プーチン先生の歴史講義 ロシア史観に欧州は反発 :日本経済新聞
勿論そうした面は当然あります。
ただし
プーチン先生の歴史講義 ロシア史観に欧州は反発 :日本経済新聞
欧州議会は昨年9月、第2次大戦を巡りソ連の開戦責任をあからさまにロシアに突きつけた。開戦80年を記念した決議「欧州の未来に向けた欧州の記憶の重要性」で、1939年8月、ソ連とナチス・ドイツが結んだモロトフ*2・リッベントロップ*3協定と呼ばれる不可侵条約と(ボーガス注:ポーランドをソ連とドイツが分割することを定め、ドイツのポーランド侵攻を容認した)秘密議定書が「第2次大戦勃発の引き金となった*4」と明記したのだ。
という面も一方ではあります。特に東欧の場合「ドイツから解放された後」に共産政権がソ連の強力なバックアップでつくられ、その過程では「カチンの森虐殺(ポーランド、1940年)」「ヤン・マサリク外相の自殺*5(チェコ、1948年)」などの悲劇もあった。
また、その後も「ハンガリー動乱(1956年、ナジ・イムレ首相をソ連に連行し処刑)」「プラハの春弾圧(1968年)」などもあったのでソ連(そして後継国家のロシア)への反発はかなり強いでしょう。
なお、これからわかることは「被害国が加害国を恨むのは当たり前だ」ということです。
「東欧諸国が未だにソ連(そして後継国家のロシア)を恨む」ように「中韓が未だに日本を恨む」のは当たり前です。それは反ロシアとか反日とかいう話ではない。
ロシア相手には「東欧が恨むのは仕方がない」という日本マスコミが、自分のことになると「昔のことは水に流そう」と言い出すのだから心底呆れます。
・欧州議会の決議はよほど腹に据えかねたのだろう。
・プーチン氏は、第1次大戦の戦後処理として結ばれたベルサイユ条約を問題視。敗戦国ドイツに収奪ともいえる重い賠償金を課し、その恨みがナチス台頭と次の大戦を招く一因になったとの見方を示した。
・チェコスロバキア解体(ボーガス注:を英仏が容認したこと)こそが「ヒトラーの東方への行動の起点となり、第2次大戦の開戦の要因となった」と結論づけた。
物事の原因が「複数ある」と言うことはいくらでもあります。
プーチンの指摘「重い賠償金やチェコスロバキア解体容認が戦争を助長した」も事実なら、欧州議会の指摘「独ソのポーランド分割が戦争を助長した」も事実と言っていいでしょう。だからこそ第二次大戦では連合国は日独伊にそれほど重い賠償金は課さなかったわけです(もちろん米ソ冷戦で日独伊を米国側につけるために重い賠償金を避けたという面もあるでしょうが)。
昨年末にモスクワで開いた国防省関係者との会合でも、再び歴史講義を展開。ヒトラーはかつてポーランドの駐独大使に「ユダヤ人をアフリカの植民地に移住させる考えがある」と伝え、大使は「もし実現すれば、我々はワルシャワにあなたの素晴らしい銅像を建てます」と答えていたと明かした。
これまたプーチンの指摘は嘘ではないでしょう。ポーランドは単純な「ナチドイツの被害国ではない」ということです。
もちろん「だからソ連は悪くない(プーチンが強弁したいこと)」とか「ポーランドがナチに侵略されても自業自得」とかいう話では全くありませんが。
「ロシアにそんなこと言う資格があるのか?」「外交上非礼ではないのか?」という問題はさておき、指摘自体は嘘ではないと思います。
ポーランド側が「自らの加害性」を認めることも戦後70年経って必要なことではないか。