今日の産経ニュースほか(2020年1月24日分)

谷内前国家安全保障局長「ロシアは無条件締結要求」平和条約交渉で - 産経ニュース

 谷内正太郎国家安全保障局長は24日のBSフジ番組*1で、ロシアとの北方領土問題を含む平和条約締結交渉に関し、ロシア側が領土問題を盛り込まない形で無条件の条約締結を求めていると明らかにした。締結後に領土問題を協議する2段階論を主張していると説明した。
 谷内氏はロシア側の主張について「まず領土について何も書いていない平和条約を結んで、その上で領土問題を議論しようという2段階論だ」と説明。ほかに(1)第二次大戦の結果として北方領土が正式にロシア領になったと日本が認める(2)日本に駐留する全ての外国軍隊の撤退-を要求していると述べた。
 その上で今後の交渉について「なかなか展望は開けない。何らかの前進を見るためにほかにやることがあるのかというと、ない」と断言した。

 まあ何というか「日露交渉楽観論の安倍に振り回されたあげく、後任局長は外務官僚ではなく警察官僚(北村滋・元警察庁警備局外事情報部長)という鬱憤(谷内氏は元外務事務次官)」が「安倍の野郎、ふざけんな!」と「退任で爆発」したのかもしれませんが「お前、国家安全保障局長時代に言うてた楽観論と退任してからの悲観論が180度違うやないか!。なめとんか!」ですね。
 「在任中と在任後の発言は違うのは、朝鮮学校無償化問題での前川も同じだ。お前が前川を褒め、谷内をけなすのは何故だ」という指摘がありそうですが、前川氏の場合は「保身のために本心が言えなかった」と謝罪し、「朝鮮学校側のために法廷に立つ覚悟がある」といい、朝鮮学校側もそうした彼について一定の評価をしていますからね。今回の谷内氏とはかなり違うというのが俺の評価です。
 それにしても「北方領土に米軍を置くな」ならともかく

日本に駐留する全て*2の外国軍隊の撤退

を「島返還の条件」でロシアが持ち出してきた、てのは本当なんですかね?。そんなもん、安倍や米国が飲まないことはわかりきってる。「返還した北方領土に米軍を置くな*3」ならともかく、これでは「無理難題を日米にふっかけてる」といわれてもロシア側は文句は言えないでしょう。いわゆる「最初に一番でかい要求をふっかけてどんどん落としていく」という戦術だとしても「明らかに飲む可能性がないもの」をふっかけるのは戦術とは言いがたいでしょう(俺個人は日米安保条約廃止論の立場ですが、それとはまた別の話です)。
 そこまで安倍がロシアに見下されてるというのも、それに対し安倍がろくに抗議しないのも信じがたい話です。
 いずれにせよ「谷内発言がどこまで真実か」はともかく安倍が当初ふかしていたほど甘い話ではなかったことだけは確かでしょう。だからこそ安倍も今ではやる気を失ったわけです。その結果の鬱憤晴らしが「嫌韓国」ではないのか。中国やロシア相手の外交の失敗(中国について言えば反中国路線を撤回し、習主席にすりよる)が「韓国への八つ当たり」になってるのではないか。


本日の呆れた朝日社説「「安保改定60年 安定と価値の礎として」!? | ちきゅう座
 本多勝一*4筑紫哲也*5(故人)、松井やより*6(故人)などはともかく、朝日主流が左翼でも護憲派でも平和主義者でもないこと、どう朝日を好意的(?)に評価しても所詮「自民党宏池会レベルでしかないこと」がよく分かる話です。そもそも「日米支配層の改憲圧力の元凶=日米安保」ではないのか。護憲を口にするなら結論は「日米安保廃止」しかないでしょう。日米安保が廃止されれば改憲の危険性は大きく減少するからです。かつ日米安保こそがアメリカの無法な対外軍事行動を助長しているのではないのか。沖縄基地問題とて日米安保を廃止すれば解決する問題です。
 朝日のように「日米安保の問題性を批判しない新聞」がリベラルぶってることは日本の政治をゆがめ、安倍を利してると言っても過言ではないでしょう。
 正直、俺は「安倍をろくに批判しない産経や読売、日経は大嫌いで怒りを禁じ得ません」ですが、こうした朝日のような新聞にも怒りを禁じ得ません。
 モリカケ追及した朝日社会部は比較的まともだが、朝日政治部がろくでもないという話でしょうか?。

 朝日新聞社日米安保条約を「中国の軍拡や北朝鮮の脅威など、日本を取り巻く環境の厳しさを考えれば、日米安保の重要性はこれからも変わるまい。」から「安定と価値の礎として」いこう、なんて社説で呼びかけていることは(ボーガス注:九条改憲という)日本国憲法第9条殺し・平和主義殺しを呼びかけているようなものです

 朝日社説は正気の沙汰ではないですね。2018年5月に李首相が訪日し、今年の春には習主席が訪日予定なのに何で「中国の侵略ガー」なのか。
 北朝鮮に至っては国力的にそんなことは無理です。本気で書いてるなら朝日はバカだし、虚言ならクズです。


森法相「死刑廃止は適当ではない」 - 産経ニュース
 国民世論では女帝容認論が多数派なのに「日本の伝統ガー」で女帝導入を否定する連中が都合のいいときだけ「国民世論ガー」というなという話です。
 そもそも「死刑えん罪があっていいのか」などといった人権面の問題は「国民世論ガー」で正当化できる話ではない。国民世論というなら「太平洋戦争時の日系強制収容所送り」も当時の米国国民世論は「敵性国民(日系)を収容所に送るのは当然だ」と支持したわけです。しかしだからといって「日系を収容所に送って良かった」ということには全くならないわけです。


「激動の欧州と直面する日本外交」 正木靖・外務省欧州局長 « 最近の活動 « 公益財団法人 国家基本問題研究所
 極右・安倍が総理でなければ、外務省欧州局長という外務省幹部が、国基研なんぞ相手にすることはないでしょう。だからこそウヨ連中は安倍を絶賛せざるをえないわけです。石破元幹事長や岸田政調会長が今、総理なら多分こんなことはあり得ない。


【産経抄】1月24日 - 産経ニュース

 中欧の国チェコの首都プラハは、(中略)北京と姉妹都市を解消して、今月13日に台北と協定を結んだ。昨日の三井美奈記者のインタビュー記事で経緯がわかった。前市長が北京と締結した協定に、台湾を中国の一部とする「一つの中国」原則の順守が記されていたからだ。市の協定に国際政治を持ち込むのはおかしい、というわけだ。

 まあ、日本にとってはある意味「どうでもいいこと」ですね。産経だと「東京にも北京市との姉妹都市を解消して(以下略)」といい出しかねませんが。プラハ市がそうしたいならそうすればいいだけの話です。
 プラハと言えば「プラハの春弾圧」を旧ソ連に食らってますので反共意識が強いのかもしれません。
 産経も

 1968年の民主化運動「プラハの春」は、ソ連軍などに弾圧された。1989年には数十万人規模のデモが連日続き、共産党政権は打倒される。いわゆる「ビロード革命」を主導したハベル元大統領は、中国による人権弾圧を憂慮していた。民主活動家の劉暁波(りゅうぎょうは)氏がノーベル平和賞を受賞するよう呼びかけたのも、ハベル氏だった。

と書いているとおりです。
 ちなみに三井美奈記者ですが

◆三井美奈(1967年生まれ、ウィキペディア参照)
 1989年、読売新聞社入社。読売新聞エルサレム支局長、パリ支局長などを歴任。2016年産経新聞社入社。現在、外信部編集委員、パリ支局長。
◆著書
安楽死のできる国』(2003年、新潮新書
イスラエルユダヤパワーの源泉』(2010年、新潮新書
イスラム化するヨーロッパ』(2015年、新潮新書

だそうです。産経を早期退社した人間(福島香織*7*8)もいるのによりによって「読売(産経よりは経営状態も記事内容もずっとマシ)から産経に移籍」とはわけがわかりません。まあ、他にも「日経から産経に移籍」という変人(田村秀男*9)もいますが。

 現在のゼマン*10大統領は中国に接近*11して、経済発展に結び付けようとしてきたが、フジブ市長の信念は揺るがない。医師でもある市長にとってとりわけ、囚人の臓器を強制的に摘出しているとの疑惑は、看過できない問題だった。

 法輪功辺りが叫んでる「疑惑」ですが、根拠があると言えるか甚だ疑問です。かつ、それが仮に事実だとしても北京市とは関係ない話でしょう。

 翻って日本はどうだろう。進歩的とされる出版社の辞書*12は、中国の主張の通りに、台湾を26番目の省として記載している。容疑がはっきりしないまま日本人を拘束し続け、尖閣諸島への侵入をやめようとしない、(ボーガス注:今年春に)中国の習近平国家主席国賓として迎えようとしている。
▼そんな情けない国から見れば、まぶしすぎるほどに気骨のある政治家である。

 「尖閣」「日本人拘束問題」はともかく、広辞苑の記載は「日本や欧米が台湾を国扱いしてないこと、台湾と国交がないこと(いわゆる「一つの中国」を支持していること)」を考えれば別に問題はないでしょう。「岩波広辞苑」以外の辞書も同様の記載ではないのか。
 しかし産経が何を言おうと、安倍にとっては「習主席の春の国賓訪問、この道しかない(アベノミクス風に)」でしょうね。
 そして仮に安倍が早晩退陣しようとも、ポスト安倍が誰でも「習主席の春の国賓訪問」という方針は今更変わらないでしょう。
 それを否定する反中国極右が政権につくことは考えがたい。
 そして「ポスト安倍」なら産経も批判するかもしれませんが、「習主席国賓訪日時の首相が安倍*13」なら「改憲のためには安倍批判は自重しよう」で結局腰砕けでしょう。安倍は完全に産経らウヨをなめてるし、それに対し「習主席訪日など絶対阻止する、安倍政権が崩壊してもかまわない」とはいえず、産経らウヨは何も出来ないわけです。まあ、「産経が嫌う自民党リベラル」宮沢*14首相の「天皇訪中」のときも結局阻止できませんでしたしね。


エリザベス女王が離脱関連法案を裁可 離脱問題に終止符 - 産経ニュース
 まあ裁可と言っても「国王主権国家」ではないので、当然形式的なわけです。仮に「裏で王室の意向を聞いている*15」にしても「王室が納得してないのに無視して法案提出強行」などするわけもないので法案が出た時点で「既に決着してる」わけです。

*1:フジテレビ&産経がこうした報道をする辺り、日露交渉での安倍の態度に「ロシアに弱腰だ」と相当マジギレしてることがうかがえます。

*2:「全て」といったところで現実問題として米軍しか駐留していません。

*3:これなら不当な要求だとは俺は思いません。ただし、このレベルでもおそらく安倍も米国も飲む気はないのでしょうが。

*4:著書『中学生からの作文技術』(朝日選書)、『新・アメリカ合州国』(朝日文芸文庫)、『アイヌ民族』、『アメリカ合州国』、『アラビア遊牧民』、『植村直己の冒険』、『NHK受信料拒否の論理』、『カナダ=エスキモー』、『きたぐにの動物たち』、『釧路湿原:日本環境の現在』、『検証・カンボジア大虐殺』、『50歳から再開した山歩き』、『子供たちの復讐』、『殺される側の論理』、『殺す側の論理』、『事実とは何か』、『実戦・日本語の作文技術』、『しゃがむ姿勢はカッコ悪いか?』、『憧憬のヒマラヤ』、『職業としてのジャーナリスト』、『先住民族アイヌの現在』、『戦場の村』、『そして我が祖国・日本』、『中国の旅』、『天皇の軍隊』、『南京への道』、『日本環境報告』、『新版・日本語の作文技術』、『ニューギニア高地人』、『冒険と日本人』、『北海道探検記』、『滅びゆくジャーナリズム』、『マスコミかジャーナリズムか』、『マゼランが来た』、『新版 山を考える』、『リーダーは何をしていたか』、『ルポルタージュの方法』(以上、朝日文庫)、『本多勝一戦争論』、『本多勝一の日本論:ロシア、アメリカとの関係を問う』(以上、新日本出版社)など

*5:著書『「政治参加」する7つの方法』(2001年、講談社現代新書)、『ニュースキャスター』(2002年、集英社新書)、『スローライフ:緩急自在のすすめ』(2006年、岩波新書)、『若き友人たちへ:筑紫哲也ラスト・メッセージ』(2009年、集英社新書)など

*6:著書『女たちのアジア』(1987年、岩波新書)、『市民と援助』(1990年、岩波新書)、『女たちがつくるアジア』(1996年、岩波新書)など

*7:著書『中国「反日デモ」の真相』(2012年、扶桑社新書)、『中国絶望工場の若者たち』(2013年、PHP研究所)、『現代中国悪女列伝』(2013年、文春新書)、『赤い帝国・中国が滅びる日』(2016年、ベストセラーズ)、『「中国の悪夢」を習近平が準備する』(2017年、徳間書店)、『習近平王朝の危険な野望』(2018年、さくら舎)、『習近平の敗北: 紅い帝国・中国の危機』(2019年、ワニブックス)、『ウイグル人に何が起きているのか』(2019年、PHP新書)など

*8:なお、福島も三井氏と同じ1967年生まれです。

*9:著書『人民元、ドル、円』(2004年、岩波新書)、『経済で読む「日・米・中」関係:国際政治経済学入門』(2008年、扶桑社新書)、『世界はいつまでドルを支え続けるか』(2009年、扶桑社新書)、『日経新聞の真実』(2013年、光文社新書)、『消費増税の黒いシナリオ:デフレ脱却はなぜ挫折するのか』(2014年、幻冬舎ルネッサンス新書)、『人民元の正体:中国主導「アジアインフラ投資銀行の行末」』(2015年、マガジンランド)、『検証 米中貿易戦争』(2018年、ML新書) など

*10:チェコ社会民主党党首、下院議長、首相などを経て大統領

*11:要するに一帯一路参加のこと

*12:岩波広辞苑のこと

*13:アンチ安倍として早期退陣を希望するので、「習主席訪日時も安倍首相」なんてことは勘弁してほしいですが。

*14:池田内閣経済企画庁長官、佐藤内閣通産相、三木内閣外相、福田内閣経済企画庁長官、鈴木内閣官房長官、中曽根、竹下内閣蔵相などを経て首相。首相退任後も小渕、森内閣で蔵相

*15:まあ現政権は保守党ですし、多分聞いてはいるんでしょう。