高世仁に突っ込む(2020年3/30日分)

ウイルス禍で英国はベーシックインカム導入を検討 - 高世仁の「諸悪莫作」日記

 今後、膨大な数の人々に対する収入補償が必須になるはずだが、ならばこの機会に、ベーシックインカムを導入してはどうか。
 実際、英国のジョンソン*1首相は18日、コロナウイルスの感染拡大を受けて、ベーシックインカムの導入を検討すると議会で語っている。

 という高世の主張は「収入補償が必要」という総論では同感ですが、「ベーシックインカム導入」という各論では賛成できません。
 なぜなら安倍自民や公明党は勿論、「彼らに批判的な野党陣営(共産、国民民主、社民、立民)や左派団体(労組や生活困難者支援団体など)」などにおいてもベーシックインカムは必ずしも肯定的には評価されてないからです。そんな「批判論も少なくない物」が導入できるわけもないし、導入すべきかも疑問です。
 そもそもベーシックインカム(貧困者の生活保障の一種)に当たる物としては、既に日本には「生活保護」「年金制度」などがある。
 反対意見も少なくない新制度(ベーシックインカム)を導入するより、「従来の制度(生活保護や年金制度)を充分活用する+それでは足りない部分(例:コロナ休業などに対応した臨時の収入補償)を付け加える方向」が「コロナ対応」での一番適切な態度でしょう(つまり、俺は『失敗したときに備え、ベーシックインカムのような急激な変化を望まず、できる限り漸進的変化を希望する』という意味では保守派です)。
 と言うことで俺としては「生活保護や年金制度など従来制度の充実」を主張すべきだと思いますね。その方が現実性が高いでしょう。
 大体、高世が「生活保護や年金制度など従来制度の充実」では駄目だ、ベーシックインカムという新制度の導入が望ましいと思う根拠は何なのか?
 その根拠が示されない限り、俺に限らず多くの人間は、「高世のようなベーシックインカム導入論」には賛同しないでしょう。
 なお、「ベーシックインカム」でググったところ、「玉石混交かもしれませんが」

【発行年順(発行年が同じ場合は著者名順)】
山森亮*2ベーシック・インカム入門』(2009年、光文社新書)
井上智*3『AI時代の新・ベーシックインカム論』(2015年、光文社新書)
・原田泰*4ベーシック・インカム』(2015年、中公新書)

と言った本がヒットしました。それなりには世間の注目を集めてる主張とは言えるでしょう。

*1:ロンドン市長、メイ内閣外相などを経て首相

*2:同志社大学教授

*3:駒澤大学准教授。著書『人工知能と経済の未来』(2016年、文春新書)、『MMT:現代貨幣理論とは何か』(2019年、講談社選書メチエ)など

*4:元財務官僚。元早稲田大学特任教授。前日本銀行政策委員会審議委員。著書『日米関係の経済史』(1995年、ちくま新書)、『デフレはなぜ怖いのか』(2004年、文春新書)、『世相でたどる日本経済』(2005年、日経ビジネス人文庫)、『日本はなぜ貧しい人が多いのか』(2009年、新潮選書)、『なぜ日本経済はうまくいかないのか』(2011年、新潮選書) など