今日の産経ニュース(2020年3月13日分)

【東京大空襲75年】(中)無差別爆撃を後押しした米国世論(1/3ページ) - 産経ニュース

「元凶ルメー、思ひ知れ嗜虐性(しぎゃくせい)精神異常者のお前は、焼ける東京の姿に舌舐めづりをして狂喜してゐるに相違ない」
 東京大空襲から3カ月、昭和20年6月7日付の朝日新聞は、およそ記事とは思えない過激さで「ルメー」に罵詈雑言(ばりぞうごん)を浴びせた。
 「人々の無念を晴らすためにも、われわれはどうあってもこのルメーを叩っ斬らねばなるまい」

 中国や韓国、日本共産党など相手に「およそ記事とは思えない誹謗記事常習」の「お前が言うな、産経」ですね。まあ戦前の「鬼畜米英」時代にはこの程度の記事は普通でしょう。産経だって戦前には似たり寄ったりの記事だったんじゃないのか。
 なお、このルメイに戦後、「航空自衛隊育成の功績」で、勲一等旭日大綬章を与えたのが佐藤栄作*1首相であり、この時の推薦者が「副総裁(田中総裁時代)時代」のいわゆる「椎名裁定」で知られる椎名悦三郎*2(当時、佐藤内閣外相)と小泉元首相の父親である小泉純也(当時、佐藤内閣防衛庁長官)でした。
 佐藤自民党は「東京大空襲の下手人の一人に勲章を与えるとは何事か!」と批判を受けることになります。

 民間人の被害が比較的少ない精密爆撃にこだわった前任者と異なり、ルメイは市民の殺害をいとわなかったばかりか虐殺を主導した-。戦後長く、こうした見方は続いた。今も根強い。
 だが、防衛省防衛研究所・戦史研究センターの柳沢潤2等空佐は、一面的に過ぎると指摘する。
 「本土空襲はルメイ個人の方針とかやり方に矮小化(わいしょうか)するのではなく、第一次大戦後に主流になった戦争のやり方、つまり早期終結を目指すために何が必要かを探ってきた歴史の流れという大きな時間軸でとらえる必要があると思う」
 空から都市を狙う発想は、1920年代には欧米を中心に有効性が論じられていた。第一次大戦の長期化への反省から、敵国の中枢を一気に爆撃し、女性や子供を含めて労働者を攻撃することで戦争の早期終結を目指すという考え方だ。
 真珠湾攻撃直後に米国の会社が実施した世論調査では、米国民の7割が日本への無差別爆撃に賛成した。

 確かにルメイ一人の責任ではないですが、一方で「彼の個人的責任を曖昧にすること」も不適切でしょう。
 なお「個人の責任も問題だが、その個人が組織の幹部(ルメイの場合は米軍幹部)である場合、組織(ルメイの場合は米軍及び、軍の上にある大統領ら政治家たち)の責任も重い。個人だけの責任にできない」つうのがここでの産経の主張の訳ですが、これが見事に該当するのが

・「LGBTイスラムへのヘイトスピーカー」トランプをトップとする米国政府&政権与党・共和党
・「モリカケ桜を見る会検事長定年延長」安倍をトップとする日本政府&政権与党・自民党
・「アパ論文」田母神が幹部だった航空自衛隊

などでしょうね。彼らが「組織の幹部」である以上、当然ながら、そんなバカを幹部に担いでる組織の責任も重大です。
 ちなみに、既に研究者などから指摘がありますが、この種の無差別爆撃の始まりは「例のピカソの絵画」で有名になったナチドイツのゲルニカ爆撃ですし、日本はそのナチの同盟国でした。また日本軍は蒋介石政権が一時存在した重慶を無差別爆撃しています。有名な風船爆弾も「無差別攻撃」と言う意味では無差別爆撃と何も変わりません。日本の風船爆弾により米国人の死者(死者数の合計で一桁という超少数ですが)が出ていることも今では明らかになっています。
 日本は米軍の無差別爆撃を一方的に非難できる立場にはない。

参考

風船爆弾ウィキペディア参照)
 1945年5月5日、オレゴン州で木に引っかかっていた風船爆弾の不発弾に触れたピクニック中の民間人6人(妊娠中の女性教師1人と生徒5人)が爆死した事件が確認されている唯一の戦果である。
 アメリカ陸軍は、風船爆弾ペスト菌などの生物兵器を搭載することを危惧し、着地した不発弾を調査するにあたり、担当者は防毒マスクと防護服を着用した。


新型コロナ特措法で野党バラバラ露呈 相互不信あらわ (1/2ページ) - 産経ニュース
 「安倍応援団」産経が野党共闘の足を引っ張ろうとしていることはよくわかりますが、「だからといって」共産や市民団体などの反対意見を平然と無視し、『説得しようとするポーズすら見せず*3』、党内から山尾など離反者が出ても全く意に介さず、与党の提出した新型インフル特別措置法改訂案の成立に加担した立民執行部への批判をしないわけには行かないでしょう。今後も立民がこうした「悪い意味での唯我独尊行為」を続け、野党各党に立民の政策支持を押しつけ「野党共闘を事実上破壊しない(そして安倍を利さない)」という保証がどこにもないからです。「立民は最大野党であることを鼻にかけて他党や市民団体を舐めてる」という産経の指摘自体は「野党共闘を破壊したい」「立民に悪口雑言したい」という「安倍応援団」産経の汚い思惑に関係なく事実でしょう。
 安倍も「枝野立民が馬鹿なおかげで野党共闘にひびが入るわ、俺がこの法改定で何か手柄を上げたかのように偽装できるわ、実に万々歳。下落した内閣支持率も反転するかもしれない。枝野立民の支持率も落ちるかもしれない。イヤー、枝野ありがとう」と大喜びでしょう。
 俺は枝野の馬鹿さ(安倍が何かいいことをしたかのようなイメージを生み出すことで安倍を利し、野党共闘にもひびを入れる政治センスのなさ)、無礼さ(共産や市民団体への横柄な態度)に怒りを禁じ得ません。枝野には正直「今すぐ立民代表を辞めろ!」と言いたいくらいです。とはいえ枝野が辞めても「立民にはろくな奴がいないんだろう」「こんなことで安倍政権を倒せるのか、野党共闘が進むのか」と思ってげんなりしますが。俺的には改めて「共産、この道しかない」ですね。まあ以前から「嫌韓国ウヨに媚びてる」のか、枝野が「ホワイト国除外をきちんと批判しないこと*4」に心底呆れていましたが、枝野の馬鹿さには「改めて」心底呆れます。
 「安倍をきちんと批判するまともな国政政党」「ホワイト国除外をきちんと批判する嫌韓でない政党」という条件を満たす政党が俺的に「共産しかない」のが嘆かわしい限りです。
 俺はあえて言えば「リベラル保守」か「中道左派」なので、昔なら「江田三郎社民連」や「土井社会党」を支持していたと思いますが、今現在それにあたる政党は嘆かわしいことに共産しかないでしょう。立民や国民民主は「リベラル保守」と呼べるか甚だ疑問*5だし、「社民政党のはずの社民党」は党勢の衰退(前回参院選ではれいわ2議席を下回り、N国党と同じ1議席という惨状)から枝野立民に逃げ込みたい人間が多くて、枝野立民にへいこらする人間が多くて、まともな政党として機能しているとは言いがたい惨状です。
 まあ、「何故か共産を敵視して他の政党(今だと立民)にへいこらする」という社民党社会党)の「病気」は昨日今日始まったわけではなく、遅くても『1980年代の社公民路線(共産党を除く野党協議路線)』から始まっていますが。


「ウイルスばらまく」と外食の男性、業務妨害容疑で捜査 - 産経ニュース
 逮捕起訴するかはどうかはともかく、正直こういうことで捜査をする前例はないんじゃないかと思いますが
1)新型コロナに感染した場合の被害の重大さがしゃれにならない
2)当事者自ら「コロナウイルスをばらまいてやる」と暴言
という辺りが捜査の理由でしょう。これが「風邪のウイルスをばらまいてやる」では捜査にならないでしょうし、「マスクしてるから大丈夫だ(コロナを軽視してるだけで感染の故意がない)」なら捜査にならないでしょう。


麻生財務相、中国のコロナ終息アピールに「本当かよ?」 - 産経ニュース
 麻生らしいくだらなさです。正当な根拠があるならともかく、ゲスの勘ぐりをすることには何の意味もない。
 そもそもこんなことを言えば「安倍政権自体がコロナで情報隠蔽してるからこういうゲスの勘ぐりするんじゃないの?」「東京五輪は続ける方向とか言ってるけど、嘘八百なんじゃないの?」と疑われても文句は言えないでしょうがその程度の常識もないのが麻生のようです。
 しかし麻生も中国相手に根拠レスのげすな勘ぐりをするくせに「そういう安倍政権こそが情報隠蔽をしてるんじゃないのか?」といわれたら「根拠があるのか!」とむきになって怒るのでしょうね。麻生の中国非難発言にはなんの根拠もないわけですが。「武漢ウイルス呼ばわり」といい麻生も呆れたバカです。


【政治デスクノート】ポスト安倍 長期政権後の首相は…過去の総裁選に学ぶ - 産経ニュース
 有料記事で全然読めませんので産経記事とは関係ない俺の感想を書きます。
 まず第一にこんなことを書く産経も「安倍四選は望み薄」「仮に四選したとしてもいつまでも安倍でやってけるわけではない」と思い始めたようです。
 第二に「佐藤*6退陣後の田中角栄」が典型ですが、「長期政権の後の首相」が「長期政権だった人間のお気に入りの人材」とは限りません。
 佐藤は「兄・岸信介*7福田赳夫*8の親分で岸派を福田に継がせる)」の働きかけもあり、福田赳夫を後継首相にしたかったのは有名な話です。実際「佐藤内閣蔵相、外相」「自民党幹事長(佐藤総裁時代)」として福田を厚遇しますが、ポスト佐藤は、それに反発した佐藤の子分・田中*9でした(その後、福田は首相にはなりますが)。
 まあ、安倍の場合「後継者を育てる意思も能力もない」し実際育ってないのでそれ以前の話ですが。首相有力候補とされる石破*10元幹事長も石原*11元幹事長も岸田*12政調会長も安倍が育てたわけではない。
 第三に長期政権の後の政権はもちろん「池田*13の後の佐藤」など長期政権もありますが、一方で「佐藤の後の田中」「中曽根*14の後の竹下*15」など、短命に終わることが少なくない。それはおそらく偶然ではなく「長期政権時には表面化しなかった問題」が次の政権で問題化することが少なくないからです。
 例えば田中政権は「高度経済成長の佐藤」から政権を引き継ぎますが、田中の時代になると「低成長の時代」になる。これを田中は「日本列島改造論」で解決しようとするが上手くいかず、支持率は低迷。あげく、立花隆の金脈報道が炸裂して辞任に追い込まれる。
 竹下の場合はリクルート疑惑です。リクルートコスモス株のばらまき自体は中曽根政権時代ですが、それが竹下政権時代に発覚し、竹下は首相辞任に追い込まれるわけです。
 正直、安倍の場合は「モリカケ桜を見る会」「ホワイト国除外で日韓関係の悪化」ですから、安倍の後始末をやらされる後継首相も野党の政権交代ならまだしも、「自民党からの場合」は全く迷惑でしょう。


【主張】パンデミック 国際協調で鎮静化目指せ WHOは対中配慮を猛省せよ - 産経ニュース
 そもそも「対中国配慮」という主張自体に何の根拠もありません。
 かつ
1)WHOがどんな判断を下そうがそれは参考意見でしかなく、各国政府に全て従う義務があるわけではない(例:中国人観光客の入国制限にはWHOは否定的だが、そうした制限をかけた国もあった)
2)コロナ蔓延国はマスコミ報道に寄れば、最初に発生したとみられる中国以外では「日本」「韓国」「イラン」「イタリア」といった特定の国に限られており、当然ながらそれらの国の初期対応のまずさが大きい(勿論それらのまずさをWHOの責任にはできない)
と言う意味で産経のWHO批判ははっきり言って不当でしょう。

*1:運輸次官から政界入り。自由党幹事長、吉田内閣郵政相、建設相、岸内閣蔵相、自民党総務会長(岸総裁時代)、池田内閣通産相科学技術庁長官を経て首相

*2:戦前、岸信介商工相(東条内閣)の下で商工次官を務めた岸の側近。戦後、岸の誘いで政界入り。岸内閣官房長官、池田内閣通産相、外相、佐藤内閣外相、通産相自民党政調会長(池田総裁時代)、総務会長(佐藤総裁時代)、副総裁(田中、三木総裁時代)など歴任

*3:見せればいいというもんではありませんが「見せることすらしない」のだから論外です。

*4:一方で、共産がきちんとホワイト国除外を批判してることは支持者として嬉しい限りです。

*5:中道左派でないのは言うまでもありません。

*6:運輸次官から政界入り。自由党幹事長(吉田総裁時代)、吉田内閣郵政相、建設相、岸内閣蔵相、自民党総務会長(岸総裁時代)、池田内閣通産相科学技術庁長官などを経て首相

*7:戦前、満州国総務庁次長、商工次官、東条内閣商工相を歴任。戦後、日本民主党幹事長、自民党幹事長(鳩山総裁時代)、石橋内閣外相を経て首相

*8:大蔵省主計局長から政界入り。岸内閣農林相、自民党政調会長(池田総裁時代)、幹事長(佐藤総裁時代)、佐藤内閣蔵相、外相、田中内閣行政管理庁長官、蔵相、三木内閣副総理・経済企画庁長官などを経て首相

*9:岸内閣郵政相、池田内閣蔵相、佐藤内閣通産相自民党政調会長(池田総裁時代)、幹事長(佐藤総裁時代)などを経て首相。まあ、さすがに佐藤も「福田を首相にしたい」とはいえ、実力のある田中を無役のまま干すわけにも行かず幹事長や通産相にしたわけです。

*10:小泉内閣防衛庁長官福田内閣防衛相、麻生内閣農水相自民党政調会長(谷垣総裁時代)、幹事長(第二次安倍総裁時代)、第三次安倍内閣地方創生担当相を歴任

*11:小泉内閣国交相自民党政調会長(第一次安倍総裁時代)、幹事長(谷垣総裁時代)、第二次安倍内閣環境相、第三次安倍内閣経済財政担当相を歴任

*12:第一次安倍、福田内閣沖縄・北方等担当相、第二次、第三次安倍内閣外相を経て、自民党政調会長

*13:大蔵次官から政界入り。自由党政調会長(吉田総裁時代)、吉田内閣蔵相、通産相、石橋内閣蔵相、岸内閣蔵相、通産相などを経て首相

*14:岸内閣科学技術庁長官、佐藤内閣運輸相、防衛庁長官、田中内閣通産相自民党幹事長(三木総裁時代)、総務会長(福田総裁時代)、鈴木内閣行政管理庁長官などを経て首相

*15:佐藤、田中内閣官房長官、三木内閣建設相、大平、中曽根内閣蔵相、自民党幹事長(中曽根総裁時代)を経て首相