新刊紹介:「前衛」5月号

 「前衛」5月号について「興味のある内容」のうち「俺なりになんとか紹介できそうな内容」だけ簡単に触れます。「赤旗記事の紹介」でお茶を濁してる部分が多いです。
http://www.jcp.or.jp/web_book/cat458/cat/
◆グラビア「抵抗の彫刻家・金城実*1」(森住卓*2
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。

抵抗する彫刻家 金城実 – 全日本民医連
 2019年は“表現の自由”が脅かされる出来事が相次いだ。「あいちトリエンナーレ」の企画展が、抗議や脅迫で中止に追い込まれた事件※もそのひとつ。このニュースを知った沖縄県読谷村の彫刻家、金城実さん(80歳)は、芸術家のひとりとして黙っていられなくなった。批判を浴びた「平和の少女像」にちなみ、猛然と慰安婦像の制作に取り組み始めた。“抵抗する彫刻家”の素顔に迫る。
(中略)
 新聞を開くとあいちトリエンナーレを批判する記事が目に飛び込んできた。
「日本人の心を踏みにじった」「あれは芸術ではない、反日プロパガンダだ」。
 名古屋の河村市長のコメントに怒りがわいた。
 「表現の自由が完全に崩れる。ここで行動を起こさないと、沖縄の彫刻家としてのプライドが許さない」。
 金城さんは韓国に行き、平和の少女像を制作した作家と交流があった。迷いなく、その日から慰安婦像の制作に取りかかった。
「徴用工問題、慰安婦問題で日本は韓国とかみ合わない。なぜか? 植民地という歴史認識がないからだ。植民地が何をもたらしたのか、安倍首相は知らない。朝鮮と同じく植民地の経験をしたのは沖縄だ」。
 豊臣秀吉の時代から本土は沖縄を抑圧してきた。1609年には薩摩藩琉球王国を侵攻、明治政府の「琉球処分※」で強引に日本の一部にされた。1945年の沖縄戦では本土の“捨て石”にされ、県民の4人に1人が亡くなった。戦後は米軍に占領され、県民の土地が次々と奪われて基地になった。
 「日本政府にひどいことをされてきたから、沖縄からは朝鮮問題がよく見える。安倍首相は慰安婦問題で韓国はお金が欲しいと思っているのだろう。韓国の文在寅*3大統領は『歴史を忘れた者には未来がない』と言う。その意味が安倍晋三わかるかなー、わからねーだろーなー。政府は口先で『沖縄県民に寄り添う』と言いながら、裏では蹴飛ばしている*4。それが一番、腹が立つ」。
 手を休めることなく一気に思いを語った。
「日本政府は慰安婦問題はなかったと言うだろ。それが許せない。差別され迫害された朝鮮の慰安婦の悲しみと怒りは、差別され続けた琉球人と一緒だ。だから彼女らの怒りと悲しみはよく分かる」。
※あいちトリエンナーレの企画展中止
 企画展の一つ「表現の不自由展・その後」に抗議や脅迫が殺到、2019年8月1日に始まった展示はわずか3日で中止に。その後、再開を求める署名などが集まり、10月8日から展示を再開した。
琉球処分
 明治政府は1872年に琉球国を廃して琉球藩に。79年には沖縄県を設置し琉球王国は約 500年にわたる歴史を閉じた。

 「わかるかなー、わからねーだろーなー」てのは「松鶴家千とせ」ですね。
 まあ、さすがに俺も「過去の映像再放送」で見たのであって、リアルタイムでは全盛期の彼の芸を見たことないですけど(そこまで高齢ではない)。
 まあ、冗談はともかく安部夫婦にはマジで「夫婦そろって、まともな人間の気持ちは分からないクズなんだろうな」つう感じしかしませんね。

【参考:松鶴家千とせ

東京新聞:<笑う神 拾う神>82歳、わかるかなぁ 松鶴家千とせ:放送芸能(TOKYO Web)西条昇*5江戸川大学教授、お笑い評論家)
 アフロヘアにサングラスのいでたちで連発する「わかるかなぁ、わっかんねえだろうなぁ」という松鶴家(しょかくや)千とせのフレーズが大流行したのは、昭和五十(一九七五)年前後のことだった。
 その千とせも現在、八十二歳。
 旧満州(現中国東北部)で物心がつき、父親の出生地である福島県で育つ。戦後、進駐軍向けのラジオ放送で聴いたジャズやゴスペル音楽に憧れ、家出同然に上京。上野から新橋のジャズ教室に向かうが、泊まる場所がなく困っていると、そこの生徒の女性が「ウチの二階の部屋に泊まりなさい」と声をかけてくれた。それが「もう帰ろうよ」で売れた漫才の松鶴家千代若・千代菊の娘だった。
 師匠夫婦のカバン持ちをしながらジャズ教室に通い、浅草の木馬館安来節の合間に歌手として歌うが、千とせが出ると観客は席を立ってしまう。それを引き留めるために、「イエーイ!」のピースサインや「わかるかなぁ」が生まれた。
 何人かと漫才コンビ結成と解散を繰り返し、ピンの漫談家に。ジャズのスキャットを交えて童謡「夕焼小焼(ゆうやけこやけ)」を歌い、満州で弟と見た夕焼けの光景から「俺が昔、夕焼けだった頃、弟は小焼けだった」とのネタを思いつく。
 木馬館の階下にある木馬亭で、数年前から毎月、「うたとお笑い木馬亭」という会を主催している。
 「先日亡くなられた木馬亭の席亭の根岸京子さんには木馬館の頃から大変お世話になりました。おかみさんのためにも、この会を続けていきたいですね」


シリーズ「沖縄新基地をめぐる25年をふり返る」
辺野古新基地建設は政治的にも技術的にも完全に行き詰まっている(赤嶺政賢*6
◆地盤・活断層についての科学的な調査にもとづいた議論をすべきだ(立石雅昭*7
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
辺野古埋め立て 工期10年/完成、最短で30年代以降/地盤改良 費用膨張へ
辺野古埋め立て 工期10年/政治的にも技術的にも新基地は完全に行き詰まり/小池書記局長が会見
辺野古 70メートル超も軟弱地盤/改良工事 根拠崩れる/防衛省がデータ隠し 日曜版スクープ
主張/70メートル超も軟弱地盤/辺野古基地の根拠また崩れた


特集「安倍改憲との対決点2020」
◆平和と九条をめぐる岐路の年(小沢隆*8
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
「全国首長九条の会」結成へ 武村・稲嶺氏ら130人超/「9条守れ」首長立つ
「市民のために9条変えない」/松下・武蔵野市長、首長九条共同代表 自民議員攻撃に反論/東京
主張/2020年の憲法/安倍改憲の企て打ち砕く年に


◆続・議院内閣制から診た安倍内閣(石埼学*9
(内容紹介)
 「続」とあるのは筆者は以前2019年5月号で「議院内閣制から診た安倍内閣」について論じているからである。
 筆者は2019年5月号において

新刊紹介:「前衛」5月号 - bogus-simotukareのブログ
 議院内閣制とは「多数議席で選ばれた内閣だから何をやってもかまわない」という安倍自民流の無法(いわゆる「ご飯論法」など)を前提とする物ではなく、「野党の質問に対する与党の真摯な対応」があって初めてまともに機能する物だという当然の指摘がされています。当然ながら、安倍自民のような無法をさせず「議院内閣制」をまともに機能させるためには強力な野党が必要であるわけです。

といった論を展開している。

参考

政治考/ヤジ 答弁拒否 デマ発言/国会汚す安倍首相
◆議院内閣制侵害
 「意味のない質問だ」というヤジは、12日の衆院予算委員会立憲民主党辻元清美*10議員が質問を終えた直後に、安倍首相が自席から発したものです。安倍首相が野党議員をヤジることはこれまでも数多くありましたが、今回のヤジは、国会での議論そのものを否定する点で、他のヤジとは質的に決定的な違いがあります。
 石川裕一郎聖学院大学教授は「日本国憲法のもと、内閣は連帯して国会に責任を負い、首相は行政について国会に報告する義務を負います。また、国会には国政調査権があり、行政を調査する権限を持っています。これらの議院内閣制にかかわる統治機構上の原則を踏みにじる発言です」と批判します。


◆最低生計費調査が示す全国一律最低賃金1500円の意義(中澤秀一)
(内容紹介)
 「全国一律最低賃金1500円」の意義として
1)全国一律であること
2)大幅な引き上げであることが指摘されている。

参考
主張/最低賃金の目安/大幅アップ・地域格差の解消を
最賃 全国一律1500円へ/8時間働けば普通に暮らせる社会めざす/運動強める青年


◆カジノ(賭博)を止められるのは今だ(上):カジノ企業が狙いをさだめた日本国民の資産(小松公生*11
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。今回はもっぱら依存症の問題をとりあげ、次号ではそれ以外の問題を取り上げるとしている。
参考
主張/カジノ誘致の攻防/日本のどこにも賭博場いらぬ
主張/カジノ汚職再逮捕/利権の闇にメス入れ、廃止せよ


特集「公立・公的病院再編統合問題と地域医療」
◆秋田:「オール秋田でNO!」 すべての議会で意見書採択次々(佐竹良夫)
◆宮城:過疎地域がさらに苦境に、連携し県・市町に働きかけ(鹿島進)
◆長野:リストを撤回し、地域医療機関の支援の推進を(高村京子*12
◆兵庫:統廃合ではなく地域医療体制の確保・拡充こそ(金田峰生)
◆福岡:障害者医療、政策医療、地域医療に必要な医療機関(門馬睦男)
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
公立・公的病院再編統合/医師不足が深刻/宮城 高橋議員が聞き取り
論戦ハイライト/公立・公的病院再編統合問題 高橋議員の質問/地域無視のリスト撤回を/医師不足の解消こそ
地域医療の崩壊招く/清水氏 病院再編リストを批判
病院リスト撤回を/再編統合 本村議員が迫る/衆院総務委


社会権規約と高等教育無償化(申惠丰*13
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
大学修学支援法 吉良氏が反対/無償化とはいえない
授業料免除 水準維持を/学生グループ「FREE」 文科省に要請
主張/高等教育の無償化/授業料免除制度の後退許すな
野党共同で法案提出/大学修学支援法改正案/未婚ひとり親支援早急に
国立大学費 中所得層の減免、廃止へ/安倍政権、どこが「無償化」


◆リブラ*14日本銀行の量的・質的金融緩和政策(建部正義*15
(内容紹介)

日銀総裁、リブラなど安定通貨の普及「政策波及効果弱まる可能性」 :日本経済新聞
 日銀の黒田東彦総裁は4日、財団法人金融情報システムセンター(FISC)の創立35周年記念講演会で講演した。日銀が公表した要旨によると、フェイスブックが主導するデジタル通貨「リブラ」に代表されるグローバルなステーブルコイン(安定通貨)について黒田総裁は「決済サービスを改善させる潜在力を持つ」との認識を示した。その一方で、「普及によって、各法域で自国通貨とは異なる独自の通貨建て取引が増えれば、金融政策の波及効果が弱まり、金融システムの安定も損なわれる可能性がある」と述べた。

とする黒田総裁の発言が批判されている。
 建部氏は
1)既にアベノミクス流金融政策が景気回復という意味で失敗していることは明白であり それはリブラが普及するかどうかとは関係ない
2)現時点において「仮想通貨に対するセキュリティ面での危惧」「リブラの開発者がフェイスブック社という一企業である事に対する危惧」「リブラ以外にも仮想通貨は存在すること」からリブラはどこまで普及するか、現時点では疑問符がつくこと
を指摘し、黒田発言は不適切としている。


◆8050問題と向き合う福祉政策の課題(山本耕平*16
(内容紹介)
 「8050問題」については以前、新刊紹介:「前衛」1月号 - bogus-simotukareのブログ今日の産経ニュース(2019年6月3日分) - bogus-simotukareのブログで取り上げていますのでここで紹介しておきます。

参考

高齢家族の死体遺棄事件多発 生活に困窮、助けを求める声出せず 宮城・福島 | 河北新報オンラインニュース
 自宅で死亡した高齢の家族を同居する子らが放置する死体遺棄事件が今年、表の通り宮城、福島両県で相次いだ。両県警に逮捕された容疑者は当時40~60代でいずれも無職。大半は地域で孤立していた。自宅に引きこもる50代の子と80代の親が同居し困窮する「8050問題」に通じる側面があり、公的な支援の必要性が高まっている。
 「生活が苦しかった。助けてくれる親族はいないし、お金を借りても、返す当てがなかった」
 仙台市青葉区大倉で5月に起きた事件の公判で、母=当時(98)=と兄=同(65)=の遺体を放置した罪に問われた元被告女性(61)は力なく、こう述べた。
 女性は仙台地裁から執行猶予付きの有罪判決を受けた。地裁は遺体を長期間放置した女性の行為を悪質としつつ「葬儀費用の捻出すら難しい経済状況で、特に厳しい非難は向けられない」と判決理由を説明した。
 宮城県であった他の事件は全て不起訴となり、県警の捜査で年金の不正受給といった動機は確認されなかった。「(容疑者は皆)経済面や精神的に問題を抱え、家族の死を外部に相談するのが難しかった人」と捜査関係者は振り返る。
 「周囲に助けを求められない状況は、8050問題と同じだ」。生活困窮者の自立支援に取り組む一般社団法人パーソナルサポートセンター(青葉区)の立岡学常務理事が指摘する。
 高齢の親と成人の子で暮らし困窮する世帯の多くが生活保護介護保険といった制度を知らず、利用をはばかるなどして公的な支援を受けずに孤立や生活苦を深める傾向があるという。
 立岡常務理事は「生活のあらゆる困り事を受け止め、支援に結び付けられる窓口の構築と周知が必要だ」と話す。
 宮城県内で起きた死体遺棄事件は、容疑者が相談相手を持たず、公的な相談窓口を知らずにいたケースが多かったとされる。困窮する中高年や高齢者が頼るべき支援制度の周知や近隣住民の支援が求められる。

「8050問題」本でひもとく 不安の根底に家族頼みの福祉 朝日新聞社編集委員・清川卓史 |好書好日
 内閣府は昨年、40~64歳の「中高年ひきこもり」が全国に61・3万人いるという推計を公表した。それに関連して「8050(はちまるごーまる)問題」という用語はかなり知られるようになった。明確な定義はないが、私は「無職やひきこもり状態の中高年の未婚の子(50代)と、高齢の親(80代)が同居する家族が孤立して生じる様々な困難」ととらえて、取材を続けてきた。70代の親と40代の子の組み合わせで「7040(ななまるよんまる)問題」と呼ばれることもある。
 8050問題の特徴は、介護や生活困窮などの課題とともに立ち現れる複合的な困難ということだ。親の死去後、中高年の子が遺体を放置してしまう死体遺棄事件も相次ぎ報じられる。
 川北稔著『8050問題の深層*17』は、介護の窓口になる地域包括支援センターや、生活困窮者の支援窓口の大半が、無職の子・ひきこもる子がいる家族の対応を迫られている実態を提示する。高齢化や未婚率の上昇など人口構造や家族の変化をふまえれば、8050問題は必然的に生じる課題だとし、社会的孤立は他人事ではない、と警鐘を鳴らす。
 池上正樹*18著『ルポ「8050問題」*19』は、「8050問題」という言葉が、児童ら20人が殺傷された2019年の川崎殺傷事件などを契機として注目され、本来の意味がゆがめられて拡散してしまったことを指摘する。
 長年ひきこもり問題を取材するジャーナリストである著者は、長くひきこもる人を「犯罪者予備軍」視するような偏見を広げた報道、メディアのあり方を鋭く問う。ほかに、当事者団体と厚生労働大臣の意見交換など、新たな展開も伝えている。

無職独身40~50代が親の収入頼み、推計57万世帯 [ひきこもりのリアル]:朝日新聞デジタル
 無職で独身の40~50代の子が高齢の親と同居し、生活費を親に頼っているとみられる家庭は2013年時点で推計約57万世帯あり、1995年からの18年で約3倍に増えていたことがわかった。このうち子が40代の家庭は推計約38万世帯で、50代の家庭の約2倍だった。朝日新聞立命館大山本耕平*20教授(精神保健福祉論)が、国の統計情報から試算した。
 こうした家庭は、ひきこもりなどの課題を抱えて社会から孤立する「8050(ハチマルゴーマル)問題」に陥りやすい。この問題に詳しい山本教授は「7年後の今、事態はさらに深刻化している可能性が高い」と話す。
 8050問題の公的な定義はないが、山本教授によると、無職、独身の子が高齢の親の収入に頼って同居する中で、ひきこもりや介護、貧困などを抱えて孤立しがちになる実情がある。


◆農業政策の転換をどうすすめるか:その視点を考える(有坂哲夫)
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
主張/「家族農業の10年」/農業再生への展望を開く年に
主張/参院選と農業/希望をもてる農政への転換を
ここがいいネ!共産党/酪農学園大学名誉教授・農学博士 中原准一さん/安倍農政と対決 農業守る
主張/最低の食料自給率/農業を本格的に立て直すとき
主張/「安倍農政」の転換/農業と農村に希望ある未来を
主張/農業の基本計画案/「安倍農政」の転換が不可欠


◆論点『馬毛島FCLP移転問題 国会論戦と結び住民とともに反対運動強め』(松崎真琴)
(内容紹介)
 赤旗などの記事紹介で代替。
馬毛島買収に巨費 田村貴昭議員が批判/違法開発追認するな/衆院予算委分科会
馬毛島 買収160億円/米軍離着陸訓練地 当初の3倍
馬毛島買収で予算流用/防衛省、田村貴昭氏聞き取りに
米空母艦載機訓練の移転候補地/馬毛島に辺野古予算 買収前に設計を委託/衆院予算委 田村貴昭議員が追及

馬毛島開発で政府が新見解 違法造成の疑いでも「国有地化で適法」|【西日本新聞ニュース】
 米軍艦載機の訓練移転候補地として国が取得を進める鹿児島県・馬毛島西之表市)で、元地権者による違法な伐採や造成の疑いがある問題で、政府は取得して国有地化すれば適法になるとの見解をまとめたことが11日、分かった。専門家は「訓練移転を進める強引な説明だ」と批判しており、野党も開会中の通常国会で追及する構えを見せ、紛糾も予想される。
 馬毛島に詳しい菅野庄一弁護士(東京)は、こうした政府の見解に「違法の疑いが強い地権者の開発行為を帳消しする論法だ」と反発する。


◆暮らしの焦点『育児をめぐる働く女性への差別とたたかうマタハラ裁判:ジャパンビジネスラボ事件』(雪竹奈緒
(内容紹介)
 ジャパンビジネスラボ社を被告としたマタハラ訴訟について原告側弁護士の説明。
 一審の原告一部勝訴判決(正社員への復帰は認めなかったが契約社員の雇い止めは違法無効と認定し賠償金支払いも命じた)について一定の評価する一方で、二審の原告全面敗訴判決を批判。最高裁に二審判決の破棄を強く求めている。

参考

マタハラ裁判、高裁が下した衝撃判決の中身 | AERA dot. | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
 育児休業の取得後に正社員から契約社員になったのは、「マタニティーハラスメント」にあたるとして、原告女性(38)が勤務先に慰謝料などを求めた訴訟の控訴審判決があり、東京高裁は一審の判決を覆し、逆転敗訴を言い渡した。
 マタハラには相当せず、勤務先に違法性はない、と断じた裁判長は女性の請求の大半を棄却し、衝撃が走った。一審で勝訴したマタハラ訴訟の判決はなぜ、大きく覆ったのか? その舞台裏を追う。
 一審判決では、女性が育児休業を取得後に契約社員に変更したのは自由意思で違法性はないとされた。一方、契約社員としての雇い止めについては「合理的な理由を欠く」と無効となった。給与の約370万円と弁護士費用を含む慰謝料110万円の支払いが会社側に命じられ、敗訴したJBL社は控訴していた。
 阿部裁判長が二審の判決主文を読み上げると、法廷はどよめいた。今回の判決でも正社員の地位の請求は棄却された。女性を正社員にする努力をJBL社が怠ったとした「損害金2283万4000円と年5分の割合」の支払い請求も棄却。一審では無効とされた契約社員としての雇い止めが認められた。
 損害賠償請求は、女性が行った提訴の記者会見や報道機関に話した内容が事実と異なりJBL社への名誉毀損に当たるとして、女性に約55万円の支払いを命じた。
 会社側には、女性に対するプライバシーの侵害があったと約5万円の支払いを命じたが、会社側が逆転勝訴。マタハラはなかったという判断が下された。
 裁判官が入室する前、紺色のスリーピースに身を包んだ女性は隣に座る弁護士と時折笑みを浮かべていたが、判決が言い渡された瞬間、表情は硬くなった。次に判決理由が読み上げられると女性は目を大きく見張り、何度も裁判長のほうに顔を向けた。
(以下略)

 アエラの記事の「以下略」とした部分はどう見ても露骨に「被告企業(ジャパンビジネスラボ)寄り(延々、被告企業側の言い分が述べられる)」で「前衛論文とは180度違う論調」であり、「おいおい」です(正直「以下略」部分は紹介する気になりません)。
 ただし、紹介した部分については「判決内容の概略はわかる」ので、一応紹介しておきます。


メディア時評
◆テレビ:首相会見とメディアのあり方(沢木啓三)
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。

休校要請の根拠語らず/混乱に反省なし 安倍首相が会見
 安倍晋三首相は29日、新型コロナウイルス感染症対策として、全国すべての小中高校、特別支援学校に2日から春休みまで休校を要請したことについて記者会見しました。
 学校など全国の教育現場に混乱をもたらしている全国一律休校の要請の科学的根拠は示しませんでした。与党にも相談せず、安倍首相が独断で決めたと指摘されていることに関し「十分な説明がなかったのはその通りだ」と認める一方、「判断に時間をかけているいとまはなかった」と言い張りました。

開かれた首相会見を/MICなど 時間・参加枠拡大訴え
 日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)と国会パブリックビューイング(国会PV)は18日夕、日本記者クラブで会見し、安倍晋三首相に十分な時間を確保したオープンな記者会見を求めました。
 MICが3月5日に開始したオープンな会見を求めるネット署名への協力は3万3000人となり、第一陣は12日に首相官邸に提出しています。
 新型コロナウイルス問題をめぐる2月29日の安倍首相会見は、一律休校の必要性や休業補償などに十分な説明がないまま、一方的に質問を打ち切りました。
 南彰*21MIC議長(新聞労連委員長)は、「為政者、権力者の一方的な発信を防ぐためには、会見で記者が多角的に質問することが重要だ」と指摘。「会見の主導権を首相官邸に握られている。再質問もできる十分な時間を確保し、フリー記者なども幅広く参加できる形で実施すべきだ」と強調し、東日本大震災を契機になくなっていた首相への日常的な取材機会の復活を求めました。

東京新聞:<新型コロナ>首相会見なし 「森友」追及避ける思惑か:政治(TOKYO Web)
 安倍晋三首相は二十日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けたイベント自粛や一斉休校を巡る対応について、記者会見などで国民に説明する機会は設けずに対策本部会合で表明した。(ボーガス注:自殺した財務省近畿財務局の男性職員の妻の国賠訴訟や、自殺した職員の遺書を掲載した週刊文春の記事、それに基づく野党の国会質問などで)再浮上した学校法人「森友学園」問題への追及を避ける思惑があったとみられる。
 政府高官は当初、三月十九日の専門家会議の見解を受けて「首相が会見することになると思う」との見通しを示していた。
 だが「森友」問題で、決裁文書の改ざんを強要されて自殺した財務省近畿財務局の男性職員の妻が国などを提訴し、安倍政権の責任が再び問われる事態に発展。政権幹部は「記者会見だと、コロナと関係ないことも聞かれる。対策本部会合で語ればいい」と、記者会見なしの背景に「森友」問題があることを示唆した。


文化の話題
◆演劇『こまつ座*22「きらめく星座」』(水村武)
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。

舞台縦横ときどきナナメ:「べからずべからずのべからずづくし」の世の中 井上ひさし「きらめく星座」が問う「いま」 - 毎日新聞
 国家が太平洋戦争へと突き進むなか、人々のささやかな喜びやかけがえのない時間、そして命が奪われていく。
 井上ひさし*23の「昭和庶民伝三部作*24」の1作目、「きらめく星座」(栗山民也演出)はそんな時代の不条理を、ちりばめられた懐かしい歌や笑いと涙と共に問いかける傑作だ。これまで何度も見ているが、見るたびにどこか「いま」と響き合う。こまつ座が15日まで、東京・新宿の紀伊国屋サザンシアターTAKASHIMAYAで上演している。
 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、政府のイベント自粛要請を受けて5公演が中止になり、5日だった初日が10日にずれ込んだ。それでも、なんとか開幕にこぎつけた。感染リスクを広げないことが最優先だ。中止するのも、開けるのも覚悟がいる。
 舞台は1940(昭和15)年11月3日、明治節の夜から、翌41年12月8日の前夜、つまり太平洋戦争開戦前夜まで。浅草のレコード店「オデオン堂」を巡る人々が描かれる。店主の小笠原信吉(久保酎吉)に元歌手の妻ふじ(松岡依都美)、長女みさを(瀬戸さおり)、居候の広告文案家竹田(大鷹明良)とピアノ弾きの森本(後藤浩明)を含め、この家の人たちはジャズや流行歌をこよなく愛する。
 ところが長男正一(高橋光臣)が砲兵隊から脱走したことから、憲兵伍長の権藤(木村靖司)ら官憲からにらまれる立場に。オデオン堂も整理の対象になろうとしている。しかし、みさをが文通相手の傷痍(しょうい)軍人、源次郎(粟野史浩)と結婚し、一躍「美談の家」となる。
 すでに大陸で戦争は始まっていて、社会はどんどん暗く、窮屈になっていく。

井上ひさしさん傑作「きらめく星座」心打つ名ぜりふ - 舞台雑話 - 芸能コラム : 日刊スポーツ
 オデオン堂に下宿する広告文案家の竹田が、「人間」という商品の広告を頼まれたなら、「『人間』を宣伝する文案は、こう書くしかないんじゃないでしょうか」と語る、せりふが大好きです。
 「この宇宙には4000億もの太陽が、星があると申します。それぞれの星が平均10億の惑星を、引き連れているとすると、惑星の数は約4兆。その4兆の中に、この地球のように、程よい気温と豊かな水に恵まれた惑星はいくつあるでしょう。たぶんいくつもないでしょう。だからこの宇宙に地球のような水惑星があること自体が奇跡なのです」。
 「水惑星だからといって、必ず生命が発生するとは限りません。しかし地球にある時小さな生命が誕生しました。これも奇跡です。その小さな生命が数限りない試練を経て、人間にまで至ったのも奇跡の連続です。そしてその人間の中にあなたが居るというのも奇跡です。こうして何億、何兆もの奇跡が積み重なった結果、あなたも私も今、ここにこうしているのです」。 「私たちがいる、今生きているというだけで、もうそれは奇跡の中の奇跡なのです。こうして話をしたり、誰かと恋だのけんかだのをすること、それもその1つ1つが奇跡なのです。人間は奇跡そのもの。人間の一挙手一投足も奇跡そのもの。だから人間は生きなければなりません」。
 井上さんは、作品の中に至極とも言えるせりふを数多く残していますが、「人間の奇跡」は最高の名せりふでしょう。

<金口木舌>人間は生きなければならない - 琉球新報 - 沖縄の新聞、地域のニュース
〈人間は奇蹟(きせき)そのもの。だから人間は生きなければなりません〉。
 故・井上ひさしさんは戯曲「きらめく星座」で、戦争ゆえに、身ごもった子の暗い未来を悲観する娘に「生」の意義を説いた。
▼先週、東京で公演を見た。新型コロナウイルスの感染拡大でイベント自粛が全国で続く中、こまつ座は当初開幕の5日から4日間は休演したが、15日までの6日間は上演を続けた。
全国公立文化施設協会が15日まで実施した調査によると、全国の公立の文化施設による自主事業のうち9割が中止や縮小、延期を決断した。貸館も9割がキャンセルしたという。継続したこまつ座の判断は希少だろう。
▼政府の自粛要請に公演継続を訴えた演出家の野田秀樹さんは、劇場閉鎖は「演劇の死」を意味しかねないと述べ「いかなる困難な時期であっても、劇場は継続されねばなりません」と宣言した。演出家の平田オリザさんも同調したが、賛否両論ある。
▼政府は19日の専門家会議を踏まえ、自粛継続の是非を判断する。感染拡大リスクへの対策を取りつつ、前に進んでいくために何をすべきか。井上さんならどう答えるだろうか。

ラサール石井「万全の態勢を整えた上で開催して、できるだけ演劇を続けていきたい」(スポーツ報知) - Yahoo!ニュース
 タレントのラサール石井(64)が17日、都内で行われた熱海五郎一座*25の舞台「Jazzyなさくらは裏切りのハーモニー~日米爆笑保障条約~」(6月2日から東京・新橋演舞場)の製作発表に出席した。
 三宅裕司*26(68)が座長を務める新橋演舞場シリーズの第7弾。劇中ではジャズギターを披露する。
 石井は先日、こまつ座の「きらめく星座」(井上ひさしの戯曲)を観劇。「戦時中、統制が厳しい中でレコード屋の家族が毎日、ジャズを歌って明るく暮らしていくという話。歌が生きる力を付けてくれる―というのがテーマになっていた。今回のお芝居も似たような話で、リンクするものがある」と振り返った。
 新型コロナウイルスの感染拡大で不透明な状況が続く。「こんな中だけど、演劇の火を消すなと、井上(ひさし)先生から背中を押された気がした。できるだけ早い終息を願っています。万全の態勢を整えた上で開催して、できるだけ演劇を続けていきたい」と切に願った。


◆映画『胸打つ性的少数者の映画』(児玉由紀恵)
(内容紹介)
 性的少数者を取り上げた映画として

映画『his』公式サイト|絶賛公開中!新宿武蔵野館ほか全国ロードショー
映画『ロニートとエスティ 彼女たちの選択』公式サイト
映画『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』公式サイト | 全国大ヒット公開中
映画『ダンサー そして私たちは踊った』公式サイト

が紹介されている。

【参考:『his』】

今年はゲイ映画が豊作!公開中のオススメ3作品を紹介
 ゲイカップルを描いたピュアな恋愛映画『his』。
 先ほどの『ダンサー』同様に、クローゼットゲイの報われない結末に無念の涙…(泣)系の映画ではない。
 むしろゲイを肯定し、新しい家族の形を提示してくれる、今までの日本映画にはないアプローチだ。

hisの上映スケジュール・映画情報|映画の時間
 2019年春にメ~テレ*27制作で放送されていた(ボーガス注:テレビドラマ)「his~恋するつもりなんてなかった~」の舞台から13年後を描く。井川迅役を『映画 賭ケグルイ*28』『偽装不倫*29』の宮沢氷魚。日比野渚役を『監察医 朝顔*30』の藤原季節が演じる。監督は『愛がなんだ*31』『アイネクライネナハトムジーク*32』の今泉力哉

映画『his』「美しいもの」を描くために悪者を生み、現実を隠蔽していないか - wezzy|ウェジー
・2019年に公開された映画『愛がなんだ』のヒットにより、若い男女から絶大な支持を得、「恋愛映画の旗手」とも呼ばれる映画監督の今泉力哉の新作映画『his』を観た。
・『his』は若手俳優宮沢氷魚と藤原季節が、現代の日本においてマイノリティな存在とされる「同性同士のカップル」としての生き方を模索する姿を描いた映画である。

【参考:ロニートエスティ】

『ロニートとエスティ 彼女たちの選択』2020年2月7日公開決定!
 『グロリアの青春』で第86回アカデミー賞外国語映画賞のチリ代表に選出され、第90回アカデミー賞では『ナチュラルウーマン』で見事外国語映画賞を受賞した、セバスティアン・レリオ監督の最新作『Disobedience』が、邦題を『ロニートエスティ 彼女たちの選択』として2020年2月7日(金)より日本公開することが決定!
 主演は、『ナイロビの蜂』でアカデミー賞助演女優賞受賞、昨年は『女王陛下のお気に入り*33』でアカデミー賞助演女優賞にノミネート*34したレイチェル・ワイズと、『きみに読む物語』『アバウト・タイム~愛おしい時間について~』など話題作に出演、『スポットライト 世紀のスクープ』でアカデミー賞助演女優賞にノミネート*35レイチェル・マクアダムス。近年アカデミー賞ノミネートが続く実力派女優のWレイチェルが、繊細かつ大胆な体当たりの演技で“美しき純愛”に挑んでいます。
 本作は、フェミニズム文学の新たな旗手、気鋭のイギリス人女性作家ナオミ・オルダーマンの自伝的デビュー作に出会ったレイチェル・ワイズが、プロデューサーとして企画段階から深く入り込んだ自信作。そして、ワイズがその才能に惚れ込んで監督を依頼したのが、『ナチュラルウーマン』でアカデミー賞外国語映画賞を受賞して世界的な評価を高めたセバスティアン・レリオ。葛藤して揺れ動く二人を切なく、時に大胆に映し出しています。また、『女王陛下のお気に入り』『ルーム』のプロデューサーや『英国王のスピーチ*36』でアカデミー賞を受賞した撮影監督など、ワイズが絶大な信頼を寄せる強力な布陣が脇を固めています。

【参考:ジョン・F・ドノヴァンの死と生】

グザヴィエ・ドラン誕生日記念!集大成『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』への思い語る | cinemacafe.net
 19歳での鮮烈なデビューから、『Mommy/マミー』でカンヌ国際映画祭審査委員賞、フランスのスター俳優を招いた前作『たかが世界の終わり』でカンヌ国際映画祭グランプリに輝いたグザヴィエ・ドラン
 本日3月20日、ドラン31回目の誕生日を記念し、ハリウッド俳優たちと撮影した初の英語作品となる最新作『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』について、演出の醍醐味から映像へのこだわりまで制作秘話を語り尽くすインタビュー映像がシネマカフェに到着した。

【参考:ダンサー そして私たちは踊った】

今年はゲイ映画が豊作!公開中のオススメ3作品を紹介
 最初に紹介する『ダンサー そして私たちは踊った』は、日本人にはなじみの少ない、東欧の国「ジョージア」を舞台にした映画。
 ジョージアの民族舞踏をしている主人公・メラブは、ダンサーとして活躍するためにレッスンに明け暮れる日々。
 そんなある日、イケメンでダンスも上手い青年・イラクリが入団。イラクリとの出会いをキッカケに、メラブはそれまで感じたことのない同性へ惹かれていくのだった──。
 ジョージアでは、「ジョージア正教」というキリスト教の一派が国民の多数を占めており、国全体が極めて保守的。同性愛に対する風当たりは強く、ゲイと分かれば迫害されたり、ゲイを治す施設に送り込まれたりするほど。
 このような保守的な環境で生きるゲイを描く映画の場合、たいていは悲惨な結末を迎える。
 しかし本作は、メラブが初めての感情や伝統的な「男らしさ」にもがきながらも、自己を開放していく様子がみずみずしく描かれており、未来への希望を感じさせてくれるのが新しい。
 本当に素晴らしい名作揃いだが、今の時期はコロナの影響で規模の縮小や、早めの公開終了も出てきている。
 「必ず映画館に行って!」と猛プッシュできないのが歯痒いが、「観なきゃ損」ぐらいは伝えておきたい。

『ダンサー そして私たちは踊った』ジョージアの青年が同性愛者を演じた理由:朝日新聞GLOBE+
 同性愛への反発や偏見がなお著しい黒海沿岸のキリスト教国・ジョージア(旧グルジア)で、同性愛を真正面から描いた映画『ダンサー そして私たちは踊った』(原題: And Then We Danced)(2019年)が誕生し、日本でも公開が始まった。ジョージアでの初上映では大抗議行動も起きた。リスクを顧みず今作に主演したレヴァン・ゲルバヒアニ(22)に東京でインタビューした。
 ジョージアスウェーデン人のレヴァン・アキン監督が脚本も書き、スウェーデンジョージア・フランス合作として完成、アカデミー国際映画賞のスウェーデン代表として出品。ゲルバヒアニはスペインのバリャドリッド国際映画祭やベラルーシミンスク*37国際映画祭で主演男優賞を受賞した。
 ジョージアでは2019年11月8日夜に初上映されたが、上映阻止を求めた極右集団の呼びかけで何百人もの人たちが首都トビリシなどの劇場を取り囲み、警官隊とにらみ合った。ジョージア正教会も上映に反対したという。
「彼らは同性愛が何であるかわかっておらず、同性愛は病気だと思っている。彼らにはちゃんとした情報がない。極右集団は、もしジョージア欧州連合EU)に加盟したら同性愛の国になる、とも触れ回っている。正気とは思えないよね」
 ただ、初上映のチケット自体は発売後瞬く間に完売したそうだ。「ジョージアの映画がこれだけ大々的に人気を得るなんて何十年ぶりかのことではないか。社会や人々は変化への準備ができていて、新しいものを見ようとしている」とゲルバヒアニはみる。ただ、「また上映してほしい」といった支援のメッセージもいくつか届いたものの、金属探知機や警備の人員の費用がかさむため、「コストがかかって無理だ」と言う劇場もあって、思うように上映劇場を増やせなかったそうだ。
 だが、5度にわたって受けた出演依頼を当初は断り続けた。「ジョージアでこうしたプロジェクトに加わるのは簡単ではないからだ。同性愛を本当に嫌悪する土地柄だし、家族や友人のことも考えなければならなくなる。社会からの疑問への答えも準備しなければならない。暴力をふるわれたりもしかねない」とゲルバヒアニ。だが、友人や家族に相談すると、「やりたかったらやってみたらいいよ」と言われ、心を決めた。
 「この映画に参加することで、何かを変えられるかもしれないし、社会にメッセージを残せるかもしれないと思った。」
 ジョージアの国立舞踊団を舞台とするだけに、アキン監督は実在の国立舞踊団に協力を仰いだが、断られたという。
 「彼らは『ジョージア舞踊の世界に同性愛者はいない』と言い、そのうえ、『だったらバレエの映画を撮ったらどうだ? バレエの世界には同性愛者がたくさんいるよ』とも言ったそうだ。これは同性愛へのヘイト発言だ。もし彼らが、『とてもセンシティブで、問題がたくさんあるから関与できない』と言って断るならまだ理解できるのに」とゲルバヒアニは憤る。
 スウェーデンで生まれ育ったアキン監督が今作を着想したのは2013年、ジョージアでのプライド・パレードで起きた事件がきっかけだったという。若者たちが勇気をもって開催したパレードに、極右集団や正教会の人たちが襲いかかって蹴散らした。ゲルバヒアニはテレビでこの様子を見ていたという。
「司祭が群衆と一緒に走り、若者が隠れているバスの窓を壊そうとした。その光景は僕の脳裏に焼きついている。本当に恐ろしかったよ。人間の性的アイデンティティーを理由に殴りつけるなんて常軌を逸している。」
 皮肉なことに、一方でジョージア正教会では少年への性的虐待が明るみになり、問題になっている。
「とてもおかしなことだよね。今作が文化や国民性に反すると言いながら、彼ら自身が反することをしている。LGBTQを問題呼ばわりしながら、彼ら自身の中に問題を抱えている。悲しいし、筋が通らないよ」

 まあ、「同性愛否定」の一方で「性的虐待が発覚」つうのはローマカトリックもそうだと言うことは「ジョージア正教会の名誉(?)」の為に指摘しておきます。
 それにしても改めて「俺ってテレビドラマや映画を全然見てないな(特に最近は)」と実感します。前衛記事で紹介されてる今回の俳優(特に若手俳優)や監督、作品名を見てもさっぱり分かりませんので。洋画を知らないのは「日本人なのでまあ、いい(?)としても」邦画も分かりませんのでね。


◆スポーツ最前線『東京五輪 延期を促した力は何か』(和泉民郎)
(内容紹介)
 「何か」といえばそれは「国内外の各方面からの批判」ですね。

もはや「延期論」が支配的、五輪は2021年開催か 決定打となりうる米陸上競技連盟からの「延期要望」(1/3) | JBpress(Japan Business Press)
 スペインオリンピック委員会やフランス水泳連盟、ブラジル五輪委員会などは、「選手らが十分にトレーニングできない」などとして延期を求めると表明。オーストラリアとカナダの五輪委員会は(ボーガス注:予定通り2020年7月に開催されても、コロナ感染の危険から選手を守るために東京五輪をボイコットし)選手を東京五輪に参加させないとの考えを示した。
 また米水泳連盟は3月20日、米オリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)に東京五輪を1年延期する要望を提出した。さらに21日には、米陸上競技連盟(USATF)もアスリートファーストで五輪の延期を求める書簡をUSOPCに送っている。
 また米USAトゥデイ紙は、USOPCが300人のアスリートに質問を行った結果、70%近くが東京五輪の延期を支持したと報じた。さらに同紙は、新型コロナの混乱でアスリートの多くが練習に支障をきたしているとしている。実際、22日にはドイツでも、フェンシング代表選手が「練習ができない」として五輪出場を辞退することが明らかになった。

という状況ではもはやIOCや安倍、小池らも強行突破は無理だったわけです。

*1:著書『沖繩を彫る』(1987年、現代書館)、『民衆を彫る』(2001年、解放出版社)、『沖縄から靖国を問う』(2006年、宇多出版企画)

*2:著書『イラク湾岸戦争の子どもたち』(2002年、高文研)、『イラク 占領と核汚染』(2005年、高文研)、『沖縄戦「集団自決」を生きる』(2009年、高文研)、『ムスタファの村』、『楽園に降った死の灰マーシャル諸島共和国』(以上、2009年、新日本出版社)、『セミパラチンスク(新版)』(2011年、高文研)、『福島第一原発風下の村』(2011年、扶桑社)、『沖縄戦・最後の証言』(2016年、新日本出版社)など

*3:盧武鉉政権大統領秘書室長、「共に民主党」代表を経て大統領

*4:ちなみに安倍は『口先では「拉致被害者に寄り添う」と言いながら、何もしないでほったらかしにして、事実上、拉致被害者を足で蹴飛ばしてる』のですが怒るどころか安倍礼賛ですから拉致被害者家族会の馬鹿さにはいつもながら心底呆れます。なぜ蓮池透氏のように安倍批判が出来ないのか。

*5:著書『笑伝・三波伸介』(2000年、風塵社)など

*6:日本共産党沖縄県委員長、衆院議員

*7:新潟大学名誉教授。著書『地震列島日本の原発』(2015年、リーダーズノート)

*8:東京慈恵会医科大学教授。著書『予算議決権の研究:フランス第三共和制における議会と財政』(1995年、弘文堂)、『ほんとうに憲法「改正」していいのか?』(2002年、学習の友社)、『憲法を学び、活かし、守る』(2013年、学習の友ブックレット)など

*9:龍谷大学教授。著書『憲法状況の現在を観る』(2005年、社会批評社)、『デモクラシー検定』(2006年、大月書店)、『人権の変遷』(2007年、日本評論社)、『国会を、取り戻そう!:議会制民主主義の明日のために』(石川裕一郎氏などとの共著、2018年、現代人文社)など

*10:社民党政策審議会長、国対委員長鳩山内閣国交副大臣民主党政調副会長、民進党幹事長代行、立憲民主党政調会長国対委員長などを経て立憲民主党幹事長代行

*11:著書『原発にしがみつく人びとの群れ』(2012年、新日本出版社)、『政党助成金に群がる政治家たち』(2015年、新日本出版社

*12:長野県議(日本共産党)。個人ブログ高村京子のページ

*13:青山学院大学教授。著書『友だちを助けるための国際人権法入門』(2020年、影書房

*14:Facebook社が開発した仮想通貨のこと。

*15:中央大学名誉教授。著書『貨幣・金融論の現代的課題』(1997年、大月書店)、『金融危機下の日銀の金融政策』(2010年、中央大学出版部)、『21世紀型世界経済危機と金融政策』(2013年、新日本出版社)、『なぜ異次元金融緩和は失策なのか』(2016年、新日本出版社)など

*16:仏教大学教授。著書『ひきこもりつつ育つ』(2009年、かもがわ出版)、『ともに生きともに育つひきこもり支援』(2013年、かもがわ出版

*17:2019年、NHK出版新書

*18:著書『ドキュメントひきこもり』(2013年、宝島SUGOI文庫)、『大人のひきこもり』(2014年、講談社現代新書)、『ひきこもる女性たち』(2016年、ベスト新書)、『ルポ ひきこもり未満』(2018年、集英社新書)など

*19:2019年、河出新書

*20:ただし今回の前衛記事での肩書きは「仏教大学教授」

*21:著書『安倍政治 100のファクトチェック』(望月衣塑子氏との共著、2018年、集英社新書)、『報道事変:なぜこの国では自由に質問できなくなったか』(2019年、朝日新書

*22:1983年結成。井上ひさし主宰による、井上作の戯曲のみを上演する劇団である。井上没後は三女の井上(石川)麻矢が社長を務めている(ウィキペディアこまつ座」参照)。

*23:著書『この人から受け継ぐもの』(岩波現代文庫)、『井上ひさしのコメ講座』、『二つの憲法大日本帝国憲法日本国憲法』(以上、岩波ブックレット)、『モッキンポット師の後始末』、『闇に咲く花』、『四千万歩の男』(以上、講談社文庫)、『きらめく星座:昭和オデオン堂物語』、『頭痛 肩こり 樋口一葉』、『不忠臣蔵』、『吾輩は漱石である』(以上、集英社文庫)、『吉里吉里人』、『国語元年』、『新釈 遠野物語』、『父と暮せば』、『道元の冒険』、『どうしてもコメの話』、『ドン松五郎の生活』、『泣き虫なまいき石川啄木』、『黙阿弥オペラ』(以上、新潮文庫)、『秘本大岡政談』(ちくま文庫)、『ベストセラーの戦後史』(文春学藝ライブラリー)、『手鎖心中』、『東京セブンローズ』、『野球盲導犬チビの告白』(以上、文春文庫)など

*24:こまつ座「きらめく星座」 時を経て価値を増す井上ひさしの反戦劇|アート&レビュー|NIKKEI STYLEによれば他の2作は「闇に咲く花」「雪やこんこん」

*25:伊東四朗一座』は、2004年、伊東四朗三宅裕司を中心に結成された演劇ユニット。公演に伊東が参加しない場合は、三宅が座長の「熱海五郎一座」となる(ウィキペディア伊東四朗一座」参照)。

*26:1979年、劇団スーパー・エキセントリック・シアター(SET)を旗揚げ。現在に至るまで座長を務める(ウィキペディア三宅裕司」参照)。

*27:名古屋テレビテレビ朝日系列)の愛称

*28:『月刊ガンガンJOKER』(スクウェア・エニックス)で2014年4月号から連載中のマンガ『賭ケグルイ』の映画化(ウィキペディア賭ケグルイ』参照)

*29:東村アキコWEBマンガ(2017年11月より2019年9月まで連載)。2019年7~9月に日本テレビ系「水曜ドラマ」でテレビドラマ化(ウィキペディア『偽装不倫』参照)

*30:漫画サンデー』(実業之日本社)で、2006年から2013年まで連載されたマンガ。2019年7~9月にフジテレビ「月9」でドラマ化。好評につき2020年8~12月に第二シリーズを放送予定。主人公の「監察医 朝顔」は上野樹里が演じた。上野の月9ドラマ主演は2006年10月期に放送された「のだめカンタービレ」以来13年ぶり。原作では1995年1月17日に発生した阪神淡路大震災で主人公・朝顔が母を亡くした設定となっているが、今回テレビドラマ化するにあたり、2011年3月11日に発生した東日本大震災によって母が行方不明になったという設定に変更されている(ウィキペディア『監察医 朝顔』参照)。

*31:角田光代の恋愛小説『愛がなんだ』(角川文庫)の映画化(ウィキペディア『愛がなんだ』参照)

*32:伊坂幸太郎の小説『アイネクライネナハトムジーク』(幻冬舎文庫)の映画化(ウィキペディアアイネクライネナハトムジーク』参照)

*33:オリヴィア・コールマンがアカデミー主演女優賞を受賞

*34:ちなみにウィキペディア「アカデミー助演女優賞」によればこの時に受賞したのは『ビール・ストリートの恋人たち』のレジーナ・キング

*35:ちなみにウィキペディア「アカデミー助演女優賞」によればこの時に受賞したのは『リリーのすべて』のアリシア・ヴィキャンデル

*36:コリン・ファース(英国王ジョージ6世役)がアカデミー主演男優賞を受賞

*37:ベラルーシの首都