黒坂真に突っ込む(2019年10月15日分)

■黒坂ツイートにコメント

黒坂真がレア眞海をリツイート
 レア眞海さん、今晩は。大昔の綱領を理由に日本共産党を批判すべきでないというご意見かと存じますが、32年テーゼの事でしょうか
■レア眞海
 共産党議員の動きを見ていると、この党の議員が内閣だったらどんなにいいかって思うことが多い。
 普段から市民の声を聞き、問題があれば解決に奔走し、何より金に汚くない。
 党の名前や大昔の綱領を理由に嫌厭する人がいるけど、議員としての質が今の与党議員よりはるかに高い。

 そりゃ普通に考えて今時「32年テーゼ(名前で分かるように1932年の党文書)」なんぞ持ち出して共産党批判を始めたら、「黒坂の同類(常軌を逸した反共極右)以外」はレア眞海氏や俺のような「共産支持者ではなくても」、「85年以上前の昔の話じゃん!。今あの方針で活動してるわけじゃねえし」「産経や自民ですら32年テーゼなんか持ち出さないんじゃねえの?」「そんなんより最近のネタで批判しろよ」と呆れて「口あんぐり」でしょうね。
 つうかこの黒坂の理屈なら「戦後日本が戦前について反省しているか否かに関係なく」、戦前日本が「中国、東南アジア侵略」を進めるに当たって定められた国策文書をネタに「今の日本」を批判*1してもいいでしょうが、それには聞くに堪えないへりくつが黒坂から出るんでしょうね。

黒坂真リツイート
 吉岡正史さん。第一次大戦の頃の米国、欧州社会にはすさまじい人種差別がありました。米国外交官ならそれを熟知。人種差別が国際政治の焦点にならないよう、欧米列強は画策したでしょう。日本共産党安倍内閣憎し、のあまり欧米の人種差別の歴史を直視できない。当時、黒人に参政権はありましたか。

 「はあ?」ですね。
 「安倍政権は過去の植民地支配の不当性を直視できない、それは問題だ(吉岡氏)」に対する反論に「アメリカだって過去に黒人差別していた(黒坂)」では全くなってないですね。そもそも吉岡氏は「米国は黒人差別してなかった」とは一言も言っていませんし。
 吉岡氏の主張は「ベルサイユ会議で人種平等主張を決議することを牧野*2全権ガー、しかし欧米はそれに反対し*3」と言う理由で「戦前日本は人種平等を国是としていた」などと所信表明演説で語る安倍は「デマゴーグだ」「日本は朝鮮人を差別していた」「あの会議での日本の人種平等云々は排日移民法へのカウンターや日本の中国進出正当化*4に過ぎない」「(ベルサイユ会議から大分後のことになるが)日本はユダヤ人差別国家ナチドイツと軍事同盟を結んでいた」つう話です。

【参考】
安倍首相所信表明演説の歴史認識|コラム|21世紀の日本と国際社会 浅井基文のページ
厚顔無恥な世界史のわい曲/首相の歴史観を批判

歴史わい曲 首相演説/事実は武力で植民地支配
 安倍晋三首相が4日の所信表明演説で、日本が第1次世界大戦の戦後処理を話し合った1919年のパリ講和会議で「人種平等」提案を行ったことをあげて、「世界中に欧米の植民地が広がっていた当時、日本の提案は、各国の強い反対にさらされた」などと述べました。日本が植民地主義に反対していたかのような主張です。しかし、これが「厚顔無恥な世界史のわい曲」(日本共産党志位和夫委員長)であることは、歴史の事実を確認すれば明らかです。
 そもそも、「人種平等」提案を行った1919年、日本が不法・不当な「韓国併合」で植民地化(1910年)した朝鮮では、日本の植民地支配に反対する「三・一独立運動」が全土に広がると、日本は、これを武力で徹底的に弾圧しました。
 他方、日本が、パリ講和会議で最も重視した問題は、第1次世界大戦で敗北したドイツが持っていた中国・山東省での権益を奪い取ることでした。
 パリ講和会議山東省の領有をめざす日本に、植民地支配に反対する考えなど毛頭ありませんでした。

 そして「当時、黒人に参政権はない」にせよ今米国でまともな人間は誰も黒人差別を是としないわけです。
 以前、拙記事新刊紹介:「歴史評論」10月号(注:「犬神家の一族」のネタばらしがあります) - bogus-simotukareのブログで紹介した
古くて新しいツアー 米公民権運動の跡を巡る:朝日新聞GLOBE+
黒人リンチで4000人犠牲、米南部の「蛮行」 新調査で明らかに 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
人種差別によるリンチ殺人を犯罪と規定、米上院で歴史的法案可決 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
などを読んで頂ければ幸いですが「ローザ・パークス記念館」などでアメリカは過去の「黒人差別」を直視している。不十分ではあるかもしれないがそれでも「直視しようとせずに居直る」安倍や黒坂よりはマシです。
 「安倍憎しのあまり」云々と因縁を付ける黒坂の方こそ「戦前美化」「安倍礼賛」「反日共産党」のあまりに「米国の反省を完全にネグる」という米国に対し無礼の極みを働いています。

*1:まあ戦前日本が「中国、東南アジア侵略」を進めるに当たって定められた国策文書をネタに「昔(戦前)の日本」は当然批判していい訳ですが。

*2:第一次西園寺内閣文相、第二次西園寺内閣農商務相、第一次山本内閣外相、ベルサイユ会議政府次席全権(首席全権は西園寺元首相)、宮内大臣内大臣など歴任。内務卿を務めた大久保利通の次男。吉田茂元首相の義父。

*3:もちろん吉岡氏は米国の反対理由に「黒人云々」も会ったであろう事を否定していませんし、「米国が日本主張に反対したことが正しかった」とも言っていません。

*4:欧米は「日本の中国進出正当化」を否定するという思惑でも日本主張に反対しました。もちろん「日本の中国進出は認めない(中国の利権は俺たち欧米のものだ)」つう態度が正しいわけではありませんが、「日本に中国利権をよこせ(欧米だけで独り占めは日本差別だ)」つう日本の態度ももちろん正しいわけではない。