますけど、いずれにせよ、緊縮財政への反発が歴史的な背景にあるといいますか、あると。
 そこで、日本について考えますと、この財務省の過剰反応も含めて思うんですけれども、日本の緊縮財政の本丸が財務省だというふうに思われているから、西田さんも財務省を主要の敵の本を書かれるわけですよね。そういうことが広がっているわけ、いろんな方からね。
 そういうふうに考えますと、財務省はこれ、ただ過剰反応するんじゃなくて、自分たちがやってきたこと、やろうとしていることをもうちょっと謙虚に反省すべきじゃないかと、まず。このMMTは日本にずっと波及しますよ、財務省が今の姿勢のままですと。
 要するに、財務省は一貫して財政再建至上主義、借金が大変だ大変だと危機感あおって、プロパガンダやって、もう社会保障は削るしかないと、増税しかないんだというようなことをずっとやってきたわけですね。四月の財政審なんかも、あれもう夢も希望もない、国民にとっては。もう気持ちが暗くなるだけの、そんなものばっかり出してきているから景気も悪くなって、マインドも冷え込んで良くならないということになっていると思うんですよね。
 ですから、財務省に聞きたいのは、緊縮財政にこんな過剰反応するんじゃなくて、今の財務省の緊縮政策そのものがもう歴史的に日本では問われていると、そういう認識をまず持つべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
副大臣鈴木馨祐*9
 今いろいろと御指摘をいただいたところでありますけれども、例えば、今、高齢化がこれから進んでいくような状況を考えれば、やはり医療の高度化も伴って社会保障全体の費用というのはこれからどうしても増えていく傾向があると、そういった状況があります。さらに、やはり今の景況感、景気の状況を考えたときに、どこまで公助でしっかりと支えていかなくてはいけない状況なのか、これは当然、その時々の景気状況によって我々の打つべき政策変わってくると思います。
 そうした中で、どこに最適解があるのかということを考えて、今しっかりとそうした財政の必要なところ、必要なところをしっかりと対応していくということで今政策を進めているところであります。
大門実紀史
 そんなことばっかり言っているから、財務省がもう主要な敵になっちゃうんですよね。副大臣財務省出身だから仕方がないのかも分かりませんけれども。
 私は、このMMTの理論の中身というよりも、欧米の場合は左派が多いわけですけれども、こういう政治家の方々の心情というのは、国民の気持ちを代弁していて大変理解できるところはあるわけでございますし、大変共感するところはもちろんあるわけです。当たり前ですよね、目の前で困っている人がいたら借金してでも助けろと、それは政治の役割ですよね。これは当たり前のことでありましてですね。
 あと、財務省にちょっと一言言っておきますと、何でこんな過剰反応するのかなと。私、このMMTの理論は、一つの知的なシミュレーションとしてちゃんと参考にすべきところは参考にして、何も全面否定、こんな全面否定する必要ないんじゃないかと思うんですよね。西田さんが言われた信用創造の話も、先ほどもありましたけれども、当たり前の話をされているわけで、銀行が万年筆マネーで数字書けばそれでお金が生まれるわけですから、それは一つの当たり前の、実務的には当たり前の話をされているわけですね。それを延長するとちょっといろいろ言いたくなるというのは分かりますけれども。
 ただ、いずれにせよ、物事というのはそういう面もあれば違う面も見ると、からも見るということであって、これは一つのシミュレーションとして、この信用創造論、別に新しい話と私思わないんですけれども、天動説、地動説ほどの話だとは思わないけれども、これは一つの考え方とこのMMTの人たちも言っているわけですね。そういうふうに捉えればいい話で、何もむきになって否定する必要ないと思うんですよね。
 統合政府まで、これ、わざわざよくこんなもの資料作ったなと思いますけれども。これ何枚目ですかね、統合政府は資料五枚目ですかね。何でここまで一々やる必要があるのかなと思うんですけれども。要するに、政府と日銀が一体だと考えるとどうなるかということを一つのシミュレーションとしてMMTの人はかたがた言っているわけでありまして、これは要するに、財務省が借金大変だ大変だと言うから、違う考え方もありますよと、こうやって見ればちょっと違う絵柄が見えるでしょうということのシミュレーションであって、何も本当に統合しているわけでもありませんし、当座預金は負債で残りますからね。それをこんな、何か非常に過剰反応する必要は何もないんじゃないかと。財務省の脅しに乗るよりはよっぽど、この統合政府論をいつも描いておいた方がよっぽどいいなと私は思うんでありまして、何もこれもそんな否定するような話じゃないと。財務省が余りにも今まであおり過ぎるからこういう考え方が出てくるんではないかと思いますし。
 先ほどもちょっとありましたけれども、六枚目のシムズ理論、FTPLですね、これも何で一々こんなこと書くのかなと思いますけれども。これも一つの知的シミュレーションで見ればいいんじゃないかと思うんですよね。要するに、これ言っていることは、政府が財政支出を行う、借金して行う、だけど将来増税しませんよ、歳出のカットもしませんよということをコミットしたら人々はお金を使うだろう、景気は良くなるだろう、物価は上がるだろうと。これ一つのシミュレーションで、私は本当にこのとおりいくと思いませんよ、人々の気持ちというのはいろいろありますからね。このとおり動くとは思いませんが、一つの学者さんの意見として、理論として参考にすればいいだけで、シミュレーションとしてですね、こんな一々反応する必要はないんじゃないかというふうに思います。
 ですから、ちょっと過剰反応し過ぎじゃないかなと思うわけですけれども、一つだけ私が思うのは、なかなかMMTの主張に同意できないといいますか、思うのは、やはり中央銀行が財政ファイナンスをしても大丈夫、高インフレは起こらない、日銀はもう既に財政ファイナンスやっているからインフレにもならない、金利も低いんだと。やっているけれどもインフレにならない、金利も低いんだ、だからこれからも大丈夫と。これだけはちょっと違うのかなというふうに大変思っているところでありまして、ここからは西田さんと意見が分かれてくるわけでございます。
 これはもう長いこと、私もう二十年近くそういう議論しているんですけれども、先ほども黒田総裁にMMTどう見るかという質問ございまして、要するに、ちょっと一般的な今までの答弁と同じで、みんなが批判しているし、少数の主張だし、オーソライズされていないということだけでしたけれども、このケルトン先生がおっしゃっているのはそういうことではなくて、実態として。目的じゃないんですね。日銀はそういう目的でやっていません、財政ファイナンスなんか考えておりませんと。それはそういう目的じゃなくて、事実この六年やってきたことは間接的なファイナンスで、しかも巨額の国債保有をしている、しかしインフレ起きていないじゃないか、金利もゼロに張り付いているじゃないかと、この部分がケルトンさんはMMTと、今までのところですよ、少なくとも、同じではないかということをおっしゃっているわけですね。それはもう藤巻さんと私は同じで、同じじゃないかと思うんです、そこはと思うんですね。
 あえて違うと日銀がおっしゃるとしたら、日銀は、この先も絶対高インフレは起こらないとか、財政ファイナンスに発展しても大丈夫だとは思っていないということならば違いますよということになると思うんですけれど、その点はいかがですか。
参考人黒田東彦君)
 先ほど申し上げたように、MMTの理論自体が必ずしも体系化されておりませんので、なかなかこの評価が難しいということは申し上げたいと思いますが、その上で、この基本的な考え方の、自国通貨建て政府債務はデフォルトしない、したがって財政政策は財政赤字や債務残高なんか考慮しないで景気安定化に専念する、しかも、その際、国債中央銀行引受けで幾らでもやってもハイパーインフレにならないということも言っている人がいるわけですけれども、御承知のように、戦後のインフレの多くが、確かに生産設備が破壊されて供給力が落ちたところに、戦後に、戦争中に抑制あるいは抑圧されていた消費需要がばっと出てきてインフレになったという面があることは事実なんですけど、他方で、やはりその際に巨額の国債をため、それをファイナンスしてきたと。
 御承知のように、アメリカ自体もそういう下で中央銀行が長期国債金利を上げないようにずっとしていたわけですけど、景気がもう良くなっているのにやったということが失敗だったというので、それは五〇年代にやめているわけですけれども。
 いずれにせよ、ハイパーインフレは戦後のそういう時期だけでなくて、途上国ではそこらじゅうでハイパーインフレは起こっています。これは別に戦争があった結果ではなくて、ラテンアメリカとかアフリカとかでいっぱい起こっていますし、アジアでも起こっています。
 ですから、MMTの理論が、財政政策はもう幾らやっても大丈夫で、しかもそれを中央銀行ファイナンスしたら大丈夫、ハイパーインフレなんてほとんどならないというのは実際間違っているわけでして、そこは学者の人がみんな批判する一番大きな理由だと思います。
 それから二番目に、ケルトン教授ほかの人が、日本はMMT理論を実行しているじゃないかということを言われるんですが、私はそういうふうに思っておりません。
 ケルトン教授の理論というのは、要するに、財政はもうどんどんむちゃくちゃ拡張して、それを全部中央銀行引受けで国債を買ってやれればいいんだと言うんですけど、それを日本がやっているかと言われると、むしろ委員が御指摘のように、景気対策ということはやってきましたけれども、やはり財政の健全化あるいは持続可能性を強化するということは歴代の内閣でも、今の内閣でもそうですけれども、重要なことであると考えていますし、それは私は間違っていないと思いますので、ケルトン教授が言っているように、日本はMMTを実行して財政を大拡張して、それを中央銀行が引き受けてうまくいっていると、ハイパーインフレになっていないという議論は、日本がそういうことをやっているわけではありませんので、そのMMTの理論の、何というんですか、正当化するための、実例があるというのは間違っていると思います。
 なお、シムズ教授の理論、議論については私もよく存じておりまして、実際にシムズ教授が講演して話されたのはもう大分前ですけれども、五、六年前ですか、その場におりまして、シムズ教授と話したこともありますけれども、この理論自体はしっかりした理論で、別におかしくはないんですね。ただ、その前提がちょうど満たされるような状況かと言われると、そういう状況になっているところは余りないということでして、前提をきちっと受け入れるときちっとした結果が出てくるということは間違いないので。
 シムズ教授はたしか(ボーガス注:2011年に)ノーベル経済学賞もらって、期待とかマーケットの話について非常に詳しい人ですけれども、全く理論として間違っていると思いませんし、それはそれで考慮すべきものであると思いますが、MMTについては理論もしっかりしていないし、それから、確かに今委員御指摘のような政治状況の中でアメリカでかなりもてはやされてはいますけれども、アメリカの学者自体がまずほとんど、デモクラット*10でもリパブリカン*11の学者でも受け入れていないというのは、やはり言っている、主張していることが理論的に正しくないということがあって言っているんだと思います。
 一方で、委員御指摘のような財政政策に関するリベラルな人たちの不満とか、現に民主党の大統領候補の方々はグリーンニューディールということを唱えて、それを実際にちゃんとインフレとか財政破綻なくできるということを言うためにこのMMTというのを使っているんだと思いますけれども、そういう政治的な、あるいは社会的な背景があるということは委員御指摘のとおりだと思いますけれども、ただ、この理論が正しいとか、あるいは日本がそれをやっているとか、それはちょっと当たらないというふうに思っております。
大門実紀史
 (ボーガス注:MMTは支持しませんが)私、このケルトン先生好きなんですよね。何といいますか、心情的にね、人々を救わなきゃいけないというところからいくとですね。だからこそ、財政ファイナンスしても大丈夫だとおっしゃる根拠は何だろう、何だろうということでいろいろ見てみたんですけれど、はっきり大丈夫だと言える根拠が示されていないというのが今のところ、私の勉強不足かも分かりませんけれど。
 まず思うのは、国債の直接引受けと間接引受けはまず大きく違うと思っているんですね、そもそもこの日銀の議論の最初からですけど。銀行から日銀が国債を買うときというのは、既に銀行が国から買っているわけですね。そのときは、銀行は民間の、自分の判断として国債のリスクなりあるいは償還の可能性とかいろんなものを検討した上で市場価値を測って、その値段で買うなら買う、買わないなら買わないと、こう裏付けがあるわけですね、一定、市場のですね。
 ところが、直接引受けになりますと、それとは関係なく、もう政府が発行したら買わなきゃいけないと、こういう仕組みになりますから、市場の裏付けの価値のない国債、つまり通貨も発行することになりますからインフレになると。もうこれ当たり前のよく分かる話で、それがありますから、どうして財政ファイナンス、直接引受けしても大丈夫だと、事実やっているから直接引受けやっていいんだと、ちょっと違うと思うんですけど、その議論もなかなか、どこにも書いてないですね。
 何よりも、ちょっと私分からなかったんで、この新聞記事にあることなんですけど、戦後の、今おっしゃいました戦争とかクーデターでハイパーインフレは起きたんじゃなくて、物不足で起きたんだというようなことなんですね。もちろん、それは物不足もあったと思うんですよ。ところが、それだけなのかということが逆にあって、今言った直接ファイナンスもあるんですけど。
 それで、国会図書館に、このケルトンさんがおっしゃっている、何を根拠にこうおっしゃっているのか、世界各国ではというのを国会図書館に調べてもらったら、この根拠になっているのはアメリカのCATO研究所のワーキングペーパーで、五十六か国におけるハイパーインフレに関する調査というのがありまして、その文言の中に、戦争、政治的失敗等の極端な状況の下で発生したと、ハイパーインフレはですね。で、それしか書いてないんですよね。
 もちろん、その戦争の意味ともう一つ政治的失敗の意味の中に当然直接引受け、ファイナンスがあったんではないかと、時の政府の圧力によって、軍部の圧力とかで国債買わされるわけですからね。ですから、ケルトンさんは別にその文言だけ持ってきて戦争とか何かだとおっしゃっているだけで、中央銀行の信用膨張が関係ないんだという実証は何もないということが分かったんですよね。
 あと、もう一つ気になるのは、これ、民主的な政府ならば、民主的な政府では起きないと。実は、第一次世界大戦の後のドイツでハイパーインフレ起きましたよね。あのとき、ワイマール共和国ですよね。世界で最も民主的と言われた国でしたよね、当時ですね。だから、その意味は分かりませんけど、これは恐らく、理想的な政府、非常に賢い人たちが運営する理想的な政府で、しかも統制経済的な運用ができる、その世界ならばハイパーインフレを起こさず、あるいは起きても止めることができるというようなことの意味かなというふうに善意に解釈して思うところでございます。
 あともう一つは、ちょっといろいろ疑問点あるんですが、いずれにせよ、こういう方々がおっしゃっている意味、最初申し上げましたけど、今の緊縮財政そのものがやっぱり根本的に問われていると。やっぱり税制改革含めてもっと人々のためにお金を使うような、税制改革含めてやらないと違う話になってきて、私がそれともう一つ思うのは、このMMTの理論がこれから、今までの日本を思うとどう影響するかというと、本当に人々のための財政支出、例えば社会保障とか生活予算とかに財政支出が回ることに使われるんだろうかと。ひょっとしたら、要するに、もっと借金していいですよと、あと百兆、二百兆大丈夫ですよと、ここだけが、都合のいいところだけが利用されて、結局新幹線造ろうとか公共事業もっとやっていいとか、そちらの方に使われてしまうんじゃないかと、MMTの理論は、善意としても。
 社会保障は、やっぱり私、社会政策だから、歳出の範囲で税制改革をやるべきだと思っておりますので。
 で、公共事業を全部否定しているわけではありません。重要な公共事業もあります。必要な新幹線もあるでしょう。住民のための公共住宅の建設だって必要ですよね。あと、投資、収益、効率を見てですね。否定するわけじゃありませんが、この理論が、結局今の安倍内閣の下では、財務省だけの責任じゃありませんで、安倍内閣の下では結局はそちらに使われて、国民のための、だって社会保障ずっと削ろうとしているじゃないですか。
(中略)
 だから、そういうふうに危険に、何というのかな、危なく使われる可能性があると。だって、今までのリフレ理論も、いろんなこと言っていましたけど、結局株価上げるために使われたんじゃないかと私は思っておりますので。
 政治の場というのは大変怖いものがありまして、学者さんたちの知的なシミュレーションとかいろんな研究のいいところだけ切り取って使うというのはこの国会の常でございますので、そういう点は非常に警戒をしているわけでありますが、こういうふうに日本もMMTをやっていると言われるぐらい、やっぱり日銀の政策というのは行き詰まっているし、逆に言うと、出口に向かうなと、向かわなくていいためにこういう話が出てきているというふうにも思うわけですよね。
 ここはしっかりと、何度も提案しておりますけど、量的緩和、正常化の道にきちっと踏み出すべきときにやっぱりこういう面からも来ているんじゃないかと思いますが、黒田総裁、いかがでしょうか。
参考人黒田東彦君)
 現時点で、展望レポート等にも示されておりますとおり、二%の物価安定の目標に向けたモメンタムは維持されていますけれども、それまで、達成されるまで、従来考えていたよりも少し時間が掛かるということでありますので、現時点では、この長短金利操作付き量的・質的金融緩和の枠組みの下で強力な金融緩和を引き続き続けていくということになるということであります。
 ただ一方で、二%の物価安定目標が実現すると、そういうような事態に近づいてきた場合には、当然出口について政策委員会でも議論しますし、私どもからもその出口への具体的な考え方についてはコミュニケーションを取っていきたいというふうに考えております。
大門実紀史
 終わります。

異次元緩和をやめよ/大門氏“正常化踏み出せ”
 大門氏*12は、自国通貨建ての政府債務で財政破綻することはないとして赤字を気にすることなく財政支出を求める理論=「MMT(現代貨幣理論)」が日米で話題になっていることについて、「欧米でのMMT支持の流れは、各国政府の『緊縮政策』による国民負担への反発として起きている」と指摘。日本でも財政赤字を強調し(ボーガス注:消費税増税など)国民に負担ばかり求める政府・財務省の姿勢は「緊縮政策」であると批判しました。
 大門氏は、(ボーガス注:反緊縮財政という意味で)MMTを支持する人々への共感を示しつつ、(ボーガス注:MMTが主張する)「財政ファイナンス*13」容認については「過去の歴史を見ても高インフレを引き起こさない保証はない」と主張し(ボーガス注:MMTを批判し)ました。

ビジネス特集 お金がないなら刷ればいい!? | NHKニュース
 主な提唱者であるニューヨーク州立大学のステファニー・ケルトン教授などの学説によれば、その中心的な考え方は「自国で通貨を発行している国家は、債務返済に充てるお金を際限なく発行できるため、政府債務や財政赤字で破綻することはない」というものです。このため、景気を上向かせ、雇用を生み出していくためにも、行き過ぎたインフレにならなければ、「政府は財政赤字を気にせず、積極的に財政出動すべきだ」と説いています。
 このMMT、2018年11月にニューヨーク州から、史上最年少で下院議員に当選したオカシオコルテス氏が支持したことで、ブームに火が付きました。さらに、ケルトン教授が、2020年のアメリカ大統領選に出馬を表明している民主党のサンダース上院議員の顧問を務めたこともあって、支持が広がりました。ケルトン教授らが成功例として引き合いに出しているのが、ほかならぬ日本です。GDPの2倍近くに達した巨額の債務を抱えながらインフレにもならず、財政も破綻していないではないか、と言うのです。
 このため日本でも、にわかに注目を集めるようになっています。4月4日には、参議院の決算委員会でも、自民党の(ボーガス注:西田昌司)議員からMMTへの見解を問う質問が飛び出しました。答弁に立った麻生*14副総理兼財務大臣は、MMTをばっさりと切り捨てました。
「極端な議論に陥ると、財政規律を緩めるということで、極めて危険なことになり得る。そういう実験に最も適しているからといって、この日本という国を実験場にする考えは持っていない」
 4月25日、金融政策決定会合後の記者会見でMMTについて問われた(ボーガス注:日銀の)黒田総裁も。
 「極端な議論で適切なものとは思わない。政府・日銀の政策はMMTとは全く何の関係もない」
 こうした議論に、いま神経をとがらせているのが(ボーガス注:財政再建を理由とした消費税増税に乗り出した政府与党や)財務省です。
 財政問題を議論する国の財政制度等審議会では、財務省が早速、MMTに反論する資料を提出。実に17人もの著名な学者や投資家が、MMTを批判したコメントを列挙しました。ノーベル経済学賞を受賞しているアメリカの経済学者、ポール・クルーグマン*15や、FRBのパウエル議長、著名な投資家のウォーレン・バフェット氏と、そうそうたる名前が並びます。
 財政制度分科会の会長代理を務める元総務大臣増田寛也*16は、会議の後の記者会見で、MMTに理解を示す意見は一切出ず、委員からは「ただメシはない。後で何らかのツケを払わなくてはいけなくなる」など批判的な意見が相次いだと紹介。そのうえで、「学問としては異端で、アメリカの政治的なムーブメント」と冷ややかに総括しました。

ビジネス特集 消費増税は逆効果?「 MMT」提唱者に聞いてみた | NHKニュース
 MMT、2018年11月のアメリカの中間選挙ニューヨーク州から、史上最年少で下院議員に当選したオカシオコルテス氏が支持したことで、ブームに火が付きました。さらに、ケルトン教授が、2020年のアメリカ大統領選に出馬を表明している民主党のサンダース上院議員の顧問を務めたこともあって、支持が広がりました。
 ケルトン教授らがMMTの成功例として引き合いに出しているのが、ほかならぬ日本です。GDPの2倍を超える巨額の債務を抱えながらインフレにもならず、財政も破綻していないではないか、と言うのです。
(中略)
 MMTをめぐっては、強い反発があります。日本の財務省も否定的な立場で、ことし4月に開かれた財政問題を議論する審議会では、MMTに批判的な見方をしている17人もの学者や投資家のコメントを載せた資料を提出しました。
 それによりますと、IMFのラガルド*17専務理事は「MMTが本物の万能薬だと思っていない。(理論の)数式は魅惑的だが、金利が上がり始めれば(借金が膨張して)わなにはまる」と指摘しているほか、前FRB議長のイエレン氏も「MMTは超インフレを招くものであり、非常に誤った理論だ」などと痛烈に批判しています。
 やはり、MMTは「天下の暴論」なのでしょうか?
 「天下の暴論」と切り捨てるのは簡単ですが、MMTは、財政のあり方について考える機会を私たちに与えてくれていると言えそうです。

■ステファニー・ケルトン(1969年~:ウィキペディア参照)
 アメリカの経済学者。ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校教授。MMT(現代貨幣理論)の提唱者として知られる。2016年のアメリカ大統領選挙予備選挙ヒラリー・クリントン国務長官に敗れたバーニー・サンダース上院議員予備選挙後に設立したシンクタンクであるサンダース研究所の顧問を務めている。ただしサンダース自身はMMT理論と明確に距離をとっている。
■日本での議論
 日本では2019年4月4日の参院決算委員会で質問に立った自民党西田昌司参院議員が「日本はこの20年(国の債務は増えたが)金利も物価も上がっていない。日本はいつの間にかMMTをやっているのが現実だ」と指摘。安倍晋三首相が、財政健全化に向け、政府は債務残高の対GDP比に目標を設けていることなどを挙げ、「MMTを実行しているわけでない」と否定する一幕もあった。


■経営者高額報酬問題と企業の株主資本主義化(下)(丸山惠也)
(内容紹介)
 新刊紹介:「経済」9月号 - bogus-simotukareのブログで紹介した(上)の続きです。
 (上)では「高額報酬問題」という事実が指摘されていましたが(下)では欧米の規制を紹介したうえで、日本でも同様の規制を行うべきと主張されています。

*1:著書『EU加盟と移行の経済学』(2005年、ミネルヴァ書房

*2:著書『福祉国家新自由主義:イギリス現代国家の構造とその再編』(2014年、旬報社

*3:東京新聞記者。著書『武器輸出と日本企業』(2016年、角川新書)、『新聞記者』(2017年、角川新書)、『追及力:権力の暴走を食い止める』(共著、2018年、光文社新書)、『安倍政治 100のファクトチェック』、『権力と新聞の大問題』(以上、共著、2018年、集英社新書)、『同調圧力』(共著、2019年、角川新書)、『「安倍晋三」大研究』(2019年、ベストセラーズ)など

*4:NHKプロデューサー。著書『NHKと政治権力』(2014年、岩波現代文庫)、『ベン・シャーンを追いかけて』(2014年、大月書店)、『奄美の奇跡:「祖国復帰」若者たちの無血革命』(2015年、WAVE出版)、『ヒロシマを伝える:詩画人・四國五郎と原爆の表現者たち』(2016年、WAVE出版)など

*5:著書『安倍官邸とテレビ』(2016年、集英社新書

*6:著書『NHKが危ない! :「政府のNHK」ではなく、「国民のためのNHK」へ』(共著、2014年、あけび書房)

*7:著書『貨幣・金融論の現代的課題』(1997年、大月書店)、『金融危機下の日銀の金融政策』(2010年、中央大学出版部)、『21世紀型世界経済危機と金融政策』(2013年、新日本出版社)、『なぜ異次元金融緩和は失策なのか』(2016年、新日本出版社)など

*8:とはいえれいわ支持者の多くはMMTを支持理由とはしていないでしょうが。

*9:第三次安倍内閣国交大臣政務官、第四次安倍内閣財務副大臣を歴任

*10:民主党支持のこと

*11:共和党支持のこと

*12:著書『「属国ニッポン」経済版』(2003年、新日本出版社)、『新自由主義の犯罪』(2007年、新日本出版社)、『ルールある経済って、なに?』(2010年、新日本出版社)、『カジノミクス』(2018年、新日本出版社

*13:日銀が国債を直接引き受けること。財政法により禁止されている。

*14:橋本内閣経済企画庁長官、森内閣経済財政担当相、小泉内閣総務相、第一次安倍内閣外相、自民党幹事長(福田総裁時代)などを経て首相。現在、第二~四次安倍内閣副総理・財務相

*15:著書『クルーグマン教授の経済入門』、『経済政策を売り歩く人々』、『自己組織化の経済学』(ちくま学芸文庫)など

*16:岩手県知事、第一次安倍、福田内閣総務相など歴任

*17:ドヴィルパン内閣農業・漁業相、フィヨン内閣経済・財政・産業相、IMF専務理事などを経て欧州中央銀行総裁