今日の産経ニュース(2019年10月26日分)

台北でLGBTパレード、同性婚合法化後初めて - 産経ニュース
 同性婚合法化に踏み切った蔡英文政権は本来なら「アンチ同性婚合法化」産経にとって手放しで褒められる存在ではないでしょうが「敵(中国)の敵は味方」で蔡を常日頃、親日と持ち上げる産経です。もちろんその場合「蔡による同性婚合法化」という産経にとって「不都合な真実」については産経は無視します。
 一方、そうした産経に対し、蔡も「敵(中国)の敵は味方」とばかりに露骨にすり寄っています。何というか「醜い野合」としか言いようがないですね。お互い信頼関係など、かけらもないでしょうから。中国という「共通の敵」がなければ蔡など産経にとっては「同性婚を容認する頭のおかしい左翼政治家」でしかないでしょう。


【昭和天皇の87年】天皇が異例の発言 和歌にこめた平和への思い - 産経ニュース
 今日の産経ニュースほか(2019年10月19、20日分) - bogus-simotukareのブログで取り上げた【昭和天皇の87年】天皇が参謀総長を叱責!「太平洋はさらに広し」 - 産経ニュースの続きです。

 御前会議。
 主要閣僚や軍部首脳らが出席*1し、天皇臨席のもとで開かれる最高会議である。ここで日本の命運をかけた国策が決まるが、法制上の規定*2はなく、天皇自身が発言することはほとんどない(※1)。決定事項について、天皇に責任が及ぶのを防ぐためだ。

 確かに天皇が発言することはあまりないですが、それは、産経も認めるように「決定事項について、天皇に責任が及ぶのを防ぐため」という政治的判断でしかありません。
 天皇が発言することが法的に禁止されてるわけではない。
 だからこそ「良きに計らえ」ではすまない(それでは小田原評定で決定が出来ないとか、決定が天皇の希望に明らかに反するとか)と天皇が判断すれば当然天皇は発言します。それは別に「終戦の聖断」などと言って評価するようなことではない。率直に言って1945年8月のあの時点では「降伏」以外に合理的な判断はあり得ません*3し、「もっと早く降伏すれば沖縄戦の悲劇や広島、長崎の原爆投下」はなくまさに「遅すぎた聖断(山田朗、纐纈厚氏の共著書の著書名)」でした。

 議題は、前日に閣議決定された「帝国国策遂行要領」。第1項で戦争準備、第2項で外交交渉について記されている。陸海両総長や(ボーガス注:豊田貞次郎*4)外相らが原案を説明したのを受け、枢密院議長の原嘉道*5が言った。
 「本案文を一瞥(いちべつ)通覧すると、戦争が主で外交が従であるかの如く見えるが…」
 原の発言は、外交に重きを置く昭和天皇の意をくんだものだ。しかし陸海両総長は発言せず、海相の及川古志郎*6が「案文中の第1項と第2項との間に軽重はなく、できる限り外交交渉を行う」と返答、原案が可決された。
 “事件”が起きたのは、この直後だ。
 昭和天皇は懐から一枚の紙を取り出す。しんと静まる室内に、和歌を詠み上げる玉音が響いた。
 「よもの海 みなはらからと 思ふ世に なと波風の たちさわくらむ」
 日露戦争の開始直前に明治天皇がつくった、平和を祈る和歌である。立憲君主として、政府と統帥部の一致した決定をくつがえすことができない昭和天皇は、開戦回避の意思を、この和歌に込めたのだ。
 軍令部総長永野修身*7が立ち上がった。
 「お咎(とが)めは恐懼(きょうく)に堪えません。海相の答弁が政府と統帥部を代表したものと思い、発言しませんでしたが、外交を主とする趣旨にかわりはございません」
 参謀総長杉山元*8も、直立不動で言う。
 「軍令部総長と全然同じでございます」
 陸軍の空気は変わった。御前会議から庁舎に戻った陸相東条英機*9が、大声を震わせる。
 「聖慮(せいりょ)は平和にあらせられるゾ」

 それでも対米戦争になってしまったのは結局、昭和天皇が「戦争は不可避、外交解決は無理」つう政府や軍部の主張を容認したからです。つまりこの和歌の気持ちは最終的には昭和天皇自身が自分で否定しました(そもそもこの和歌の時点でも「外交が主、戦争が従(つまり外交がうまくいかなければ戦争もやむを得ない)」として戦争の可能性は全否定はされていません)。
 しかし内心がどうでアレ「永野軍令部総長、杉山参謀総長、東条陸軍大臣」が軒並み「陛下のご意志は承りました。外交解決の見込みが否定されない限り戦争はしません」と天皇に誓ってる(誓わざるを得ない)こと、あるいは

・永野「お咎(とが)めは恐懼(きょうく)に堪えません」
・東条「聖慮(せいりょ)は平和にあらせられる」

と永野、東条が最高級の敬語を使用していることでわかるように天皇の権威は絶大でした。
 この記事は「昭和天皇を免罪したい」という産経の気持ちに反し「こうした外交解決路線の考えを昭和天皇が堅く持ち続ければ、軍部もさすがに暴走できず戦争は起こらなかった」ということを証明しており、むしろ「昭和天皇の戦争責任」の存在を証明しています。
 しかし以前の拙記事今日の産経ニュースほか(2019年10月19、20日分) - bogus-simotukareのブログでも書きましたが、この帝国国策遂行要領、「日米交渉が10月上旬までにうまくいかなければ戦争も否定しない」なんて代物(9/6決定)です。
 つまり素直に解釈すれば「1ヶ月で日米交渉を妥結しろ、出来なければ戦争だ」なんて代物であり、こんな代物を「戦争回避の意思があった」と言っていいのかは疑問です。日本か、米国が大幅に譲歩しない(はっきり言ってしまえば日本が蒋介石打倒を諦めて中国から撤退するか、逆に米国が蒋介石を見捨てて日本の蒋介石打倒を容認するかしない)限りとても1ヶ月で妥結なんか無理でしょう。

【昭和天皇の87年】「日本は米国の罠(わな)にかかった」 近衛文麿ついに退陣 - 産経ニュース
 昭和16年9月6日の御前会議で、昭和天皇が異例の発言に及んだ効果は大きかった。帰庁した陸相東条英機が「聖慮(せいりょ)は平和だ」と声を励ましたのに続き、軍務局長の武藤章*10も部下を集めて言った。
 「戦争などとんでもない、おれが今から(速記メモを)読んできかせる。これは何でもかでも外交で妥結せよとの仰せだ、外交をやらにゃいかん」

 と言っても結局、日米交渉は決裂し、日本は戦争に突入します。

 10月2日、米国務長官のハルは野村*11に、仏印と中国からの全面撤兵を求める覚書を手渡した(※1)。
 もはやアメリカに、何を提案しても拒絶される状況である。政府内からは「米国の罠(わな)にかかったのだ」とする声が強まり、陸軍内の大勢も交渉成立の見込みはないとして、再び開戦に大きく傾いた。

 米国相手に戦争し敗戦する悲劇を考えれば「仏印と中国からの全面撤兵(いわゆるハルノート)」を受け入れる方がましでしょうが、当時の日本政府はそうは理解しませんでした。これは軍部だけでなく昭和天皇や政府も同じです。

 近衛は、中国からの全面撤兵を決意し、10月12日、自身の50歳の誕生日に陸海外相らを集めて協議した。
 及川古志郎海相「今や和戦いずれかに決すべき関頭に来た。その決定は総理に一任したい」
 近衛「今日ここで決すべしというなら、自分は交渉継続ということに決する」
 東条「その結論は早すぎる。見込みのない交渉を継続して戦機を逸したら一大事だ。外相は見込みがあると考えるのか」
 豊田貞次郎外相「条件次第だ。(ボーガス注:中国や仏印の)駐兵問題で陸軍が一歩も譲らないなら見込みはない」
 東条「駐兵問題だけは絶対に譲れない」
 近衛は翌日以降、東条を懸命に説得する。しかし、東条はてこでも動きそうになかった*12
 ネックとなったのは、御前会議で決定した「帝国国策遂行要領」だ。10月上旬頃までに日米交渉のめどが立たなければ「直チニ対米(英蘭)開戦ヲ決意ス」と明記されており、その期限がすでに来ている。
 東条は、企画院総裁の鈴木貞一*13に言った。
 「(ボーガス注:10月上旬に日米交渉が妥結しなければ開戦に進むという9/6の)御前会議の決定を覆すなら、輔弼(ほひつ)の責任を果たさなかった閣僚も陸海両総長も全部辞職し、もう一度案を練り直す以外にない」
 原則論としては、東条は間違っていない。鈴木から東条の伝言を聞いた近衛は10月16日、昭和天皇に全閣僚の辞表を奉呈した。

ということで「東条内閣が誕生する」であろう次回に続きます。


【ラグビーW杯】イングランド決勝進出 覇者・NZを19-7で破る - 産経ニュース
 ということでニュージーランドの3連覇の可能性はこの時点で終了しました。
 明日行われる「南アVSウェールズ」の勝者(2019年9/27追記:南アが勝利しました)とイングランドが決勝で戦うことになります。


初のロシア・アフリカ会議、ソチで開催 アフリカ関係再構築 - 産経ニュース

・ロシアがアフリカ諸国を招いた初の国際会議「ロシア・アフリカ首脳会議」が23、24日、露南部ソチで開かれた。アフリカの54カ国全てが代表を送り、43カ国の首脳が出席。経済や安全保障面での連携強化を確認した。
・中国や欧米は経済発展が進み資源も豊富なアフリカへの投資を拡大。特に中国の進出が顕著で、経産省によると、中国は2016年、米国を抜いてアフリカの最大輸出相手国になった。18年の中国とアフリカの貿易額は2千億ドル超に上り、同時に中国の政治的影響力が拡大している。

と言うことで欧米や中国、日本がアフリカへの経済進出を強める中、「アフリカ経済というバスに乗り遅れるな(ロシア)」つうことでしょう。


旭日旗問題の再燃 - 酒井信彦の日本ナショナリズム
 問題は、海自の行事でもないのに「海自の旗である旭日旗」などスポーツイベント会場に「韓国民など日本の侵略被害国の心情を害してまで持ち込む必要がどこにあるのか」つうシンプルな話です。
 国旗である日の丸(日章旗)ならまだしも旭日旗なんか持ち込む正当な理由はどこにもないでしょう。
 実際、

【スポーツ異聞】サッカーACL「旭日旗」騒動の処分 韓国で繰り返される軍国主義の“言いがかり” 日本の考えはなぜ伝わらなかったのか(1/6ページ) - 産経ニュース
 4月25日に韓国・水原で行われたサッカーのアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)水原-川崎戦で川崎サポーターが「旭日旗」を掲げた件で、アジア・サッカー連盟(AFC)が5月4日、川崎に対し1年間の執行猶予付きでAFC主催試合でのホーム戦1試合を無観客試合とする処分と、罰金1万5000ドル(約170万円)を科した

という記事で分かるように過去には旭日旗持ち込みが「国家主義のスポーツへの持ち込み」と見なされ懲戒処分を受けた事実があるわけです(産経記事や酒井記事はこうした処分を「誤解」「偏見」と強弁する酷い代物ですが)。


立憲・枝野代表が萩生田文科相「身の丈」発言を批判 「菅原氏以上に深刻」 - 産経ニュース
 「貧乏人は大学を目指すな」と言うに等しい暴言を吐いて恥じない萩生田には心底呆れます。ウヨ連中には「教育のウヨ化(戦前化、国家主義化)」以外、教育には何の関心もないと言うことがよく分かります。教育(理系教育中心のようですが)に大枚のカネをはたく中国との違いに全くため息が出ます。
 このままでは「(科学技術力で)上昇する中国、沈没する日本」となっても何ら不思議ではないでしょう。


【主張】菅原経産相辞任 任命責任が軽すぎないか - 産経ニュース
 所詮、産経なので「舌先三寸」であり「安倍の首相辞任」どころか「菅原の参考人招致、証人喚問」「検察の徹底的な事件捜査」なども要求しないわけですが、そんな産経ですら一応は「任命責任」を口にするわけです。

*1:ウィキペディア「御前会議」によれば構成メンバーは、天皇、首相、閣僚、枢密院議長、枢密顧問官、元老(元老が存在した時期)、参謀総長、参謀次長、軍令部総長、軍令部次長、宮内大臣

*2:そのため一部には「御前会議違憲論(重要な国策決定をする機関について憲法に定めがないのはおかしい)」もあったようです。

*3:しかし陸軍強硬派が降伏に反対していたが故に「良きに計らえ」ではすまず、「聖断発動」となったわけです。なお、阿南陸相は聖断に納得しましたが、納得しなかった一部の陸軍青年将校がクーデターを起こそうとしました。それが映画にもなった半藤一利氏の著書『日本のいちばん長い日』と言う奴です。

*4:海軍軍務局長、海軍航空本部長、海軍次官、第二次近衛内閣商工相、第三次近衛内閣外相、鈴木内閣軍需相などを歴任

*5:田中義一内閣司法大臣、枢密院議長など歴任

*6:第2次、第3次近衛内閣海軍大臣軍令部総長など歴任

*7:広田内閣海軍大臣連合艦隊司令長官軍令部総長など歴任。戦後、戦犯として裁判中に病死。後に靖国に合祀

*8:陸軍教育総監、林、第一次近衛内閣陸軍大臣、北支那方面軍司令官、参謀総長、小磯内閣陸軍大臣など歴任。戦後自決

*9:関東憲兵隊司令官、関東軍参謀長、陸軍次官、第二次、第三次近衛内閣陸軍大臣、首相を歴任。戦後、死刑判決。後に靖国に合祀。

*10:参謀本部作戦課長、中支那方面軍参謀副長、北支那方面軍参謀副長、陸軍省軍務局長、近衛師団長、第14方面軍(フィリピン)参謀長を歴任。戦後、死刑判決。後に靖国に合祀。

*11:鎮守府司令長官、横須賀鎮守府司令長官、阿部内閣外相、駐米大使など歴任

*12:まあ「東条の名誉のため」に断っておけば陸軍全体が「撤退反対」であり東条一人が悪いわけではありません。

*13:第3軍(満州)参謀長、興亜院政務部長、企画院総裁、大日本産業報国会会長など歴任。戦後、終身刑判決を受けるが後に仮釈放