ペマ・ギャルポ会長 1月講演会報告 | 一般社団法人 アジア自由民主連帯協議会
参加者は約30名。
随分と少ない参加者数です。
香港における民主主義を求める闘いが続き、それによって先の台湾総統選挙における祭英文総統の勝利につながったことなど、アジアの自由と民主主義を求める闘いが前進しつつあることをまず指摘しました。
おいおいですね。香港デモはともかく、蔡英文の勝利が「アジアの自由と民主主義を求める闘いが前進」とは全く国民党に失礼です。
中国の暴挙に対し、幸いなことに欧米のメディアや政治家はある程度批判の声を上げるようになっているけれども、残念ながら日本においてはまだその傾向は薄い、正直、個々の政治家の立場を越えて、党として抗議しているのは日本では共産党だけだとペマ氏は指摘しました。そして、もちろんここには、共産党としては中国共産党と一緒に見られたくないという意識や、他の党が発言しないテーマを選んで発言しているという計算もあるかもしれないが、少なくともこの姿勢は認めたいと述べました。
まさか「あのペマ・ギャルポ」が「極右団体・アジア自由民主連帯協議会」の「ウヨ集会」で「色々とエクスキューズを付けながらも」、『日本共産党の中国批判を評価したい』というとは思ってもみませんでした。
よほどペマも(そしてアジア自由民主連帯協議会などペマのウヨ仲間も?)安倍自民の対中国外交に不満がたまってるのでしょう。
「あのペマですら褒める」というのは共産支持者として果たして喜んでいいのか、悲しむべきか難しいところです。
北京政府の発表している数字はどうあれ、経済はよくない状態にある。少なくとも東チベットでは、給食とかもどんどん貧しくなっていて、中国全土でも、食料、例えば豚肉などが足りなくなって配給制になるのではないかといううわさまであると述べました。
「経済は良くない状態」といってもそれは例えるなら「池田、佐藤政権当時の高度経済成長」が「田中政権以降の低成長」になったという話にすぎません。それだって日本や欧米に比べたらかなりの成長だと見込まれてる。
さすがに「配給制」なんてのはデマでしょうね。今時そんなことはしないでしょう。ペマも良くこんなデタラメが放言できるもんです。
残念ながら、中国が困ったときに、しばしばこの日本が経済的に支援をしてしまうようなことがある。
やれやれですね。困ってるとか困ってないとかではなく「中国ビジネスは日本にとって重要だ」と言う話です。
そもそも
1)いわゆる西側諸国で国交正常化(国交樹立)が一番遅かったのが日本(一番早かったのが英国、二番目がフランス)
2)天安門事件での制裁解除が一番早かったのは日本だが、欧米諸国も「早く解除したがっていた」のは今や公然の秘密
3)現在では「G7諸国のウチ、日米以外は中国主導のAIIBに参加」「イタリアが一帯一路参加」「フランスのエアバスを中国が大量購入」など欧米諸国と中国の経済関係は天安門事件当時以上に深まってる
と言う意味でペマの「日本ガー」ははっきり言ってデマです。
日本はかって、国連を世界政府のように高く評価し、80年代、日本経済の強かった時代に、お金のかかる国連のポストを、緒方さん*1のようにいくつか占めていたけれど、そのような地位を今は失っている。
・緒方氏と同時代(1990年代)に活躍した日本人国連幹部職員としては
・1990年代に国連カンボジア暫定統治機構特別代表、国連事務総長特別代表(旧ユーゴ問題担当)、国連事務総長特別顧問、国連事務次長(人道問題担当)などを歴任した明石康氏
・1990年代にWHO(世界保健機関)事務局長を務めた中嶋宏氏
などがいます。
・おいおいですね。「国連職員、日本人」などでググればわかりますが、現在においても、「岡井朝子*2UNDP(国連開発計画)総裁補兼危機対応局長」、「高木善幸・WIPO(世界知的所有権機関)事務局長補」「中満泉*3国連事務次長(軍縮担当)」、「西本伴子*4ILO(国際労働機関)事務局長補兼アジア太平洋地域総局長」、「水鳥真美*5国連事務総長特別代表(防災担当)」、「山本忠通*6国連アフガン支援団特別代表」、「山本尚子*7WHO(世界保健機関)事務局長補」など現役の日本人国連幹部職員はいます。
また現役ではないものの「1999~2009年までユネスコ(国連教育科学文化機関)事務局長を務めた松浦晃一郎氏*8」「2009~2012年までICC(国際司法裁判所)所長を務めた小和田恒氏*9」「最近(2019年7月)病死した天野之弥*10IAEA(国際原子力機関)事務局長」なども考えれば、ペマの主張は明らかに事実に反します。
ペマが無知なのかデマ屋なのか知りませんが、「中国は天皇処刑を狙ってる」と過去にデマった男ですからやはり故意のデマでしょうか。
今大切なのは、アジアの最も古い民主主義国日本と、もう一つの民主主義大国であり日本との関係も歴史的に深いインドとが連携して、自由民主主義の価値観で独裁体制と対抗する姿勢こそが必要だと述べました。
別記事でも書きましたが、今のインドは非常に景気が悪い。その経済の悪さは「モディ政権は不況が理由で早晩崩壊するかもしれない」「不況をごまかすために、支持層向けのヒンズー至上主義に暴走してるのではないか?」「不況をごまかすために政府統計数値の捏造(故意の上方修正)をしている疑いがある*11」といわれるほどで「中国の経済が悪くなってる」とペマが悪口する中国の比ではない。
中国ビジネスの利益を犠牲にして、中国を敵視できるような状況ではありません。
むしろ中国との関係を良好に保ち、中国ビジネスを進めていくことをインド政府は狙ってるでしょう。
また別記事でも書きましたが「昔のインド」はともかく「モディ首相のヒンズー至上主義(イスラム敵視)」を考えれば今のインドはとても民主主義や人権擁護の観点から礼賛できる国ではありません。
「中国のウイグル統治」をイスラム差別呼ばわりしながら、「インドのモディのイスラム差別」は何一つ批判しないのだから、ペマも「お仲間ウヨ(三浦小太郎、西村幸祐など)」も全くデタラメです。ただの反共、反中国にすぎません。
安倍首相にも、かっての姿勢を取り戻し、現在の中国の習近平主席を、国賓で呼ぶようなことは考え直してほしいと述べ、講演を結びました。
まあペマと「お仲間ウヨ(三浦小太郎、西村幸祐など)」が何を言おうと今年の春に習主席は日本に国賓として来るでしょうね。
*1:1991~2000年まで国連難民高等弁務官を務めた緒方貞子氏のこと
*2:駐スリランカ大使館次席公使、バンクーバー総領事などを経て、現在、UNDP(国連開発計画)総裁補兼危機対応局長
*3:国連PKO局アジア・中東部上級部長、UNDP(国連開発計画)総裁補兼危機対応局長などを経て現在、国連事務次長(軍縮担当)
*4:ユニセフ(国連児童基金)ザンビア事務所副代表、UNEP(国連環境計画)地域協力局長などを経て、現在ILO(国際労働機関)事務局長補兼アジア太平洋地域総局長
*5:駐英国大使館公使、外務省大臣官房会計課長などを経て現在、国連事務総長特別代表(防災担当)
*6:駐韓公使、ボストン総領事、駐米公使、駐アフガン大使、駐ハンガリー大使などを経て、現在、国連アフガン支援団特別代表
*7:厚労省健康局疾病対策課長、北海道厚生局長、大臣官房総括審議官(国際保健担当)などを経て、現在、WHO(世界保健機関)事務局長補
*8:外務省北米局長、駐仏大使、ユネスコ事務局長など歴任。著書『ユネスコ事務局長奮闘記』(2004年、講談社)、『世界遺産:ユネスコ事務局長は訴える』(2008年、講談社)など
*10:マルセイユ総領事、外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長、IAEA(国際原子力機関)事務局長など歴任
*11:その「捏造の疑いがある」とされる統計ですら「不況の事実そのもの」は否定できないわけですが。