高世仁に突っ込む(2019年10/17分)(追記あり)

暴力の応酬で転機に立つ香港情勢 - 高世仁の「諸悪莫作」日記
 高世仁に突っ込む(2019年10/16分) - bogus-simotukareのブログで取り上げた香港の若者は「暴徒」なのか4 - 高世仁の「諸悪莫作」日記の続きです。しつこく繰り返しますが平和的デモならともかく暴力デモは暴徒だと俺は思います。そして、この記事において、暴力デモに明らかに甘い高世ですらタイトルに「暴力の『応酬』」と書いています。

 きのうのブログで、香港情勢は暴力の応酬が一線を超えつつあると書いたが、ついに爆弾が登場したらしい。
香港デモで初の爆弾使用、近くに警察車両 一部で先鋭化:朝日新聞デジタル
 《香港の警察当局は14日、反政府デモが行われていた付近で、手製の爆弾が使用されたと発表した。》
 さらには警官をナイフで襲う事件も。
 《九竜半島の観塘地区では同日、高校3年の少年が警察官をナイフで切り付けて首にけがを負わせたとして、その場で拘束された。
(中略)
 香港の人権団体は情勢の悪化を受けて、「(ボーガス注:デモ隊、警察隊)双方が自制するべきだ。どちらか死亡する事態となれば、収拾がつかなくなる」と訴えている。》

 他にも

香港警察 爆弾に使える薬品など所持 男2人を逮捕 | NHKニュース
・香港の警察は、爆弾に使える薬品や起爆のための遠隔装置となる改造された携帯電話を所持していたなどとして、男2人を逮捕したと発表し、今月13日の抗議活動で手製の爆弾が使われたことと関連があるか調べています。
・また、今回押収された中に火炎瓶やドローンも含まれていたということで、警察は、爆発物を空から落とすために使おうとしていた可能性もあると指摘しています。

などという関連記事があります。
 これらの発表が「デモ隊をネグるための警察のデマ発表」でなく事実ならもはや暴力デモは「警官が悪い」で許されるレベルを完全に逸脱していると思いますね。
 市民や国際世論が彼らを見捨て、あげく中国が軍を投入したり、そこまで行かなくても「本土の武装警察部隊」を大量投入する事態もないとはいえないでしょう。

 民主派は、中国に国際的な圧力をかけてほしいと呼び掛けている。
 《香港で14日夜、米議会に「香港人権・民主主義法案」の早期可決を求める集会が開かれた。香港政府が5日にデモ隊のマスク着用を禁止する「覆面禁止法」を施行して以降、許可された初めての集会で約13万人(主催者発表)が参加した。》(産経)

 香港抗議活動と主体的な社会変革運動論: 白頭の革命精神な日記も批判していますがこうした米国頼みの姿勢は極めて問題だと思いますね。
 まず第一に米国は正義の味方ではありません。それは、例えば過去において「全斗煥軍事政権の光州民衆運動弾圧を黙認」したりチリに至ってはピノチェトクーデターを後押ししたりしたこと、「サウジ皇太子の反体制派暗殺関与疑惑を事実上不問にしていること」で明白でしょう(他にも例はありますが)。
 最近も「トルコとの関係悪化は嫌だ」とばかり、「米軍撤退に反対するクルド部隊」を公然と見捨てシリアから撤退しています。
 米国が民主化支援のために香港に協力してくれると考えるのはナイーブに過ぎる。
 香港デモについては、米中貿易摩擦を米国に有利に解決するためのネタぐらいにしかトランプ政権は思ってないでしょう。
 第二に露骨に米国への支援を求めることは中国側(中国政府でアレ本土住民でアレ)の「香港の奴らは米国の手先か!」と言う反発や「米国に頼らざるを得ないほど無力なのか?」という軽視を強めかねません。かえって中国側の態度を強硬化させかねません。
 第三に「第一ともかぶりますが」仮に米国に見捨てられたらどうするのか。外部頼みの運動は「外部が支援してくれればいい」ですがそうでなければ外部が期待に応えてくれないときは運動が消滅したり縮小、衰退しかねません。
 まあ「一般的な支援要請(募金要請や中国政府への各国の抗議要請)」ならともかく「香港人権・民主主義法(仮称)による内政干渉を公然と求める」というのは不適切だろうと俺は思います。

追記あり

環球時報社説 香港式暴力運動は必ず西側に跳ね返る--人民網日本語版--人民日報
 スペインのカタルーニャの独立主義運動の支持者らは香港のデモ参加者を学ぶとのスローガンを公然と叫び、香港デモ参加者の「be water」(水のようになれ)戦術を広め、逮捕される危険性を減らすためにマスクをつけた。彼らは月曜日と火曜日に空港を占拠して、フライト多数を欠航させた。デモ参加者は道路と鉄道も塞ぎ、ゴミ箱に火を付けた。彼らのスローガンは「カタルーニャを第2の香港にする」だ。
 スペインの裁判所は月曜日、カタルーニャ独立主義運動の指導者9人に禁固9~13年の重刑を言い渡した。だが、それまでの抗議はいずれも平和的なものだった。香港で4カ月間続いているデモ参加者の大規模な暴力がカタルーニャの過激勢力の新たな模範となり、妄想をかき立てたことが分かる。
 スペイン政府はカタルーニャ情勢の突然の変化の被害者となり、高官等は暴力を激しく非難している。米国と西側の政治屋が言葉を失ったのは明らかだ。これまでEUも米国もスペイン政府によるカタルーニャ独立運動の取り締まりを断固として支持していた。だが今やデモ参加者は「香港に学べ」とのスローガンを掲げており、西側は香港で起きたデモを「美しい光景」と描写してもいる。この光景がこれほど早く西側に還流したことが、気まずい事態であることは間違いない。
 カタルーニャは最初に伝染したが、それが最後でないのは確実だ。グローバル化したこの世界において秩序に挑戦する暴力的政治運動に共に反対しないのであれば、最終的に西側が新型の暴力運動の深刻な被害地となり、彼らの奨励する香港騒乱が非情にも跳ね返ってくる可能性を排除できない。

暴力活動を二重基準で取り扱えば互いに傷つく=外交部_中国国際放送局
 外交部の華春瑩報道官は21日の定例記者会見で、「暴力的な活動には、一つの基準、一つの態度で対応すべきだ。二重基準をとり、見逃すようでは、結局は互いに傷つけるほかない」と述べました。
 このところ、スペインのカタルーニャやイギリスのロンドンで発生しているデモ活動は、香港の状態と似てきており、特に放火や空港の占領、店への破壊行為などの暴力が発生しています。デモ隊参加者は「香港を真似し、第二の香港とする」と公言していますが、西側の政治家やメディアは控えめあるいは沈黙しています。香港で発生すれば「民主と自由」、西側で発生すれば「暴力沙汰」と見なしています。
 これに対して華報道官は、「暴力的活動について、西側の政治家やメディアは発生した場所によって態度を変えている。いわゆる民主や人権は単に香港問題に干渉する口実に過ぎないことが改めてわかった」と指摘しました。

カタルーニャ独立派 実刑判決に抗議活動激化 ”新たな香港に“ | NHKニュース
 スペインからの独立の是非を問う住民投票を行ったカタルーニャ州政府の当時の幹部らに、スペインの最高裁判所実刑判決を言い渡したことに対し、独立派の住民たちが激しい抗議活動を続け、「カタルーニャを新たな香港にしよう」という呼びかけも広がっています。
 スペインの最高裁判所は、14日、おととし独立の是非を問う住民投票を強行したとして反逆罪などに問われていたカタルーニャ州政府の当時の幹部ら9人に対し、最長で禁錮13年の実刑判決を言い渡しました。
 これに対しカタルーニャ州では独立を支持する住民が抗議活動を始め、14日にはバルセロナの国際空港におよそ1万人のデモ隊が押しかけ、100便以上が欠航しました。
 また16日には一部の参加者が警察官に火炎びんを投げつけたり車に火をつけたりして警察と衝突しました。
 地元メディアによりますと、一連の抗議活動でこれまでに200人以上がけがをしたということです。
 抗議活動の参加者の間では「カタルーニャを新たな香港にしよう」という呼びかけも広がっていて、地元のメディアは、香港で長期化する抗議活動の手法を参考にしていると指摘しています。

バルセロナ、独立派デモ隊が暴徒化 サグラダ・ファミリア一時閉鎖 - 産経ニュース
 スペイン東部カタルーニャ自治州で今週、州独立派のデモが広がり、同国紙パイスによると18日、州都バルセロナで約50人が負傷した。州内各地でデモ行進が行われ、計50万人以上が参加した。
 デモは14日、州独立派の指導者にスペイン最高裁が最高13年の禁錮刑判決を言い渡したのがきっかけになった。18日には、デモ隊が警官隊に金属片を投げ、放火する騒ぎに発展。バルセロナの観光名所、サグラダ・ファミリアは一時閉鎖された。在バルセロナ日本総領事館は、安全確保に気を付けるよう、注意を呼びかけている。

 高世ら香港暴力デモを擁護する連中がカタルーニャやロンドンの暴力デモをどう評価するのか気になるところです。
 香港は擁護するがカタルーニャは批判するというのでは、環球時報や人民日報が言うように「ただのアンチ中国ではないのか?」という「ご都合主義」の非難は避けられないでしょう。