「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2019年11/22分:天を回せの巻)

加藤健の「天を回せ! ロビー活動で挑む」 : 朝鮮総連幹部の強制送還を!

 武村*1官房長官は北のスパイ?

 武村氏に対する完全な誹謗中傷であり心底呆れます。
 そもそも武村氏は確かに「細川内閣官房長官」ですが一方で「村山・自社さ内閣蔵相」であり、村山内閣は社会党首相内閣とは言え

【村山内閣(敬称略)】
外相:河野洋平*2改造内閣でも留任)
通産相橋本龍太郎*3改造内閣でも留任)
【村山改造内閣(敬称略)】
建設相:森喜朗*4 

などといった自民党幹部が入閣していることは加藤にはどう理解されてるのか。自民党幹部連は「武村氏がスパイと気づかないバカorスパイと知りながら入閣を容認した」とでも言う気なのか。

 1994年2月12日夜(日本時間)のことです。日米包括協議のためワシントンを訪問中の当時の細川護煕首相から、高輪の衆議院議員宿舎にいた小池百合子*5議員に電話が入りました。細川氏は困り果てた声でいいます。
「武村さんは問題だっていうんです」
 アメリカ政府高官*6細川氏に、武村官房長官から北朝鮮に情報が洩れる危険性を指摘しました。つまり武村氏はスパイだということです。
 細川氏内閣改造で武村氏を切ろうとするものの失敗し、94年4月に退陣を表明しました。小池氏によれば細川氏は「北朝鮮が暴発すれば、今の体制では何もできない。ここは私が身を捨てることで、社会党を斬らなければダメなんです*7。それで地殻変動を起こすしかないんです」と述べています。
 これはすべて小池氏が『正論』2002年7月号に掲載された「細川首相退陣の引き金は『北朝鮮有事』だった」と題した論文で明らかにしたことです。

 なるほど加藤のデマの元ネタは小池百合子のようです。そもそもいかに小池が「細川氏が党首の日本新党所属議員」とはいえ当時「総務政務次官(大して重要なポストでない*8上外交とも防衛とも関係ない)」にすぎない小池にこんな重大なことを「アメリカからわざわざ電話をかけて」細川氏が言うとは思えません。
 これがまだ発言者が

【細川内閣外交・防衛関係の大臣、政務次官
羽田孜副総理・外相(新生党(当時))
東祥三外務政務次官公明党(当時))
愛知和男*9防衛庁長官新生党(当時))
山口那津男*10防衛政務次官公明党
日本新党幹部】
江田五月*11日本新党副代表

などといった外交、防衛関係者、あるいは日本新党幹部なら少しは説得力もありますが。
 また、確かに細川総理は「社会党や武村氏と対立」しましたが、彼らの対立理由はこんなことではなく消費税増税問題(いわゆる国民福祉税騒動)であったことは当時のニュースをリアルタイムで知ってる人間(俺もその一人ですが)には常識でしょう。
 消費税増税(3%→5%)を要求する小沢一郎*12新生党代表幹事に対し、社会党や武村氏は増税に反対。細川氏は「国民福祉税構想の発表」で増税路線への強行突破を図りますが、社会党や武村氏の反発で挫折します。
 かつ細川氏の直接の辞任原因はそれではなく「いわゆる佐川ヤミ献金疑惑(熊本県知事時代の細川氏が佐川急便からヤミ献金を受けていた疑惑)」です。
 細川氏が「クリーンなイメージ」で登場したが故に、この疑惑は支持率の急降下を招き、疑惑を理由とした社会党とさきがけの離反、最大野党・自民党の審議拒否もあって細川氏は退陣に追い込まれます。
 「細川連立内閣の最大のキーパーソン」小沢一郎新生党代表幹事は「もはや細川では政権が持たない」と判断し、盟友の羽田氏*13新生党党首、細川内閣副総理・外相)をポスト細川の首相に担ぎますが、羽田内閣も短命に終わり、村山内閣が出現することになります。
 まあ細川氏に限りませんが「芦田*14内閣が退陣に追い込まれた昭和電工疑惑」「田中*15金脈疑惑」「竹下*16リクルート疑惑」「第一次安倍*17内閣の事務所費疑惑」「鳩山*18故人献金疑惑」など疑惑が発覚した場合、大抵、政権は行き詰まります。今回の「安倍のモリカケ(安倍が長期政権)」はそう言う意味で異常事態と言っていいでしょう。
 竹下リクルートの時は「宮沢*19蔵相」「安倍*20幹事長」「渡部ミッチー*21政調会長」など軒並み、幹部連が疑惑に名を連ねていたため「傍流の宇野氏*22、海部氏*23」が首相になる異例の事態になっています。

 それに対して武村氏からは有効な反論は出ていません。事実確定です。

 『反論するだけばかばかしい』『正論&小池が非を認めるとは思えず、かえって不愉快な思いをする』『細川氏も細川内閣関係者も日本新党関係者も、勿論米国政府関係者も、小池以外はそんな発言の存在を認めていないため、世間も小池らをまともに相手にしておらず実害もない』とかいうことで充分理解可能ですね。まあそんなことはさすがに加藤も本当は分かってるでしょうが。
 それにしても、「地域政党チームしが*24特別代表」「全国首長九条の会*25共同代表」とはいえ、国会議員を引退した武村氏に随分悪口するもんです。
 未だに加藤らウヨにとって「地域政党チームしが特別代表」「全国首長九条の会共同代表」として一定の政治力を保有する武村氏が気にくわないと言うことなのか。

*1:八日市市長、滋賀県知事を経て中央政界入り。新党さきがけ代表、細川内閣官房長官、村山内閣蔵相を歴任

*2:中曽根内閣科学技術庁長官、宮沢内閣官房長官自民党総裁、村山、小渕、森内閣外相、衆院議長を歴任

*3:大平内閣厚生相、中曽根内閣運輸相、海部内閣蔵相、自民党政調会長(河野総裁時代)、村山内閣通産相などを経て首相

*4:中曽根内閣文相、自民党政調会長(宮沢総裁時代)、宮沢内閣通産相、村山内閣建設相、自民党総務会長(橋本総裁時代)、幹事長(小渕総裁時代)を経て首相

*5:細川内閣で総務政務次官。その後、小泉内閣環境相、第一次安倍内閣防衛相、自民党総務会長(谷垣総裁時代)を経て都知事

*6:この高官の名前が出ない時点で怪しい話です。

*7:ぶっちゃけそんなリスキーな政治状況には当時ないですね。そんな政治状況でその後、自社さ連立政権が成立するわけがないでしょう。

*8:同じ日本新党所属議員なら江田五月科技庁長官の方が重要ポストです。

*9:海部内閣環境庁長官、細川内閣防衛庁長官など歴任

*10:公明党参院国対委員長公明党政調会長などを経て公明党代表

*11:社民連代表、日本新党副代表、細川内閣科学技術庁長官、参院議長、菅内閣法相など歴任

*12:中曽根内閣自治相・国家公安委員長自民党幹事長(海部総裁時代)、新生党代表幹事、新進党党首、民主党幹事長、自由党代表など歴任

*13:中曽根、竹下内閣農水相、宮沢内閣蔵相、細川内閣副総理・外相を経て首相

*14:幣原内閣厚生相、片山内閣副総理・外相を経て首相

*15:岸内閣郵政相、池田内閣蔵相、佐藤内閣通産相自民党政調会長(池田総裁時代)、幹事長(佐藤総裁時代)などを経て首相

*16:佐藤、田中内閣官房長官、三木内閣建設相、大平、中曽根内閣蔵相、自民党幹事長(中曽根総裁時代)を経て首相

*17:自民党幹事長(小泉総裁時代)、小泉内閣官房長官を経て首相

*18:細川内閣官房副長官新党さきがけ代表幹事、民主党幹事長などを経て首相

*19:池田内閣経済企画庁長官、佐藤内閣通産相、三木内閣外相、福田内閣経済企画庁長官、鈴木内閣官房長官、中曽根、竹下内閣蔵相などを経て首相。首相退任後も小渕、森内閣で蔵相

*20:三木内閣農林相、福田内閣官房長官自民党政調会長(大平総裁時代)、鈴木内閣通産相、中曽根内閣外相、自民党幹事長(竹下総裁時代)など歴任

*21:福田内閣厚生相、大平内閣農水相、鈴木内閣蔵相、中曽根内閣通産相自民党政調会長(中曽根、竹下総裁時代)、宮沢内閣副総理・外相など歴任

*22:田中内閣防衛庁長官自民党国対委員長(三木総裁時代)、福田内閣科学技術庁長官、大平内閣行政管理庁長官、中曽根内閣通産相、竹下内閣外相などを経て首相。ただし女性スキャンダルで短命内閣に終わった。

*23:自民党国対委員長(三木総裁時代)、福田、中曽根内閣文相を経て首相

*24:嘉田参院議員(元滋賀県知事)を代表、三日月滋賀県知事(菅内閣で国交副大臣)、武村元滋賀県知事(元新党さきがけ代表、細川内閣官房長官、村山内閣蔵相)を特別顧問とする非自民の地域政党

*25:9条守れ 首長ズラリ/一点で協力 「会」を結成によれば、武村氏以外では川井貞一・元宮城県白石市長、小池清彦・前新潟県加茂市長、松下玲子・東京都武蔵野市長、岡庭一雄・元長野県阿智村長、井原勝介・元山口県岩国市長、田中全・元高知県四万十市長、稲嶺進・前沖縄県名護市長が共同代表。残念ながら現時点では、現職の方は少ないようですが、武村氏、井原氏のような保守派(リベラル保守ですが)もいる点は嬉しいところです。