今日の産経ニュースほか(2020年2月23日分)

内閣支持46%、不支持47%で拮抗 日経世論調査 :日本経済新聞

常岡浩介
 これだけやらかしても数字変わらないのね*1

という常岡のツイートで日経記事に気づきました。
 今だに46%もあるのかと思うとげんなりしますが、不支持47%という点はいくらかは喜びたいと思います。さすがに新型コロナでの不手際が非難されてると言うことでしょうか。
 これが「安倍政権の終わりの始まり」ならうれしいのですが。
 しかし

内閣を支持する理由を複数回答で聞くと、最も多かったのは「安定感がある」で38%

というのは意味不明ですね。「アベノミクスの失敗」も隠しきれなくなり、ロシア外交でも成果もなく、もはや、「政策に期待する」など、まともな支持理由が挙げられず「とにかく続いているからいいんだ。変化させたくない」というだけの話じゃないか。いやある程度まともな政権(橋本、小渕内閣など)なら「変化するのが怖い」つうのもわかりますが、安倍みたいなろくでもない代物を「変化するのが怖い」つうのは意味不明ですね。

 支持しない理由(複数回答)の最多は「人柄が信頼できない」の50%だった。

 まあモリカケ桜を見る会以降は「人柄が信用できない」つうか「人間として何一つ信用できない」ですよねえ。政策以前の話です。


【書評】『天皇がいるから日本は一番幸せな国なのです』倉山満著 - 産経ニュース
 タイトルからして非常識ですね。天皇愛好ウヨならともかく、そうでない人間にとって天皇など何ら「幸せ」をもたらしてくれません。
 「天皇ファンにとっての天皇」など、「政党支持者にとっての政党党首(例:自民党支持者にとっての安倍など)」「巨人ファンにとっての巨人選手」「宝塚歌劇ファンにとっての宝塚スター」などと同じ存在でしかない。
 日本国民全員が「天皇ファンだ」と思ったら大間違いです。


【日曜に書く】そうだ国後・爺爺岳、行こう 論説顧問・斎藤勉(1/3ページ) - 産経ニュース

 旧ソ連カザフスタンの首都ヌルスルタンで韓国大使館が数年前、日本の領土の「竹島」を「韓国領土」と宣伝する展示を行った。抗議に行った日本の外交官は、居合わせたカザフの外交官に「日本も負けずに『靖国参拝』のPR活動をやったら」と励まされたとか。「ロシア、中国と長い国境で接したカザフ人のバランスが取れた外交感覚に感心した」とこの外交官はいう

 そこで「竹島は日本領土だと反撃しろ」ならわかりますがなんで全然関係ない「靖国」なんて話が、「靖国大好きな日本ウヨならまだしも」外国人から出てくるのかさっぱり分かりません。韓国側が「靖国批判PR」をしたわけでもないのに。しかもそんな非常識な「靖国」云々を「日本への応援」として好意的に受け止める日本人外交官なんか本当にいるのか(まあ岡崎久彦・元駐タイ大使のような右翼外交官も一部にはいるようですが)。
 あまりにも不自然で信頼性皆無であり、「完全な作り話」ではないのか。
 それにしても作り話だとしたら随分とカザフスタンに失礼な話です。

 領土問題とは国家の主権と民族の尊厳をかけ、国際世論も味方につけるべく戦うかくも苛烈な歴史戦であり、情報戦である。嘘も百回で世界は虚説を信用してしまいかねないのだ。

 「産経ってバカ?」ですね。領土問題ほど産経の言う「情報戦」なんてもんが全く必要ない問題もないでしょう。
 領土問題は現実問題として「二国間交渉(竹島なら韓国、北方領土ならロシア)で決着する」以外に現実的解決法はありません。
 情報戦なんてやったところで交渉には大して成果もないでしょう。情報戦なんてやったところで、ほとんどの国は「日本や韓国やロシアが領土問題で何か言ってるけど、どっちかに肩入れしても恨まれるだけだから適当に相手しておこう。大体、実効支配してる方が事実上強いんだし(裁判判決で立ち退きが出来る個人対個人の訴訟ならともかく、領土問題では裁判判決で立ち退かすなんて事は出来ないので)」くらいにしかおそらく思ってない。
 そして、結局の所、竹島でアレ、北方領土でアレ、尖閣でアレ、実効支配してる方(それぞれ、韓国、ロシア、日本)が強いわけです。


【書評】『ODA幻想 対中国政策の大失態』古森義久著 日中友好に寄与したのか - 産経ニュース
 もちろんODA日中友好に寄与してるでしょう。
 問題は「ODAさえやれば友好」「首相靖国参拝しようが、尖閣の領有権を主張しようが友好」というほど話は簡単ではないというだけのことです。

 日本政府にとって対中ODAは賠償の「代償」なのである。日本側には「とにかく中国の要求に応じて資金を提供せねばならないのだ、という強迫観念のような切迫性」があったと著者はいう。

 ODAの多く(全てではないが)は「日本企業が受注している」ので「日本も多くの場合利益を得ている」のであり、中国だけが利益を得ているかのような産経の物言いはデマでしかありません。当然「贖罪意識からどんどん投入した」と言う単純な話ではない。


【文芸時評】3月号 早稲田大学教授・石原千秋 「政治的正しさ」は正当か(1/2ページ) - 産経ニュース

 1月パリ・メンズコレクションのコムデギャルソン。黒人が多く使う髪形コーンロウのウィッグ(かつら)を白人モデルに着用させて批判されたという。これに対する「誰かを傷つける意図はなかった」というコムデギャルソン側の謝罪(?)は、いかにも官僚的でいただけない。問題は意図があるかどうかではなく、結果だからだ。殺す意図がなくても殺したら「殺人」である。

 「差別かどうかは、客観的に判断すべきであり、意図があるかどうかで判断すべきでない」という結論には同感です。
 ただし「殺す意図(殺意)」がなければ法的には「殺人」ではなく、せいぜい「傷害致死(傷害の故意はある)」「過失致死(故意はないが過失がある)」しか成立し得ないので、この文章でのたとえは不適切な気がします。

 正当防衛は殺意の有無ではなく、結果の正当性の問題である。

 もちろん「現実的にはそんなことはまずありません」が通説では「結果防衛(たとえば正当防衛の意思ではなく、殺意を持って殺害したが、実は相手を殺害しなければ自分が殺される状況であり、結果的には正当防衛が成立する)」は正当防衛に当たらないのでこれまた、たとえとして不適切です。
 正当防衛が成立するには「正当防衛の意思が必要(当然、相手側の攻撃の事実を認識していることが必要)」とするのが通説であり、結果オンリーで話はされていません。

 ハラスメントはいま「相手が不快に思ったらハラスメント」というフェイズ(局面)に入ってきている。

 そんなことはないでしょう。「不快に思う」という主張に正当性がなければ、それは「ハラスメントだ、と言いがかりを付けるハラスメント」でしかないわけです。

 「政治的正しさ」は芸術を殺すとは言っておきたい。

 そんなことはないでしょう。そもそも「差別」を容認しなければ成立しないようなものは芸術とは呼べないでしょう。もちろん、何が差別かには争いがあるし、結果として「誤った『政治的正しさ』の主張」が「芸術を殺す」事はありうるでしょうが、それは『「政治的正しさ」は芸術を殺す』と言う話ではない。


【日本の議論】アイヌ施策の在り方は? 「帰属意識育む環境を」「欠かせぬ反省と先住権」 - 産経ニュース(寺田理恵)

 昨年5月施行のアイヌ施策推進法などでアイヌ文化の復興拠点と位置づけられ、国立博物館や慰霊施設などで構成する「民族共生象徴空間(ウポポイ)」が4月24日、北海道白老町(しらおいちょう)に開業する。
 北海道大アイヌ・先住民研究センター長の常本照樹氏と参院議員の紙智子氏に聞いた。
◆常本照樹(つねもと・てるき)
 昭和30年、北海道出身。北海道大大学院博士課程修了。法学博士。専門は憲法学。同大大学院教授。平成21年から政府のアイヌ政策推進会議委員、23年から同会議の政策推進作業部会長も務めている。
◆紙智子(かみ・ともこ)
 昭和30年、北海道出身。北海道女子短大*2卒。平成13年の参院選比例代表で初当選、現在4期目。共産党常任幹部会委員、党農林・漁民局長。超党派の「アイヌ政策を推進する議員の会」に参加している。
【記者の目】最大の課題は関心の低さ
 アイヌが創作の世界で脚光を浴びている。アイヌの少女が活躍する漫画「ゴールデンカムイ」がヒットし、樺太アイヌを主人公とする川越宗一さんの小説「熱源」が直木賞を受賞した。アイヌへの関心が高まっているのだろうか。
 アイヌ文化に触れる機会があるのは北海道の魅力の一つだ。だが、道の調査によると、ウポポイ*3は道外での認知度が極めて低い。
 法の内容はほとんど知られていない。アイヌ施策を進める上での最大の課題は、国民の関心の低さだろう。

 産経もアイヌ問題でまともな記事が書けるのかと意外ですね。てっきり「アイヌ先住民族性」を否定し、アイヌ新法の意義も全否定する『日本会議系列のデマ右翼』でも登場させるかと思っていました。
 もちろん「北海道大アイヌ・先住民研究センター長の常本照樹氏」「共産党参院議員・紙智子氏(北海道出身。党常任幹部会委員、党農林・漁民局長、党先住民(アイヌ)の権利委員会最高責任者*4)」はどちらも、「彼らの意見に賛同するかどうか」「彼らの意見がアイヌ協会に支持されているかどうか」などはともかく、『アイヌ政策の必要性を認めるまともな論者』と言う意味ではそうした施策どころか、アイヌ先住民族性すら否定する「日本会議のデマ右翼」とは雲泥の差があるわけです。
 しかも国会議員でまともな人間なら与党(自民、公明)だろうと、共産以外のどこの野党(立憲民主、国民民主、社民など)だろうと「誰に聞いても、ある程度まともなことを言うであろうアイヌ問題」で共産党の紙氏を持ってきたことが意外です。


【田村秀男の日曜経済講座】「新型ウイルス不況」にだまされるな マイナス成長、元凶は消費税増税(1/5ページ) - 産経ニュース

 景気不振の元凶は繰り返される消費税増税なのに、政府・日銀は主因を消費税増税以外に求める。その先(せん)鞭(べん)をつけたのは、消費税増税安倍晋三首相に催促してきた財務省OBの黒田東彦日銀総裁である。
 黒田氏は17日のGDP速報値発表よりも3週間以上も前、スイスでの世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、「日本経済は昨年第4四半期にマイナス成長に陥った。これは主に2回の台風被害に見舞われたことに起因する」と断じた。そして同じ17日に公開された産経新聞の単独インタビューでは「新型肺炎は日本経済最大の不確実性」と論じた。マイナス成長がこの1~3月期にも続こうものなら、今度は新型ウイルスのせいだと言わんばかりである。
 安倍首相も17日の衆院予算委員会の答弁で、内閣府スタッフが用意した応答要領に誘導されるかのように、家計消費の大幅減は暖冬や台風による影響が大きいことを重ねて強調する具合である。だが、消費落ち込みは台風被害が集中した東日本よりも関西がひどく、百貨店などの売り上げ減は冬物衣料品に限らない。お粗末な言い訳を首相にさせる官僚たちは平気なのか。

 安倍をストレートに批判できず「部下が悪い」というあたりは産経の限界ですが批判するだけマシではあります。いずれにせよもはや「経済の安倍」「アベノミクス」などという宣伝文句は明らかに崩壊しました。

 英エコノミスト誌は17日付の電子版特集記事で「安倍首相はまたもや消費税増税で大失敗」、米ウォールストリート・ジャーナル紙は18日付の社説で「日本の消費税の大失態」と論じた。
 国内全国紙では唯一、消費税増税不況を論じてきた拙論としては欧米メディアに見下される日本の政策の貧困ぶりが何とも腹立たしい。

 以前は「国内メディア」と書いていた産経ですがさすがに「批判してる国内メディアもある」「全国紙のことしか想定してないんじゃないか」と批判されたせいか「国内全国紙(朝日、読売、毎日、日経、産経?)」にトーンダウンです。とはいえ政党機関紙も全国紙に数えれば「全国紙」赤旗が消費税増税を批判していますが。

*1:変わらないという常岡のツイートは明らかに不適切です。正直「もっと下がって当然だ、日本人はアホか」と思いますが支持率自体は下がっていることは、日経記事にも書いてあります。

*2:現在は北翔大学短期大学部ウィキペディア北翔大学短期大学部』参照)

*3:国立アイヌ民族博物館、国立民族共生公園から構成される「民族共生象徴空間」の愛称

*4:紙氏の役職については、ウィキペディア「紙智子」や中央委員会の機構と人事(第28回党大会)|党紹介│日本共産党中央委員会を参照。