今日の産経ニュース(1/5分)(追記あり)

■安倍*1首相発言詳報(下)「新たな国づくりに挑戦」
https://www.sankei.com/politics/news/190105/plt1901050017-n1.html

 10月に消費税を8%から10%に引き上げる。

 参院選後の増税というのがわかりやすいですね。安倍も「万全の対策をとる」とは強がってるものの、景気の足を引っ張り、選挙や支持率に影響することを明らかに危惧しているわけです。

 増えた税収については社会保障の充実を行っていく。

 過去の消費税増税においてそんなことは何一つされていません。また安倍政権になってから社会保障が充実した事実もありません。明らかに安倍の嘘ですね。

 この6年間、安倍政権は観光に力を入れてきた。800万人だった海外からの観光客は昨年3千万人を超えた。

 外国人観光客誘致は悪いことではありません。しかしそれを安倍がこれほど大げさに語るのは「外国人観光客誘致」以外にろくな景気刺激策を打てなかったという安倍本人の自己認識の表明かと思います。

 70年以上残されてきたこの難しい課題*2、次の世代に先送りすることなく、私とプーチン*3大統領の手で必ず終止符を打つとの決意で交渉に臨むべく考えている。

 よくもまあこんなことがいえたもんです。最低限「米軍の問題(プーチンが返還した島に米軍を置かないことを、返還前に確約することを要求)」と「現在、島に住むロシア人の処遇」を解決することが必要ですが、どう見てもその見込みがあるとは思えません。本気でこんなことを言ってるなら安倍は馬鹿だし、虚言を吐いてるならクズです。

 北朝鮮の(日本人)拉致問題の解決は、私の重要な使命だ。北朝鮮との問題を解決していくためには、金正恩キム・ジョンウン朝鮮労働党委員長と私自身が向き合わなければならない。

 といったところで安倍には拉致を解決するために「小泉訪朝」のような外交を仕掛ける気は全くないでしょう。口からデマカセをほざいてるだけです。


■安倍首相発言詳報(上)改正入管法「移民政策ではない」
https://www.sankei.com/politics/news/190105/plt1901050016-n1.html
 安倍らしい酷い詭弁ですね。あの入管法改正は「是非はともかく」明らかに「移民政策」ですが「移民を嫌うウヨ支持層の反発を逃れるため」にはそうした全くの詭弁をはかないわけにはいかないのでしょう。
 しかし「明らかな移民政策」を詭弁でごまかそうとするようでは「移民によって生じることが危惧される問題(排外主義など)」に安倍がまともに対応することは期待できませんね。

 アベノミクスによって生産年齢人口が450万人減少する中にあっても、経済を成長させることができた。経済が成長すれば雇用も生まれる。昨年の高校、大学を卒業した若い皆さんの就職率は過去最高水準になった。

 ここで安倍は「雇用が増えた」とはいえても「給与が増えた」「消費が増えた」とはいえないわけです。
 それはもちろん「給与も消費も増えていないから」であり、それで「経済が成長した」とは到底いえないでしょう。

 安倍政権になって格差が拡大しているという批判だ。果たして本当はどうか。これも先に結論を言う。これも間違いだ。安倍政権になって経済が成長したから税収が増えた。6年間で国と地方合わせて24兆円増えた。来年度も増えていく。来年度の国の税収は過去最高になっていくだろう。地方税収もおそらく過去最高になっている。
 この6年間、増えた24兆円を、未来を担う子供たちの教育へ、そして子育て世代に振り向けていく。その結果、生活保護世帯の子供たちの高校進学率はずっと8割台だったが、初めて安倍政権になって9割を超えた。

 やれやれですね。「生活保護世帯の子供たちの高校進学率」など安倍にとって都合のいいデータ(あるいは都合がよく見えるデータというべきか)を持ち出して「格差は拡大していない」と強弁しているだけです。
 これについては

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-06-30/2016063001_05_1.html
 安倍政権になって3年半、大企業や大資産家のもうけは記録的な水準ですが、そのほとんどはため込みや投機に回って、雇用も賃金もよくなっていません。大企業の内部留保(ため込み)は300兆円を突破する一方で、勤労者の実質賃金は5年連続の減少―年収400万円の勤労者では20万円も実質賃金が減っています。
 アメリカの経済誌の調査では日本の富裕層上位40人の資産合計は安倍政権発足前に比べ8・2兆円も増えています。その半面、日銀の調査では貯蓄が全くないという世帯が3割にも達しています。安倍政権のもとでの貧困と格差の拡大は明らかであり、その放置はもはや一刻の猶予も許されません。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2018-01-06/2018010601_05_1.html
 日本でも、「アベノミクス」の下、円安や株高で大もうけした大企業のため込みは過去最高の400兆円を超え、一握りの富裕層が金融所得などで潤う半面、非正規で働く人など「ワーキングプア(働く貧困層)」と呼ばれる年収200万円未満の労働者は4年連続で1100万人を上回りました。厚生労働省の調査でも昨年10月の労働者の実質賃金は1年前より減少し、国内総生産(GDP)の約6割を占める個人消費も低迷を続けています。

という指摘を紹介しておきます。


■【昭和天皇の87年】統帥権干犯問題をあおる野党 党利党略が国家を危うくした
https://www.sankei.com/premium/news/190105/prm1901050005-n1.html
 「蓮舫*4民進党代表の二重国籍騒動」など明らかなデマで政治をゆがめようとした産経が、こんなことを書くなど「鏡で自分の顔を見ろ」といいたくなりますが、それはさておき。
 「国を危うくした」が「無謀な戦争による敗戦」を意味するなら、このあたりは「微妙な気」もしますね。
 「統帥権干犯」云々が「事実に反する言いがかり」であることや、「226事件*5などのテロ(統帥権を干犯するものに天誅を加えるという名目でのテロ)を助長したこと」、また、日本の軍国主義ムードを高め、日中戦争、日米戦争(太平洋戦争)を助長したことは確かです。
 しかし「統帥権干犯」云々がなければ「226事件などのテロはなかった」とはいえたとしても、日本が中国や米国相手に戦争しなかったかどうかと言えば、非常に疑問符がつくと思いますね。
 そもそも「統帥権干犯」云々と、「日中戦争」「日米戦争」は

統帥権干犯」云々がなければ「日中戦争」「日米戦争」はなかった

という単純な因果関係にないからです。むしろ「統帥権干犯」云々よりも「日中戦争」「日米戦争」開始において重要なことは当時の日本が中国や米国の意思を完全に読み違えたあげく、その読み違えをまともに是正できなかったことでしょう。
 当時の日本は「中国は簡単に日本に屈服する」「日本が中国相手に軍事的に勝利し既成事実を作れば、米国も中国支援をいずれやめる」と思っていましたが、その日本の読みは完全に外れました。
 そしてそれでも日本は戦争をやめることができず、戦争へ突き進んでいくことになります。
 こうした「読みの外れ」「読みの外れによる事態の悪化を是正できなかったこと」は「統帥権干犯」云々と直接には関係しません。


産経抄・1月5日
https://special.sankei.com/f/sankeisyo/article/20190105/0001.html

日本の近隣国は、正式な国交のない台湾を除き、困った国ばかりである。

 もちろん「他に引っ越せるわけではない」し、「正当な批判とは言いがたい」こういう悪口雑言をしても「隣国との関係が悪くなる」だけで意味がありません。ましてや産経の場合「南京事件慰安婦はなかった」などのデマまで飛ばして、他国の日本批判を誹謗呼ばわりし、居直りますから論外です。
 なお、台湾と言えば「福島産農産物輸入禁止を継続すること」を住民投票で決定したのですが、産経的にはそれはなぜかどうでもいいようです。
 中韓が同じ事をしたら反日呼ばわりしたと思うのですが。

 中国は尖閣諸島沖縄県石垣市)への領土的野心を隠さず、軍事的・経済的膨張主義をとっている。

 いろんな意味で吹き出す文です。
 「尖閣領土主張」を領土的野心というなら台湾も「尖閣領土主張」をしていますが。
 そして「軍事的膨張主義(軍拡?)批判」はともかく「経済的膨張主義」とは何なのか。世界各地に経済進出することだというなら別にそれは悪いことではないでしょうに。

 ただ、世界第2位の経済大国であり、米国と並んで日本の最大の貿易相手である事実は無視できない。

 後の方で「それに比べて韓国はたいした国じゃない」と「韓国を小馬鹿にするための前振り」とはいえ産経が中国ビジネスの重要性を認めてるのが興味深い。もちろん韓国だって経済大国であり、かつ「拉致問題など対北朝鮮外交を進める」において日本にとって小馬鹿に出来る国では全くないですが。
 以前も指摘しましたが、金大中氏の側近の回想によれば

 金正日が拉致を認めたのは日本政府(当時の小泉政権)の要請を受けた金大中氏(当時、大統領)が側近を通して『拉致を認めて日朝関係を良くした方がいい。末端の暴走だということにして認めたらどうか』と金正日にアドバイスしたから

です。むしろ「韓国の協力」もあって拉致は解決に動き出したわけです。
 「何でもかんでも韓国を褒め称えろ」とはいいませんがそうした事実を無視して韓国に悪口三昧の産経は全く論外です。

 ロシアは、昭和20年8月15日の日本の降伏後にも着々と北方領土など日本領に侵攻したほか、60万人を超える将兵らを極寒のシベリアの地へと連行し、強制労働に就かせた。

 「現在まで続く北方領土支配」はともかく「シベリア抑留なんて昔の事ヤン、今のプーチン政権に直接関係ないヤン」ですよねえ。こういうことを言う一方で「慰安婦南京事件など昔のことだ、うるさく言うな」だのもっと酷いと「中韓などの捏造だ」というのだから産経もいい度胸です。

とはいえ、中国や北朝鮮と対峙(たいじ)するうえで日本側に引き寄せておきたい相手ではある。

 おいおいですね。
 ロシアは「日本のために中国や北朝鮮と対決する国」では全くないでしょう。むしろ「冷戦時代からのつながり」で日本よりも中国や北朝鮮との関係が深いんじゃないか。
 つうかロシアに限らず、どこの国でも国家間関係はもっとシビアです。
 「日本のために何かしてくれる」つうほどどこの国も甘くない。つうかなんで中国、北朝鮮に比べロシアに甘いのかよく分かりません。

一方、韓国はどうだろうか。

 もちろんすでに書いたように韓国も重要な国です。とはいえ安倍自民の韓国に対する無茶苦茶な敵対的態度を見るに産経のような「安保理常任理事国で世界第二位の経済大国中国とはけんかは出来ないが、韓国とならけんかしていい」というゆがんだ韓国認識をしている疑いが濃厚ですね。

企業が進出しても言いがかりをつけられて財産を差し押さえられるかもしれない

 ばかばかしい。戦争責任問題で差し押さえがあり得るのは「新日鐵住金」のように「戦前から存在し、かつ徴用工などの問題がある企業」で「裁判で敗訴した企業」だけです。何でもかんでも差し押さえになるわけがない。
 大体、原告は「話し合いによる和解」を望んでいたのであり、それを「差し押さえ」の方向にしてしまったのは話し合いを拒否する新日鐵住金の不誠実な態度です。

 韓国の経済・市場規模はそれほど大きくない

 米中に比べれば小さいのでしょうがどうでもいい市場ではないでしょう。

 レーダー照射という無礼を犯した揚げ句、居直り強盗のごとくに謝罪を求めてくるのである。

 これについては「未だ真偽不明」と思うので評価は避けます。
 それにしても

 北方領土不法占拠(日本政府公式見解)という無礼を犯した揚げ句、居直り強盗のごとくに『日本はクリル諸島北方領土)がロシア領になったことを正式に認めよ』と求めてくる

ロシアに対しては「安倍自民他のウヨ連中」は「次の質問どうぞ(ロシアの態度をどう思うかという質問への河野の逃げ腰な態度)」など、抗議一つせず、まあ「借りてきた猫」のようにおとなしいくせにずいぶんと韓国には居丈高ですね。白人コンプレクスでもあるのか。

2度目の米朝首脳会談が開かれ、北朝鮮の非核化や拉致問題に動きがあっても、どうせ韓国は蚊帳の外だろう。

というのは産経のくだらない願望に過ぎません。そもそも最初の米朝会談は「文在寅大統領の働きかけ」によるのになんでそういう理解になるのか。
 なお、米朝会談で「非核化の進展」はありえても「拉致の進展」はないでしょう。米国は拉致問題の当事者でないから交渉する動機がない。そして拉致問題の当事者でもないのに日本を無視して勝手な約束を北朝鮮にするわけにも行かないからです。拉致問題の解決は日朝首脳会談でしかないでしょうが、現段階のその可能性は皆無です。
 むしろ「北朝鮮を巡る動き」から「蚊帳の外」になってるのは日本ではないのか。

【追記】
 コメント欄で「文世光事件」について触れましたがこっちにもう少し詳しく書いておきます。

■文世光事件(ウィキペディア参照)
 1974年8月15日に韓国大統領・朴正煕の妻・陸英修在日韓国人の文世光によって射殺された事件である(文は朴正煕を狙ったが、結果的には妻が死亡した)。この日は韓国の独立記念日である光復節の祝賀行事がソウルの国立劇場であり、朴夫妻がその行事に出席している時の出来事であった。
■事件の概要
 文は1974年7月18日に大阪市南区(現在の中央区)の高津派出所で拳銃2丁を盗み、同年8月6日に拳銃をトランジスタラジオの中身を抜いたケースにしのばせ韓国に入国した。
 国立劇場の中へは本来、招待状を持つ人しか入場できなかったが、劇場入口を守っていた警察官は、日本語を使う文を、招請された外国人VIPと誤解し、招待状がないにもかかわらず入れてしまった。
■裁判
 10月7日に初公判が開かれ、文世光は大筋で犯行を認めた。10月19日の1審(死刑判決)、11月20日の2審(控訴棄却)、12月17日の大法院における終審の全てにおいて死刑が宣告された。
 宣告から3日後の12月20日に、ソウル拘置所の処刑場において、死刑が執行された。
■その後の日韓関係
 この一連の事件の為、日韓関係は日韓国交正常化後、最悪の状態に陥った。韓国側は、朝鮮総連の関与は明白であると主張し、日本側に朝鮮総連の家宅捜索を要請したにも関わらず、日本側が『証拠がない』として家宅捜索しなかった事、文が所持していた拳銃が大阪府内の派出所より盗まれた物であった事による。
 日本側の態度に対し、朴は激怒し「日本は本当に友邦なのか?」「(ボーガス注:田中首相の訪中で1972年に日本が国交正常化した)中国だけが日本にとって大事なのか。(日本と断交しても韓国の)安保、経済に問題はない」、「日本は北朝鮮の赤化工作の基地となっている」などという言葉まで出た。しかし、朴の側近が「このまま国交断絶してしまえば、今までの国交正常化の苦労が水の泡になってしまう」と説得し、日韓双方で、
・日本政府が遺憾の意を表明する。
・かかる事件の再発防止。
・捜査についての日本政府の協力。
・日本から特使を派遣すること。
という内容で合意し、国交断絶という最悪の事態はまぬがれた。
 事件から4日後の8月19日に執り行われた葬儀(国葬)において、日本からは田中角栄*6首相が出席した。その際、田中の「えらい目に遭われましたね」という言葉に、朴は「言葉が軽すぎる」とかえって憤慨したと言われている。
 加えて、8月29日に木村俊夫*7外相が国会答弁の中で「客観的に見て、韓国には北朝鮮による脅威はない*8」と述べたことで、かねてからKCIA(韓国中央情報部)が実行した金大中拉致事件に対する日本からの非難*9を受けたことにより鬱積していた反日感情が一気に爆発、連日、日本大使館前には抗議のデモ隊が押し寄せ、9月6日には群衆が日本大使館に乱入し日章旗を焼き捨てる事態にまで発展した。その後急速に関係は悪化し、国交断絶寸前にまで至った。
 事態を見かねた日本政府は、9月19日に自民党韓国ロビーの重鎮である椎名悦三郎*10副総裁を政府特使として訪韓させ、両国間での問題決着がはかられた。
 朴は椎名との面談の席上で、「日本政府が大統領一家や国民が悲しみと怒りに満ちているこの時に、こんな風な姿勢を取れば、友邦とは認められないのではないか」、「(日本の姿勢は)政治と外交、法律に関係なく、東洋の礼儀上、ありえない事」、「日本外務省には秀才やエリート官僚が集まっていると聞いたが、どうやって(ボーガス注:北朝鮮の韓国侵攻の脅威はないという)このような解釈ができるのか」など、激しい言葉で日本政府を非難した。退出した椎名は「長い公職人生でこれほど罵倒されたことはなかった」と憤懣やるかたない表情で語り、付き添っていた金鍾泌*11首相があわててなだめる一幕もあったという。

*1:自民党幹事長(小泉総裁時代)、小泉内閣官房長官を経て首相

*2:北方領土問題のこと

*3:エリツィン政権大統領府第一副長官、連邦保安庁長官、第一副首相、首相を経て大統領

*4:菅、野田内閣行政刷新担当相、民主党代表代行(岡田代表時代)、民進党代表、立憲民主党参院国対委員長などを経て立憲民主党参院幹事長(副代表兼務)

*5:血盟団事件、515事件のような個人テロはともかく「226事件」は「天皇の命令なく軍隊を動かしている」ので磯部浅一青年将校の行為自体が「統帥権干犯」です。実際、磯部らの統帥権干犯に昭和天皇は激怒します。しかし、そこは磯部らにおいては「天皇陛下のためにやったのであり私利私欲ではないから形式上は統帥権干犯でも実質は干犯ではない」という「形式的には殺人だが、天誅という正義の行為だから犯罪ではない」レベルの詭弁が発動されるわけです。

*6:岸内閣郵政相、池田内閣蔵相、佐藤内閣通産相自民党政調会長(池田総裁時代)、幹事長(佐藤総裁時代)などを経て首相

*7:佐藤内閣官房長官経済企画庁長官、田中内閣外相などを歴任

*8:まあ実際そうですが。

*9:といってもそれは「朴に甘い日本政府」ではなく日本社会の非難ですが。

*10:戦前、岸信介・東条内閣商工相の下で商工次官。戦後、岸に誘われて政界入り。岸内閣官房長官、池田内閣通産相、外相、佐藤内閣通産相、外相、自民党総務会長(佐藤総裁時代)、副総裁(田中総裁時代)など歴任。

*11:KCIA部長、首相など歴任