黒井文太郎に突っ込む(2020年2月23日分)

黒井文太郎
 ロシアがサンダースを世論裏工作で支援していることについて「トランプを勝たせる為」「分断を煽る為」という解説を多く目にします。
まあその通りではあるけれども、仮にですね、万が一ですね、サンダースが大統領になれば、ロシアにとってはトランプよりずっと良いのです

 それはどうですかね。サンダースは軍事消極派とはいえ、ロシアびいきでは別にありません。「トランプのロシアゲート」のような「ロシア関係の疑惑(ロシアに弱みを握られてる、買収されてるなど)」といった疑惑も現時点*1ではサンダースには浮上していない。むしろロシアにとっては「サンダースよりトランプの方が都合がいい」のではないか(まあ誰を大統領に選ぶかはそういうことではなく、あくまでも政策と人間性で選ぶべきですが。で、俺が米国民だったら『国民皆保険&高等教育の無償化』でサンダースですね)。
 そもそも「ロシアとの対決=シリアなどでのロシア軍と米軍のガチンコバトル」「サンダースのような軍事消極派が大統領になればそうしたガチバトルが行われずロシアを利する」とする黒井の論理展開はおかしい。
 イラクやアフガンに米軍が展開し、未だ米軍撤退の見通しが立たない現状で「誰が大統領になろうとも」、黒井のようなアンチロシアが期待するレベルの「米軍の軍事介入(ロシア軍とのガチバトル)」がシリアなどで行われることはまずないでしょう。本気でそんなことを黒井が夢見てるならバカだし、そんなことはあり得ないと知りながらサンダースに悪口してるのならクズです。どっちにしろ黒井などまともな人間ではありませんが。

黒井文太郎
 国際的な安全保障の観点からすると、もしも民主党の大統領候補にサンダースが勝ち上がったりしたら、本戦ではトランプ勝利を願うという困った事態になるんよなあ

 冗談も大概にしてほしいですね。確かに「海外派兵はなるべくしない*2」というサンダースが大統領になれば「黒井が期待する米軍の軍事行動(シリアアサド政権や北朝鮮の軍事的打倒)」はないかもしれない*3
 しかし「米軍の対外軍事介入の是非*4」はひとまずおくにしても、黒井とは違うまともな人間は、たとえ「軍事介入積極派」でも「米軍に今後も軍事介入してほしいから、トランプが温暖化CO2原因説を否定しようが、イスラム教徒やLGBTに差別的態度をとろうが、福祉予算を削減しようが、無茶苦茶な報復関税をEUや日本相手に発動しようが、トランプに様々な疑惑(ロシアゲートウクライナゲート)があろうが、トランプの方がサンダースよりましだ」とは思わないでしょう。
 「軍事介入積極論」だけのためにトランプを支持するなどリスキーなこと、この上ない。まあ「軍事介入が何よりも大事な」黒井にとって「温暖化CO2原因説を否定」「イスラム教徒やLGBTに差別的態度」「福祉予算を削減」「無茶苦茶な報復関税をEUや日本相手に発動」「トランプの様々な疑惑」などはどうでもいいことのようですが。
 しかしそれって「改憲が何よりも大事。消費税増税も、様々な疑惑(モリカケ桜を見る会)も、新型コロナ対応も、他のことはどうでもいい」という「安倍シンパ右翼」なみのデタラメさでしょう。黒井とは違うまともな人間にはおよそ公言できない暴論です。
 軍事介入積極派ですら、まともな人間なら「軍事介入消極派でもサンダースの方がまし」としてサンダースを支持するでしょう。その上で「サンダースを説得しよう」とするのではないか。サンダースは少なくともトランプよりは対話が成り立ちそうですしね。

黒井文太郎*5
 誰もが推測してたことですけど、ロシアは大統領選挙民主党選でサンダース支援のトロール裏工作。

 「サンダース嫌いのウヨ黒井」らしいですが、「サンダースへのネガキャンも大概にしろよ!」ですね。

【米大統領選】サンダース氏の党候補指名に現実味 国民皆保険への拒否感薄れる?(1/2ページ) - 産経ニュース
【ラスベガス(米ネバダ州)=黒瀬悦成、平田雄介】
・11月の米大統領選に向けた民主党の候補指名争いの第3戦、西部ネバダ州党員集会でサンダース上院議員(78)が他候補に大差をつけて勝利を確実にしたことは、サンダース氏が「本格候補」として党候補指名を獲得することへの現実味が徐々に増してきたことを意味する。
ネバダ州でのサンダース氏の勝因の一つは、最大都市ラスベガスなどのサービス業従事者が加盟する「料飲業者組合」(組合員数約6万人)の組合員の多くが同氏の支持に回ったとみられることだ。
・ラスベガスの高級カジノホテル「ベラッジオ」で開かれた党員集会に参加したホテル従業員、ホセ・アルバレス氏(57)は「組合は会社側から健康保険制度を勝ち取ったが、解雇されたり、会社が倒産したりすれば保険を失うことになる。国民皆保険は納得できる政策だ」と主張した。
・NBCニュースが22日実施した党員集会参加者への入り口調査でも、62%が「国民皆保険」を支持すると回答。初戦のアイオワ州党員集会の参加者の57%、第2戦の東部ニューハンプシャー州予備選の参加者の58%も同様の調査で国民皆保険に支持を表明した。
ネバダ大ラスベガス校1年生のフリーダ・レイエスさん(18)は「妹も大学進学を希望しているので、公立大学の授業料無償化を掲げるサンダース氏を支持する」と語った。

 つまり「国民皆保険」や「高等教育(大学教育)の無償化」というサンダース公約*6が少なくない民主党支持層に評価、支持されてるという話です。
 つまり、サンダースの健闘は「ロシアガー」なんてちゃっちい問題ではありません。
 「北欧などを模範とした福祉社会構築」が少なくない民主党支持層に評価、支持されてるという話です。
 サンダース支持者にとって政策非難や「サンダースではトランプに勝てない」ならまだしも「ロシアガー(ロシアが『サンダースはロシアびいき』と評価してるから、あるいは『サンダースはトランプに勝てない候補でロシアに有利だと認識してるから』云々)」など酷い中傷でしかありません。
 サンダース支持層からすれば「サンダース以外に国民皆保険や高等教育無償化を言う奴がいないじゃないか!」「ロシアガーとかふざけんな。サンダースはロシアびいきじゃねえし、俺たち支持層だってロシアびいきじゃねえ!」「勝てる候補とか言って前回ヒラリーで負けてるんじゃねえか!。俺は今回は勝てるかどうかでなく、支持したいかどうかで決めるから。大体勝てる候補って誰だよ、バイデン元副大統領か?」「勝てる勝てない言うなら、サンダース以外の候補にも同じ事を言え!」というところでしょう。

*1:今後も浮上しないだろうと思いますが。

*2:実はトランプも大統領候補時代は全く同じ事を言っていたのですが、大統領就任後、反故にしたわけです。

*3:残念ながら「ない」とは断言できません。民主党にも「軍事介入積極派」はいますので。サンダースがそうした勢力に屈服しないという保証はありません。

*4:俺個人は非の立場ですが

*5:著書『世界のテロリスト』(2002年、講談社+α文庫)、『北朝鮮に備える軍事学』(2006年、講談社+α新書)、『日本の情報機関』(2007年、講談社+α新書)、『ビンラディン抹殺指令』(2011年、洋泉社新書y)、『イスラム国の正体』(2014年、ベスト新書)、『イスラム国「世界同時テロ」』(2016年、ベスト新書)など

*6:もちろんこうしたサンダースの主張について、黒井が自己の評価を示さないのはいつものことです。