新刊紹介:「経済」3月号

「経済」3月号について、俺の説明できる範囲で簡単に紹介します。
 http://www.shinnihon-net.co.jp/magazine/keizai/

世界と日本
■COP24の成果と課題(高橋文夫)
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。

赤旗
COP24 NGOが評価/各国の目標 報告受け見直しを
主張/COP24の閉幕/温暖化対策 本気で実行の時


■中国・習近平政権の台湾政策(平井潤一)
(内容紹介)
 正直、習氏の演説(1月2日*1)にはそれほど新味はないですね。あえて言えば「一国二制度」に言及したところが新味でしょうか?。ただ「具体的プランは今後の課題」としており、それほど明確ではありません。
 「武力統一もあり得る」はあくまでも「台湾が独立宣言したとき」という例外的ケースであり産経などの様に「習近平の恫喝」などと騒ぐ話ではありません。
 大体「いざとなったら武力統一も選択肢」は
1)トウ小平時代からずっとその立場
2)馬英九時代はそうした立場は弱まっていたが、それは馬総統が台中融和に努めたから。蔡英文が反中の立場であるがためにそうした牽制が強まったにすぎない
わけです。
 一方蔡英文は「統一は受け入れられない」としていますが、彼女は先日の地方選では惨敗し、党主席を辞任しています(後釜の党主席は彼女の子飼いだそうですが)。蔡英文の路線が台湾住民から「中台関係を悪化させ経済を悪くしている」「馬英九時代の方が良かった」と総スカンを食らって「地方選惨敗の一因」になったことは確かでしょう。台湾の趨勢は「当面、現状維持」であり「統一については将来の課題として中国との対立を避け、経済交流を進める」のわけです。
 id:Bill_McCrearyさん風に表現すれば、経済のほうが政治よりよっぽど現実(実状)に正直だ - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)のわけです。もはや経済的な意味で台湾が中国を敵視することは現実的ではありません。仮に中国共産党が下野するとしても、この状況は今後変わらないでしょう。


■新しい防衛大綱と中期防(金子豊弘)
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。詳しくは赤旗記事をお読みになれば良いかと思いますが、こうした安倍軍拡計画については
1)単に憲法九条を擁護するだけでなく、こうした軍拡に歯止めを加えなければ、問題は是正されない反面
2)こうした右翼路線を安倍がとるが故に護憲の重要性が高まってるとも言えるでしょう。
 もちろん軍拡は「平和主義」の観点は無論ですが「財政悪化」「福祉などの切り捨て」という意味でも問題です。こんな軍拡をしながら消費税増税だの福祉切り捨てだの全く容認する気はありません。

赤旗
主張/新たな「防衛大綱」/攻撃型空母の導入許されない
防衛大綱 「空母」明記へ/骨子案提示 F35B運用 事実上の攻撃型
安倍政治 命を削って 軍拡に熱中/中期防 最大の27兆4700億円 後期医療保険料 軽減廃止
違憲の攻撃能力へ27兆円/空母化・F35明記/新「防衛大綱」・中期防 閣議決定
新「防衛大綱」・中期防 閣議決定/危険な計画撤回を/小池書記局長が談話
新「防衛大綱」・中期防 小池書記局長が談話
主張/新防衛大綱・中期防/違憲の攻撃兵器導入許されぬ
主張/19年度軍事予算案/「戦争できる軍隊」の道開くな


スルガ銀行不正融資(田中均
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。

赤旗
不正融資は「組織的」/スルガ銀第三者委が認定
金融庁 15年に不正把握/スルガ銀融資 宮本徹議員が質問/衆院財務金融委


特集『人間らしい働き方・生活を』
■座談会「『最賃1500円』で暮らせる賃金・雇用をつくる」(中澤秀一*2、柳恵美子*3、箕輪明子*4、森田進*5
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。「人間らしい働き方をするには最低賃金は時給1500円が必要だ」という主張がされています。
 1500円×8時間(1日の労働時間)×20日(土日を除いた休日の平均労働日)=月給24万(手当なし、基本給のみ)、24万×12月=年収288万円(ボーナスなどなしの基本給のみ)ということでしょう。
 ご存じのように実際の最低賃金は「1000円を下回ってる」わけです。
 ですので、最賃目安額 生活保障に遠く/今すぐ1000円 めざせ1500円で分かる様に、「当面の目標が最低賃金1000円に置かれてること(つまり月給16万(手当なし、基本給のみ)、年収192万円(ボーナスなどなしの基本給のみ))」「1500円は『ひとまずの最終目標』であること*6」はお断りしておきます。

赤旗
知りたい聞きたい/最賃引き上げ 中小はどうする?
最賃目安額 生活保障に遠く/今すぐ1000円 めざせ1500円
主張/最低賃金の改定/引き上げと地域格差の解消を


■最賃と生活保護と両方の底上げこそ貧困脱出のカギ(桜井啓太*7
(内容紹介)
 なぜ「両方の底上げ」が必要かと言えば
1)最低賃金生活保護より低ければ、「働かない方が得なのか」という受給者叩きを招きかねないし、
2)一方で「生活保護の低さ」が「健康で文化的な最低限度の生活=生活保護」なのだから生活保護を大幅に上回る最低賃金にする必要はないとして最低賃金の引き下げに悪用されている現状
があるからです。


■生活困窮者自立支援制度と自治体の行財政運営の課題(藤井えりの*8
(内容紹介)
 生活困窮者自立支援制度を基本的には評価しながらも「生活保護受給の減少」が行われている現状では「就労の強制」になりかねないとして、生活保護の充実を主張。また「就労の強制」にならないためには「生活困窮者のニーズ」を適切に把握することが求められるとしている。


奨学金の返済はなぜ社会問題化しているか(柴田武*9
(内容紹介)
 大内裕和*10奨学金が日本を滅ぼす』(2017年、朝日新書) 、今野晴貴*11『ブラック奨学金』 (2017年、文春新書)などで近年、批判が高まりつつある奨学金の話です。
 欧米の奨学金の多くは「給付型」でそもそも「奨学金に返済が必要な日本の現状自体」が不適切であり、「貸与型を減らし給付型を増やすべき」と批判。
 その上で、貸与型を認めるにしても、「貸し付け条件」や「返済の取り立て」が年々、冷酷な物となっていることも批判。日本学生支援機構(昔の育英会)が奨学金を自称する限りは「そのような状況は改善されるべき」であり現状は銀行の「進学向けローン」とどこが違うのかと批判している。
 また、保証人制度について「機関保証(現在は日本国際教育支援協会が実施)」に一本化し、個人保証(連帯保証人)は廃止すべきとしている(ただしその場合、機関保証の保証料を大幅に引き下げるべきとしている)。

参考
赤旗
主張/「給付型奨学金」/対象の規模はまだまだ小さい
給付制奨学金/“資産は全部見せよ”/現場怒り「金の延べ棒あるわけない」
奨学金 全員から保証料/文科省 保証人制度 廃止を検討
奨学金破産が急増/追い込まれる貸与者本人
奨学金 保証料に悲鳴/「破産も」学生から怒り/高額兵器より給付型に


■コラム「ブラック企業大賞2018:大賞は三菱電機
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。

ブラック企業大賞2018に三菱電機 WEB投票賞はセクハラ問題の財務省 - ライブドアニュース
 「ブラック企業大賞2018」の発表・授賞式が12月23日、東京都内でおこなわれ、三菱電機が大賞に選ばれた。システム開発の技術者や研究職の男性社員5人が長時間労働が原因で、精神障害や脳疾患を発症して、2014年から2017年に相次いで労災認定された。このうち2人が過労自死していた。
 ウェブサイトや会場での投票数による「WEB投票賞」(市民投票賞)は、事務次官による女性記者へのセクハラが問題となった財務省だった。ウェブ上での投票は、ほかと比べて圧倒的だったという。
 「特別賞」は、長時間労働パワハラがあったほか、多数の外国人実習生が在留資格を失った日立製作所・日立プラントサービスが選ばれた。「有給ちゃんと取らせま賞」は、違法な長時間労働があったとして労基署から是正勧告のあったジャパンビバレッジ東京となった。
 今年で7回目となるブラック企業大賞には、ジャパンビジネスラボ、ジャパンビバレッジ東京日立製作所・日立プラントサービス、モンテローザゴンチャロフ製菓財務省スルガ銀行野村不動産三菱電機がノミネートされていた(計9社・1官公庁)。 
 ブラック企業大賞は、弁護士やジャーナリストでつくる実行委員会が、労働環境を改善する活動として、2012年から開催している。労働法令などに抵触したり、またはその可能性があるグレーゾーンな条件や、パワハラなど暴力的強制を従業員に強いる体質の企業や法人(官公庁を含む)を「ブラック企業」として定義している。


■対談「国会パブリックビューイング*12の挑戦」(上西充子*13、山田真吾)
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介などでで代替。

国会パブリックビューイングを見に行く | ちきゅう座
赤旗
国会審議を身近に パブリックビューイングの取り組み(上)/大阪PV食堂/もっと政治に関わりたい
国会審議を身近に パブリックビューイングの取り組み(下)/社会は自分たちが決める/京都での工夫


■座談会「外国人労働者:受け入れ拡大の問題点と課題」(大坂恭子*14、榑松佐一*15、坂本恵*16、仁比聡平*17
■外国人技能実習制度の変遷と問題点(本多ミヨ子*18
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。

赤旗
主張/「入管法」成立強行/「使い捨て」を許さぬ声さらに
技能実習生 ねつ造は国会否定/BS番組 辰巳氏が政府批判
外国人労働者 違法の通報 機能せず/倉林氏「安い労働力使用だ」
外国人労働者 建設業の実態 黒塗り/山添氏「都合が悪いと隠す」
真冬に不審な「溺死」 薬品プールに転落…/外国人実習生の死亡事例/野党が資料開示要求/合同ヒアリング
外国人労働者 雇用の調整弁 防げず/野党合同ヒアリングで追及
主張/外国人就労方針/これで見切り発車は許されぬ


■メガFTAと日本農業(東山寛*19
(内容紹介)
 メガFTAとは「複数国が参加するFTA」で具体的には「TPP11*20」「日・EUEPA」を指しています。詳しくは赤旗記事紹介で代替します。
 なお「メガFTA」とはいえませんが、今後「米国とのFTA交渉」が予定されています。

赤旗
【TPP11】
TPP11きょう発効/関税82%撤廃 国内農業に打撃
主張/TPP、日欧EPA/経済主権貫く貿易原則確立を
【日・EUEPA
国内の酪農 打撃深刻/井上議員 日欧EPAを批判
日欧EPA、SPA承認案 井上議員の反対討論/参院本会議
日欧EPA発効 日本農業が危ない/食健連「自給率向上を」
【日米FTA
主張/FTAと「TAG」/この偽装工作は見過ごせない


■2008~2009年不況後の日本産業と国際貿易(村上研一*21
(内容紹介)
 日本国内の労働者数について「いわゆる産業空洞化」により製造業労働者が減少する一方で、高齢化による介護サービス労働者の増加が認められるとしている。

*1:ググれば、いろいろと記事がヒットすると思うので詳しい紹介は省略します。

*2:静岡県立大学短期大学部准教授。著書『これだけは必要だ!静岡県の最低生計費』(編著、2012年、本の泉社)、『最低賃金1500円がつくる仕事と暮らし:「雇用崩壊」を乗り超える』(編著、2018年、大月書店)

*3:全国生協労働組合連合会委員長

*4:名城大学准教授

*5:日本医療労働組合連合会書記長

*6:もちろん実現すれば「新たな目標」が目指されるでしょうが。

*7:名古屋市立大学准教授。著書『〈自立支援〉の社会保障を問う: 生活保護最低賃金ワーキングプア』(2017年、法律文化社

*8:岐阜経済大学講師

*9:埼玉奨学金問題ネットワーク代表。元聖学院大学教授。著書『企業は環境をまもれるか』(1994年、岩波ブックレット

*10:中京大学教授(教育社会学

*11:NPO法人「POSSE」代表理事ブラック企業対策プロジェクト共同代表。著書『ブラック企業』(2012年、文春新書)、『生活保護』(2013年、ちくま新書)、『日本の「労働」はなぜ違法がまかり通るのか?』(2013年、星海社新書)、『ブラック企業ビジネス』(2013年、朝日新書)、『ヤバい会社の餌食にならないための労働法』(2013年、幻冬舎文庫)、『ブラック企業2』(2015年、文春新書)、『ブラックバイト』 (2016年、岩波新書)など

*12:公式のサイトはトップページ - 国会パブリックビューイング @ウィキ - アットウィキツイッター国会パブリックビューイング(@kokkaiPV)さん | Twitter

*13:法政大学教授(労働社会学)。国会パブリックビューイング代表

*14:外国人技能実習生問題弁護士連絡会共同代表

*15:愛知県労働組合総連合(愛労連)議長。著書『トヨタの足元で:ベトナム人研修生 奪われた人権』(2008年、風媒社)、『反貧困でつながろう:国境を越えた仲間たち 改正入管法対応 外国人実習生支援ガイド』(2010年、かもがわ出版)、『外国人実習生「SNS相談室」より:ニッポン最暗黒労働事情』(2017年、風媒社)

*16:福島大学教授

*17:日本共産党参院議員、弁護士

*18:首都圏移住労働者ユニオン書記長

*19:北海道大学准教授

*20:参加国が日本の他、オーストラリア、カナダ、シンガポール、チリ、ニュージーランドブルネイベトナム、ペルー、マレーシア、メキシコ

*21:著書『現代日本再生産構造分析』(2013年、日本経済評論社