今日の産経ニュース(1/14、15分)(追記あり)

■【主張】アセアン世論調査 日本への期待を追い風に
https://www.sankei.com/column/news/190115/clm1901150002-n1.html

 平和や繁栄に貢献する国として、国際社会で日本が最も期待されていることが分かった。
 シンガポールの東南アジア研究所が東南アジア諸国連合ASEAN)加盟10カ国*1の識者に行った意識調査の結果だ。

 のっけから「え、国民世論調査じゃねえの?」「その識者ってのは誰がどんな基準で選んだの?」「その識者って具体的に誰?」ですね。
 たとえば「日本を例にすれば」日本の識者として「安倍に近い北岡伸一*2(東大名誉教授)など」「安倍に批判的な山口二郎*3(法政大学教授)など」、誰を選ぶか調査結果は大きく変わるでしょう。
 この研究所が「国家基本問題研究所のような研究所とは名ばかりのウヨ団体」か、「それなりにまともな研究機関」なのかによっても話は違う。
 信用できるかが非常に怪しい気がします。

 各国政府の現実的な対中アプローチは意識調査とは別物だろうが、今回の結果をひとまず歓迎したい。
 国際平和や安全保障、繁栄などに関し「正しい行動をとる」と信じている主要国・地域として、日本が65・9%から支持を受けて最も高かった。欧州連合(EU)41・3%、中国19・6%だった。

 「ホンマかいな?」です。フィリピン、ベトナムとの間に領土問題をかかえる中国はともかく、「日本がEUより高い」て「なぜそう考えるのか」理由でも聞かされないととても信用できませんね。

 興味深いのは日本を信頼している国別度合いだ。中国傾斜が顕著なカンボジアで80%を超えた。

 そもそもこの調査結果が信用できるかどうかも怪しいですが、それはさておき(そもそも中国とつきあうかと「日本を信頼するか」とは別問題ですが、たぶん「カンボジアでも日本への好意的評価が中国より高かった」を産経的に表現するとこうなるのだろうと好意的に理解しておきます)。
 仮にこの調査結果を信用するにしてもつまりは「おつきあいするかどうか」と「信用するかどうか」は「外交関係においては関係がない」という話です。
 人間関係ならある程度「あんなやつとは付き合わない」が通用する(もちろん地域の住民や会社の上司・同僚・部下ではなかなかそうもいきませんが。「あんなんと付き合いたくないから引っ越す、会社を移る」なんてのはそう簡単にはできません)。国家関係ではまずそんなことは無理です。
 東南アジア諸国にとって「中国と付き合わない」なんて選択肢はあり得ないわけです。


■「領土・主権展示館」の移転が宙に浮く 財務省「待った」に危機感
https://special.sankei.com/f/politics/article/20190114/0001.html

・昨年1月25日に開館した。
・平成30年の来館者は延べ約7500人。開館時間は平日午前10時から午後6時。

 つうことは、開館日数は平日のみなので土日(毎月約8日)、祝日、年末年始を除外して
 「1月=5日」「2月=19日」「3月=21日」「4月=20日」「5月=21日」「6月=22日」「7月=21日」「8月=23日」「9月=18日」「10月=22日」「11月=21日」「12月=18日」で年間「231日(1月平均で19〜20日開館)」。
 約7500人を231日で割ると1日平均で約32人。開館時間は「午前10時から午後6時(8時間)」なので単純に計算すると「1時間当たり約4人」つうことになります。まあこれが「果たして多いといえるのか(少なくね?。必要なの?)」つうところでしょうね。そもそも「何で土日祝日に開館しないの?(平日ではサラリーマンや学生がまず行けない)」つう疑問もある。
 まあ、それ以前にこの展示館、知名度は全然ないと思いますが(たぶん安倍のごり押しで作ったので大して宣伝もしてないのでしょう。下手に宣伝すると中国、韓国、ロシアとの対立を招きますしね)
 まあ、安倍政権だと「知名度は上げる(宣伝する*4)」「来館者を増やす(この際土日祝日に開館します)」「来館者数の問題じゃない、存在自体が大事」とか言うんでしょうけど。


■弁当店補助金詐取の女、元同僚への詐欺容疑でも送検
https://www.sankei.com/west/news/190114/wst1901140024-n1.html

 コンビニエンスストアがない大阪府千早赤阪村で、弁当店を開店した夫婦が村から補助金300万円をだまし取った詐欺事件

 「コンビニエンスストアがない」、だから「弁当店もない」、だから「補助金を出してでも弁当店ウエルカム」つうことでしょう。
 「田舎って本当にすごいんだなあ」ですね。
 それにしても「弁当店をやる気もないのにやるといってだました」つう話なんでしょうが、「そんな厄介なこと(申請書類上は一応つじつまはあわせていたんでしょう)するくらいならまともに働けばいいのに」つう気はします。


■高崎の一家3人殺害事件から21年  解決へ「全力」
https://www.sankei.com/affairs/news/190114/afr1901140012-n1.html
 犯人の目星がまったく分からないのならまだしも「容疑者が全国指名手配されてる」のに21年たっても逮捕できないのもすごい話です。
 「国外逃亡したのか」「はたまた死亡(自殺か病死か事故死か他殺かはともかく)して遺体が見つからないだけか」とすら思いますね。
 正直こうなると「口に出すのは事実上タブー」とはいえ警察もご遺族も「三人も殺害すれば死刑の可能性が高く、当然ながら『死刑になるのなら自殺したほうがましだ』とどこかで自殺して遺体が発見されない*5だけかもしれない」とは覚悟してるでしょうね。
 ただそれはご遺族が「自殺した可能性もあるし、もはや解決はあまり期待していません」などと口に出さない限り、警察の立場では言えないことですが。


■「お好み焼き」千房、イスラム教徒向け豚肉使わず
https://www.sankei.com/west/news/190114/wst1901140018-n1.html
 イスラムの客などどれほど来るのか疑問ですが、面白い動きとして紹介しておきます。


■【梅原猛さん*6死去】歴史観を根底から覆した「知の巨人」
https://www.sankei.com/west/news/190114/wst1901140004-n1.html
 予想の範囲内ですが梅原死去についての記述ではやはり「九条の会呼びかけ人*7」であることは全く触れられていません。
 梅原を「保守派文化人」として褒め称えるにおいて産経にとって都合の悪いことはネグったわけです。
 一方、赤旗や朝日、毎日は

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2019-01-16/2019011601_06_0.html
 戦中派の最後の世代と口にしていたように20代での死を覚悟し、特攻隊にも志願しました。人間を不幸にする戦争体験が物事の本質を問う哲学の道を歩むきっかけになり、戦後一貫した「平和憲法を守れ」の姿勢につながりました
▼「九条の会」を呼びかけた一人として、人類が生き延びるための理想を守るために声をあげ続けました。日本ペンクラブの会長として理念なき教育基本法の改悪を「あまりにも知性と品格を欠いている」と真っ向から批判したことも

https://www.asahi.com/articles/ASL727GYLL72PTFC01D.html
イラク戦争自衛隊の海外派遣の反対、平和憲法擁護なども訴えた。
・2004年には「九条の会」呼びかけ人となり、11年には東日本大震災復興構想会議*8の特別顧問となった。

https://mainichi.jp/articles/20190114/k00/00m/040/029000c
 「美しい国」を掲げた安倍晋三*9首相に対しては「確かに日本は美しい。しかし美しい日本人とは? 東条英機*10ですか? 小泉純一郎*11? そうではない。菅原道真*12であり、世阿弥*13であり、千利休*14だ。彼らはみな権力に抹殺された」。
 2004年には「九条の会」設立呼びかけ人の一人にも名を連ねた。

として梅原の「九条の会との関わり」について触れています。

参考
赤旗『「九条の会」 ビデオに、梅原猛さんがメッセージ』
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2005-05-06/02_02_0.html
■澤藤統一郎の憲法日記『梅原猛も「平和憲法擁護」論者である』
http://article9.jp/wordpress/?p=402

*1:インドネシアシンガポール、タイ、フィリピン、マレーシア、ブルネイベトナムミャンマーラオスカンボジア

*2:著書『後藤新平』(1988年、中公新書)、『清沢洌』(2004年、中公新書)、『国連の政治力学』(2007年、中公新書)、『独立自尊福沢諭吉明治維新』(2018年、ちくま学芸文庫)など

*3:著書『若者のための政治マニュアル』(2008年、講談社現代新書)、『政治のしくみがわかる本』(2009年、岩波ジュニア新書)、『ポピュリズムへの反撃』(2010年、角川oneテーマ21)、『政権交代とは何だったのか』(2012年、岩波新書)、『いまを生きるための政治学』(2013年、岩波現代全書)、『徹底討論 日本の政治を変える』(共著、2015年、岩波現代全書)など

*4:いやーでも下手に宣伝すると外交的にまずいのでやはり宣伝しないのかな?

*5:あるいは遺体は発見されたが身元不明で処理された。

*6:京都市立芸術大学名誉教授、国際日本文化研究センター名誉教授。著書『人類哲学序説』(岩波新書)、『古事記(増補新版)』、『縄文の神秘』(学研M文庫)、『仏教の思想(上)(下)』(角川文庫)、『空海の思想について』、『哲学する心』、『日本文化論』(講談社学術文庫)、『飛鳥とは何か』、『神々の流竄』、『日本の深層 縄文・蝦夷文化を探る』、『文明への問い』(集英社文庫)、『最澄空海』、『法然の哀しみ(上)(下)』、『親鸞の告白』、『親鸞のこころ』(小学館文庫)、『森の思想が人類を救う』(小学館ライブラリー)、『隠された十字架:法隆寺論』、『水底の歌:柿本人麿論 (上)(下)』、『黄泉の王:私見・高松塚』(新潮文庫)、『美と宗教の発見』(ちくま学芸文庫)、『地獄の思想:日本精神の一系譜』、『日本人の「あの世」観』(中公文庫)、『怨霊と縄文』(徳間文庫)、『梅原猛の「歎異抄」入門』(PHP新書)、『戦争と仏教』(文春文庫)など

*7:梅原の他には井上ひさし(作家、故人)、大江健三郎(作家)、奥平康弘(東大名誉教授(憲法学者)、故人)、小田実(作家、故人)、加藤周一(評論家、故人)、澤地久枝(作家)、鶴見俊輔(哲学者、故人)、三木睦子(三木元首相夫人、市民運動家、故人)

*8:菅内閣が設置した審議会。現在は復興推進委員会に発展的解消している。

*9:自民党幹事長(小泉総裁時代)、小泉内閣官房長官を経て首相

*10:関東憲兵隊司令官、関東軍参謀長、陸軍次官、第三次近衛内閣陸軍大臣、首相を歴任。戦後、東京裁判で死刑判決。後に靖国神社昭和殉難者として合祀

*11:宮沢内閣郵政相、橋本内閣厚生相を経て首相

*12:宇多天皇に重用されて、醍醐朝では右大臣にまで昇った。しかし、左大臣藤原時平に讒訴され、大宰府へ大宰員外帥として左遷され現地で没した

*13:将軍・足利義満、義持に重用されたが、足利義教の代になると、音阿弥が重用されるようになる。一方、仙洞御所への出入り禁止(1429年)、醍醐清滝宮の楽頭職罷免(1430年)、世阿弥佐渡流刑(1434年)など、世阿弥は従来の地位を奪われた。

*14:豊臣秀吉によって切腹させられるがそうなった理由についてはよく分かっていない。