黒井文太郎&常岡浩介に突っ込む(2019年11月23日分)

暗殺二年前のリトビネンコへのインタヴュー - The Chicken Reports
 日付は「2019年11月23日」なのですが

ロシア連邦保安局の元中佐・アレクサンドル・リトビネンコ氏へのインタヴューは04年7月と9月の二回にわたって行った。

ということで「15年も昔(2004年)の記事」です。しかも2019年の日付の記事はこれも含めて今のところ「2つしかありません」。
 ここからは分かるのは「最近の常岡がまともな取材活動、執筆活動を何一つしてないらしい」つうことですね(苦笑)。
 さて暗殺二年前のリトビネンコへのインタヴュー - The Chicken Reportsについてコメントしてみましょう。正直「15年も昔の記事」で「その後リトビネンコ氏は何者かに暗殺されました、ロシアは否定していますが英国警察はロシア諜報機関の犯行の疑いが強いと発表しました*1」「リトビネンコ氏の指摘の内、ホニャララについては後に米国CIAも同様の発表をしました」「彼の指摘の内、ホニャララについては残念ながら事実に反することがチョメチョメという事件によって判明しました」程度の注釈も付けない手抜き記事に意味があるとは思いませんが。

 話を聞いた04年当時と現在では、状況が変わっていたり、その後、新事実が明らかになったりしたものもあるが、リトビネンコが調査し、また収集した情報の価値が後世に正しく判断されるよう、敢えてそのまま掲載することにした。

 おいおいですね。
 「取材内容は2004年の取材当時のまま掲載してももちろんいい」ですが「追記」「注釈」という形でその後の「状況の変化」や「判明した新事実」について触れたらどうなのか。どう見ても常岡が手抜きをしてるだけでしょう。全く志が低く、そしておそらく「能力も低い」男です。

リトビネンコ
「小さな雪解けの時代があった。それは1991~1993年のエリツィン*2初期で、エリツィンがまだそれほど病気ではなく、国をコントロールできていた頃だ。93年からKGBの時代にテロリスト工作や異論派迫害の仕事をしていた人たちが、ロシアのFSBの首脳に戻ってきた。95年からロシアの特務機関では大きな転換点があった。この時点から彼らはKGBがやっていたことを再びやり始めたのだ。ロシアや世界で起こっていたプロセスを思い出してみると、1991年から1993年は実際、世界にはテロ事件が起こらなかったことが注目される。何らかのテログループが活発に活動していたとは聞いたことがなかったはずだ。これは何と結びついているのか。これはテロリストを長年に渡って支援し、養成し、テロ活動を拡大させていたのは、ソ連KGBだったということとまず結びついている。」

 「世界のテロのほとんどはソ連(あるいはロシア)が操ってる」という完全な陰謀論ですね。俺も「諜報や国際政治の専門家」ではありませんが、普通に考えて「そんなアホな」ですね。KGBFSBKGBの後継組織)以外にも米国CIAだの*3いろいろな政府系諜報機関もあれば、政府関係ないテロ組織もあるわけですから。
 おそらく「1991~1993年はテロが少なかったが1993年以降増えた」なんて事実自体がないのでしょう(勿論そうした事実が仮にあったとしてもそれだけではリトビネンコの主張の正しさの証明にはなりませんが)。

・ロシアの特務機関は、民族学者で国会議員だったガリーナ・スタロヴォイトワを殺した。
・彼女を殺した犯人はタンボフ・マフィア*4のボスと緊密な関係を持っていた。
・このボスは、チェルケソフともプーチンともスミルノフ、そしてパトルシェフとも深いかかわりがある。パトルシェフはFSB長官、スミルノフはその副長官、プーチン*5はロシア大統領、チェルケソフはロシア高官の一人。またこのタンボフ・グループはロシア大統領府第1副長官ビクトル・イワノフとも深い関係がある。

 なお、現在の役職(ウィキペディア参照)は
・パトルシェフ:FSB長官などを経てロシア連邦安全保障会議書記
・チェルケソフ:FSB第一副長官、北西連邦管区大統領全権代表、麻薬監督庁長官、調達局長官など歴任
・ビクトル・イワノフ:FSB次官、大統領府第1副長官、大統領補佐官、麻薬監督庁長官など歴任
だそうです。リトビネンコの指摘「スタロヴォイトワ暗殺の実行犯はマフィア・ボスでこのボスはプーチン本人やプーチン政権高官とつながりがある」は事実かどうか分かりませんのでコメントしません。

 プーチンが(ボーガス注:公安を使った反体制派暗殺という?)人殺しをやめない限り、(ボーガス注:チェチェンで)民族大量虐殺をやめない限り、ロシアが本当に民主主義にならない限り、(中略)何らかの条約締結などもってのほかだ。もし日本が今日、あのようなことを行っているロシア政府と平和条約を締結したとしたら、これこそ日本史上もっとも恥ずべき公式文書になるだろう。

 プーチン批判派のリトビネンコがプーチンを非難し、それに「アンチプーチン」の常岡が同調する気持ちは分かります。ただし外交ってそう言うもんじゃないと思うんですよね。「相手が汚いから外交しない」つうもんではない。


話ができない - The Chicken Reports

 今回の「旅券返納命令」では、まるきり話が通じない、という感覚がある。
 ただし、外務省としては、「まずいことをしでかしてしまった」という自覚は持っているようだ。それは、裁判が始まってからわかった。

 「え、例の裁判についてこの程度の報告(?)しかしないの?」ですね。裁判がどう進んでるのか、さっぱりわかりませんね。
 「提訴した」と記者会見まで開いた人間の裁判報告(?)がここまで無内容なのは常岡ぐらいじゃないか。


◆常岡&黒井のツイート

常岡浩介がリツイート
・tayumakumo
‏ エル・パイス(スペインの日刊紙)は、2017年カタルーニャ独立国民投票におけるロシアの活動について調査が開始されたと報じた。

 常岡らしいアホリツイートで心底呆れます。第一にスペイン政府が「カタルーニャ国民投票」に否定的なこと、独立派の政治家を犯罪者として国際指名手配したことを考えればこうした捜査は「カタルーニャ独立派は愚かにもロシアに踊らされてる」などという「単なる政治的ネガキャン(つまり事実ではないデマ中傷)」の疑いが否定できないでしょう。
 第二にそんなこと(カタルーニャ独立運動へのネガキャン?)より常岡は「カタルーニャ独立運動(あるいはそれに対するスペイン中央政府の抑圧的対応)」についてどう思うか語ったらどうなのか。沖縄基地反対運動について「中国の謀略呼ばわりするウヨ」や香港デモについて「米国の謀略呼ばわりする中国政府」と自分が同じことをしているという自覚はアホの常岡にはないようです(常岡はそうした陰謀論を批判していたはずですが)。
 そして「香港デモ」では「中央政府(中国)は地方自治を踏みにじるな」という常岡が「スペインの地方自治中央政府が踏みにじってること」についてはこんな「カタルーニャネガキャンリツイート」しかしないのはどういうことなのか?
 反ロシア(そして反中国?)をこじらせるとここまで馬鹿でくずになるといういい見本が常岡でしょう。常岡に社会的影響力がまるでないこと(その結果、過去に共著を出してる高世仁からも見すてられたらしいこと)は幸いですが。

黒井文太郎さんがリツイート
・Kazuto Suzuki
‏「韓国からWTOプロセスを中断するという通告があったことを踏まえると韓国側が現状の問題点について改善に向けた意欲を示していると受け止めることができると判断した」
 極めて妥当な判断。輸出管理の問題は輸出管理の世界で閉じるという論理が一貫していて良い。
経済産業省 会見 韓国向け輸出管理で3年ぶり政策対話へ | NHKニュース
 韓国向けの輸出管理を厳しくした措置などをめぐって、経済産業省は韓国の当局と局長級の政策対話を行う方針を明らかにしました。韓国側が貿易管理体制の改善に向けた意欲を示していることから、政策対話を行うことにしたとしています。また、韓国政府が日韓の軍事情報包括保護協定=GSOMIAについて、協定終了の通告を停止したと発表したこととは、一切関係がないとしています。

 経産省もアホですが、黒井と鈴木某*6も「おいおい」ですね。
 「ジーソミアを当面続ける(ただし本格的に再開したわけではない、日本の態度が不誠実ならいつでもやめる)&当面、WTO提訴しない(正し永久に提訴しないわけではない、日本の態度が不誠実ならいつでも提訴する)と韓国が言ったから、バーターで日本側はホワイト国除外について交渉を約束せざるをえなかった」つう話であることは誰の目にも明白です。
 しかし「ジーソミアとバーターにしたこと」を認めれば「なぜそんなバーターをした」とウヨの非難が避けられないので「関係ない」と経産省が強弁してるだけでしょう。
 一方「WTO提訴見合わせ」とのバーターであることはさすがに認めざるを得なかったわけですが、それを「提訴を見合わせたのは、提訴して勝てるか分からないと韓国が判断したと思ってる」「韓国側が日本の言い分を受け入れて輸出管理を改善する気があると思ってる」と言い出すのだから経産省も呆れたバカです。
 というか韓国は「日本側が、ホワイト国除外について交渉する意思があるなら提訴はひとまず取りやめる」といってるだけで、「現状に問題点があると認める」なんて一言も言ってないし「提訴しない」ともいってないのですが。
 かつ「日本側の言い分を受け入れて改善」とは具体的に何なのか。この数ヶ月安倍政権が抜かしたことは、「徴用工判決ガー」「慰安婦銅像ガー」という「輸出管理と何一つ関係ないことばかり」です。
 韓国側が「輸出管理に問題があるからホワイト国除外にした、徴用工判決や慰安婦銅像は関係ないというなら、我が国の輸出管理の何が問題か教えてくれ。改めるから」と水を向けられても「韓国側に対しても」「マスコミに対しても」どんな輸出管理制度の改善を希望してるのか、中身のあることは何も言わず安倍政権も経産省もすっとぼけ続けたくせに何が「韓国側が日本の言い分を受け入れて輸出管理を改善する気があると思ってる」なのか。
 勿論言わないのは「言えないから」でしょう。韓国の輸出管理には安倍が言いがかりを付けるような問題はないし、言いがかりを付けてる理由は「徴用工判決ガー」「慰安婦銅像ガー」という「輸出管理と何一つ関係ないことばかり」だから言えないわけです。そんなことを正直に公言したら、韓国にWTO提訴されたら「制度目的を逸脱した違法行為」としてほぼ確実にWTOで負けます。
 ここまで低レベルなデマを安倍に強要される経産省には「多少は同情します」がいずれにせよデマはデマです。
 そして「人事権によって安倍に脅されてる官僚」とは違い「自発的に安倍を擁護するデマ(経産省の主張は政党だ)」を垂れ流す黒井と鈴木には心底呆れます。

*1:ウィキペディア「リトビネンコ」だけでもある程度の事が分かります。

*2:モスクワ市党第一書記を経てロシア大統領

*3:まあ俺は残念ながらCIAしか知りませんが

*4:タンボフが「広島ヤクザ」のような地名だと言うことぐらいは誰でも想像がつきますが、そのくらい注記したらどうなんですかね?

*5:エリツィン政権大統領府第一副長官、FSB(連邦保安庁)長官、第一副首相、首相を経て大統領

*6:北海道大教授。著書『宇宙開発と国際政治』(2011年、岩波書店)など