黒坂真に突っ込む(2019年10月2日分)

■黒坂ツイートにコメント

黒坂真
 昭和34年5月*1宮本顕治*2によれば、ソ連共産主義建設の不滅の偉大なとりで、世界平和と反植民地主義のための人類の闘争の不滅の偉大なとりで、です。皆さま拡散願います。

 おいおいですね。
 宮本氏は既に故人(2007年死去)ですし、執行部の中心は「宮本時代に登用された人間」とはいえ、不破氏*3、志位氏*4と言ったメンツです。
 また宮本氏は1968年(昭和43年)の「チェコ侵攻(プラハの春弾圧)」や1978年(昭和53年)の「アフガン侵攻」ではソ連を批判しています。仮に黒坂の指摘が事実だとしても、そうしたことを無視して「昭和34年(1959年)には」云々と言って何か意味があるのか。
 そもそもソ連も既に崩壊してるし、今時ああした政治体制を手放しで礼賛してる政治勢力なんぞ「日本に限らず」ほとんど皆無の訳です。
 かつ「昔は云々」つうなら「スターリン批判以前の左派勢力」は日本共産党に限らず「世界的にも多くがスターリンソ連に甘かった」ので黒坂の論法なら全世界の左派が否定できるし、あるいは「自民党の前身政党(立憲政友会や立憲民政党)は戦前、大政翼賛会に参加した」「元A級戦犯賀屋興宣自民党政調会長にした」として自民党を全否定も出来るわけです。
 自民党に批判的な共産党ですら「自民党は戦前をどれほど反省してるのか。安倍政権には反省の意思が見えない」「元A級戦犯賀屋興宣*5自民党政調会長にしたような無反省な態度が今も残っているのではないのか」とはいっても「賀屋興宣自民党政調会長就任それ自体」を今時非難したりしない。
 今の自民党が「加藤紘一*6河野洋平*7」などといった「戦争を反省する」保守リベラルの党なら「賀屋興宣自民党政調会長就任それ自体」を非難しても自民党批判派ですら「昔のことだ」と呆れるだけでしょう(残念ながら賀屋を自民党政調会長にするような自民党の右翼性が、今の安倍政権につながってるわけですが)。
 大体、今時「共産党が政権参加したらソ連一党独裁の危険ガー」なんてこんなことを放言する黒坂ですら思ってはいないでしょう。
 連立政権でそんなことが出来るわけがない。いや、単独政権だってそんなことは無理です。「トリエンナーレ補助金不支給」「国谷キャスターを降板させる」など、無茶苦茶やってる安倍ですら「戦前日本ファシズム」「ナチドイツ」「スターリンソ連」などに比べたらましなわけです。
 黒坂の物言いは「社民党の前身である日本社会党は当初文革を評価していた(さすがに中国ですら文革を否定した後に、評価を撤回)」だの「旧民社党(今はその残党が国民民主や立憲民主に参加)は当初ピノチェトクーデターを評価していた(さすがにチリが民主化した後に評価を撤回)」だの「公明党は昔は国立戒壇を目指していた(さすがに後に撤回)」だの「自民党ロッキード事件刑事被告人の田中角栄*8元首相に牛耳られてる」だの言うくらい時代錯誤でしょう。
 たとえば自民の「政治とカネの話」なら田中ロッキードと言う昔の話ではなく「安倍*9モリカケ」「甘利*10のUR」といった最近の話をするわけです。

*1:黒坂の言う「昭和34年5月の宮本顕治氏」とやらが何が出典か分かりませんが「赤旗や前衛」と言った党出版物でしょうか。

*2:日本共産党書記長、委員長、議長を歴任

*3:宮本氏によって書記局長に登用。その後も委員長、議長を歴任

*4:宮本氏によって書記局長に登用。現在、委員長

*5:戦前、第一次近衛、東条内閣で蔵相。戦後終身刑判決を受けるが後に仮釈放。公職追放も解除され政界に復帰。池田内閣法相、自民党政調会長(池田総裁時代)など歴任

*6:中曽根内閣防衛庁長官、宮沢内閣官房長官自民党政調会長(河野総裁時代)、幹事長(橋本総裁時代)など歴任

*7:中曽根内閣科学技術庁長官、宮沢内閣官房長官、村山、小渕、森内閣外相、衆院議長など歴任

*8:岸内閣郵政相、池田内閣蔵相、佐藤内閣通産相などを経て首相

*9:自民党幹事長(小泉総裁時代)、小泉内閣官房長官を経て首相

*10:第一次安倍、福田内閣経産相、第二次、第三次安倍内閣経済財政担当相、自民党政調会長、選対委員長(第二次安倍総裁時代)を経て現在、自民党税制調査会長を務める安倍の側近