「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2020年4/25分:荒木和博&黒坂真の巻)

朝鮮半島有事のシミュレーション: 荒木和博BLOG

 大学の授業に使っているものです。24枚のスライドの途中に①から⑤までのところで、自分が総理大臣だったらどう決めるかを考えて見て下さい。

 ばかばかしくて話になりませんね。そもそも朝鮮有事など起こる可能性は極めて低いですし、「そんな事態になったら拉致被害者は見すてざるを得ないこと」を考えたら「朝鮮有事など起こしてはならない」と考えるべきであり「起こったときにどう対応するか」などとは愚劣にもほどがあります。
 まともな学生ならこのスライドには呆れて二の句が継げなかったでしょうが、よく考えたら「そもそもまともな学生は荒木の授業なんかとらない」でしょうね。荒木なんぞという「ただの右翼活動家」を大学教員として授業を任せる拓殖大も呆れたバカウヨ大学です。


「どうなるか」ではなく「どうするか」【調査会NEWS3247】(R02.4.25): 荒木和博BLOG

 金正恩*1の身辺の状況について、「すでに死んでいる」「脳死状態」「手術して安定した状態」などと様々な情報が流れています。

 要するに「異変(というか金正恩の健康不安)など何も起こってない可能性もある」わけですが勝手に「起こってる」と決めつける荒木です。

 これらの情報の情報源は複数と思われるのと、韓国政府があえて否定していること、北朝鮮が何も報じないこと(反論も含め)、そして何度も書いてきているように昨年末以降の北朝鮮の異常な動き、そして「しおかぜ」への電波妨害の状況等、ともかく何かあったことは間違いありません。

 荒木は韓国政府のみが「健康不安説を否定している」かのように主張していますが、何もこうした情報を否定しているのは韓国政府だけではありません。

トランプ大統領、金正恩氏の重体報道「正しくない」 誤報との認識 - SankeiBiz(サンケイビズ):自分を磨く経済情報サイト
 トランプ米大統領は23日、ホワイトハウスでの記者会見で、北朝鮮金正恩朝鮮労働党委員長が手術を受けた後に重体に陥ったとするCNNテレビの報道に関し「正しくないと聞いている」と述べ、誤報との認識を明らかにした。

東京新聞:動静不明の金正恩氏はテレワーク中? コロナを避けて別荘に:国際(TOKYO Web)
 「自主隔離だろう」。
 日本政府高官は正恩氏の元山滞在について、自ら進んで平壌を離れたとの見方を示した。今月十一日に平壌で開かれた労働党中央委員会政治局会議に出席後、「特閣」と呼ばれる最高指導者専用の別荘にこもり始めたとみられる。
 北朝鮮事情に詳しい消息筋によると、正恩氏の警護要員の中に感染者が見つかり、警備態勢に不安を覚えたことが、元山退避の理由という情報も流れる。
 十四日付の労働新聞は論説で「国家的な非常防疫期間が長期性を帯びる」と防疫措置の長期化を予告。正恩氏の別荘における「テレワーク」も長引く可能性がある。
 一方、正恩氏の健康状態に注目が集まるのは、最近の公式行事に本人が姿を見せていなかったためだ。正恩氏の動静を北朝鮮メディアが報じたのは、労働党政治局会議への出席を十二日に伝えたのが最後だ。
 祖父である故金日成*2主席の生誕記念日の十五日にすら、最高指導者就任以来続けてきた(ボーガス注:金日成氏の遺体が祀られている錦繍山太陽宮殿への)参拝を行わなかった。血統を最重視する北朝鮮では異例で「何かあったはず」(官邸幹部)との見方が広がった。
 ただ、脱北した元北朝鮮高官は「参拝は政権の正統性をアピールするためであり、すでに権力を完全に掌握した正恩氏が見送ってもなんら問題はない」という見解を述べる。

米当局者「金正恩氏、元山で歩いている姿を確認」 : 東亜日報
 健康不安説が流れていた北朝鮮金正恩キム・ジョンウン朝鮮労働党委員長が、新型コロナウイルスの感染を避けて、元山(ウォンサン)に滞在しているという。米当局は、正恩氏が歩いている姿を確認したと明らかにした。
 米政府関係者は22日(現地時間)、「正恩氏が先週ずっと元山に滞在していたことが確認された」とし、「15日から20日の間に歩いている姿が捉えられた」と明らかにした。正恩氏の車両や側近の動きも共に確認され、正恩氏は支えられたり車椅子などを利用したりせず歩いていたという。米当局は、偵察機などを投じて電波や映像情報を分析し、このような内容を把握したとみえる。
 正恩氏が11日以降、公式の席に現れなかった背景については、「正恩氏の一部補佐陣と高位職の人々が新型コロナウイルスに感染し、正恩氏が予防のために人口が密集する平壌ピョンヤン)を離れたようだ」と同関係者は伝えた。

「金正恩氏、軍を完全掌握」 米軍高官が認識 (写真=AP) :日本経済新聞
 米軍制服組ナンバー2のハイテン統合参謀本部副議長は22日の記者会見で、北朝鮮金正恩キム・ジョンウン)委員長の健康不安説について「確認したり否定したりする材料はない」と述べ、確認を避けた。「彼は今も核戦力と朝鮮人民軍を完全に掌握している」との認識を示した。

ということで米国政府なども「健康不安説」には否定的です。
 そして荒木はこうした「健康不安・否定説」に反論するまともな根拠を何一つ提出できません。少なくとも現時点においては健康不安説は「CNNが重篤説を報じてからも、各国政府機関(日米中露韓)も他のマスコミ(NYタイムズワシントンポストなど)も重篤かどうかは疑問、として懐疑的な見方を示す怪しい説」でしかありません。事実と評価できるような説ではない。

 もはや事態が動いているという状況で、「これからどうするか」を考える、というより決めて行動することが必要です。

 おいおいですね。「金正恩重篤でない」のならば事態は何一つ動いていない。仮に重篤だとしても、「金正恩重篤な状況で北朝鮮は誰を暫定的な政府トップ(妹の金与正*3?)にするのか」「周辺諸国(米中露韓)はどう動くのか」など情勢を見極めねば日本政府も動きようがない。

 おそらく国対国の交渉で拉致被害者返還を求めることは不可能でしょうから、北朝鮮の内部情報に注視しつつ、日本が独自で動く覚悟を決めるしかありません。
 憲法がどうとか、理屈を考える前に北朝鮮拉致被害者がいて、コロナウイルスに感染している可能性もあり、一刻も早く救助する必要があるという前提で何ができるか、どうすべきか考える必要があります。

 荒木の主張は要するにいつもの「自衛隊で救出」と言う与太でしょう。しかし自衛隊救出論の最大の問題は、荒木が言う「憲法の制約」云々ではなく「拉致被害者の居場所が分からないこと」です。
 「居場所が分からなくても自衛隊をとにかく突っ込めばいい」なんて無責任で無謀なことは出来ません。
 「自衛隊を突っ込んでも拉致被害者が見つかる保証がない」し、見つかる保証もないのに自衛隊を突っ込むことは
1)(北朝鮮による軍事的反撃によって)自衛隊員の生命を危険にさらす
2)(反発した北朝鮮拉致被害者に危害を加えるなど)拉致被害者の生命を危険にさらす
3)(北朝鮮が絶対に拉致被害者を奪還されないように対策を強化するなど)自衛隊活用による拉致被害者救出を更に困難にする
などの危険性のある愚策です。
 本気で「自衛隊拉致被害者を救出する」なら
1)拉致被害者の居場所を確実につかんだ上で
2)できる限り、拉致被害者の居場所に関する情報を収集し、その情報に基づく具体的な救出作戦をシミュレートし
3)そのシミュレートの結果、作戦の成功可能性について「実行する価値がある*4」と認められ
4)実際にもシミュレート通り作戦を実行すること(もちろん実行前に北朝鮮側に計画を察知されることなく、実行後は速やかに拉致被害者を救出すること*5も必要)が必要でしょう。
 しかしそもそも「1)拉致被害者の居場所を確実につかむ」こと自体が出来てないわけで、2)以降を考えることなど到底出来ない状況です。
 もちろん「1)拉致被害者の居場所を確実につかむ」が出来たところで「2)できる限り、拉致被害者の居場所に関する情報を収集し、その情報に基づく具体的な救出作戦をシミュレート」などを着実に実行できない限り、「自衛隊で救出」など妄想でしか有りません。
 むしろ「外交交渉による救出」の方が現実的でしょう。
 過去にも「金丸*6訪朝による第18富士山丸船長、機関長帰国」「小泉*7訪朝による拉致被害者5人帰国」などの外交成果があるわけです。
 そして世界最強の軍事大国・米国ですら「北朝鮮に身柄拘束されたワームビア君の救出」は軍事行動ではなく外交交渉でした。

 コロナで大変なときですが、こちらが厳しいときは相手も厳しいはずで、しかもこうなると国自体の基礎体力・免疫力が強い方が勝ちです。

 やれやれですね。今、安倍の頭は

・杜撰なコロナ対応への批判による支持率低下をどうしようか、このままでは「総裁選立候補の報復」として役職に就けず干していた石破*8元幹事長の株が上がってしまうかもしれない。
・コロナ自粛による不況、企業倒産の恐怖をどうしようか
・コロナ休校をいつまでも続けていては、子どもの学業に悪影響だがどうしようか
・『第二のモリカケ桜を見る会ではないか』『伊藤忠などへの不当な利益誘導ではないのか』『虫の混入、変色、カビなどが発見された不良マスクについて伊藤忠などに賠償請求をしないのか』などと野党などに批判されるアベノマスク問題をどうしようか
・このままでは習*9主席訪日(今年秋予定)や東京五輪(来年夏予定)は実現できないのではないか

などの「コロナ問題」で頭がいっぱいでしょう。拉致だの北朝鮮問題だのは明らかに安倍政権において優先順位は低くなっています。これは「コロナ対応の不手際で支持率が低下傾向にあるトランプ」も同じかもしれませんが。
 むしろ「(ワクチンがあるわけではないので再発の危険性はゼロではないが)コロナ問題にそれなりの決着がついた」「その結果、国会議員選挙でも大勝し、政治的余裕が出来た」韓国・文在寅政権の方が「トランプや安倍」に比べれば北朝鮮問題の優先順位は高いでしょうし、対北朝鮮外交で文政権もいろいろと試行錯誤していくのではないかと思います。
 将来はともかく、少なくとも当面は北朝鮮問題は、荒木ら反北朝鮮ウヨの希望するような「北朝鮮との対立路線がエスカレートすること」はないでしょう。

 皆さんの参考になるかどうか分かりませんが、大学の授業で使っているシミュレーションがあり、少し加工して今日中にYouTubeに上げようと思います。昨年の授業で使ったものなのでコロナの話もありませんし、色々状況は違うのですが、進行する事態に対してそのときそのときで学生に自分が総理大臣になったという仮定のもとどうするかを考えさせるというものです。

 そんなくだらない妄想を「大学の授業としてやる」というのだから荒木は勿論「荒木を教員としている拓殖大学」もどれほどレベルが低いのかという話です。

【追記:黒坂真のアホさに呆れる】

黒坂真リツイート
 月刊イオ編集部の皆さん、今晩は。竜谷大*10の李相哲*11教授を御存知ですか。李教授はいろいろ調べた結果、金正恩が心臓血管の手術を受けたが失敗した可能性が高いと判断。これに失敗すると、脳卒中を起こす恐れがあるそうです
◆月刊イオ
 いまだ一人の感染者も出していない朝鮮民主主義人民共和国。その理由は徹底的な予防策にありました。月刊イオ*125月号では、朝鮮新報*13平壌支局の盧さんに詳細な体験記「朝鮮、新型コロナ感染予防体験記」を書きおろしてもらいました。イオ5月号はアマゾンにて購入できます。

 いつもながら黒坂のアホさには「やれやれ」です。
 既に上にも書きましたが「金正恩重篤」はCNNしか報じておらず、その他のマスコミ(NYタイムズワシントンポストなど)や米日中露韓政府は現時点では「重篤説に根拠があるか怪しい」と見なしています。
 にもかかわらず「心臓血管手術の失敗(そして脳卒中?)」云々とまで放言できる、黒坂や李もなかなかの度胸です(勿論褒めていません、むしろ呆れています)。
 大体、黒坂のリツイートは何一つ「月刊イオのツイート」とかみ合っていません。
 まともな人間ならいかに反北朝鮮ウヨでも

黒坂真リツイート
 月刊イオ編集部の皆さん、今晩は。本当に感染者はいないのでしょうか?。一部報道では『感染者はいる』と報じられていますし、日本、韓国、中国、ロシアといった隣国に感染者が出ているのに北朝鮮朝鮮民主主義人民共和国)で「感染者が少ない」ならともかく「感染者がいない」とは信じられないのですが?。
 「死亡者はまだ一人も居ない(つまり軽症患者しか幸いにもいない)」ならありえるかもしれませんが。

とでもツイートするでしょうにねえ。
 あるいは

月刊イオがツイート
 金正恩氏、重篤説にはまともな根拠はありません

なら黒坂のリツイートも理解できますが。あの月刊イオのツイート(北朝鮮は新型コロナ感染者ゼロに成功した)でいきなり「李相哲ガー」「金正恩重篤説ガー」なんて意味不明なだけです。
 なお、一応、お断りしておけば「『嘘だ』といえる根拠がないので『嘘だ』とは言いませんが」、俺は「感染者が一人も居ないなんて本当かいな?」と疑問視しています。

*1:北朝鮮国務委員長、朝鮮労働党委員長、朝鮮人民軍最高司令官

*2:北朝鮮国家主席朝鮮労働党総書記、朝鮮人民軍最高司令官

*3:朝鮮労働党政治局員候補(組織指導部第1副部長、宣伝扇動部第1副部長兼務)

*4:どの程度の可能性で「実行する価値がある」と認めるかは最終的には政治判断ですが、さすがに「5割未満の成功可能性」では実行することなど到底出来ないでしょう

*5:救出に時間がかかればかかるほど、成功の可能性は低くなります。

*6:田中内閣建設相、三木内閣国土庁長官福田内閣防衛庁長官自民党国対委員長(大平総裁時代)、総務会長、幹事長(中曽根総裁時代)、中曽根内閣副総理、自民党副総裁(宮沢総裁時代)など歴任

*7:宮沢内閣郵政相、橋本内閣厚生相などを経て首相

*8:小泉内閣防衛庁長官福田内閣防衛相、麻生内閣農水相自民党政調会長(谷垣総裁時代)、幹事長(第二次安倍総裁時代)、第三次安倍内閣地方創生担当相など歴任

*9:福州市党委員会書記、福建省長、浙江省党委員会書記、上海市党委員会書記、国家副主席、党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席などを経て党総書記、国家主席党中央軍事委員会主席、国家中央軍事委員会主席

*10:厳密に言えば『龍谷大』が正しい。

*11:1959年、中国黒竜江省生まれ(両親は朝鮮半島慶尚道出身で、1930年代に中国に移民)。1982年7月、北京中央民族大学を卒業後、共産党機関紙・黒龍江日報(日刊)記者となる。1987年9月、留学のため来日。1995年3月、上智大学文学研究科新聞学専攻にて博士(新聞学)学位を取得し、上智大学国際関係研究所客員研究員。1998年4月、龍谷大学社会学助教授。2005年4月から、龍谷社会学部教授。著書『満州における日本人経営新聞の歴史』(2000年、凱風社)、『朝鮮における日本人経営新聞の歴史1881~1945』(2009年、角川学芸出版)、『金正日金正恩の正体』(2011年、文春新書)、『朴槿惠の挑戦』(2012年、中央公論新社)、『日中韓の戦後メディア史』(編著、2012年、藤原書店)、『日中韓メディアの衝突:新聞・テレビ報道とネットがつなぐ三国関係』(編著、2017年、ミネルヴァ書房)、『金正日秘録:なぜ正恩体制は崩壊しないのか』(2018年、産経NF文庫)、『北朝鮮がつくった韓国大統領:文在寅政権実録』(2018年、産経新聞出版)、『「反日親北」の韓国 はや制裁対象!』(武藤正敏との共著、2019年、ワック文庫)など(ウィキペディア『李相哲』参照)

*12:朝鮮総連の機関紙(月刊、朝鮮新報社が発行)。「イオ」朝鮮語で「受け継ぐ」という意味(ウィキペディア『月刊イオ』参照)

*13:朝鮮総連の機関紙(日刊、朝鮮新報社が発行)