今日の産経ニュース(2020年3月22日分)

大関昇進確実に、朝乃山「自分の相撲を取り切る」 主な一問一答 - 産経ニュース
 「直近3場所・計33勝」という「大関昇進の目安」には「32勝」であと1勝とどかなかったとは言え
1)それなりに評価できる試合内容であった
2)一人しか居ない大関貴景勝が今回負け越しで来場所、角番。来場所でまた貴景勝が負け越すと大関がいなくなる
3)白鵬35歳、鶴竜34歳であり、年齢を考えるといつ引退してもおかしくない→そうなると横綱が居なくなる
と言う中、「33勝基準」にかたくななまでにこだわる選択肢はなかったと言うことでしょう。まあ、負け越しが即引退につながる横綱とは違い「大関からの陥落止まり」と言う点でも昇進決定はしやすかったでしょう。
 まあ白鵬鶴竜のすごさを認めた上でのことですが、「いくら横綱とは言え、年齢を考えたらいつ引退してもおかしくない力士が優勝争いってのは『若手は何をやってるんだ!』と歯がゆいですよ。若手に頑張ってもらわないと困る(NHKでの北の富士の発言の要約)」には俺も同感です。


首相、防大卒業式で憲法改正で自衛隊明記に意欲 - 産経ニュース
 九条改憲派の政治集会ならまだしも、防衛大卒業式ですべき発言でないことは明白でしょう。いつもながら安倍も呆れたバカです。


【花田紀凱の週刊誌ウオッチング】〈763〉文春スクープで森友問題再燃か - 産経ニュース
 さすがに花田は「安倍応援団メンバー」として安倍批判はしないまでも
1)「こんな遺書はどうでもいい代物だ」「遺書の内容が事実か分からない。佐川元局長にも人権がある」「遺族の提訴は因縁つけだ」などとは花田ですら言えないし
2)ましてや「文春記事の存在を無視すること」もできないわけです。


【昭和天皇の87年】「天皇の保障」で脅迫!? こうして憲法は“押し付け”られた - 産経ニュース
 「国民主権天皇は象徴にし、国家神道も止める(政教分離)。そう言う憲法にしないと『裕仁を訴追しろ』『天皇制を廃止しろ』つう米国世論や国際世論(ソ連や中国など)を抑えきれない。大体、今時、国王主権とか国教制度とか時代錯誤だ。明治憲法の大幅な改正は覚悟して欲しい」
 「天皇制廃止などの世論を押さえ込むために日本に軍隊の保有も認めない。これは日本だけでなくドイツ、イタリアも軍隊の保有は認めない方針だから別におかしくない。独立を回復したときに改憲して軍隊を持てばいい。GHQが支配してるのに軍隊があっても意味がないでしょ?」
というGHQ(米国)の主張は「脅し」ではなく客観的事実です。
 それが「脅しだ、不当だ」というなら「明成皇后(閔妃)暗殺の前科がある明治新政府」が「韓国併合条約をのまないとどうなるか分からない」と韓国皇帝に暗殺をほのめかした行為の方がよほど脅しでしょう。
 昭和天皇と側近連中もそうしたGHQの指摘を「全くその通りだ」「象徴として生き残れるなら天皇主権と国家神道は止めてもいい」と思ったから飲んだのであり、一方的に脅されたという話では全くない。
 大体「国王主権とか国教制度とか時代錯誤だ。新憲法ではそういうことは認めない」の何が問題なのか。産経は「今も天皇主権で神道が国教だったら良かった」とでもいうのか。
 軍隊保有禁止にしてもこれは日本だけではなくドイツやイタリアもそうです。問題は「イタリアやドイツは独立回復後に、国民世論も、国外世論も軍隊保有を支持したため、軍隊保有を禁じた憲法を改正し、再軍備が可能になった」が日本は「独立回復後に、国民世論も、国外世論も九条改憲による軍隊保有を支持しなかった*1」ために九条改正がされなかっただけの話です。GHQ云々ではなく「日本人多数派がした選択」、それが「自衛隊保有日米安保は認めるが九条改憲はしない」「PKOは認めるが、ベトナム戦争への韓国軍参戦、イラクフセイン政権打倒戦争への英国軍参戦のような戦闘行為はしない」という今の路線の訳です。そう言うと産経らウヨは今度は「GHQの洗脳ガー」「南京事件は、軍や天皇への嫌悪感を生み出し、天皇象徴化や憲法九条を国民に容認させようとしたGHQの捏造」などと言い出すから呆れますが。
 なお、マッカーサー憲法案がそのまま丸呑みされたという事実は全くありません。色々日本政府から異論や反論がありその結果「天皇象徴(国民主権)」「国家神道廃止」「軍隊保有禁止」という「GHQにとって絶対に譲れない物」以外についてはかなり日本側の要望が受け入れられている。
 例えばマッカーサー案では当初、貴族院の廃止を理由に「国会が一院制だった」のは有名な話です。これに対して日本側が「二院制の方が適切だ」と反論し、「衆参両院の二院制」になったわけです。そう言う意味でも産経流の「押しつけ憲法批判」は成り立たない。


【産経抄】3月22日 - 産経ニュース

甲府市の中学1年生、滝本妃(ひめ)さんは薬局でマスクを買いそびれた高齢女性の姿に胸を痛め、山梨県に手作りのマスク612枚を贈った。お年玉貯金から8万円を下ろし、材料費に充てたという。
・手の温もりを込めた一品。そこから漂う薫り高い人品。一陣の風が吹き抜けるような心地よさを覚えるニュースだった。

 けっきょく甲子園の「感動」というのは、組み体操の「感動」と同じようなものだと思う - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)のコメント欄に

アンドリュー・バルトフェルド
 山梨の女子中学生が自作のマスクを作ったことがNHKで放送されたということですが「どうもなあ」としか言えません。
 「お涙ちょうだい」が嫌いなのもありますが、行政の怠慢だったりデマに踊らされた面を放置しているなと思いましたので。
◆>アンドリュー・バルトフェルドさん (Bill McCreary)
 まああの件は、感心な中学生を紹介する記事というスタンスであり、あの中学生を責めるわけには行きませんが、行政の怠慢やデマ拡散が、マスク不足の側面があるわけで、そういったことを前提としておかないとどうしようもないですね。

という批判コメントがありますが俺も同感ですね。中学生の善意はすばらしいですが、「どうもなあ」ですね。産経のように美談にしていいのか。


【主張】露大統領の任期 「終身独裁化」を危惧する - 産経ニュース
 確かにプーチンの政治手法には「立憲主義(法の支配)*2」「民主主義」と言う点で問題はあるのでしょう。今回の「任期制限の廃止」にしても「対立候補を叩き潰し、異論が出ないようにしてからやった」と言う面はあるでしょう。
 しかしそれならば我が国の安倍の「集団的自衛権容認」「検事長定年延長問題」「自民党総裁任期延長(そしてその後の石破冷遇)」「河井妻参院選擁立を強行しての溝手氏*3潰し」「モリカケ桜を見る会疑惑」はどうなのか。自民党総裁任期延長など「(石破*4元幹事長以外の)対立候補を叩き潰し、異論が出ないようにしてからやった」と言う面(党内民主主義の否定)はあるでしょう。
 溝手氏潰しも、過去(安倍が無役時代)の「谷垣*5総裁を無視して勝手なことをしないで欲しい。首相をやめて、無役になった過去の人間が何様か」という趣旨の溝手発言を根に持った安倍が私怨で実行した無茶苦茶極まりない物(これまた党内民主主義の否定)です(選挙に無理があったことが、この件の遠因ではないかという気がする(河井案里の不祥事) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学))。
 「集団的自衛権容認」「検事長定年延長問題」も従来の政府解釈をろくな議論もなく変更しました。しかも「お手盛りとは言え審議会をつくり、国会審議もやった集団的自衛権容認」はまだしも「検事長定年延長問題」にいたっては野党の追及があるまでは、定年延長についてまともな説明はせず、野党の追及「従来の政府見解と違う!」でぼろが出始めると「口頭決裁で解釈変更をやった。口頭決裁なので公文書がない」と強弁。野党から「重要な決定は公文書を作成することが法律*6で義務づけられている。従来の法解釈変更は重要な決定ではないのか?。内閣自ら違法行為をしたのか?」と問い詰められると「とにかく公文書は作成してない」と事実上の答弁不能になる酷さです。どう見ても安倍の行為「集団的自衛権容認」「検事長定年延長問題」は「立憲主義(法の支配)」に反する。
 「モリカケ桜を見る会疑惑」にいたっては「立憲主義に反する」以前に「税金や国有地の私物化」で「背任(森友)」「公選法違反(桜を見る会)」という犯罪行為に該当する疑い濃厚です。
 そうした安倍を産経が支持してることはどうなのか。 
 そうした安倍の政治手法に「立憲主義(法の支配)に反する」という批判があり、「安倍の破壊した立憲主義(法の支配)を回復する」として

立憲民主党 | 立憲民主党はあなたです。
立憲デモクラシーの会
市民連合 | 安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合

などの団体が出来ていることをどう考えるのかという話です。もちろんこれは「産経は立憲主義(法の支配)を理由にプーチンを批判するな」ではなく「産経は立憲主義(法の支配)を理由に安倍も批判しろ」ですが。
 勿論産経が「安倍首相はプーチンとは違う。首相の行為は立憲主義(法の支配)に反しない。立憲民主党、立憲デモクラシーの会などの批判は言いがかりだ。モリカケ桜を見る会も犯罪ではない。首相は潔白だ」と強弁するだけでしょうが。
 安倍の最大の問題点は俺は「極右反動性(9条改憲河野談話否定論など)」よりも「難しい言葉を使えば(?)」、「立憲主義(法の支配)の否定」、もっと平たく言えば「政治の私物化」だろうと思っています。ここまで酷い首相は歴代自民党には居ない。
 「金脈問題での田中*7首相辞任」「リクルート疑惑での竹下*8首相辞任」「佐川急便疑惑での細川*9首相辞任」「故人献金疑惑、小沢幹事長・西松疑惑での鳩山*10首相辞任」を上回る酷さが「モリカケの安倍」といっていいでしょう(ただし田中辞任についてはいわゆる狂乱物価(ハイパーインフレ)、竹下辞任については消費税導入問題(当時の国民世論は大多数が導入に反対)、細川辞任については社民党、さきがけの政権離脱を招いた国民福祉税騒動、鳩山辞任については社民党の政権離脱を招いた福島*11少子化担当相更迭といった要素もありますが)。
 田中や竹下、細川や鳩山の辞任を考えれば安倍はとっくに辞任しているべきです。
 しかも安倍は田中や竹下ほど有能ではない。田中の「日中国交正常化」のような批判派からも評価されるような業績も勿論ない。
 にもかかわらず長期政権となっていることに多くの人間が危機感や怒りを持ってるわけです。

*1:とはいえ自衛隊保有は容認されたわけですが

*2:産経はこの文章で「法の支配」と言う言葉は使っても「立憲主義」と言う言葉は使いませんが、通説的見解では「法の支配=立憲主義」です。たぶん産経が「立憲主義」と言う言葉を使わないのは「立憲主義の回復」を主張して安倍批判する団体(立憲民主党、立憲デモクラシーの会など)への敵意があるからでしょう。

*3:第一次安倍内閣国家公安委員長

*4:小泉内閣防衛庁長官福田内閣防衛相、麻生内閣農水相自民党政調会長(谷垣総裁時代)、幹事長(第二次安倍総裁時代)、第三次安倍内閣地方創生担当相など歴任

*5:小泉内閣国家公安委員長財務相自民党政調会長(福田総裁時代)、福田内閣国交相自民党総裁、第二次安倍内閣法相、自民党幹事長(第二次安倍総裁時代)を歴任

*6:行政手続法だったかと思います。

*7:岸内閣郵政相、池田内閣蔵相、佐藤内閣通産相自民党政調会長(池田総裁時代)、幹事長(佐藤総裁時代)などを経て首相

*8:佐藤、田中内閣官房長官、三木内閣建設相、大平、中曽根内閣蔵相、自民党幹事長(中曽根総裁時代)などを経て首相

*9:熊本県知事、日本新党代表を経て首相

*10:細川内閣官房副長官新党さきがけ代表幹事、民主党幹事長などを経て首相

*11:当時、社民党党首