「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2019年12/27分:荒木和博の巻)

田中さんと金田さんの情報【調査会NEWS3148】(R01.12.27): 荒木和博BLOG

 共同通信の配信で各紙に「拉致被害者田中実さんら2人 生存情報 政府公表せず」という報道がされています。
 2人というのは政府認定拉致被害者田中実さんと、特定失踪者金田龍光さん*1のことで、平成26年(2014)に政府が情報を受け取りながら公開しなかったというもの。同様の情報はこれまでも共同電で流れていましたが、この記事では政府が黙殺したことがかなりはっきりと書かれています。

 政治家か官僚かいずれにせよ、関係者の内部告発というかリークというかそう言う話でしょうが、誰(WHO)がなぜ(WHY)今(WHEN)こうしたリークをしているのか、そして「私に対する誹謗中傷だ」など、「予想されるであろう安倍の反発」を無視してなぜこうした記事をメディアが書いたのかが気になるところです。
 もちろん「安倍批判」という可能性もあるわけですが、逆に「安倍周辺による政治的アドバルーン」の可能性もあります。
 「安倍批判」の思惑であるならば、「安倍政権の終わりが近づいている」と思いたいところではあります。
 いずれにせよ安倍は「ノーコメント」で逃げるのでしょうし、救う会、家族会も真偽を確かめたいとは言わないのでしょう(意外にも荒木はこの記事で「事実でないなら安倍総理は釈明すべきだ(釈明しないのでは怪しい)」として安倍への「不信」を書いていますが、その荒木ですら、この件で安倍をガンガン批判するわけではありません)。安倍以外でこんな話が出れば批判するでしょうにね。もちろんこうした情報について真偽が追及されるべきなのは言うまでもありません。

 状況証拠からする推測ですが、だいたい流れはこんなものだと思います。
 (ボーガス注:北朝鮮が)出してきた情報の中には(ボーガス注:田中実さんの)他の認定被害者、もっとはっきり言えば横田めぐみ有本恵子という「目玉商品*2」の情報がなかった。
 これでは世論が納得しない*3と考えた政府が受け取らなかった。まあそんなところで大きな間違いはないと思います。要は「あってはならないことは、なかったことにする」ということでしょう。
 救う会・家族会が主張している「拉致被害者の全員即時一括帰国」というのは北朝鮮に求める建前としては当然です。もちろん北朝鮮にはそうする義務があります。しかし現実にはそれは不可能であり、逆に建前のお陰で助けられる人を見捨てることになりかねません。(ボーガス注:報道が事実なら)今回のケースはまさにそれだと思います。

 ここで荒木が言ってることは全くの正論です。「即時一括全員帰国」などという無茶な方針を立てれば北朝鮮がこうして「一部の拉致被害者(田中さん、金田さん)を帰国させる用意がある、ついては制裁解除してほしい」といっても「即時一括全員帰国でないから制裁解除できない→この話は聞かなかったことにしてくれ(安倍)」となるのは分かりきった話です。
 これは何も今回の「田中さん、金田さん」に限らないでしょう。有本夫妻の娘「恵子さん」にせよ、飯塚繁雄家族会会長の妹で、飯塚耕一郎*4家族会事務局長の母「田口八重子さん」にせよ、曽我さんの母親「ミヨシさん」にせよ、増元照明・元家族会事務局長の姉「るみ子さん」にせよ、横田滋・元家族会会長の娘で横田拓也(現在、家族会事務局長)の姉「めぐみさん」にせよ、誰にせよです(田口八重子さんらが今も生きているかは分かりませんが)。
 「即時一括全員帰国」などとした場合「死亡者が一人でも居ればそれは無理」なのだから北朝鮮も帰国させる気を失うでしょう。一方、そんな北朝鮮を翻意させる能力も意思も安倍政権にはない。むしろ「反北朝鮮」の方が家族会が大喜びするわけですから。本末転倒だと思いますが。
 しかし荒木もわけが分かりませんね。
 黒坂真などは「報道は安倍潰しのデマに決まってる、北朝鮮の流したフェイクニュースだろう」などといって安倍を擁護しますが、荒木は「報道はおそらく事実だ」と見なしています。
 そして、このように言うのなら「即時一括全員帰国なんて方針を救う会、家族会はやめるべきだ」と言うかと思ったら言わない。
 「即時一括全員帰国なんて方針を救う会、家族会はやめるべきだ」と言わないくせに「こういう方針を立てた事がこうした事態を助長したのではないか。田中さんや金田さんがかわいそうだ」という。一体荒木は何が言いたいのか、何がしたいのか、さっぱり分かりません。
 事情はともかく、「自分を事務局長から事実上解任した救う会」の連中に何か含むところがあるのか。自分の考え(自衛隊による拉致被害者救出など)を必ずしも受け入れない安倍にやはり反感があるのか。しかしそれでも「救う会や安倍をくそみそに言うこと」にはやはり抵抗があるが、「にもかかわらず」救う会や安倍への反感から何か嫌みを言わずにはいられないのか。

 記事には北朝鮮側からは「帰国の意思はない」と伝えられていたとされています。しかしこの点は平成14年(2002)に帰国した蓮池薫さんら5人も北朝鮮で聞かれれば監視の目をはばかって「帰国の意思はない」と答えたでしょう。本人たちに政府の関係者が会って、そして日本に連れ帰ってから意思確認をしない限り本心など分かるはずがありません。

 もちろん荒木の言うような問題はあるでしょう。しかし「本心、帰国の意思がないとしても*5」、隠していいことには全くなりません。
 「一般には公開せず隠すこと」に仮に正当性があるとしても*6最低限「田中さん、金田さんの身内には知らせる必要はある」でしょうが、おそらく知らせていないのでしょうね。

*1:仮に金田さんが拉致だとしても「40人もの特定失踪者が国内で発見されてる」以上、ほとんどの特定失踪者は北朝鮮拉致ではないとみるべきでしょう。

*2:救う会がめぐみさんを特別扱いしていることは知っていましたが、恵子さんもそうらしいです。しかしこの発言、「ウチの実は目玉商品じゃねえってのか!、そんなにめぐみさんと恵子さんだけが大事か!(田中さんのご家族)」「俺の妹の八重子は(以下略)(飯塚繁雄家族会会長)」「俺の姉のるみ子は(以下略)(増元照明)」のような反発が出てもおかしくないでしょうに、荒木も全く無神経ですね。とはいえ、飯塚や増元ら「横田一家、有本一家以外の」家族会メンバーが荒木に抗議するかと言えばしないのでしょうが。

*3:世論ではなく「家族会、救う会」ですね。正直、拉致は風化してるので世論はそんなことはどうでもいいでしょう。「家族会、救う会」が納得すれば世論(大多数の日本国民)は「当事者の家族会が納得しているのなら問題ない」としてそれを受け入れるでしょうね。一方で「家族会、救う会」が反発すれば「当事者が納得してないなら受け入れるべきではない」として世論はそれは受け入れないでしょう。「世論のせいに荒木はすんな」て話です。

*4:母親の失踪後、飯塚繁雄の養子になったため、飯塚姓です。

*5:あちらでそれなりの生活をしているなら「今更戻っても幸せか分からない」として本心から帰国を希望しないことは可能性として十分あり得ます。

*6:俺はあるとは思えませんが。