「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2020年2/15日分:高世仁の巻)(副題:有本嘉代子が死去)

有本恵子さん拉致の全貌 6 - 高世仁の「諸悪莫作」日記
 「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2020年2/13日分:高世仁の巻) - bogus-simotukareのブログで取り上げた有本恵子さん拉致の全貌 5 - 高世仁の「諸悪莫作」日記の続きです。
 (つづく)と書いてないのでひとまずこれで終わりなのでしょう。

 未だに一件も死亡の証拠を北朝鮮側は示せていない。

 こうした認識を正当なものと仮に認めるにしても、それは当然ながら「だから生きている」などと言う話ではありません。
 「制裁を受け続けてまで、拉致被害者の存在を隠す理由があるとは思えない、おそらく本当に死亡しているが、それについて表に出したくない理由(例えば、北朝鮮側の過失による事故死、拉致された精神的ストレスによる自殺など)があるのだろう」と考えるのが合理的でしょう。
 いずれにせよ根拠レスで「生きてるはずだ」といってもそれで有本恵子氏らが帰ってくるわけでもなく、何の意味もありません。いつまで「小泉訪朝後(2002年9月)の停滞」を続ければ気が済むのか、もう17年も経ってるんだぞ、と言う話です。

 有本嘉代子さんが、帰国した拉致被害者から聞いた恵子さんの目撃情報が一つだけある。
 曽我ひとみさんが、ジェンキンスさんと平壌の外貨ショップ「楽園百貨店」に買い物に行った。同行したのがジェンキンスさんと同じく元米兵のパリッシュさんとレバノンから拉致されて彼と夫婦になった女性シハームさん。
 二組のカップルが電化製品売り場に来たとき、ラジカセを見ている一人の女性がいた。するとシハームさんが彼女に話しかけ、親しげに英語で会話しはじめた。
 別れた後、ひとみさんが「あの人、誰?」とシハームさんに聞くと、「ロンドンから連れてこられた日本人だ」という。
 曽我さんは帰国後、有本恵子さんの写真を見て、この時のことを思い出したそうだ。シハームさんが出産したのが87年4月で、外貨ショップでの遭遇は6月だったという。
 この目撃証言は、時期からいって北朝鮮の「88年死亡」説を覆すものではないが、娘の北朝鮮でのリアルな姿をひとみさんが話してくれて、心が和らぎ、希望をもつことができたと明弘さんは言う。

 おいおいですね。この女性が仮に有本恵子さん*1だとしても「1988年死亡説を覆せない」、つまり1987年以前の目撃証言の何が「希望」なのか。有本明弘といい、高世といい、その馬鹿さには心底呆れます。

 有本嘉代子さんが逝去され、拉致問題の報道に関わった一人として、まだ解決できていないことを申し訳ないとの思いを抱く。ご冥福を祈るとともに、あらためて拉致問題の早期解決に微力を尽くしたいと思う。

 よくもまあ口から出任せがほざけるものだといつもながら高世の「無責任さ」「下劣さ」「デタラメさ」には心底呆れます。
 「拉致問題の早期解決に微力を尽くしたい」のなら

蓮池透*2拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』(2015年、講談社
・和田春樹*3『安倍*4首相は拉致問題を解決できない』(2018年、青灯社)

のような救う会批判をいい加減始めたらどうなのか。
 救う会批判が高世にはできない、する気がないなら、何も言わずに黙っていた方がいい。というか最近の高世は拉致問題についての報道など、ろくにしていませんし。高世には「沈黙も金」という言葉を贈りたい。
 そもそも救う会の中核メンバー(西岡救う会会長、島田救う会副会長、荒木特定失踪者問題調査会代表(元救う会事務局長)など)が「河野談話否定論」「モリカケ桜を見る会は野党の言いがかり」を放言して恥じない嘘つき揃いという時点で「救う会に頼っては拉致の解決など望み薄」と考えてしかるべきです。
 もちろん「慰安婦は公娼」などというデマは人として許されるもんではない。そして、そんなデマを言えば中韓政府の反発を買い、拉致問題解決において彼らの協力が得ずらくなるという意味でもそんなデマは拉致解決に逆行して有害です。
 ただしそれ以前に「慰安婦は公娼」「安倍首相は清廉潔白」などと嘘をつく人間が「拉致問題に限っては本当のことを言う」「救う会北朝鮮制裁論も横田めぐみ生存説も正しい」と考える方がおかしい。
 「A(慰安婦問題)について嘘をついて恥じない人間」は他の「B(拉致問題)やCなどでも嘘をつくかもしれない」と眉唾で見て当然です。
 大体、救う会拉致問題においても嘘つきであることは「特定失踪者デマ」で明白ですが「一部、事実誤認があっただけ」などという荒木和博らの強弁を受け入れ「特定失踪者が国内で発見された事例が相次いだことを考えればそんなもんは日朝交渉に持ち出すべきではない。政府認定拉致被害者だけ持ち出すべきだ」「特定失踪者を日朝交渉で持ち出したいならまず、政府に拉致認定を求め、正式に拉致認定されてから持ち出すべきだ」「そもそも特定失踪者認定が間違っていた救う会をどこまで信用できるのか」といった蓮池透氏を敵視して家族会から除名するのだから家族会の馬鹿さはまさに「底なし沼」ですね。
 なお、俺個人はもはや「拉致問題の早期解決」など諦めています。
 そもそも小泉訪朝から17年も経過して「早期解決」もないですが、今の家族会、救う会

「全員即時一括帰国があるまでは制裁あるのみ。全部解除は勿論、一部制裁解除も認めない」
「全員即時一括帰国は譲れない。段階的帰国は不可。全員には特定失踪者を含むし、死亡した拉致被害者の存在の可能性は否定する」
「とにかく全員即時一括帰国を北朝鮮がしろ。日朝合同調査など必要ない」
平壌への駐在事務所設置など不要」
蓮池透家族会除名は撤回しない(蓮池氏と和解しない)」
田中均氏への態度が問題だったとは認めない(田中氏に謝罪しない)」
「今後も安倍晋三を称え続ける」 

という態度ではいつまで経っても拉致など解決しないでしょう。
 正直俺は「自分の家族が拉致されたわけでもない」のでどうでもいい話です。
 何もこれは拉致に限らない。
 例えば、「砂の器」を見てハンセン病差別に憤りを感じるからと言って、ハンセン病差別問題に当事者でもないのに積極的に取り組めるか、LGBT差別や冤罪問題に「LGBTや冤罪被害者(あるいはその親族)でもないのに」積極的に取り組めるかという話です。
 ええ、俺はそう言う冷たい人間です。

経営理念 | アゲラー本舗からあげ屋−[公式サイト]
◆アゲラー本舗からあげ屋の経営理念
 人間は 自分が困らない程度に人に優しくありたい

だそうですが、これですら「かなり立派な人間」でしょう。
 ましてや、大抵の人間は「(ボーガス注:権力批判を行ったことで報復されるなど)自分が困っても人に優しくありたい」などとは思わない。

◆マキシミリアノ・コルベ(1894年1月8日~1941年8月14日:ウィキペディア参照)
・1941年2月17日にゲシュタポにより、コルベは4人の神父と共に逮捕された。その理由、コルベ神父が発行していた『無原罪の聖母の騎士』や日刊紙がナチスに対して批判的なものであったからとされる。
◆身代わりの死
・1941年7月末、アウシュビッツ強制収容所から脱走者が出たことで、無作為に選ばれる10人が餓死刑に処せられることになった。フランツェク・ガイオニチェクというポーランド人軍曹が「私には妻子がいる」と泣き叫びだした。この声を聞いたとき、そこにいたコルベは「私が彼の身代わりになります、私はカトリック司祭で妻も子もいませんから」と申し出た。収容所所長であったルドルフ・フェルディナント・ヘス*5は、この申し出を許可した。コルベと9人の囚人が地下牢の餓死室に押し込められた。
 通常、餓死刑に処せられるとその牢内において受刑者たちは飢えと渇きによって錯乱状態で死ぬのが普通であったが、コルベは全く毅然としており、他の囚人を励ましていたという。
◆列聖
 1971年10月17日にパウロ6世によって列福され、1982年10月10日にヨハネ・パウロ2世によって列聖された。

なんてのは例外的な人間です。 
 それでも「拉致以外の社会問題」はまだいい。「拉致以外の社会問題」はハンセン病差別でアレ、LGBT差別でアレ、冤罪問題でアレ、なんであれ、当事者は家族会ほど高慢で思い上がっては居ないでしょう。
 家族会は「俺たちは正しい。何一つ間違ってない」という態度で、「家族会は間違ってる」という批判どころか「今のままで拉致が解決するんか?」という疑問表明すら敵視するのでまともに相手の出来る連中ではありません。

 きょう14日、被害者家族会の飯塚繁雄代表(81)や有本明弘さんらが安倍首相と面会して、拉致問題の一日も早い解決を訴えた。
 政府認定の拉致被害者の親7人が、子どもと再会を果たさぬまま亡くなってしまった。いま存命なのは91歳の明弘さんと横田滋さん、早紀江さん(87)と早紀江さん(84)の3人だけだ。

 安倍政権も今年で8年目です(安倍批判派として情けない限りですが)。
 当然、8年の長期政権で成果が出せない安倍は「無能」か「やる気がない」ので訴えたところで無意味です。
 もちろん「とはいえ今が安倍政権である以上」政府トップ・安倍に訴えることを否定はしませんが、「安倍なら何かやってくれる」かのような家族会の安倍礼賛は馬鹿げています。
 安倍への訴えは「拉致問題は政府の外交交渉に期待するしかない」「今政府のトップは安倍首相だ」「だから安倍首相に訴える」つうだけの話でしかない(勿論茂木*6外相など他の政府、与党幹部に訴えてもいいですが)。今の首相が石破*7元幹事長、石原*8元幹事長、岸田*9政調会長自民党派閥ボスや、枝野*10立民党代表、玉木*11国民民主党代表、又市*12社民党党首、志位共産党委員長など野党幹部であっても首相に訴える、というのと全く変わらない話です。
 このままでは拉致が解決しないまま、早晩、彼らも死ぬでしょうね。彼らが死んだところで「増元照明」「横田拓也」など救う会が政治利用できる拉致被害者家族はいくらでも居るので救う会にとって何一つ痛くない。むしろ彼らが死ねば「拉致された家族に会えずに死んでかわいそう」と今回の有本嘉代子のようにお涙頂戴に利用できて万々歳でしょう。
 そして俺はそれを「横田夫妻や有本夫妻の自業自得だ」と思うだけで同情する気は何一つありません。何せ俺にとって拉致問題など人ごとですから。

*1:まあシハーム証言が事実なら「ロンドンで拉致された女性」に該当する人間として政府が把握しているのは恵子さんですし、「女性の風貌は恵子さんの写真と似ていた(曽我さん証言)」そうなので「恵子さん」でしょうが、証言それ自体にはどこにも「彼女は有本恵子という名前だ(シハーム証言)」などという身元が確定できる情報は何もありません。あえて言えば「恵子さんでない可能性」もゼロではありません。

*2:著書『私が愛した東京電力福島第一原発の保守管理者として』(2011年、かもがわ出版)、『13歳からの拉致問題』(2013年、かもがわ出版)、『拉致と日本人』(共著、2017年、岩波書店)、『告発:日本で原発を再稼働してはいけない三つの理由』(2018年、ビジネス社)など

*3:東京大学名誉教授。著書『歴史としての社会主義』(1992年、岩波新書)、『金日成満州抗日戦争』(1992年、平凡社)、『歴史としての野坂参三』(1996年、平凡社)、『北朝鮮:遊撃隊国家の現在』(1998年、岩波書店)、『朝鮮戦争全史』(2002年、岩波書店)、『朝鮮有事を望むのか:不審船・拉致疑惑・有事立法を考える』(2002年、彩流社)、『同時代批評(2002年9月〜2005年1月):日朝関係と拉致問題』(2005年、彩流社)、『テロルと改革:アレクサンドル二世暗殺前後』(2005年、山川出版社)、『ある戦後精神の形成:1938〜1965』(2006年、岩波書店)、『日露戦争 起源と開戦(上)(下)』(2010年、岩波書店)、『これだけは知っておきたい日本と朝鮮の一〇〇年史』(2010年、平凡社新書)、『北朝鮮現代史』(2012年、岩波新書)、『領土問題をどう解決するか』(2012年、平凡社新書)、『「平和国家」の誕生:戦後日本の原点と変容』(2015年、岩波書店)、『慰安婦問題の解決のために』(2015年、平凡社新書)、『アジア女性基金慰安婦問題:回想と検証』(2016年、明石書店)、『米朝戦争をふせぐ:平和国家日本の責任』(2017年、 青灯社)、『レーニン:二十世紀共産主義運動の父』(2017年、山川出版社世界史リブレット人)、『ロシア革命』、『スターリン批判・1953〜56年:一人の独裁者の死が、いかに20世紀世界を揺り動かしたか』(以上、2018年、作品社)、『韓国併合110年後の真実:条約による併合という欺瞞』(2019年、岩波ブックレット)など

*4:自民党幹事長(小泉総裁時代)、小泉内閣官房長官を経て首相

*5:1900年11月25日~1947年4月16日。親衛隊中佐。アウシュヴィッツ強制収容所所長を務め、移送されたユダヤ人の虐殺(ホロコースト)に当たり、戦後、死刑判決。ナチス副総統のルドルフ・ヘス(1894年4月26日~1987年8月17日、戦後、終身刑判決を受け獄中で自殺)とは別人

*6:小泉内閣沖縄・北方等担当相、福田内閣金融等担当相、自民党政調会長(谷垣、第二次安倍総裁時代)、第二次安倍内閣経産相、第三次安倍内閣経済財政担当相などを経て第四次安倍内閣外相

*7:小泉内閣防衛庁長官福田内閣防衛相、麻生内閣農水相自民党政調会長(谷垣総裁時代)、幹事長(第二次安倍総裁時代)、第三次安倍内閣地方創生担当相など歴任

*8:小泉内閣国交相自民党政調会長(第一次安倍総裁時代)、幹事長(谷垣総裁時代)、第二次安倍内閣環境相、第三次安倍内閣経済財政担当相など歴任

*9:第一次安倍、福田内閣沖縄・北方等担当相、第二次、第三次安倍内閣外相を経て自民党政調会長

*10:鳩山内閣行政刷新担当相、菅内閣官房長官、野田内閣経産相民主党幹事長(海江田、岡田代表時代)、民進党代表代行(前原代表時代)を経て立憲民主党代表

*11:民主党政調副会長、民進党幹事長代理、希望の党代表などを経て国民民主党代表

*12:社民党幹事長、副党首などを経て党首