今日の産経ニュースほか(2020年3月18日分)

【正論】「文政権審判の日」に注目する理由 龍谷大学教授・李相哲 - 産経ニュース

 昨年9月、文氏によって法相に任命された★国(チョ・グク)元ソウル大教授は、国会聴聞会で「いまなお、社会主義を信奉しているか」という野党議員の質問に堂々と、「韓国には社会主義的な要素が必要だ」と答えていた。
★=恵の心を日に

 やれやれですね。ここでチョ氏が言う社会主義とは勿論「社民主義」であって産経がデマ飛ばすような話ではありません。

 文政権を支える与党が勝った場合、韓国はどうなるのか。
 日韓関係は悪化することは避けられない。

 やれやれですね。仮に未来統合党が勝利しようが「嫌韓国」安倍が総理では日韓関係は改善しないでしょう。問題は韓国側ではなくあくまでも「嫌韓国の安倍を総理にする日本側」にあります。

 政治評論家の一人は匿名を条件に、筆者にこう話した。
「文氏はうまく失政を隠してきたが、新型コロナウイルス対策で無能ぶりを露呈した。」

 「新型コロナウイルス対策で無能ぶりを露呈」は文氏よりむしろ安倍ではないのか。
 かつ日本マスコミ報道(TBSやテレ朝)ですら「韓国のドライブスルー検査を日本でも導入してはどうか」という報道をしていること、韓国での蔓延には「新興宗教団体の無茶苦茶」という要素が大きいこと*1を考えれば産経が言うほど彼が無能かどうか。なお「安倍支持率が持ち直してる!(ただし今後もそうなるかは未知数でしょう)」と騒ぎ立てる産経ですが、それを言うなら、文政権の支持率とて持ち直しつつあることはリアルメーターもギャラップも大統領支持率は上昇しているという結果 - 誰かの妄想・はてなブログ版なども指摘しているところです。
 むしろ「モリカケ」「桜を見る会」「検事長定年延長問題」のような巨大スキャンダルがないだけ文政権の方が、安倍より政権維持は有利ではないのか。
 いつもながら産経の文政権報道はゆがんでると言うべきでしょう。

 保守勢力は朴槿恵弾劾に賛成した勢力、反対した勢力、中間派で分裂していたが、いまは「文政権審判」という共通の目標を掲げて結集し、自由韓国党を軸に「未来統合党」をつくった。

 とはいえ「文政権批判派=ウヨ」でもないのではないか。「韓国版自民党(ウヨ政党)=最大野党・統合未来党」が果たして勝利するかどうかはかなり怪しいのではないかと思いますね。俺が文政権支持派であることは否定しませんが未だ「文政権がかなり有利」ではないか。


【浪速風】コンプラ違反、完治は甘くない - 産経ニュース
 「関電にはコンプライアンス意識(順法精神や企業倫理)がない」と言い出す産経です。
 そこだけ取り出せば間違いではない(というか関電ですら渋々非を認めています)ですが
1)ああいう関電の不正を助長してるのは自民党原発政策だろうが!
2)そもそもデマ記事常習の産経が良くもいったもんだな。偉そうなこと言うなら、まず辻元氏に敗訴した阿比留を懲戒処分してから言えよ。逆に論説委員に阿比留を出世させるとはキチガイの沙汰だろ。大体フジテレビから背任まがいの支援を受けてるくせに良くも言ったもんだな
3)そういうこというなら、モリカケ桜を見る会検事長定年延長でコンプライアンス違反を繰り返す安倍を批判しろよ!
つう話です。


全国で珍しく…配食や家事代行、犯罪被害者の生活を支援 堺市と生協が連携協定 - 産経ニュース

 交通死亡事故や性犯罪などの事故・事件の被害者やその家族、遺族の生活を支援する連携協定を、堺市と大阪いずみ市民生活協同組合(同市堺区)が結んだ。日常生活もままならなくなることが多い「被害直後」の当事者や家族を支えるのが目的。一日でも早い社会復帰に向けて、生協が配食や家事代行のサービスを有料で提供する。

 ただの厳罰論を犯罪被害者支援と強弁する連中には全く賛同できませんが、こうした犯罪被害者支援には大いに共感できます。


4人への強姦、強姦致死で服役 別の殺人の立件遅れ死刑を“回避” 被告に有利となる司法は適正か - 産経ニュース

 女性4人に対する強姦(ごうかん)や強姦致死などの罪で無期懲役が確定後、服役中に別の女性1人を殺害していたことが判明したとして起訴された喜納尚吾被告。わいせつ目的で女性2人の命を奪った事件は悪質で、当時一括で審理されていれば極刑も想定された事案だが、(ボーガス注:いわゆる一事不再理によって、)裁判では、あくまで1人に対する殺人罪で裁かれる。
 「明らかな死刑相当事件なのに、判決確定後に起訴されれば量刑が軽くなり、被告に有利な結果となる。これでいいのか」。
 犯罪被害者支援弁護士フォーラム事務局長の高橋正人弁護士はこう疑問を投げかける。
 新潟県新発田市では平成25~26年、女性が襲われる事件が相次いだ。県警は26年6月までに、3人の女性に対する強姦容疑などで喜納被告を逮捕、起訴。7月には、パート従業員の女性=当時(22)=への殺人容疑などで再逮捕したが、新潟地検は強姦致死罪で起訴した。
 地検は当時、「(証拠などが)確実に有罪を得られる段階に至っていない」として殺人罪の適用を見送った。ただ、高橋弁護士は「今回の事件も当時立件できていれば、犯行の連続性から量刑にかなり影響を与えた可能性が高い」と指摘する。

 ぶっちゃけ産経や「死刑愛好家弁護士集団(自称・犯罪被害者支援弁護士フォーラム)」は「何をどうしたいんだ?」つう話です。
 「とにかく死刑にしたい」という常軌を逸した「死刑への熱い思い」は強く感じましたが、どうしようもない話でしょうよ。
 まさか一事不再理原則を無視して、「審理済みの罪もセットで死刑判決」つうわけにもいかないでしょう。
 あえて「批判される相手がいる」とすれば「一括で起訴できなかった検察の無能さ」であって裁判所の責任でも、法制度の問題でもない。つうか無期懲役だって決して軽い罪ではないですが。


加害者が被害者を装う傲慢 太田文雄(元防衛庁情報本部長) « 国基研ろんだん 国基研ろんだん « 公益財団法人 国家基本問題研究所
 「加害者が被害者を装う」というなら「戦前日本は何も悪いことはしてない。太平洋戦争はアジア解放の聖戦だった。南京事件慰安婦中韓の捏造だ。A級戦犯昭和殉難者だ。日本は不当な誹謗をされてる」「モリカケ桜を見る会も問題などない。安倍首相は風評被害を受けている」などと強弁する国基研ら「デマ右翼」にこそ該当する話だと思います。


【主張】相模原殺傷に死刑 「事件」は終わっていない - 産経ニュース
 「措置入院制度の改革ガー」と無茶苦茶言い出す産経です。
 「埼玉県熊谷市のペルー人の殺人(心神耗弱で無期懲役)」のように心神耗弱や心神喪失が認められて無罪や減刑になった殺人*2ならともかく、今回の事件は「それが認められず、死刑判決が出た事件」です。全然「措置入院制度」云々に使える話ではない。
 なぜなら措置入院制度とは、「精神病者相手の制度だから」です。
 「差別感情や自分勝手な思い込みから殺人を行う鬼畜」を対象にした制度ではない。

大久保清
 8人殺害、死刑執行
◆梅川昭美
 いわゆる三菱銀行人質事件で4人殺害。強行突入した大阪府警警官によって現場で射殺
◆勝田清孝
 8人殺害、死刑執行
◆西口彰
 5人殺害、死刑執行。映画『復讐するは我にあり』の榎津巌のモデル。
都井睦雄
 いわゆる津山事件の犯人。30人殺害。事件後、自殺。横溝正史の小説『八つ墓村』の田治見要蔵のモデル。

などの凶悪犯罪者を対象にした制度ではそもそもない。大体ほとんどの精神病者はこんな事件は起こしてないでしょう。


【主張】感染拡大と五輪 完全な大会へ延期準備を - 産経ニュース

 新型コロナウイルスの世界的感染拡大を受けた緊急の先進7カ国(G7)首脳テレビ電話会議後、安倍晋三首相は東京五輪パラリンピックについて「人類が新型コロナウイルスに打ち勝つ証しとして、完全な形で実施することで一致した」と述べた。
 五輪の「完全な形」とは世界中の競技者が一堂に会し、開催都市が万全の態勢で迎える姿を指すのだろう。首相の発言は五輪の中止や無観客を含む縮小の可能性を排し、時期についての明言を避けたことで、日本政府が延期にかじを切り、G7首脳の了承を得たものと解釈する。

 「安倍応援団」産経がこんなことを言い出すとは「安倍の指示による観測気球か?。延期論が現実性を持ってきたのか」と思いますがそれはさておき。
 いつもながら主張が無茶苦茶ですね。
 まず第一に安倍は「延期します」あるいは「延期を検討します」とは一言も言ってません。
 東京五輪組織委員会会長の森*3元首相(安倍の元親分)も、東京都の小池*4知事も、IOCのバッハ会長も現時点では延期なんか口にしてない。
 森氏や小池に至っては「延期なんか現時点では考えてない」とまで明言してる。この状況で「時期の明言をさけたから、『完全な形』とは延期論を示唆してる」なんて見なすのは(産経が延期論支持だからと言っても?)深読みのしすぎでしょう。
 まあ確かに安倍は「完璧な形で習氏訪日をやりたい」といって習氏訪日を延期した前歴はありますが。
 そもそも「無観客」だって選手が参加してるという意味では「完全な形」です。極論すれば「中止以外は全て『完全な形』と言いうる」のであって、「完全な形」が何を意味するか安倍が明言しない以上、ほとんど無意味な議論です。
 あえて言えば『聖火リレーを縮小してる時点』で『完全ではもはやない』ともいえる。
 第二にこんな曖昧なことを言われたって『完全な形』が何を意味するか、意味不明な以上、G7首脳だって了承のしようがないし、そもそもG7首脳には「東京五輪の開催や延期、無観客試合」についてああだこうだ言う権限はありません。
 それはあくまでも「開催国である日本政府」「開催都市である東京都」「開催団体であるIOCJOC」などが決めることである。
 ならば仮にG7会議で安倍以外の首脳から「早く中止を決断すべきだ」「日本が開催を強行してもコロナ予防のために我が国は参加しない方針だ」という声があがり「安倍首相以外、中止論の一色」なら産経は「G7首脳の意見に従い中止すべきだ」というのか。賭けてもイイですがおそらく言わないでしょう。
 「G7首脳の懸念はわかるが、彼らには東京五輪の開催の可否を決定する権限はない」と言い出すのではないか。それなのに都合のいいときだけ、「延期論に理解が得られた」と言い出すのは詭弁です。大体、繰り返しますが、安倍の発言のどこが延期論なのか。
 産経がそう解釈してるだけで延期反対派(森元首相など)は「延期否定論に理解が得られた」というのではないか。なぜなら繰り返しますが安倍の言う「完全な五輪」の意味が不明確だからです。

 世界各地でイベントの自粛が相次いでおり、各競技の五輪代表選考も滞っている。感染の収束は見通せず、7月の開会を強行しても「完全な形」の大会を望むことは難しくなる一方だ。
 開催時期の正式決定まで、計画通りの大会に向けた準備を怠ることはできないが、同時進行で延期にも備えなくてはならない。

 本当に延期するなら「7月までもう4ヶ月程度しかない」のだから早ければ早いほどイイでしょう。遅ければ遅いほど、傷が深くなると思います。

 延期と一言でいっても、実際には多大な困難を伴う。
 例えば1年延長すれば、来年夏には福岡市で水泳世界選手権や、米オレゴン州陸上世界選手権が予定されている。いずれも国際競技連盟の一大イベントで巨額の放映権料などが絡み、常識では中止や時期の変更はあり得ない。

 五輪の厄介なところはここですね。
 「テレビ放映権料」で開催費用を稼ぐことが前提になっており、それができないと赤字確実なので「他に大きなスポーツイベントがないときにしてくれ」というテレビ局側の意向を事実上無視できません。とはいえスポーツイベント側に対して「時期を動かしてくれ」「いっそ止めてくれ」とIOCなどが言っても向こうは「五輪の都合だけで物を言うな」になることは見えています。

 スポーツ界をはじめとする世界中のあらゆる力を結集し、完全な形の開会を実現したい。

 五輪に対して思い入れのない俺からすれば「別に中止でもいいんじゃね?」とは思います。

*1:文政権に何の問題もないとまでは言いませんが。

*2:その場合だって「常に措置入院制度で事件が防止できる」つう話ではあり得ませんが。

*3:中曽根内閣文相、自民党政調会長(宮沢総裁時代)、宮沢内閣通産相、村山内閣建設相、自民党総務会長(橋本総裁時代)、幹事長(小渕総裁時代)を経て首相

*4:小泉内閣環境相、第一次安倍内閣防衛相、自民党総務会長(谷垣総裁時代)を経て都知事